最強の愛され系ボンゴレ♀は、今を全力で楽しみたい   作:時長凜祢@二次創作主力垢

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 戦いの火蓋が切られた術士達の戦い。
 ぶつかり合う幻術は、広がる世界を飲み込み始める。



VS. 霧の守護者 Ⅰ

「うわ!?」

 

「ゆ、床が一気に崩れて!?」

 

「ぬおお!?極限にどうなっているのだあぁあああ!?」

 

 崩れゆく景色と足元に、隼人達が騒ぎ出す。まぁ、この場にいるメンバーのうち、わたしの守護者として選ばれた面子は、幻術なんてわたしと骸の姿が逆になっているくらいの幻覚しか見たことがなく、ここまで大規模なものは初見としか言えない。

 そう考えれば、この驚き方も頷ける。わたしは慣れてしまってるけど。

 

「やっぱり純粋な術士の幻術はかなり強力ですね。わずかな力だけでこれですから。」

 

「まぁ、それは仕方ねーと思うが、ナツの幻術も相当だぞ。確かに、骸程じゃねーが、幻術の展開速度、五感と精神の掌握速度、幻術のリアリティ、幻術に求められるクオリティ、その他諸々あるが、これらを完璧に発揮することができる才覚は骸達にも劣らずだろ。」

 

「でも、使用時の疲労はかなりのものですし、幻術を使う際の力の消耗も結構大きいですよ?」

 

「CHAOSだな。それを差し引いてもナツの術士としての能力は一流に近いって言ってんだ。

 一流からは多少離れてるが、負けてねーぞって話だぞ。」

 

「そこまで極められているとは思っていないのですが・・・・・・凪。少しあっちに行きますよ。」

 

「うん・・・。わかった、奈月・・・。」

 

 崩れゆく景色の中で見つけた幻覚の影響が低い場所を視界に入れたわたしは、すぐに凪を連れて、そちらへと向かい、戦いを観戦する。

 少しだけ呆れ気味な表情をしているリボーンから、話しかけられたが、わたしはそこまで極めてないと返しながら、凪に視線を向けた。

 

「凪。骸がマーモンと戦闘している間、キミにどんな影響が出るかわからないから少しだけわたしが凪に使われている力の主導権を一応、わたしに移しておくよ。

 骸なら、幻術を使い慣れてるし、問題はないと思うけど、やっぱりこの中で1番影響を受けやすいのは凪だし、1番危険なのも凪だからね。」

 

「うん・・・。骸様も・・・自分が争奪戦に出てる時は・・・奈月を頼りなさいって言ってた・・・。」

 

「だろうね。幻術をぶつけ合うなら、一部に分割しながら使っていくより、一点集中で使っていく方が強力になる。

 骸も、それをわかっているからわたしを頼れって言ったのかもね。」

 

 隼人達から何で平然としていられるんだと言わんばかりの眼差しを向けられる中、わたしは凪の内蔵を形成している骸の幻術の主導権を自分へと移行させる。

 骸の記憶を把握しているし、彼にもこっそりと作り方と幻術を使う際に発生する疲労感を如何に抑えるかのコツも教えてもらっている。

 Dさんからも幻術の使用時に必要な力加減を教えてもらっているため、これなら問題はなさそうだ。

 一瞬だけ、骸がわたしの方に視線を向けて、口元に笑みを浮かべる。その調子だと励ますように。

 

「術士であることはわかっていたけど、まさか、僕が小手調べされるとはね。

 そんなに気になるのであれば、見せてあげるよ。ボロボロに負かした後、きっちり見物料をふんだくってやるけどね!」

 

 不意に、マーモンが骸が口にした小手調べと言う言葉に反応した。すぐに視線をフィールドへと向けると、瓦礫の山を蹴り飛ばしながら、マーモンが骸に接近する。

 そして、かなりの近距離になったところで、マーモンは自身が身にまとうローブのしたから、明らかに殺生目的にしか見えない棘のある無数蔦のようなものを一気に骸の方へと伸ばした。

 骸はと言うと、その蔦を笑みを浮かべたまま見つめており、あえて真正面から受けて立つ。

 

「「「「骸!!?」」」」

 

 防御姿勢すら取ることなく受けて立った骸に、隼人、武、了平さん、ディーノさんが焦りの声を上げる。

 凪も少しだけ顔を青くしているが、わたしが平然としているのを見て彼の現状を把握したのか、すぐに落ち着きを取り戻した。

 

