最強の愛され系ボンゴレ♀は、今を全力で楽しみたい 作:時長凜祢@二次創作主力垢
降り始めた雨は、徐々にその勢いを増していく。
モニターに映り込んだ武が、峰ではなく、刃の方でスクアーロさんに攻撃を放つ。
だが、流石はヴァリアーと言うべきか、彼は武が放った一撃を軽々と躱した。
しかし、武も負けじと地面に踏み込み、容赦なく斬りかかる。でも、スクアーロさんはすぐに武の攻撃をその場で止め、見事な切り返しで弾き飛ばす。
弾き飛ばされた武は、ラウルさんにでも教えてもらったのか、空中でそのまま体勢を立て直し、水が溜まる地面に着地した。
「ほう・・・・・・!!素人かと思えば、随分とやってくるじゃねーかぁ!!」
「当然だろ。オレは、ナツのために頑張ってきたんだ。負けてられねーよ。」
モニター越しでも聞こえてくる言葉を聞きながら、わたしは武を見守る。
彼が、どこまで力を身につけて、どこまでスクアーロさんに食らいついていけるかを。
「また沢田奈月か・・・・・・!!」
「またって言われてもなぁ・・・・・・。基本、オレ達はナツのために頑張る奴ばっかだから、またも何もねーんだよなっと!!」
スクアーロさんに言葉を返しながら、武は再び地面を蹴り上げる。
刀を構えた彼は、一気にスクアーロさんとの距離を詰めたのち、手にしていた刀を振り抜いた。
しかし、よく見ると武が振り抜いた手から、いつのまにか刀は姿を消しており、もう片方の手にいつのまにか移動していた。
「なるほど。山本武は刀の持ち手を左から右へと入れ替えていたのですね。」
「ああ。時雨蒼燕流 攻式 五の型、五月雨だな。」
静かに言葉を紡いだ骸に、リボーンが武の行動の説明を挟む。
同時に刀の持ち手を入れ替えた武は、スクアーロさんめがけて峰ではなく、しっかりと刃の方で斬撃を放つ。
だが、武の攻撃は、惜しくもスクアーロさんに届いていない。武の斬撃を、どうやらスクアーロさんが寸前のところで体を引くことにより、回避したようだ。
咄嗟の回避だったからか、それとも、受け身を取るためか、スクアーロさんが水浸しの室内に倒れ込む。
「「!?」」
「い・・・・・・今のは・・・・・・っ」
スクアーロさんが床に倒れ込んだからか、了平さんやバジル君が驚いたような様子を見せる。
その反応から、彼らは武の攻撃がスクアーロさんに通じたと思っているのがわかる。
まぁ、側から見たらそんな風に思っても仕方ないだろう。タイミングを合わせてスクアーロさんが回避していたのは確かだが、薄暗さによる視界の悪さにより、食らっているように見えてしまっても、当然と言える物だった。
「時雨蒼燕流に含まれている攻撃の型である五月雨は、一太刀のうちに刀の持ち手を入れ替え、軌道とタイミングをずらす変幻自在の斬撃だ。
斬撃を放ってきているかと思い、防御行動を取ったが、最初は空振りで、本命の一太刀は後から来る感じだな。」
「極限にすごい技ではないか!!」
「ま、まーまーやるじゃねーか・・・・・・」
「さっさとそんなヤツやっちまえ─────!!」
了平さんと隼人、それとバジル君が少しだけ瞳に希望を見出し、犬がヤジを飛ばす中、わたしは深く溜め息を吐く。
「・・・・・・さっきの、どう見ても当たってませんよね、骸様。」
