最強の愛され系ボンゴレ♀は、今を全力で楽しみたい   作:時長凜祢@二次創作主力垢

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ハルとの和解

 不思議な声に導かれるままに、意識の集中と想いの昇華、力の解放を行った瞬間、先程まで重たかった三浦さんが嘘のように軽くなった。

 これならと川の中を、彼女を支えながら泳いでみれば、明らかにいつも以上の力を出すことができて、体力も予想以上に消費しなかった。

 あの声はなんだったんだろう。見えた炎と光はなんだったんだろう……そんな疑問を浮かべながらも、川岸へとたどり着けば、私のことを呼びながら、隼人が走り寄ってきた。

 

「10代目!!ご無事ですか!?」

 

「ん。問題ないよ。」

 

「ならよかったっス!あの……すみません。まさか10代目が前に飛び出すとは思わず……」

 

「ああ……まぁ、状況が状況だったから、今回は何も言わないよ。でも、これからは私が対処できるか否かをしっかり見極めてから行動を取ってほしいかな。」

 

「ス……気をつけます……。」

 

 隼人が反省する様子を見た私は、彼が持っていてくれたらしいスクールバッグからタオルを一枚取り出す。

 急な雨に降られた時とかに使えるようにといつも母さんが渡してくるんだよね。

 これがあってよかったよ。

 

「三浦さん。これ使って。」

 

「ありがとーございます……」

 

「って、10代目もびしょ濡れじゃないですか!!オレが着ていたもので申し訳ないですが……!!」

 

「ん……ありがとう。」

 

 三浦さんにタオルを渡していると、隼人から制服のシャツを羽織らされてしまう。

 別に問題なかったんだけど……と少しだけ思いながらも、ちょっとだけタバコの臭いが染み付いているそれに袖を通せば、目の前にリボーンがやってきた。

 

「女が羽織るだけにしてんじゃねー。見えてるぞ。」

 

「おっと、ごめんごめん。」

 

「あと、お前もびしょ濡れなんだから、ちゃんとタオルで拭かないと風邪ひくぞ。」

 

「はいはい……ってどっから今タオル出した?」

 

「企業秘密だ。」

 

 私の前にやってきたリボーンは、こちらが羽織っている隼人のシャツのボタンを素早く止めてきた。

 どうやら、シャツが濡れてしまったせいで、下着が透けて見えていたらしい。

 そのことに謝罪しながら、自分でもシャツのボタンを止める。この間、隼人がめちゃくちゃ顔を赤くして視線を逸らしていたのは、ちょっと見ものだったな。

 

「………あの、ナツさん。」

 

「ん?どうしたのかな、三浦さん。」

 

 ちょっとだけからかってみたかったな、なんて思いながら、リボーンから手渡されたタオルで髪を拭いていると、三浦さんが話しかけてきた。

 すぐに彼女の方に視線を向けてみれば、何やらその頬を紅潮させて、私のことを真っ直ぐと見据えている様子が窺えた。

 あれ?なんか女の子に顔を赤らめられたの2回目のような……?

 

「私を守ろうとしてくれてありがとうございます!さっきのナツさん、すっごくすっごく素敵で……!!

 さっきからずっと、こう、ムネがドキドキしちゃってます……!!」

 

「うん?」

 

 なんだか妙な流れになっているような気がして、思わず冷や汗を流す。昨日までこの子、リボーンにメロメロじゃなかったっけ?

 

「自分が溺れてしまうかもしれないって状態にも関わらず、放って置けるわけないだろとハルに言ってくれて、わずかずつでも必死に浅瀬まで行こうとしてくれて、最終的には岸辺まで支えて泳いでくれた……まるで物語の勇者や、御伽噺の王子様のようでした……!

 なんだかハルも、物語の勇者様や、御伽噺の王子様に手を差し伸べてもらえたヒロインやお姫様になったみたいで思い出すだけでもこう、胸がキューッとして、ドキドキが止まりません!!

 どうやらハルは、ナツさんに惚れてしまったみたいです!!」

 

「うん、ステイ。ステイだよ三浦さ……「三浦さんなんて他人行儀な呼び方しないでください!寂しいです!!」……えっと、ハル?」

 

「はい!」

 

「元気のいい返事だなおい……じゃなくてだね。私、女。ハルも女の子。惚れたと言われても、それに応えることはできないというか……」

 

「そんなの関係ないです!今、私は、ナツさんにぎゅーっとしてもらいたいんです!そのままハルを抱きしめて、どこか遠くに連れて行ってください、ナツさ〜〜〜ん!!」

 

「ちょ、ま、飛びつく……うわぁ!?」

 

「10代目ぇ!!?おい、コラ、アホ女!!10代目から離れろ!!」

 

「嫌です!!離れたくないです!!このままナツさんにぎゅーっとしてもらうんです〜〜〜〜!!」

 

 びゃっと勢いよく三浦さん……改め、ハルに飛びつかれてしまい、そのままステーンッと地面にすっ転ぶ。

 急なことに驚いた隼人が、ハルに怒鳴りながら離れろと言うが、ハル本人は私から離れるつもりがないのか、いやいやと隼人の要請を断っている。

 

「ナツさ〜〜ん!!ぎゅーっとしてくださ〜〜い!!」

 

「10代目!!こいつの言うことなんて聞く必要はないですからね!!むしろ突き飛ばして引き離してもいいですからね!?いや、むしろ突き飛ばしてください!!」

 

「………リボーン……助けて。」

 

「いいじゃねーか。マフィアのボスなら、愛人の1人や2人いても問題ねーぞ。」

 

「問題大有りだよ。同性同士なんだが?」

 