「ム!?」

 

 骸を一瞬にして覆った棘の蔦。しかし、マーモンは手応えがないことに気づいたのか、すぐに口元をキツく結び、怪訝そうな様子を見せる。

 

「クフフフ・・・・・・棘のある蔦ときましたか。まぁ、確かにそれらの強度を上げれば、容易く息の根を止められますからね。

 チョイスとしては納得できます。棘で貫くにせよ、蔦で絞め殺すにせよ、殺生能力はかなりのものですから。

 ですが、そのような子ども騙しを、僕がまともに喰らうとでも?」

 

 同時に聞こえてきた骸の声に、隼人達が驚いた様子で声の方へと視線を向ける。

 そこには、いつのまにかマーモンの背後にいる骸本人がおり、マーモンの蔦は壊れたコンテナが身代わりとなって受けていた。

 

「な!?骸がコンテナと入れ替わっているだと!?」

 

「それが幻術の効果ですよ。骸はすでにコンテナへと自身の幻影を重ねて離れた位置に移動しておりましたから。

 やりようによっては、自分自身に他人の幻影を重ね、その他人には入れ替えるように自身の幻影を被せることにより錯乱させることも、囮にすることも可能になります。

 隼人と武とリボーン、それと、恭弥さんはこのタイプの幻術に覚えがあるのでは?」

 

「「あ〜・・・・・・」」

 

「・・・・・・ナツと骸の姿が入れ替えられていた時のヤツだな。」

 

「かなり厄介だった記憶しかないな。」

 

 そりゃそうだ、と思わず漏らしそうになったがグッと堪え、静かにそれを肯定する。

 ・・・・・・この場で、自分は骸が憑依できる器であるなんてヴァリアーにバレたら厄介なことにしかならないからね。

 黙っておくのが吉である。

 

「それと同じことを骸はしていたのですよ。気づかれないうちに・・・ね。」

 

 “小手調べと称した瞬間、すでに二重の幻覚を使用していた”・・・と言うことに気づけている人間は、この場にほとんどいない。

 言うなれば、プリーモファミリーとわたし、それと、リボーンくらいだろう。

 マーモンも、骸の幻影に触れることができるまで、気づいている様子はなかった。

 まぁ、骸が背後に現れた時点でそれに気づけたと思うけど、やっぱり彼の幻術のステルス性はかなり高い。

 

「流石としか言えませんよ。そんな人に、幻術を教えてもらえていたのですから、わたしはかなり恵まれています。」

 

 “まぁ、主に教えてくれたのは、背後れ・・・コホンッ・・・Dさんなんだけど”と言う本音は少しだけ隠しながらも、骸へと視線を戻す。

 一瞬の思考を読み取ったらしい骸から、“僕は納得していませんからね?よりによって悪霊に吹き込まれるだなんて・・・”と言わんばかりの視線と自身のそれが合わさったため、さりげなく視線を逸らして誤魔化した。

 

「・・・・・・なるほど。僕に対して小手調べなんて言うだけあるね。高レベルの術士なのはありがたいよ。

 僕の索敵には引っかかってくれなかったけど、君レベルの術士がどこかに紛れていたのだとしたら、リボーンに強力な有幻覚をかけることで、その肉体を本来のものへと強化することができていたのも納得がいく。

 幻術を使うことで肉付けし、それを使いこなせるだけの筋肉と神経配列、骨格を再現する技術は並の術士では不可能なのに、難なくリボーンの脳すらも騙し、その肉体を行使させることを可能にするサポートを行えたんだからね。」

 

 ローブの下に、カラカラとトイレットペーパーらしきものを巻き取りながら、振り向くマーモン。

 そんなマーモンの姿を見て、骸は軽く肩をすくめた。

 

「別に、僕はアルコバレーノのサポートなどしているつもりはありませんが、褒め言葉として受け取らせていただきましょう。

 全くもって喜びなど感じることなどできませんし、不愉快でしかなりませんがね。

 奈月に褒められたのならばともかく、君達マフィア如きに褒められたところで、嬉しくないし、苛立ちしかありませんから。」

 

 サラッとこっちの名前出したなこの霧・・・・・・といつもの調子の骸に少しだけ呆れる。

 戦闘中であろうともこっちに感情のベクトルを向けられるって相当なんだけど。

 