「ええ。完全に回避されておりましたね。全く、なんともおめでたい頭ですね、あそこのメンバーは。
犬まで紛れ込んで騒いでますし、少しばかり信じられませんね。」
「なんで彼ら、あの剣士が躱してることに気づいてないの?確か、奈月のために力をつけてるはずだよね?」
「僕もそう聞いていたのですがね・・・・・・どうやら、一部は育ちきれていなかったようで・・・・・・。
まぁ、獄寺隼人も笹川了平も、対戦相手にボロボロにされていたようですし、その程度ということでしょうね。
あのバジルと言う門外顧問・・・・・・奈月の父親の部下である彼ですら、奈月と合流した時はかなり疲弊していた上、ダメージを食らっていたようですし。」
そんな彼らに対し、わたしと骸、恭弥さんと千種は呆れた眼差しを向ける。
特に、ディーノさんだけじゃなく、ボーナスステージとして父さんからも訓練をつけてもらった恭弥さんや、素の能力が元からかなり高い骸に至っては、辛辣な言葉すら口にしている。
まぁ、隼人達から少し離れた位置にいるため、彼らにこちらの声は届いてないようだが・・・・・・。
「・・・・・・姫と姫の側にいる連中はスクアーロのこと気づいてね?」
「確実に気づいているね。どうやら、彼女の側にいる雲と霧とどっちかの付き添い人であるメガネのヤツは、あっちで騒いでる彼女の嵐や晴、門外顧問の子供以上の分析力や能力値があるようだ。
ここまで能力に差があるファミリーも珍しい物だよ。まぁ、あのメンバーの中だと、確実に彼女が秀でた能力があるようだけど。」
不意に、ベル達の声が聞こえて来る。とは言え、話しているのはベルとマーモンの二人で、XANXUSさんとモスカ・・・・・・とか言う人型のナニカは話していないけど。
「う゛お゛ぉい!!!効かねぇぞ!!」
「あり・・・・・・?」
「「「!!?」」」
そんなことを思っていると、モニター側からかなりの騒音が聞こえて来る。
すぐに視線をモニターに戻せば、そこには受け身を取ったらしいスクアーロさんと、当たったと思っていたのか呆気に取られてる武の姿があった。
「まぁ、そうなりますよね。」
「ええ。しっかりと見ていなかったのですか?君達は。」
「見えていたのって僕らだけ?」
「いいや?オレにもスクアーロの動きは見えていたぞ。あと、ディーノとラウルも見えていたと思うが。」
「ああ。寸前のところで、武の攻撃の軌道に合わせて身を引いてたな。」
「さらに言うと、S・スクアーロは、動きを先読みしてるくさいかな。お嬢はどう思う?」
「否定はできませんね。まぁ、十中八九、最悪な事態が発生した・・・・・・と言うことでしょうか。」
予想通りの状況に、わたし達は口々にあれはダメージが入っていなかったことを告げる。
隼人達から驚いたような眼差しを向けられたが、それらは全てスルーして、始まったばかりの争いを見守る。
「う゛お゛ぉい。偉そうな口を叩いていたくせに、お前の力はこんなもんだってのかぁ!?」
剣先を武に向けながら、スクアーロさんが、武が持つ能力の程度を問いかける。
彼の問いかけを聞いた武は、すぐに目つきを鋭くしては、スクアーロさんに警戒を見せる。
「刀を握ってそこまで経ってねぇヒヨッ子が、現状を理解し、刃を向けてきたことは褒めてやる!!
