最強の愛され系ボンゴレ♀は、今を全力で楽しみたい 作:時長凜祢@二次創作主力垢
ハルから衝撃的告白を受けながらも、彼女を帰宅途中に通りかかる三浦家へと送り、そのまま真っ直ぐと帰宅した私は、びしょ濡れになっていたことに関して聞いてきた母さんをのらりくらりと適当な理由で言い包め、さっさと風呂で体を温めた。
そして、髪を拭きながら自室へと戻ったところ、リボーンから名前を呼ばれて、少し話がしたいと言われた。
「話って?」
「ああ。さっきのお前の状態についての説明みたいなもんだ。あとは、まぁ、ちと聞きてーことがあってな。」
「?」
いつになく真剣な様子を見せているリボーンの様子に首を傾げながら、長い髪を拭く。
とりあえずベッドの上に座ってみれば、話をするためか、リボーンが私の勉強机に備え付けられているセットの椅子を目の前まで運んできて、ぴょんとその上に飛び乗った。
「まず、今日、ナツがなっていたのは死ぬ気モードって奴だ。まぁ、平然とコントロールして、能力を調節している状態だったからな。
ナツの場合は死ぬ気モードと言うよりは、超死ぬ気モードと表現した方がいいかもしれないな。」
「超死ぬ気モード……」
復唱するように小さく呟けば、リボーンは一回頷きを返してくる。そして、死ぬ気モードとはどう言った状態であるかを説明してくれた。
「死ぬ気って言うのは、体中の安全装置をとっぱらった状態なんだ。ギリギリまで命を削るかわりに、すごい力を発揮することができるんだぞ。
簡単に言やぁ、ナツの中にある潜在能力を、安全装置をとっぱらって発現させた状態と思ってくれたらいい。
で、だ。本来、死ぬ気モードって奴は、死ぬ気弾、または死ぬ気丸を使用することにより、発現させるものなんだぞ。」
「死ぬ気弾、または死ぬ気丸?」
「ああ。死ぬ気弾ってのはオレが持ち合わせているこの特殊弾だ。これで脳天を撃たれた者は、一度死んでから死ぬ気になって生き返る。ただし、死ぬ気になるにはもう一つ条件があってな。」
「条件……」
「ああ。それは、撃たれた際にこうすればよかったと言う後悔を残すことだ。この後悔が生き返る道標となり、後悔したこと、後悔した内容を全うするために生き返るって奴だな。」
「なるほど。で、もし後悔がなかったらどうなるの?」
「オレの本職を思い出してみろ。」
「……本当に死ぬってことか。」
「そうだぞ。」
淡々と説明するリボーンに、少しだけ寒気を覚える。わかっていたことだけど、本当にリボーンは殺し屋なんだな。
基本的に自由に日常を謳歌しているから、危うく忘れてしまうところだったよ。
「じゃあ、もう一つの死ぬ気丸ってのは?」
「特殊な丸薬でな。それを飲むことで、死ぬ気弾を撃たれた時のように、死ぬ気モードになることができる。
だが、丸薬は特殊弾に比べると、死ぬ気度が若干落ちるぞ。ハイリスクな方が、死ぬ気度が高いところだな。」
リボーンから丁寧な説明を聞き、死ぬ気や特殊な道具の話を聞く。うん、やっぱりこの世界、随分と科学が進歩しているみたいだな。
前世の世界じゃ、まずあり得ないものがポンポン出てくる。繰り返している日常は、あんまり変わりないになぁ……。
「だが、ナツは死ぬ気弾も使わなければ、死ぬ気丸も使わないで自ら死ぬ気モードを発現させた……正直言ってかなり驚いている。
確かに、修行すれば自ら死ぬ気モードを発現させることができることはある。
だが、ナツは対して修行とかすることなく死ぬ気モードを発現させ、自身の潜在能力を解放し、ハルを助けて見せた……」
“お前、あの時何があったんだ?”と質問され、私は無言になる。最初のうちはハルの鎧が重くて進む距離もそこまで伸びなかったのに、不思議な琥珀色と、オレンジ色の暖かい炎を見たあと、聞こえてきた穏やかな声を聞き、その声に言われた通りの行動をしたら、急にハルが軽くなって、声を聞く前以上の速さで川岸まで移動することができた……そう言って、リボーンが信じてくれるかどうか……。
いや、信じてくれないだろうと思って黙っておくのも良くないか。
信じ難い話ではあるけど、これは全部事実だし、それに、死ぬ気弾や死ぬ気丸、果てには10年バズーカなんてものも存在している世界だ。