「君達は口を開けばすぐに奈月が出てくるんだね。それだけ、彼女には何かしらの魅力があるってことかな。

 正直、僕からしたらかなり厄介でめんどくさいとしか言いようがないけどね。

 彼女に関して何かしら文句は言うつもりないし、その実力や考えに関しては認めている。

 でも、彼女のことになると、君達は余計な力を発揮してくれるから、それだけが本当に不愉快だよ。」

 

 吐き捨てるように告げられた不愉快と言う言葉と同時に、何かがバキンッと壊れる音が聞こえてきた。

 その瞬間、マーモンの足元には鎖が落下し、無機質な金属音を奏でる。

 その音と呼応するかのように、マーモンの頭に乗っていたファンタズマと呼ばれていたカエルのような生き物から黒い膜が剥がれ落ち、瞬く間に蛇のような姿へと変形した。

 

「とは言え、僕自身が持ち合わせているこの力を慣らすのにはちょうどいい相手だ。そこはしっかりと褒めてあげるよ。

 僕が持つこの力は、定期的に使用しないとめんどくさい代物でね。」

 

 “それじゃあ行こうか、ファンタズマ”・・・・・・とマーモンが小さく呟くと、その体はふわふわと宙に浮かび上がった。

 同時に、コロネロが首から下げているおしゃぶりと、夜だけ使える呪解状態への移行により一時的に外れていたリボーンのおしゃぶりが眩いばかりの輝きを放つ。

 

「・・・・・・まぁ、気づいていたことだが、バイパーなんだよな。」

 

「リボーン。お前、おしゃぶりが外れていたのか、コラ。」

 

「ああ。日中は確かに有幻覚の力を借りているが、夜は新月と三日月の日以外は一時的に呪解できるようになったんでな。

 その間、オレの首にあるおしゃぶりは外れてんだ。だからズボンの中に突っ込んでた。」

 

 いつもの調子で言葉を交わしているリボーンとコロネロの側にすぐに移動したわたしは、リボーンへと視線を向ける。

 

「マーモンがアルコバレーノであることはリボーンの発言からもわかっていましたし、マーモンもまた、何かしら秀でた力があることも察することはできます。

 ですが、詳しいことまでは把握していませんし、何より、隼人達は特にわからないと思います。

 藍色のおしゃぶりを持つアルコバレーノ・マーモン・・・・・・あの子は、一体どのような力を見染められてアルコバレーノになったのですか?幻術が使えると言うことはわかりますが・・・・・・」

 

 そして、マーモンとはどのようなアルコバレーノなのかを彼に問いかけた。

 

「マーモン・・・・・・本来の名はバイパーって言うんだが、誰よりも強力なサイキック能力を持ち合わせていてな。」

 

「そのサイキック能力によって繰り出される幻術は、トップクラスだぜ、コラ!」

 

 リボーンとコロネロは、すぐにマーモンと言うアルコバレーノが目をつけられるきっかけとなった理由を教えてくれた。

 まさか、SFとファンタジーが混ざってる世界に、さらにエスパー要素が加わることになるとは・・・・・・。

 にしても、サイキック能力・・・・・・超能力か・・・・・・。幼馴染みが見せてくれた某日曜日が名前に使われている漫画雑誌にそんな内容の漫画があったな。

 確か、サイコキネシス、テレポーテーション、サイコメトリーの三つの能力をそれぞれ宿す3人の女の子達が色んな人と戦ったり、訪れる可能性がある争いと裏切りの未来をどうやって変えていくかの話だったっけ。

 それで、サイコキネシス、テレポーテーション、サイコメトリー以外にも、パイロキネシスとかテレパシーとか、クレヤボヤンスとか、予知のプレコグ?とか、催眠のヒュプノ?とか、そんな能力の名前があった気がする。

 ヒュプノ・・・・・・ってヤツは、確か、幻覚を見せることが可能で、精神的に相手が自分に屈服したら、さらに強力な催眠をかけることができるとかって話のはず・・・・・・となると、マーモンのそれはヒュプノに分類する力なのだろうか?

 

「・・・・・・サイキックの中で幻術の使用に長けている能力としたら、催眠能力とか・・・・・・ああ、でも、体を浮かせることができるのであれば、サイキック能力の代表格であるサイコキネシスを・・・・・・?

