最強の愛され系ボンゴレ♀は、今を全力で楽しみたい   作:時長凜祢@二次創作主力垢

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 とうとう狙ったシナリオを動かした憤怒の王に、貝の女王は自身のシナリオをぶつけるために牙を向ける。
 自身に愛情を返してくれる大切な人々を守るために。



XANXUSの企み

 倉庫の外へと追い出したモスカと、わたしは静かに対峙する。

 狭いフィールドから広いフィールドへと移動したことにより、向こうの攻撃は遥かにさばきやすくなった。

 

 しかし、モスカの攻撃はなかなかに苛烈で、ミサイルやガトリングは当たり前。

 さらには明らかにレーザーのような機械らしい攻撃まで行ってくる。

 

 わたしが表で戦い始めた上、モスカの狙いが完全にこちらへと向けられるようになったことにより、安全がほとんど確立しているリボーン達は、すぐにこちらの様子を見るためか、倉庫の外へと姿を現した。

 その際、モスカがレーザーを放ち、隼人が何やら騒いでいたが、今は気にすることじゃない。

 

 そんなことを思いながら、わたしは視線をXANXUSさんに向ける。

 

「ぶはーはっは!!こいつは大惨事だな!!女王様の城をぶっ壊したことで責任でも問われるかねぇ!!」

 

 ・・・・・・一瞬だけ・・・・・・本当に一瞬だけだが、事故を装って消してやろうかと言う殺意が湧く。

 しかし、すぐにわたしはそれを堪えて、暴走するモスカに視線を向けた。

 向こうに今何かしたところで、9代目の影だった過激派老害の息がかかっている可能性を捨てきれないチェルベッロもいる以上、難癖付けられるかもしれないと言う警戒を緩めるわけにはいかない。

 

 そんなことを思っていると、自身の方にガトリングが付いている腕を向けてくるモスカの姿が視界に入り込んだ。

 

「その物騒なものを向けないでもらえます?邪魔でしかありません。」

 

 それを見てわたしはすぐにモスカとの距離を詰め、向けられたガトリングの腕を切り落とす。

 すかさずもう片方を向けられそうになったが、それもすぐに破壊して、アイセンサーを蹴り一発で破壊した。

 

 他に邪魔なものと言えば、レーザーの放射口とミサイルの発射口。しかし、それら全てを壊すとなると、出てくるものはかなりえぐいことになってしまう。

 流石にそんな物を凪達に見せるわけにもいかないし、どうやって見た目の酷さをある程度抑えるべきか・・・・・・。

 

 そう考えていると両腕を破壊されたはずのモスカがすぐに動き、レーザーを放とうとする様子を見せる。

 流石にそれを近距離で撃たれると言うのはわたしも堪えるため、手にしていた鎌を容赦なく振り上げた。

 モスカの構造は、Dさんが持って帰ってくれた情報から把握することができている。

 どこをどれくらい傷つければ爆発をしないとか、中の人を傷つけなくて済むのかなども、超直感を駆使することでわかっている。

 

 ここをこうしたら最善だ。ここでこれを繰り出せば、相手の裏を描くことができる・・・・・・いくつもある可能性、いくつも存在している確率、目を光らせておくべき存在の行動パターンの危険度などを知ることができる遺伝したこの力は、本当に、先を見据えるのに特化している能力だ。

 オマケに、ある程度対峙した対象をある程度分析しておけば、その人がどのような人であり、どのような行動を取りかねないかを把握することができるのだから、ある種の予知能力にも思えてしまう。

 本質を見抜く。分析した結果から可能性を割り出す。分析できた事象から、危険度を割り出して先手を打てる。

 本当に、超直感と言う力はなんなのか・・・・・・。

 

 少しだけ頭が痛くなると思いながらも、振り上げた大鎌は、容赦なくモスカの鉄鎧を切り裂いた。

 大空の死ぬ気の炎を灯しているせいか、目の前にあるのは鉄塊のはずだと言うのに、パンや豆腐でも切り裂いたのかと思ってしまう程の感触だった。

 

 わたしの大鎌による振り上げをまともに食らったモスカは、その場で機能を停止する。

 ズシンと地面に音を立て、沈黙したまま崩れ落ちた。同時に真ん中にある一閃により、中の構造が見える状態になったモスカから、ドサリと人影が躍り出る。

 それは、身体中を拘束具により縛られている老人で、その姿は・・・・・・

 

