最強の愛され系ボンゴレ♀は、今を全力で楽しみたい 作:時長凜祢@二次創作主力垢
自身の策略がうまく行ったことに安堵する女王に、現在の王は話しかけた。
「奈月ちゃん。」
「!」
XANXUSさんがいなくなった方角を無言で見つめていると、背後から穏やかな声音で名前を呼ばれる。
すぐにその声に反応して、9代目の方へと振り向けば、彼は穏やかな笑みを浮かべて、わたしのことを見つめていた。
「こちらにおいで。」
「・・・・・・はい。」
優しくおいでと声をかけられ、静かに9代目の方へと足を運べば、彼はわたしの頭にそっと手を伸ばし、緩やかに頭を撫で始めた。
急なことに驚き、思わず目を丸くする。しかし、その温もりは、幼い頃に何度か感じたことがある温もりで、自然と目を細め、無意識にその優しさを感じ取ろうとする自分が現れる。
「ワシの倅が迷惑をかけたな。かなり厳しい戦いじゃったろう。」
申し訳なさそうな声音で、XANXUSさんのことに関して謝罪をしてくる9代目。
しばらくの間、彼を見つめたわたしは、少しだけその場で俯く。
「・・・・・・そうですね。それは否定いたしません。ですが、覚悟の上ではありました。
マフィアのボスの継承者候補であると教えられ、それと向き合うことを決めた時点で、いずれはこのような現状にも見舞われると感じていたので。
ですが、やっぱりどうしても身内には甘くなってしまうようです。死ぬ気の炎に様々な効能が含まれていると知り、どのような効能がどの属性に含まれているかを知り、回復できるならばと、ブラウJr.さんの手を煩わせてしまいましたし・・・・・・」
XANXUSさんのような冷酷さを持つことができないことに、軽く苦笑いをこぼしながら言葉を返せば、9代目はその場で首を左右に振る。
その瞳には、優しい温もりが宿っており、幼い子供を見守る祖父のような穏やかさがあった。
「奈月ちゃんはそのままでいい。確かに、こちらの世界で過ごすには、君は優し過ぎる。
敵意を向けられた場合のみ敵意を返すことを信条にし、自分自身の居場所や、身内である友人達が害されるような状況にならない限りは動かないと言うのも、考えとしては甘いと言えるだろう。
じゃが、奈月ちゃんはそれでいい。倅のような冷酷さを必ずしも持ち合わせなくてはならないわけではない。
なんせ、かつて、始まりのボンゴレファミリーは、周りを守るために作り上げられた自警団じゃったからな。
奈月ちゃんのそれは、その時のボンゴレファミリーを体現しているようなもの。止めたりはせぬよ。」
幼い子供に言い聞かせるように、わたしのやり方と信条に関して、9代目は構わないと口にする。
その言葉に少しだけ安堵しながら、わたしはその場でしゃがみ込んだ。
「ありがとうございます・・・・・・9代目。正直言って、わたしはXANXUSさんのやり方の方がマフィアとしては正しいものであり、マフィアの世界で生き残るためには必要なことだと思っていました。
事実、過去のボンゴレファミリーを遡ってみると、そのような生き方をしていた方々多くいると教えられましたから。
ですが、わたしはどうしても冷酷非道にはなりきれなくて、マフィアの頂点に立つには、そのままじゃダメだと思って、その感情を切り捨てた方がいいとわかっていても、それができない人間で・・・・・・。
本当に、このままでいいのかな?優しさや甘さは捨てて、冷酷にならないといけないんじゃないかな?って、何度も考えても実行に移せませんでした。」
“だから、そう言っていただけて安心しました”・・・・・・と自身の思いを吐き出しながら、わたしは視線を下に向ける。
すると、9代目がわたしの方にそっと手を差し伸べた。その手をしばらく見つめた後、軽くその手に自身の手を重ねれば、お年を召されているとは思えない程の力で体を引っ張り上げられ、そのまま優しく抱きしめられる。
まさかのことにポカンとするが、すぐにその驚きは消え失せた。優しく、だけど、確かな力で抱きしめられ、そのまま頭を撫でられたために。
「ありがとう、こちらの事情と向き合おうとして、沢山考え込んでくれて。
じゃが、そこまで難しく考え込まなくても構わない。奈月ちゃんは奈月ちゃんらしく、これからも向き合っていけば良いからな。」
あやすように頭を撫でられ、しばらくの間固まったわたしは、恐る恐る目の前にいる9代目の背中に自身の手を回す。
わたしが抱きしめ返したからか、9代目は小さく笑い声を漏らし、何度も何度も頭を撫でてくれていた。
「・・・・・・ありがとうございます・・・・・・こんな、わたしの考えを許してくれて。」
「良い良い。奈月ちゃんが頑張ってくれていることは、リボーンや家光、ディーノから教えられておるからのう。
しかし、まさか、奈月ちゃんが中学生になった瞬間、こちらが抑制していたものを自ら外してしまうとは思わなんだ。」
「・・・・・・?どう言うことですか?」
何やら9代目から気になることを言われ、思わず首を傾げていると、彼は困ったように笑いながら、あることを教えてくれた。
「実はな。日本に渡ったプリーモが残した子孫の先を見るため、家光に無理を言って奈月ちゃんに会わせてもらっていたんじゃが、明らかに奈月ちゃんが先祖返りを果たしていることに気づいてしまっての。
折角穏やかに一般の子供として過ごしている上、プリーモの血縁の中で最も幼く若い君をこちらの事情に巻き込むわけにもいかないと思い、ワシが封印しとったんじゃ。
じゃが、どうも奈月ちゃんの先祖返りはそれだけでは止められなかったようじゃのう・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・はい?」
まさかの事実を聞かされてしまい、そのままわたしは宇宙の真理を知った猫のように固まってしまう。
え?この人なんて言いました?幼い頃から?先祖返りを果たしてるわかるレベルの状態だったから?マフィアの事情に巻き込まないように?それを封印していたと?
