最強の愛され系ボンゴレ♀は、今を全力で楽しみたい   作:時長凜祢@二次創作主力垢

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 蒼穹の女王の輝きを見て、始まりの霧は笑みを浮かべる。
 眩いばかりの琥珀色は、まさに、己の女王に相応しいと。

 side Another.


始まりの霧はほくそ笑む

 門外顧問の統率を担う沢田家光。キャバッローネファミリーの10代目ボスであるディーノ。そして、キャバッローネファミリーの中で、もっとも蒼穹の女王たる少女の近くに身を置くことがあるラウルは、目の前で繰り広げられる女王の蹂躙に戦慄し、最強のヒットマンと名高い青年、リボーンがわずかな警戒を見せる中、口元に笑みを浮かべている存在がいた。

 初代ボンゴレファミリーの霧の守護者であった、D・スペードだ。

 

 ─────・・・・・・ああ、なんと素晴らしいことか・・・・・・!!

 

 目の前で繰り広げられる女王の蹂躙。

 XANXUSと言う暗殺部隊の頂点に君臨する憤怒の王にすら手足を出させたりはしない凄まじい実力を発揮する少女の姿は、彼が理想とするボンゴレの頂点そのものだった。

 

 彼女を突き動かすのは、自身の居場所を奪われたくない・・・・・・自身が大切にする沢山の愛を失いたくないと言うものではあるが、確かな敵意と容赦することのない強力な一撃を、憤怒の化身に叩きつけている。

 敵対者には容赦するつもりはない・・・・・・その思いが確かに伝わる猛攻の数々に、始まりの霧は溢れる歓喜に笑みを深めた。

 

 ─────・・・・・・やはりお前は、ドンナになるべくして生まれた子供ですよ、ナツキ。敵対する者には一滴たりとも慈悲を見せないその姿は、まさに、私が理想とする女王に相応しい!!

 

 恍惚すらも覚えてしまいそうな気高き女王の姿に、確かな高揚感を抱くのを感じる。

 かつては最愛を失うきっかけを作り上げ、その報復も兼ねて追放した始まりの大空・・・・・・その男が日本に繋いだ血縁から、自身が理想とするボスとしての力を持った少女が生まれた・・・・・・大空そのものは許し難い存在ではあるが、自身が望むボスとしての条件を全て満たし、かつての始まりの大空と同等の力を持ち合わせている存在を、自身の理想を体現しようとする存在を、この世に残してくれたことにだけは賞賛と感謝を向けてやると、心の中で吐き捨てる。

 

 同時に、彼の深く冷たい青の瞳には明確なまでの執着と独占欲、そして、強い恋慕の光が宿り、静かにその瞳の中で波打つ。

 ゆらゆらとゆらめく夜の海のように。

 

 ─────・・・・・・だからこそ、お前だけはなんとしても手に入れて見せます。ご安心を。お前が求めるものであれば、いくらでも私が用意して差し上げますよ。

 

 ─────・・・・・・自身に宿る本質を受け止めてほしいと望むのであれば、その望みも叶えてあげましょう。強き部下を欲するならば、いくらでもその条件を満たす人間も与えましょう。

 

 ─────・・・・・・必要な武器も、必要な資金も、必要な拠点、必要な力、必要な兵器だっていくらでも。

 

 ─────・・・・・・お前が望むのであれば、あらゆる諜報だって行いましょう。邪魔な人間がいるのであれば、いくらでも葬って差し上げます。

 

 ─────・・・・・・ええ。お前の望みは全て私が叶えて差し上げますから、どうか、その身も、その心も、全て・・・・・・全て私の手の中に。

 

 そこまで考え、Dは脳裏に1人の少年を過らせる。

 かつては自身が席を埋めていた、霧の守護者と言う立場・・・・・・10代目のそこに腰を据えることとなった、青天と黄昏の瞳を宿す1人の少年・・・・・・六道 骸の姿を。

 

 その姿に強烈なまでの苛立ちを抱く。自身の想いの邪魔をする障害・・・自身の悲願を壊してしまう可能性を、高く持ち合わせている子供。

 女王たる少女より、誰よりも信頼と信用を向けられ、片割れと言うに相応しい程に、深く深く繋がりを持ち合わせている存在。

 思わず品のカケラもない舌打ちを漏らしそうになる。自身とは相入れない、真逆の思想・・・・・・それを持ち合わせている次代の霧に、Dは己の苛立ちを明確に向けていた。

 

