最強の愛され系ボンゴレ♀は、今を全力で楽しみたい   作:時長凜祢@二次創作主力垢

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 雨の守護者同士の戦いを見届けた貝の女王は、翌日、彼女とプリーモファミリーのみが知る屋敷の近辺で過ごしていた。
 昨日の疲労がわずかに残る中、彼女の元にやってきたのは始まりの霧の青年だった。



貝の女王と始まりの霧

 Dさんに連れられ、昨夜のうちにわたしは、ジョットさん達とわたし達だけが知る屋敷の中で過ごしていた。

 この屋敷は、メテオライトさんの手により秘匿されている屋敷の一つで、わたしが、プリーモファミリーのみと過ごす時に使う場所となっている。

 

 メテオライトさんの名義で秘匿されている以上、管轄としてはメテオライトさんのものとなっているため、ボンゴレ側も手を出せない仕様となっており、沈黙の掟(オメルタ)による秘匿義務が生じてボンゴレ側にも教えることはできなくなってしまったのは仕方ないと言えるだろう。

 

「・・・・・・まさか、父さん達にも話せない場所ができるとはね。まぁ、父さんだってわたしがマフィアのことを知るまでずっと自分の立場なんかを黙っていたわけだし、そう考えれば、身内にも黙っていなくてはならないものがあるのも頷けるか。」

 

 ポツリと呟きながら、わたしは静かにバルコニーの壁へと目を向ける。

 そこでは蓮の花びらを連想させるカタチで描かれた9つの狐の尻尾と、その尻尾に包まれているように鎮座する三日月、そして、三日月に重なるようにしてひらりと舞い降りる鳥の羽が添えられた、不思議なカタチのエンブレムが静かに日光を反射している。

 

「・・・・・・幻月のアルコバレーノと呼ばれるメテオライトさんの管轄だから、月は納得できるけど、尻尾と羽はなんだろう?

 尻尾・・・・・・は、桜月を連想させるけど、羽だけがわからないな。」

 

 彼らに関係があるとしたら、神谷さんだが、彼に羽を思わせる何かはあっただろうか・・・・・・そんなことを思いながら、ぼうっとエンブレムを見つめていると、バルコニーの方へと誰かが足を運ぶ気配。

 すぐにそれがDさんのものであることに気がついたわたしは、視線をエンブレムから気配の方へと移動させた。

 

「おはようございます、ナツキ。気分はどうですか?」

 

 わたしが視線を自身に向けたのを確認したDさんが、穏やかな笑みを浮かべながら、ゆっくりとした足取りで近寄ってくる。

 彼の姿を見つめたわたしは、少しだけ目を閉じ、静かにバルコニーから見える広い湖へと視線を向ける。

 

「・・・・・・夜に比べたらマシになった。まぁ、だからと言って、落ち込んだ気分が完全に直ったとは言い難いけど。」

 

 素直に自身の気分を教え、湖の方を見つめていると、Dさんはわたしの隣にやってくる。

 切り替えができていないと怒られるだろうか・・・・・・そんなことを考えるが、その考えはすぐに杞憂に終わる。

 

「まぁ、あのような場面をお前は見てしまいましたからね。六道骸の記憶や、私から伝播した記憶により、人が死にゆく姿を見ているとはいえ、所詮は記憶の伝播に過ぎず、実際に見たことがあるかと言われたら、多く見ているわけではない。

 一般人からこちら側の世界へと足を踏み入れた人間・・・・・・ましてや、人を大切にすることを信条としている幼い少女の目には、なかなか辛く重いものでしょう。

 例え、()()()()()()()とわかっていても、目の前で命を切り捨てる行為を見せられたのだから、当然の感覚です。」

 

 静かに告げられた言葉に、わたしは少しだけ無言になった後、小さく口元に笑みを浮かべる。

 フッと空気を軽く吐き出すような笑い声が、自身の口から漏れ出した。

 

「・・・・・・怒らないんだ。てっきり、切り替えができていないって喝を入れられるかと思ったよ。」

 

「そうですね。これまでの私であれば、そのようなことを言っていたと思いますが、こうしてお前の側で過ごしているからですかね?