「き、9代目!?」

 

 ボンゴレファミリーの9代目のボスであるティモッティオさんの姿だった。

 モスカの中から転げ落ちるように出てきた9代目の姿に、バジル君が驚いたように声を上げる。

 骸とリボーン、それと、プリーモファミリー以外のメンバーも、焦りを浮かべ、顔を蒼白に染め上げた。

 その姿を見ながら、リボーンへと視線を向ければ、彼は小さく頷いた後、持ち込んでいた救急箱を片手にこちらへとやってくる。

 

「・・・・・・これ程までとはな。話には聞いていたが。

 

 わたしの元に近寄ってきたリボーンは、目の前にいる9代目に視線を向け、小さく感心するように呟いたのち、静かに目の前にいる9代目に触れる。

 霧の炎が灯されている、“灯火宿しの器”(フランム・リュミエール)がはめられている方の手で。

 

「おい、しっかりしろ9代目!」

 

 “灯火宿しの器”(フランム・リュミエール)に灯る藍色の炎が一瞬だけ瞬くと同時に、リボーンはすぐに9代目に声をかける。

 しかし、軽く揺らしたところで、目の前にある9代目の体は胸元から赤を流し、言葉を発することはなく、沈黙だけが広がった。

 まぁ、そもそもが、この9代目は、言葉を話すことなど全くないのだが。

 

「・・・・・・完全に意識不明の状態か。チッ・・・・・・嫌な予感があるとは思ったが、XANXUSの奴、最初からこうするつもりだったってことか。」

 

 軽く表情を歪めながら、静かに言葉を紡ぐリボーン。しかし、流石はヒットマンと言うべきか、それは見事なまでの演技だった。

 その姿を少しだけ見つめたわたしは、XANXUSさんへと視線を向けた。

 

「これは・・・・・・どう言うことですか?」

 

「あ?どう言うことだ、じゃねーだろ。てめーが9代目を手にかけたんだ。」

 

 静かな問いかけに、XANXUSさんはすぐに答える。

 表情は蔑みを帯びており、それが現実だと突きつけるように。

 ようやく向こうの尻尾が見えたと考える。元からXANXUSさんは、わたしに9代目を殺害させ、その流れで自身が有利な舞台へと運ぶつもりだったのだろう。

 そうすれば、邪魔だと思っていた9代目を消すことができる上、9代目に手をかけたとしてこちらに手を出すことも可能になる。

 だが、それはシナリオ通りに進ませることができればの話になる。

 

 向こうはまだ気づいていない。自分自身が破滅の舞台に上げられていることに。

 こちらの掌の上で踊らされていることに。

 

「誰だ?じしぃを容赦なくぶった斬ったのは。」

 

「・・・・・・まぁ、確かにわたしですね。それは否定しません。」

 

「ハッ・・・・・・潔く認めるとはな。」

 

「だって見ての通りですから。」

 

 とは言え、目の前にいる9代目が本物であるとも限らないのだが、きっと、それは向こうは気づいていないのだろう。

 騙されているのはどちらの方であるのかを。

 

 ─────・・・・・・て言うか、この人は気にならないのだろうか。9代目が全く話していないことに。死んだと思っているのか?

 

 実際は死んでいないし、彼のシナリオの要となるはずの9代目は、この場にはいないと言うのに。

 

「潔く認めたことは褒めてやる。だが、それならてめーは理解してるだろ?自分が手にかけた人間は、ボンゴレのボスであると同時に、オレの親であることを。」

 

 “血の繋がりを持たない義理の親・・・・・・ってことも知ってるけどね”・・・・・・と内心で思いながら、XANXUSさんを無言で見つめる。

 焦りも何も抱いていない・・・・・・流石にXANXUSさんもそれに違和感を抱いたのか、一瞬だけ訝しげな表情を見せた。

 しかし、それはすぐになくなり、彼は真っ直ぐとわたしの姿を見据える。

 

「よくもオレの親を殺してくれたな。9代目への卑劣な仕打ちは、実子であるXANXUSへの、そして、崇高なるボンゴレの精神に対する挑戦と受け取った。

 胸元にある裂傷が動かぬ証拠だ。ボス殺しの前には、リング争奪戦など無意味。

 オレは、ボスである我が父のため。そして、ボンゴレの未来のために、貴様を殺し、仇を討つ。」

 