素人のくせにしっかりと斬撃を放ってきていたからなぁ。中には峰を使ってくるバカもいる分、テメェはマシな方だ。」
スクアーロさんは口元に笑みを浮かべたまま、しっかりと刃の方で攻撃をしてきたことを評価する。
しかし、すぐに地面を蹴りあげて、武に一気に距離を詰め始める。
「だが、まだまだ甘いぞぉお!!!」
スクアーロさんが怒鳴りながらも距離を詰め、攻撃態勢に入る姿を見て、武はすかさず刀の切先を水につけ、水の柱を作り上げる。
だけど、スクアーロさんも武の動きを見て同じように水の柱を作り上げたため、モニターから姿が見えなくなる。
「あのロン毛野郎!!山本と同時に水柱を!?」
「・・・・・・どうやら、ディーノが抱いていた懸念が当たっちまったみてーだな。」
「くそ・・・・・・!!やっぱりか!!」
リボーンの言葉に表情を青くしながら、ディーノさんが冷や汗を流す。
その姿を横目で見ながらも、モニターの方へと視線を向けてみれば、武の肩から鮮血が噴き出る。
「「山本!!」」
「ゲゲッ!!アイツやられてるじゃねーか!!」
「・・・・・・素人がプロを相手にして、すぐにやられなかっただけマシかもしれないけど・・・・・・」
「ええ。彼はそれなりに耐えられていましたね。まぁ、そもそもの話、素人がプロに無傷で勝利すること自体が無理な話です。
奈月のように、才能や技術力、教育者に恵まれていたのであれば、まだ違ったかもしれませんが。」
隼人や了平さんと一緒になって、武の分の悪さに声を荒げる犬。
その言葉に反応するように、千種と骸がプロ相手に即時切り捨てられなかった分マシであると口にする。
わたしは、モニター越しに見えた、肩から血を噴き出す武の姿に体を強張らせ、本能的に拳を握りしめた。
しかし、それはふわりと大きな手により目を覆われると同時に、包み込むように握ってくる温もりにより、軽く緩む。
『・・・・・・ダメですよ、ナツキ。そのように拳を握りしめたら、手のひらから血が出てしまいます。』
穏やかな声音で紡がれた言葉に、手のひらを完全に抜けば、“いい子ですね”と小さく告げられ、目元から手が外される。
同時に、わたしの精神がさらに深く抑え込まれる。半憑依状態と言ってもおかしくない状況に、静かに背後に視線を向ければ、Dさんは口元に笑みを浮かべ、わたしを少しだけ見つめたのち、静かにモニターへと視線を戻した。
「最後に絶望的なバッドニュースを教えてやる。貴様が使う技が何か、オレは知ってる。
時雨蒼燕流だろぉ?その時雨蒼燕流はな、オレが昔捻り潰した流派だ!!」
「!!」
スクアーロさんから告げられた言葉に、武は目を見開く。
「・・・・・・予想通り、ですね。」
「つまり、山本の攻撃は、あのロン毛野郎に効かねーってことっスか!?」
「・・・・・・S・スクアーロの発言からして、その認識で間違いはないでしょうね。」
「山本武が使った技に対する回避速度がかなりのものだったしね。」
「それじゃあ、今戦ってる奴、まずいじゃねーか!!」
それを聞いたわたし達は、冷静に分析する者、焦りを見せる者と様々な反応を見せ、モニターに映る武の様子を見る。
「・・・・・・奈月。あの男に関して何か知ってる?」
そんな中、聞こえてきた問いかけは、千種からのものだった。
武と戦ってるスクアーロさんについて、何か知っていないかを問うためのもの。
マフィアの世界に、大量の人脈を抱えてしまっているからこそ、裏事情に関して詳しくないか聞いてきたのだろう。
そんなことを思いながら、わたしは静かに口を開く。
「私も、ディーノさんから聞いた話しか知りませんが、S・スクアーロは、かつて、間違いなくヴァリアーの次期ボスとなるだろうと言われていた剣士だそうです。
当時のヴァリアーからスカウトをされ、当時のヴァリアーのボスであった剣帝と勝負させてくれるならと言う条件を提示し、数日の死闘の末、剣帝から勝利を奪ったそうですよ。
そして、ヴァリアーに参加してからも、剣士としての実力を以って功績を残し続けた結果、ヴァリアー次期ボス候補として名を馳せていたのだとか。