 少しくらいは、沢田奈月と言う幼子のペースに合わせてあげようと思ったまでですよ。」

 

「変なの。わたしに絆され過ぎだよ、Dさん(せんせー)。」

 

「ヌフフフ・・・・・・ええ、本当に。全く、末恐ろしい子どもですよ、お前は。」

 

 わたしの言葉を聞き、少しだけ困ったような、だけど、どことなく楽しげな様子を見せるDさん。

 骸と離れたことにより、自身の繋がりの強さを差し込んできているらしい彼の精神回路からは、呆れと心地よさを感じ取ることができた。

 

 Dさんから向けられる感情の大半は、甘さを帯びた毒のような、重さとかなりの湿度と、粘着を持ち合わせているものではあるが、時には子どもを見守り、危険なことから守ろうとする親や、大人としてのものを向けてくる時がある。

 基本的にそう言った感情は、わたしが精神的に疲れていたり、気分がよくない時に向けられるため、辛さを少なからず癒してくれる。

 なんともタチの悪いものである。いっそのこと、重たい感情だけを見せてくれた方がわたしとしても距離を取りやすいと言うのに、居心地の良さを感じてしまう子どもに寄り添う大人としての感情を向けられることがあるせいで、距離を取ろうにも取れないのだから。

 

 そんなことを考えながらも、生存しているサメのような剣士の姿を思い出す。

 Dさん曰く、XANXUSの秘密を知る人間の1人のため、いざと言う時の手札として保護しておくことを推奨され、必ず負けた方を保護できるようにとディーノさんに伝え、保護してもらったが・・・・・・。

 

「・・・・・わたしはまぁ、Dさんから教えられているからXANXUSさんの秘密や、ボスの資格を持ち合わせていないその理由を知っているけど、他の人には教えない方がいいんだっけ。」

 

 少しだけ考え込み、スクアーロさんと同じく、XANXUSさんの秘密を知っていることを思い出したわたしは、静かにDさんに問いかける。

 わたしの質問に、Dさんはわたしに視線を向け、小さく頷き返してきた。

 

「そうですね。教えたら向こう側にお前の力を見せつける場がなくなりますので、将来的に反乱など起こさせないようにするためにも、真っ向から否定できる場を少しでも長く維持する方がよろしいかと。

 なので、今回のこの舞台に水をさすことになるような真実は、今は明かさないまま温めておく方が得策です。

 折角用意された特別な舞台・・・・・・向こうに現実を思い知らせることができるこの機会を、利用しない手はないでしょう?」

 

 その視線に応えるように、Dさんの方へと視線を返せば、彼は静かに口を開く。

 XANXUSさんが持ち合わせている秘密・・・・・・その手札を切るのは早過ぎると。

 

「確かにお前は、能力が高く、人望にも厚く、ボスになるには十分なものを持ち合わせている状況ではありますが、同時に根本的な問題が存在しています。

 それが、中学生の少女であると言う性別と年齢の壁です。誰がXANXUSの復権を狙っているのか調べてみたのですが、どうやら穏健派であった9代目に対し、不満を持ち合わせていた過激派連中の年寄り共だったようで、穏健派である9代目が選んだだけでも反抗心が湧くと言うのに、選んだ存在が中学生の少女だったとなると・・・・・・どうなるかわかりますよね?」

 

「・・・・・・余計に反乱という暴走に拍車をかける・・・・・・ってことか。組み立ててみればなんとも単純なパズルだ。」

 

「その通り。単純明快な幼児の知育パズルです。」

 

 Dさんから告げられた今回の騒動の裏で動いていた闇に、やれやれと深く溜め息を吐く。

 どんな世界でも、古い考えから抜け出せない老人と呼ばれるものはいるもんなんだなと思いながら。

 

「8代目だって女性だったって話なのに、老害って奴らはホントに男尊女卑がお好きなようで。

 まぁ、世の中にはアップグレードが下手くそすぎて、アップグレードパッチに見放される人らもかなりいるし、こればかりは仕方ないのかもね。」

 

「ヌフフフ・・・・・・なかなかいい表現をするではありませんか、ナツキ。お前のおっしゃる通りです。

 今の世に、男より女は能力が劣るのだから下であると言う考えは古臭くて敵いません。

 なぜなら私の目の前には、男よりも遥かに高い能力を持ち合わせている女性がいるのですから。」

 

 Dさんの大きな手がわたしの頬へと静かに伸ばされ、そのまま添えられた手により上を軽く向かされる。

 先程まで絡み合っていなかった寒色の瞳の中に、琥珀を携えて向き合うわたしの姿が映り込む。

 

「だから、思い知らせてやりましょうね、私の女王陛下。今のボンゴレが跪くべき存在は誰であるのかを。」

 

「・・・・・・もはや女王陛下呼びに反論する気も起きないな。」

 

「それだけ自覚が生まれたと言うことですよ。最近のお前は、誰よりも素晴らしい女王の目をしておりますからね。」

 

 “自分で女王を認めるようになったでしょう?”、と聞いてくるDさんから、視線だけを静かに逸らす。

 確かに、今のわたしは自ら女王としての自分を認めるようになっていた。

 20年後のランボと顔を合わせることになったあの日から、“ボンゴレの女王”(クイーン・オブ・ボンゴレ)としての自分を、素直に受け入れ始めている。

 

「・・・・・・20年経った先の未来で、苦しんでいる彼を見てから、自覚が芽生えてきたのかもしれないね。」

 