「人それぞれって奴だ。それに、マフィアの中には、普通に同性を愛人にする奴もいるしな。

 危険だからっつー理由から、女を愛せない奴なんて割とそこら中にいるぞ。」

 

「……そう言われてもめちゃくちゃ困る件。」

 

 一応、私の恋愛対象はノーマルなんで。

 つっても、私の上に乗っかってるハルは、何を言っても気にしなさそうな気がして、どうすればいいか途方に暮れる。

 抱きしめてあげた方がいいの?これ。

 

「ハル。とりあえず離れて。割と泳ぎ切るのに体力持ってかれたから、下手したら眠りそう。」

 

「はひ!?す、すみません!!そうですよね!?私ったらナツさんに助けられたことに感極まってそこまで気が回ってませんでした!!」

 

 どうしたらいいか思案した結果、とりあえずハルを離すことを選択する。

 実際は眠りそうな程疲れているわけじゃないけど、軽度の疲労状態にあるのには変わらない。

 まぁ、多分だけど、最初から不思議な程に力を出せる状態じゃなかったから、その分体力を持ってかれただけだろう。

 最初からあの状態なら、ここまで疲労状態にはなってなかったんじゃないかな……なんてことを考えながら、ハルが上から退くのを確認するなり、体を起き上がらせる。

 そして、地面に転がった拍子についた土や草を体から払い落として、座り込んでいるハルの頭を撫でる。

 

「ナ……ナナ、ナ、ナツしゃん……?」

 

「ま、ハルに何事もなくてよかったよ。でも、これからもう無茶なことはしないようにね。」

 

「は……はひ……もう無茶なことはしません………。」

 

「ん。それならいい。今回はまぁ、私だからよかったけど、君の行動はあまりにも無謀で、下手をしたら命すら落としかねない。

 もし、私じゃないマフィアや不良に出会して、今日みたいなことをしたりしたら、今度は間違いなく、ハルの命はないだろうし、命だけは助かったとしても、可愛らしくて健康な女の子ともなるとどのような目に遭わされてしまうかわからない。

 欲望の吐口として多くの連中の慰み者に無理矢理されてしまうかもしれないし、もしかしたら、人身売買にかけられてしまうかもしれない。

 だから、もう二度とこんなことはしないでよ。いつも助けてあげられるわけじゃないんだから。」

 

「ひぇ……」

 

「わかった?」

 

「わ、わかりました……!!もう二度とこんなことはしません!!ハル、約束します。」

 

「ん。よろしい。じゃあ、はい。」

 

「はひ?」

 

「ぎゅってしてほしいんでしょ。だったら、私の気が変わらないうちにおいで。」

 

 今回の無謀な行動に対する注意をし、もう無謀なことはしないと約束してもらえた私は、そのご褒美感覚で両手を広げる。

 一瞬固まったハルは、この意味を理解したのか、茹で蛸のように顔を真っ赤にしてあたふたし始めた。

 しかし、すぐに何かを決心したような表情を見せたのち、私の方にポスリと体を委ねる。

 すかさず優しく抱きしめて、その頭を撫でてあげれば、腕の中から彼女の口癖が聞こえてきた。

 

「ちゃんと約束してくれてありがとう。君がちゃんとそれを守ってくれる限りは、気が向いたらではあるけど、こうしてあげるから、心配してしまうようなことはしないでね。」

 

「はい……わかりました……。ナツさんとの約束はちゃんと守ります。

 だから、また、たまにはぎゅっとしてくださいね。」

 

「ん。いいよぉ。」

 

 少しだけ間伸びした声音で返事を返した私は、しばらくの間、ハルを抱きしめて頭を撫で続ける。

 でも、彼女が満足するまで抱きしめていたら、どっちも風邪をひいてしまいそうだと思ったため、ある程度の時間が経ったら、彼女の体をそっと離した。

 なんだか残念そうな様子をハルは見せたけど、それは見ないフリをして、静かにその場を立ち上がる。

 そして、未だに座り込んでいるハルに手を差し伸べて、小さく口元に笑みを浮かべた。

 

「さて、それじゃあ帰ろっか。いくら夏だからといって、このままびしょ濡れのままじゃ風邪をひく。

 途中まで帰る道は同じだったよね?家まで送るよ。」

 

「は……はひ〜〜〜〜〜〜!!」

 

「………ナツの奴、ちゃっかりしてやがる。」

 

「流石です、10代目〜〜〜!!」

 

 背後でリボーンと隼人がなんか話してるけど、とりあえず私は早く帰りたいので、こちらに伸ばされたハルの手を取り、そのままぐっと自身の方へと引っ張って起こす。

 その間もハルは顔を真っ赤にしたまま、あたふたしていて、ちょっとだけ面白かった。

 

 

 




 沢田 奈月
 なんとかハルと和解した最強の片鱗を見せた後の転生者な10代目。
 飄々としているようだったが、実はかなりハルを心配していた。
 ハルに惚れられてしまい、困惑気味。

 三浦 ハル
 奈月に助けられ、見事に惚れてしまった女の子。
 奈月から、怪しいからと無防備に突っ込んだ時、川に落ちるだけじゃ済まないことが起こる可能性を告げられ、無防備にも程があると咎められ、反省する。
 女同士は世間からどう思われるかわからないと奈月から言われるが、彼女の隣に、想い人として立つことを諦めるつもりはない。

 リボーン
 奈月の人たらし能力にちょっと呆れた家庭教師なヒットマン。
 帰ったら風呂に入れて、とりあえず死ぬ気モードの説明だな、と考えている。

 獄寺 隼人
 奈月からちょっと怒られてしまった最初のファミリー。
 新兵器について聞いて欲しかったが、タイミングを逃して聞いてもらえなかった。

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