 静かに紡がれた言葉に、隼人達がざわめく中、不意に、リボーンが自身のポケットに入れていたのであろう携帯電話を取り出し、わたしの影に隠れながら、それを見つめる。

 

「・・・・・・ナツ。準備が整ったみてーだぞ。お前のシナリオをぶつける時だ。」

 

 その言葉を聞き、わたしはしばらく無言になったあと、小さく笑い声を漏らす。

 

「ああ・・・・・・ようやく準備が整いましたか。長引かせると言うのも、なかなかめんどくさいものですね。

 それにしても、このお人形、本当に長持ちしましたね。神谷さんには感謝しなくては。」

 

「・・・・・・・・・何だと?」

 

 このお人形という言葉に、XANXUSさんが驚いたように言葉を紡ぐ。

 その姿を見て、わたしは口元に笑みを浮かべながら、真っ直ぐと視線を返した。

 

「シナリオが丸わかりなヒューマンドラマなどつまらないだけですよ、XANXUS。喜劇にも悲劇にもなり得ない、ただの棒読みの三文芝居に何の面白みがあるのでしょうか?

 あなたは全く気づいていない。どちらが窮地に立たされているのかを把握しきれていないのですよ。」

 

 そこまで言葉を紡いだわたしは、視線を9代目の姿をしたお人形へと視線を向ける。

 わたしの目には、すでに人形の姿は映らない。弱々しく揺らぐ、藍色とオレンジの炎だけが、視界の中に入り込んでいた。

 

「・・・・・・何が言いたい?」

 

「おやおや・・・・・・本当にわかっていないのですね。さっきから言ってるでしょう?三文芝居はつまらないと。なんなら、もっとハッキリと聞いてあげましょうか?

 ・・・・・・いつまでわたしは、あなたが描いた出来損ないのお人形劇を鑑賞し続ければよろしいのですか?」

 

「!?」

 

 リボーンが人形から離れたことを確認すると同時に、わたしは手にしていた大鎌を勢いよく振り上げ、側にあった人形を勢いよく切り捨てる。

 バキンッと言う鋭い音と共に、破壊されたのは一つのアクセサリー。

 “灯火宿しの器”(フランム・リュミエール)と同じ性質を持ち合わせている中で、神谷さんが特別に作り上げてくれていた、複数の炎を同時に宿すことができたガラスの器が仕込まれていたペンダントだった。

 

「何が・・・・・・起こって・・・・・・!?」

 

 ペンダントが破壊されると同時に霧散するように消えた9代目の姿をしていた幻覚人形に、XANXUSさんが混乱したように言葉を紡ぐ。

 その姿を見つめながら、わたしは静かに口を開く。

 

「おそらく、あなたのシナリオであれば、ボスである自分自身の父親を、事故とはいえ私が殺害したとして、仇討ちと称し打破するつもりだったのでしょう。

 ええ。ボス殺しは間違いなく犯罪ですからね。その息子ともなれば、その話を持ち出すことにより大義名分を得ることができました。

 ボスであり、自身の父親である人間を殺害した。沢田家光が選んだボス候補が目の前で父親を殺して組織に叛逆したのだから、自分がその仇討ちとして手を出して殺したところで何の問題もありませんから。

 まさしく完璧なシナリオ!あなたは、ボスである9代目を殺した叛逆者を打倒した英雄として、ボンゴレファミリーに崇め祀られ、ボスとしての一本道を走り抜けることができたでしょう!」

 

 口元に笑みを浮かべながら、XANXUSさんが強行しようとしていたシナリオを口にすれば、彼は目を見開いて固まる。

 しかし、すぐに何かに気付いては、わたしの背後の方へと視線を向けた。

 

「ですが、そのシナリオが最初から破綻するようなことになったら?そのシナリオが見抜かれ、すでに対策を打たれていたとしたら?