だけどわたしは?それを無意識のうちに解いてしまった・・・・・・?
「会った瞬間、プリーモの血を強く受け継いでしまっているとわかってしまう程の死ぬ気のオーラを持ち合わせておっての。
幼かった君を、家光の愛娘を、こちらの事情から遠ざけるためにはそれしか方法がなかったんじゃよ。
わかるものは一目見ただけでプリーモの血を引く子孫であるとわかってしまう程だったのでな。
しかも、奈月ちゃんは女性だった。もし、プリーモの血を強く引く子供であると一目見ただけでわかるような人間が、何らかの形で奈月ちゃんを見つけてしまった場合、何をされるかわからなかったのじゃ。
女であると言う点・・・・・・ボンゴレⅠ世の血を引いていることがまとっているオーラで把握できてしまう点・・・・・・これらは、場合によって取り返しのつかない状況に陥る上、奈月ちゃん自身も危うかったのじゃ。」
静かに紡がれた言葉により、わたしはハッとする。もし、その話が本当だとしたら、わたしは・・・・・・。
「・・・・・・ボンゴレの実権を狙った人間に、誘拐どころか、無理矢理子を孕らさせられる可能性があった。」
思い浮かんだ最悪の事態を口にすれば、9代目は静かに頷いた。
その瞬間わたしは気分が悪くなり、その場でフラフラと足取りが覚束なくなる。
「ナツ!!」
「・・・・・・あ・・・・・・・・・」
しかし、すぐにその状態は落ち着きを取り戻す。
鋭く響いたリボーンの声と、体を支えてくれた頼もしい温もりのおかげで。
「・・・・・・嫌なことを考えさせてしまったね。じゃが、その可能性があったことは事実じゃ。」
「・・・・・・そう・・・・・・ですね。確かに、わたしの場合は、その可能性がありました。」
リボーンに抱きしめられながら、9代目から告げられた言葉に、震えながら同意すれば、彼は静かに頷いた。
「だから、奈月ちゃんの先祖返りや、オーラを抑えるために封印をしていたのじゃが、どうもそれは、長く持たなかったようじゃな。
家光が頭を抱えておったよ。明らかに娘は自分の立場を見抜いているとな。
小学生の間は持つと思ったのじゃが、成長をするたびに死ぬ気の力も大きくなる。
結果、奈月ちゃんは幼いうちから超直感を少しずつ開花させ、中学一年の夏、リボーンを派遣した時にはすでに目覚めさせてしまっていたらしい。」
9代目から自身の状態を教えられたことにより、わたしは、自分自身がどうして昔から直感が優れていたのかを把握する。
わたしは、見た目だけでなく、能力自体もジョットさんと全く同じものを持ち合わせてしまっていたようだ。
中学生になってから、突如その力が飛躍的に上がってしまったのも、かけられていた封印を全てわたし自身が壊してしまったから。
でも、何でだろう・・・・・・。このタイミングで、わたしが力の封印を解いてしまうなんて・・・・・・いや、そうか・・・・・・。
「・・・・・・もしかしたらわたしは、中学生になってから、無意識のうちに直感していたのかもしれませんね。自身の環境が、これから一気に変貌してしまうことを。
だからこそ、中学生になったタイミングで、本能的に先祖返りを促進させたのかもしれません。」
思い浮かんだ可能性を口にすれば、9代目は申し訳なさそうに表情を曇らせては、そのまま静かに頷いた。
彼もまた、わたしが口にした可能性と全く同じ可能性を、頭の中に描いていたようだ。
「重ねて謝罪をさせてほしい。このような状況を生んでしまい、本当に申し訳ない。」
「・・・・・・!頭を下げないでください、9代目!」
その場で深々と頭を下げる9代目に、わたしはすかさず声をかける。
確かに、このような状況に陥ってしまったことに関しては辛いと思っている。
これからもみんなは間違いなく傷つくし、わたしも精神や肉体に傷をつけ、沢山の痛みを感じることになると思う。
でも、前までのわたしとは違い、今のわたしには今の考えがある。だからこそわたしは、この場に立っているのだから。
「9代目が仰っていることは否定しません。正直言って、この争奪戦に対して、辛いし苦しいと思ったりもします。
みんなが傷ついていく・・・・・・辛い思いをしていく・・・・・・沢山の痛みを覚えていく・・・・・・それは、わたし自身も精神的に苦しいです。