「ええ。ですが、遅いなどと叱るつもりはありませんよ。それだけナツキが、自身の立場としっかり向き合うことを受け入れ、成長したと言うことですから。

 ・・・・・・まぁ、今はまだ、完全に受け入れることは難しいと思いますが、これが現実であり、お前が越えるべき試練です。

 ですが、完全なる継承が行われるまでは、私も幼い子どもとしてのナツキのことを認め、尊重するつもりでいます。

 継承が行われ、大人へと駆け上がるその時までは、私の教え子として、守るべき子どもとして、弱音を吐く場や、甘える場を用意してあげますから、しっかりと甘えられる時は甘えなさい。」

 

 頬に触れている大きな手の温もりと、緩やかに撫で付けてくる優しい親指。

 それらを感じ取るように、すり・・・・・・と軽く頬擦りをすると、少しだけ触れていた手が強張る感覚。

 しかし、すぐにその硬直はなくなり、触れられている頬とは反対の頬にも優しくて大きな手が添えられ、上を向かなくては見つめ返すことができない寒色の瞳の位置が一気に自身の視線と同じ位置へと降りてくる。

 追うようにして自身の視線を寒色に合わせてみれば、彼は穏やかな笑みを浮かべたまま、幼子の視線に自身の視線を合わせるようにしゃがみ込んでいた。

 

「・・・・・・だいぶ顔色が良くなっていますね。昨夜はかなり血の気が引いていて、ただでさえ白い肌がますます白くなっていたので、心配していたのですよ。」

 

「・・・・・・心配してくれてありがとう、Dさん。昨日、ハチミツ入りのホットミルクを用意して、そのまま話を聞いてくれたおかげだよ。」

 

「ヌフフフ・・・・・・少しでも役に立てたのであれば何よりです。」

 

 優しく笑うDさんの姿に、少しだけわたしは瞬きを繰り返す。

 そんな中視界に映る、前髪に隠れた彼の額。その一点を数秒見つめたわたしは、しゃがみ込んでくれたおかげで近くにある前髪を手のひらで上げたのち、そのまま唇を軽く触れさせた。

 わたしからキスをされるとは思わなかったのか、Dさんは目を見開いてその場で固まる。

 

「・・・・・・ん。昨日のお礼。そろそろ部屋に戻る。」

 

 そんなDさんに昨日のお礼だと言葉を返したわたしは、そっと彼の側を離れて、今いる屋敷に用意されている自身の部屋へと足を運んだ。

 しっかりと休みを取った後、今日やらないといけないことを済ませるために、準備をしないといけないために。

 

 ・・・・・・今日やらないといけないことを指折り数えながら、さっさと部屋へと向かったため、この時のわたしは気づかなかった。

 

 

 

 

 

「・・・・・・っ・・・・・・全く・・・・・・やり逃げは少しばかりずるいでしょう・・・・・・!!」

 

 

 

 

 

 バルコニーに置いてきたDさんが、顔を真っ赤にしてしゃがみ込んでしまっていることに。

 

 

 

 




 沢田 奈月
 メテオライトが持ち合わせている秘匿された屋敷で一夜を明かした貝の女王。
 憤怒の雨ことスクアーロが生存していることを知っているどころか、キャバッローネファミリーの手により保護できるように手回しをしていた。
 「自分の師匠からの伝言です。スクアーロさんは、XANXUSの秘密を知ってるから、必ず保護してください。」とお願いしたらしい。
 Dに自分に絆され過ぎだろと揶揄うような言葉をかけたが、彼女もまた、Dに絆されている自覚あり。
 その証拠に、お礼だと言って彼にキスをすることも厭わない程、彼には心を開いている。

 D・スペード
 奈月の容体を心配し、ボンゴレにもリボーンにもわからない場所にあり、メテオライトと奈月、そして、自分を含めたプリーモファミリーのみしか知らない屋敷の方へと彼女を連れてきた始まりの霧。
 奈月が争奪戦に向けて準備をする中、XANXUSが動き出すことになった原因を調べるなど、諜報面での活動を行なっていることがある。
 奈月に絆されている自覚はあり、今では師として厳しく接するのではなく、1人の幼子として、守るべき子どもとして、彼女のメンタルケアを務めることもある。
 もちろん、彼女に対する恋慕もあるが、争奪戦が行われているこの時期は、子どもを守る大人としての側面が強く出ている。
 ・・・・・・のだが、お礼だと言う理由で不意打ちのキスをされるとは思わず、顔を赤くして固まった。
 押し倒しすぞ小娘と若干思ってしまったのは言うまでもない。

ハルのハルハルインタビューや、犬のケンケンぱぁ〜、ルッスーリア3丁目、怪物使いツナのネタは・・・・・・

  • 骸「奈月ありで番外に書きましょうよ。」
  • リ「別にいらねーんじゃねーか?」
  • 雲「どっちでもいい。」
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