 ─────・・・・・・お前さえいなければ・・・・・・・・・。

 

 “私が彼女を支え、正しい道へと導けると言うのに”・・・・・・脳裏を過ぎる言葉と共に、Dは静かに拳を握りしめる。

 自身の手のひらに、爪がどれだけ食い込もうとも、苛立ちを抑え込むように。

 

「!?まずい!!あれは!!」

 

 不意に、静寂を切り裂くように、鋭い声が辺りに響く。

 その言葉を発していたのは現代の貝を統率している9代目で、その鋭さから明らかに焦りを浮かべているようだった。

 急いで憤怒の化身なる青年、XANXUSの方へと視線を向けてみれば、手元にある拳銃へと憤怒の炎を多量に吸収させている姿が視界に入り込んだ。

 

「っ・・・・・・!!“決別の一撃”(コルポ・ダッディオ)!!」

 

 同時に放たれたのはXANXUSが使用する灰燼の一撃。

 相手を確実に死に至らしめると言わんばかりの、男の必殺技だった。

 その一撃は、これまでの炎の銃撃に比べ、明らかに威力も速さも違い、真っ直ぐと少女を捉えていた。

 その姿にDは焦りを浮かべる。流石の女王でも、その一撃は避け切ることが出来ないと。

 

『ナツキ!!』

 

 思わず口から叫ばれた少女の名前。“逃げろ”と言う思いを乗せた言葉だが、それが彼女に届く前に、放たれた一撃は琥珀色へと着弾した。

 大きな爆発音が辺りに響き、真夜中の暗がりを眩く照らす。

 

「は・・・・・・はは・・・・・・!!小娘如きが粋がるからだ・・・・・・っ!!」

 

 着弾し、爆発すると同時に、XANXUSの笑い声が響き渡る。

 同時にXANXUSはその場で激しく吐血し、口元から赤を垂れ流した。

 しかし、憎悪渦巻く赤い瞳には、勝利を確信する色が宿り、全体的に静まり返る。

 

 だが、次の瞬間、辺りの空気は一気に凍りつき、XANXUSの表情には一瞬にして絶望が浮かぶ。

 明らかに様子が違うその姿に、周りが疑問を抱く中、辺りにはパキリ、パキリと無機質な音が響き始めた。

 

「・・・・・・流石は暗殺部隊の統率者であり、憤怒の炎を使用する方ですね。“決別の一撃”(コルポ・ダッディオ)・・・・・・でしたっけ?

 回避することがほとんど不可能な技でした。お見事です。」

 

 確かに直撃したはずだった。確かな破壊力を持ち合わせているはずだった。決別の名を体現した一撃を、少女は確かに喰らっているはずだった。

 しかし、それは全て間違いだった。涼やかに、鈴を転がすように、穏やかでありながらも確かな幼さを含む声がこだました瞬間、ぬるりと薮から出てくる蛇の如く、少女の異常性が牙を剥く。

 

「ちょうど、自身の炎が大分消費されていたところでしたからね。助かりましたよ、XANXUS。

 先程の一撃に含まれた炎、確かに受け取らせていただきました。」

 

 XANXUSの手元から拳銃が滑り落ち、ガシャンと大地に叩きつけられる。

 

「なぜ・・・だ・・・・・・っ・・・・・・なぜお前が・・・!!!!」

 

 絶望に染められた瞳が見据える先に、先程以上の眩い光が存在感を放ち始め、琥珀色の瞳には冷酷な光がゆらめき始めた。

 

「メカニズムは把握していましたが、ほとんどぶっつけ本番だったのですよね、これ。

 ですが、やはり予想していた通り、組み合わせようと思えば組み合わせることができるようで・・・・・・これはいい収穫となりました。」

 

 爆発により発生した煙が晴れた瞬間見えたのは、宝石のような輝きを放つ凍てついた蒼。

 それは、Dもよく知る、始まりの技・・・・・・しかし、明らかに始まりの大空とは違い、特殊な力の変化が加わっているものだった。

 

「流石に手だけで受けては私もダメージが避けられませんでしたが、これなら問題はなさそうですね。

 ・・・・・・“決別の一撃”(コルポ・ダッディオ)のように名をつけるとしたら・・・・・・」

 

 ─────・・・・・・“零地点突破・炎奪いの盾(フィアンマ・スクード)”と言ったところでしょうか・・・・・・?