治すことができるとは言え、大切な人達が大怪我を負って、下手したら死んでしまうような戦場に足を運び続けているのですから、その辛さは当然ですし、どうしてこんな目にって思うこともありました。」
自身の本音は沢山ある。辛いことや悲しいこと、痛いことや様々な怒り、それを、わたしは確かに抱いている。
だけどわたしは、それと向き合うことを選んだ。全ては自身ができること、やりたいことをするために。
「それでもわたしは、向き合うことを選んでいます。周りから言われたからではなく、自らのやりたいことを果たすために。
そして、わたしの守護者達は、そんなわたしを支えるから、守りたいからと言って、一緒に歩くことを選んでくれました。
だからわたしは、自分の目的のために目を背けないことを決めました。」
そこまで口にして、わたしは小さく笑みを浮かべる。同時にわたしは骸へと視線を向けた。
一瞬、骸はわたしに視線を向けられたことにキョトンとした表情を見せたが、すぐに繋がりを通してこちらの感情を読み取ったのか、口元に緩やかな笑みを浮かべ、そのまま小さく頷いた。
「それに、限界を越え、何もかも嫌になってしまった場合に選ぶための選択肢はいくつかありますしね。
それならわたしは、最初から何もかもできないと投げ捨てるのではなく、どれだけやれるかを確かめていきたいんです。
複数の選択肢があるのであれば、まずは本命の選択肢を進んでみて、それが、人の道を照らす光になると信じて動く方が、わたしの性に合ってますから。」
わたしと骸のアイコンタクトのやり取りに、9代目はしばらく黙り込む。
しかし、すぐにその場で頷いては、穏やかな笑みを浮かべた。
きっと、彼は気づいているのだろう。もしも、わたしが限界を迎え、全てを投げ出したくなった時、わたしの代わりに何が現れ、何をマフィアの世界にもたらすのかを。
だけど、彼は同時にわたしを信じることを選んでいる。わたしがマフィアの世界に・・・・・・ボンゴレファミリーを継承し、先の未来を走る中で何かをもたらすと。
「うむ。奈月ちゃんはそれでいい。ワシは、奈月ちゃんが選んだ道のりを信じておるよ。」
笑顔を見せながらわたしに言葉を返す9代目に、静かに視線を向けたわたしは、彼の言葉を受け止めるようにその場で頷いた。
「さて、長話をしてしまったのう。奈月ちゃんも、奈月ちゃんの大切な君達も、各自体をしっかりと休め、明日の戦いに臨むように。
明日はいよいよ君達にとっての決戦の場となる。向こうも全ての力を結集し、全力でボンゴレリングを奪いにくるじゃろう。
気を引き締め、行動を取るように。無理だけはしてはならんぞ。」
9代目の言葉に、わたし達はすぐに頷く。
そして、明日に備えてその場で解散し、わたし達は各自体を休めるための拠点へと戻るのだった。
沢田 奈月
沢山の本音や不安、悩みを抱えていた貝の女王。
自身のやり方でマフィアの世界にいてもいいのだろうかとずっと抱え込んでいたが、9代目の言葉により肯定され、息がしやすくなった。
実は幼い頃から先祖返りの傾向が強く出ていたらしく、9代目の手によりそれは抑えられていたのだが、本人は無意識のうちに先祖返りを完全に果たしてしまっていた。
9代目
幼い頃の奈月を見て、先祖返りを果たしてしまっていることに真っ先に気づいていた現ボンゴレの王。
彼女を取り巻く環境から、すぐに封印することを選んだが、呆気なくその行動は水泡にきす。
奈月と六道骸の関係性や、彼女が口にした選択肢に関して察しているが、彼女に対する申し訳なさがあるのか、それが彼女の選ぶ道ならばと目を瞑る。
XANXUSの力を知っているため、奈月を含め、次世代のボンゴレファミリーを担う子供達に無理をしないようにと告げた。
ハルのハルハルインタビューや、犬のケンケンぱぁ〜、ルッスーリア3丁目、怪物使いツナのネタは・・・・・・
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骸「奈月ありで番外に書きましょうよ。」
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リ「別にいらねーんじゃねーか?」
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雲「どっちでもいい。」