こんなことが起こっていても、なんら不思議ではないだろう。
そう思って、私はハルを助けた際に、自分の身に起こったことをリボーンに説明する。
不思議な声を聞いたこと。琥珀色の光を見たこと。オレンジ色の炎が一瞬見えたこと。その声に従うように行動を取ったら、死ぬ気モードに至ることができたこと……その全てを。
私の話を聞いて、最初はリボーンも驚いたような様子を見せていたが、こちらが事実しか話していないことを理解したのか、無言で話を聞いてくれた。
「……なるほどな。その声に導かれるままに、死ぬ気モードを発現させたのか。少しばかり信じ難い話ではあるが、世の中何が起こるかわからねーからな。
未確認なだけであり、何かに誘導されるカタチで力を身につけることができる可能性もあるかもな。」
信じ難くはあるが、確認できていないだけであり、何かに導かれて力を身につける可能性はある……そう言って、納得してくれたリボーンの様子に、少しだけ安堵する。
よかった、頭がおかしくなったと思われなくて。多分、そう思われたら泣く自信あったし。
「その声は、どんな声だったんだ?」
「どんな声だったか……?なんと言うか、とても穏やかで、だけど芯があって、すごく優しそうで、まるで、我が子に話しかけるかのような、そんな雰囲気のある男性の声だったよ。
でも、明らかに父さんとは違う声だった。父さんの声、あそこまでかっこよくて若い感じの声じゃないし。」
「……家光がサラッと貶されたことに驚いたぞ。」
「何年も妻や我が子の前に姿を見せない父親に、配慮する必要性がわからないかな。
私の学費や、この家の家賃を払ってくれてるのは理解してるし、感謝はしてるけど、私としては、たまには顔を出してほしいし、家族水入らずで外食とかもしたいから。
だから知らないよ。そんな人に配慮する理由なんてね。……まぁ、私の予想が正しければ、滅多に顔を出せない理由には見当がつくけどさ……。
それでも、過去に寂しげにしてる時の母さんを何度か見てるから、ちゃんと生存報告くらいはしてほしいよ。」
「……なるほどな。まぁ、いずれ家光も帰ってくることになると思うぞ。いつになるかはわからねーけどな。」
「……それって、マフィア関係で大きなことが起こる可能性があるってこと?」
「なんとなくだかな。だが、まぁ、たまには手紙くらい出してやれって家光には言っておいてやる。顔を出すことができなくとも、それだけで安心することもあるだろうしな。」
たまには手紙を出すように言っておくと言ってくれたリボーンに、お願いするよと一言告げる。
それを聞いたリボーンは、小さく頷いたのち、ベッドに座る私の肩へと飛び移り、小さな手で優しく頭を撫でてきた。
まさか、頭を撫でられるとは思わず、一瞬だけ目を丸くする。でも、すぐに無言でその行為を受け入れて、足をぶらぶらと軽く揺らした。
「リボーンって、意外と優しいよね。」
「オレは女には優しくする主義なんだ。必要なことは厳しく教えるが、大体はこんなもんだぞ。」
“男だったら容赦することはあまりねーがな”と小さく紡がれた言葉に、少しだけ笑い声を漏らす。
同時に、もし男だったらいろいろとビシバシ教えられそうだと苦笑いをこぼしそうになった。
でも、それはなんとか堪えて、撫で終わるのを大人しく待つ。
「……私に話しかけてきたの、誰だったんだろう?」
「さぁな。」
「また、声が聞こえるかな……。」
「聞こえるんじゃねーか?もしかしたら、また何かしらアドバイスをもらうことがあるかもな。」
「アドバイスか……。」
「ああ、どんなアドバイスかはわからねーけどな。」
ポツリポツリと会話しながら、私は静かに目を閉じる。
いつか、私に話しかけてきたあの人と話すことができたらいいな。
もし、話すことができたなら、今日のことに関してお礼を伝えたいよ。
沢田 奈月
不思議な声のおかげで助かったため、その声の持ち主に感謝を伝えたい転生者な10代目。
実はちょっと寂しがりやなため、戻らない父親に少し不満を持っていた。
リボーン
奈月の話を信じた家庭教師なヒットマン。
意外にも寂しがりやな部分があることを知ったため、彼女の父親である家光に、たまには手紙くらい送ってやれ。寂しがってるぞと後日家光に連絡を入れた。