 ・・・・・・いや、でも、サイコキネシスって幻術よりは攻撃寄りの能力ですし、幻覚を見せるとなると、やはり催眠能力なのでしょうか・・・・・・。」

 

「・・・・・・CHAOSだな。」

 

「お前、なんでオカルトに興味なさげなくせに、そう言う話に詳しいんだ、コラ。」

 

「・・・・・・ってやっぱサイキックって超能力のことっスよね!?そんな、非科学的な・・・・・・!!」

 

 考え込みながら、マーモンが使うサイキック能力はなんなのか思案していると、リボーンとコロネロから呆れたようなツッコミをされた。

 同時に話を聞いていた隼人は、おっかなびっくりと言わんばかりに顔を青くしてマーモンを見る。

 ・・・・・・幽霊でもないのに、何で顔を青くしてんだろこの子。

 

「対して呪いを解く努力などすることなく、のうのうと過ごしていた君が、どうして呪いを解くための努力を惜しまず探し続けていた僕よりさきにヒントを得ているのか未だに疑問だよ、リボーン。

 まぁ、いいさ。この話は、そっちをボロボロの雑巾にした後にでも吐かせればいいからね・・・・・・!」

 

 確かな怒りを乗せた声音で言葉を紡ぐマーモンに、リボーンは軽く目を細める。

 しかし、すぐに肩をすくめては、勝手に言ってろと言わんばかりの表情をマーモンに返した。

 

「アルコバレーノ同士の諍いなど知りませんが、こちら側には僕がいることをお忘れなく。」

 

「!?ムギャッ!!」

 

 不意に、骸が静かに動き、一瞬の修羅道の発動による身体能力の向上を利用し、マーモンとの距離を音もなく詰める。

 同時に彼はマーモンめがけて槍を振り下ろし、マーモンはその攻撃をすぐに躱した。

 しかし、その回避はすぐに無意味なものとされる。無数の毒ヘビに絡みつかれたために。

 

「ム・・・グゥ・・・・・・!!こいつ・・・・・・幻覚じゃないな・・・・・・!?」

 

「クフフフ・・・・・・ええ。正真正銘の毒ヘビです。インランドタイパンってご存知ですか?」

 

「笑顔で名前を言っていいヘビじゃないですよそれ。何サラッと毒ヘビの中でかなりの強毒持ちを召喚しているのですか骸。」

 

「おや・・・・・・奈月はご存知でしたか。」

 

「当たり前でしょう・・・・・・。」

 

 “骸の記憶から読み取ってるんだから”と軽く呆れながらも、なんつー毒ヘビを召喚しているんだこの人はと溜め息を吐く。

 インランドタイパンは毒ヘビの中でも毒性が強く、一噛みだけで100人殺せると噂されている猛毒のヘビだ。

 そんなものを召喚してどうするんだとツッコミを入れたくなる。とんでもないのを呼ぶんじゃない。

 

「さて、君のアルコバレーノとしての力とやらを見せていただきましょうか。ほら、急がなくてはガブリと行かれてしまいますよ?」

 

 そんな私を知ってか知らずか、骸はわたしに小さく笑いかけたあと、不敵な笑みを浮かべながらマーモンへと話しかける。

 霧同士の戦いは、なかなか酷いものになりそうだ。・・・・・・色んな意味で。

 

 




 沢田 奈月
 骸が畜生道により召喚した毒ヘビの正体にドン引きしてしまった貝の女王。
 一体どっからそのスキルは害のある生き物を引っ張って来るんだ。

 六道 骸
 ボロボロに負かすと宣言するマーモンの言葉に対し、奈月のために動いている僕がマフィア如きに負けるとでも?と呆れている女王の霧。
 幻術だけしか使ってはならないと言われてないので、別に毒ヘビを呼び寄せても問題はないでしょう?

 リボーン
 マーモンから苛立ちをぶつけられたがどこ吹く風な最強のヒットマン。
 たまたまこっちにヒントが転がっていただけだが?

 女王陣営
 初めての幻術の応酬にかなり驚いている。

 マーモン
 小手調べと言われて苛立っていたが、そのような口を堂々と叩ける実力であるとすぐに把握した憤怒の霧たるアルコバレーノ。
 今日も君は呪いが解けているのか・・・・・・なんでお前なんかが・・・・・・!!

 ヴァリアー陣営
 マーモン相手に小手調べって、相変わらず奈月の部下は奈月ってワードで能力値がおかしくなるな・・・・・・。

ハルのハルハルインタビューや、犬のケンケンぱぁ〜、ルッスーリア3丁目、怪物使いツナのネタは・・・・・・

  • 骸「奈月ありで番外に書きましょうよ。」
  • リ「別にいらねーんじゃねーか?」
  • 雲「どっちでもいい。」
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