 イタリアにいるから問題ない?対応すべき存在は、日本に住んでるから問題ない?そのようなことを考えていたのだとしたら、その考えは甘いとしか言いようがありませんよ。」

 

 近づいてくる気配を感じ取りながら、静かに言葉を紡いでいく。

 背後から驚いたような声が聞こえる。ディーノさんとバジル君、そして、ラウルさんの戸惑いの声も聞こえてくる。

 

「こう見えて私、いろんなところに先手を取ることができる特別な知り合いがおりましてね。

 まぁ、少々仕事を押し付け過ぎたような気もしますが、彼は彼で楽しそうな様子でしたし、何より、彼はあなたがボスとして名を馳せることを許さなかった。

 その人は、私がボスになることを望んでいました。私が女王として君臨することができるのであれば、どのような手を使ってでも、私の指示を遂行してしまう程に。

 知ってます?実はその人、下手したらあなた方全体を闇討ちにすることも企んでいたのですよ?

 止める身にもなってほしいものですよね。闇討ちなんてことはしないで、()()()()()()()()()()()()()()の話だと言うのに。

 まぁ、闇討ちに比べたら遠回り過ぎるかもしれませんが、確実に陥れて心を折るにはちょうどいい方法でしょう?」

 

 ゆっくりとこちらに近寄ってくる複数の気配に、XANXUSさんが言葉を失う。

 その表情には焦りが浮かび上がっており、彼の側にいたベルも、「ゲッ・・・・・・」と小さく言葉を紡いで顔を青くした。

 

「まぁ、中学生の小娘如きがこのような手を打てるだなんて思いもよりませんしね。リスクは無に等しかったのかもしれません。

 ですが、残念ながら私は、あなたが思っているような中学生の小娘ではないのですよ。

 人望と手札に関しては、あなた方よりも持ち合わせているものですから。

 つまり、あなた方にとっては本当の意味でのイレギュラーだったのですよ。私と言う存在はね。」

 

 そこまで言葉を口にしたわたしは、静かにXANXUSさんに背中を向ける。

 そして、その場で静かに膝をつき、深く頭を下げた。

 

「・・・・・・遠方から足を運んでくださってありがとうございます、9代目。このような場へとお呼びだてしてしまい、申し訳ありません。」

 

 すぐ近くまで来てくださった複数の気配に向かって静かに言葉を返せば、頭上から小さく笑う声が聞こえてくる。

 

「こちらこそ、手間をとらせてしまったな。すまない。よくぞここまで耐えてくれた。頑張ったね、奈月ちゃん。」

 

 穏やかな声音で紡がれた言葉は、ここ最近何度も電話越しに聞いていたものと全く同じもので、わたしは小さく口元に笑みを浮かべるのだった。

 

 

 




 沢田 奈月
 XANXUSのシナリオを破壊するために、Dを介した先手を放つことで破綻させていた貝の女王。
 彼女とリボーンが定期的に行っていた連絡先、及び、自身のファミリーの治療要請を行なった先は、現ボンゴレファミリーのボスである9代目の元だった。

 リボーン
 奈月からどのような先手を放ち、XANXUS側を罠に嵌めるかを伝えられていたヒットマン。
 最初はまさか9代目ファミリーすら巻き込んだ大規模な作戦にするとは思っていなかったが、彼女の人望もあってか、9代目ファミリー全体が協力的になったため、そのまま作戦を決行した。
 9代目の有幻覚から出血したように見せたのは、彼の機転である。

 XANXUS
 自身が仕掛けた罠が上手くいき、女王を陥れたかと思えば、逆にその罠を逆手に取られて罠に落とされていた憤怒の王。
 9代目の姿をした幻覚人形に気づけていなかった。




 9代目ファミリー
 奈月の失踪事件が解決した際、戻ってきた家光から彼女の作戦と一緒に六道骸を紹介され、同時に、神谷幸弥の存在を知ることになった現ボンゴレの中核達。
 この時に奈月が霧の守護者に並ぶ霧の属性の持ち主でもあることを知り、かなり混乱したが、彼女がXANXUS側に仕掛けようとしている罠を、9代目からも最善だと押されたことにより協力する。
 奈月のボスとしての適性を見守っている状態ではあるが、それはそれとして、彼女が抱え込みやすい少女であることを失踪事件の際に把握しているためか、揃って彼女を気にかけている。
 これに関しては、家光が娘の失踪を知り、精神的に疲労が押し寄せて苦しんでいた姿を見ていたことも関係がある。

ハルのハルハルインタビューや、犬のケンケンぱぁ〜、ルッスーリア3丁目、怪物使いツナのネタは・・・・・・

  • 骸「奈月ありで番外に書きましょうよ。」
  • リ「別にいらねーんじゃねーか?」
  • 雲「どっちでもいい。」
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