まぁ、なぜかヴァリアーのボスはXANXUSになってますが、そこら辺の疑問は調査中ですし、今は話さなくてもいいでしょう。」
「「「な!?」」」
ディーノさんから聞いた話を千草に説明すれば、隼人と了平さん、それと、犬が表情を強張らせて青くする。
「・・・・・・そう。それなら、あの強さも納得できる。」
「雲雀恭弥の言う通りですね。奈月を通して、僕も間接的にS・スクアーロと対峙しましたが、その時の記憶からしても、かなりの実力を持ち合わせていると感じていましたし。」
「・・・・・・骸様までそう思う実力だったんですか?」
「ええ。僕のスキルを貸した方がいいかもしれないと思う程には。」
「それは・・・・・・奈月程の能力でも、上乗せが必要なレベル・・・・・・と言うことですね。」
対する質問組、冷静組である恭弥さん、千種、骸の3人は、わたしの能力の高さも考慮した上で、さらに身体能力と火力を上乗せしなければ、対処が難しくなっていた可能性の示唆に、表情を真剣なものへと変える。
「あの時は、ハーフボンゴレリングに気づかれたことにより難は逃れましたが、もし、ハーフボンゴレリングに意識が向けられなかったら、骸から修羅道を借りなくては自身の命が脅かされてしまうと思う程でした。
修行の結果、能力の向上を行えたわたしならそう簡単にやられないと思いますが、あの時は、集中的な訓練は行なっていませんでしたし、能力面は、まだまだ低い状態でしたからね。」
静かに当時の状況を話せば、冷静組も表情を少しだけ曇らせる。
そんな彼らを横目に見ながら、モニターに意識を戻した。
「剣帝と言う男を倒し、極めた剣を試すため、オレは強ぇ相手を探していた。
そんな折、細々と継承されている完全無欠の暗殺の剣が東洋にあると聞いた。それが時雨蒼燕流。
見つけたぜぇ、継承者と弟子の3人をな!!貴様と同じ八つの方を使いやがった!!
だが、所詮は
すると、まるで意識をモニターに意識を戻すタイミングを見計らったかのように、スクアーロさんが時雨蒼燕流を潰した時の話をした。
彼の言葉に嘘はなく、周りにいるみんなも、それが真実であることをひしひしと感じ取る。
「聞いてねーな。そんな話。」
「ん゛ん?」
不意に、得意げに言葉を口にするスクアーロさんに、武は言葉を返したのち、その場で静かに立ち上がり、口元に笑みを浮かべる。
切り裂かれた肩から血液が流れる中、彼はただ、真っ直ぐとスクアーロさんを見つめていた。
「オレの聞いた時雨蒼燕流は、完全無欠、最強無敵なんでね。やってみなきゃ、わかんねーだろ。」
堂々と告げた言葉は、時雨蒼燕流を変えることなく戦うことを宣言する言葉。
彼の瞳には、鋭く強さのある光が宿っていた。
沢田 奈月
目の前で友人がダメージを受け、それに反応するように拳を強く握りしめたところ、師であるDにより力を抜くように告げられ、同時に半憑依状態にされた貝の女王。
スクアーロとの初見戦闘時、実は骸からスキルを借りて使うべきか悩んでいたところがあり、長引くようであれば、骸の六道輪廻の力を借りるところだった。
山本 武
スクアーロの手により大ダメージを受けてしまった女王の雨の守護者。
スクアーロから告げられた言葉に対し、一時は焦りを見せたが、すぐに冷静さを取り戻し、時雨蒼燕流を使って勝つことを意識する。
S・スクアーロ
山本が使う剣術を見て、かつて自分が潰したものと同じものであることを見抜き、潰したことがある剣術であることを告げる憤怒の雨。
絶望することなく真っ直ぐと自身を見据えてくる山本に対する警戒は怠っていない。
ハルのハルハルインタビューや、犬のケンケンぱぁ〜、ルッスーリア3丁目、怪物使いツナのネタは・・・・・・
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骸「奈月ありで番外に書きましょうよ。」
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リ「別にいらねーんじゃねーか?」
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雲「どっちでもいい。」