 

 チラついた灰燼の一撃たる炎が、重なった花びらを持つ八重の桜・・・・・・幻想的なまでの氷の華に打ち消された瞬間、少女の額に灯されていた大空の炎が勢いよく燃え上がる。

 まるで、女王が戴く冠のように、眩く輝く炎は、誰もが跪いてしまいたくなる程の気高さと高貴さ、そして、圧力を感じるものだった。

 

「さて、ある程度回復したところですし、こちらからも攻撃を・・・・・・って、ああ、すみません。

 今の一撃で、先程ヒビを入れておいた骨がいくつか折れてしまっていますよね。まぁ、あなたってかなりタフそうですし、まだまだ諦めてやらないと言う感情が瞳に宿っているようですけど。」

 

 心底申し訳なさそうに、しかし、どことなく寒気をするような声音で、吐き捨てるように言葉を紡ぐ蒼穹の女王。

 その姿を見て、XANXUSは口から音を漏らしながらも、落下した拳銃に手を伸ばす。

 

「グッ・・・・・・ゲホッ!!」

 

 その瞬間、再び彼の口からは赤い液体が吐き出される。

 それは大地に花びらを散らし、XANXUSの体がどれだけダメージを受けているのかを知らしめるには十分過ぎる程だった。

 

「私個人としては、できればもう抵抗していただきたくないのですが、あなたも別の意味でボンゴレファミリーの玉座に対して執着を抱いているようですし、簡単には諦めてくださいませんよね。

 ええ。それだけがあなたにとって何よりも重要で、平穏な場所で、ぬくぬくと過ごしていた私とは違い、マフィアのボスとなるべく英才教育を施されていたとなると、玉座に座るのは自分自身だと宣言するのも当然です。」

 

 そんなXANXUSを見つめながら、奈月は穏やかに語りかけるように、これまでのXANXUSの生活に言及する。

 本来のXANXUSであれば、そのセリフに激昂してもおかしくはない。だが、今の彼には、その暇がないのか、それとも激昂することもできない程のダメージを負っているのか、殺気一つ漏らすことなく、ただただ消えた氷華があった場所を見つめ、顔を青くするだけだった。

 

「降伏なんてしないでしょう?ならば、首から下げているそれを奪い取るまでです。

 それが、これからのボンゴレのためであり、あなたのためでもありますから。」

 

「!!?」

 

 女王が口にした言葉に含まれたものに気づいたのか、XANXUSの両眼が見開かれる。

 しかし、それは一瞬にして鋭いものへと戻り、再び奈月への攻撃を放とうとするための動きを見せる。

 

「遅いと言ったでしょう?」

 

 だが、XANXUSから攻撃が放たれる前に、女王がその懐へと潜り込んだため、凶弾が放たれることはなく、再び鳩尾への攻撃ににより、勢いよく吹き飛ばされた。

 XANXUSが口から血液を吐き出す。女王の目はどこまでも冷めており、先程の一撃と共に奪い取ったらしい指輪を自身の手のひらに納めていた。

 

 

 




 D・スペード
 女王へと導こうとしていた少女の能力に恍惚と執着を向けていた始まりの霧。
 かなりの至近距離から放たれた“決別の一撃”(コルポ・ダッディオ)を真正面から受けたにも関わらず、無傷でやり過ごしていた少女の実力に、誰よりも喜びを抱いていた。
 しかし、当本人も、彼女が使用した“零地点突破・炎奪いの盾(フィアンマ・エスクード)”のメカニズムがわからず首を傾げる。

 沢田 奈月
 多くの人々の予想を遥かに上回る成長を果たした異常性を持ち合わせている蒼穹の女王。
 始まりの大空が使用していた零地点突破に、別の技術を織り交ぜることにより、凶弾による一撃を無傷でやり過ごす。
 懐に潜り込むことにより、XANXUSの首にあったハーフボンゴレリングを奪取した。

 XANXUS
 圧倒的な力を振りかざすつもりが、逆に翻弄され、自身がダメージを受けるばかりの状況に焦りを抱く憤怒の王。
 なんとか“決別の一撃”(コルポ・ダッディオ)を放ち、直撃させることに成功するが、勝利の確信は絶望への片道切符だった。
 使用された零地点突破に、ただただ戦慄させられる。
 なぜ・・・・・・マフィアになったばかりのお前が初代が編み出した技を使えるんだ・・・・・・!!

ハルのハルハルインタビューや、犬のケンケンぱぁ〜、ルッスーリア3丁目、怪物使いツナのネタは・・・・・・

  • 骸「奈月ありで番外に書きましょうよ。」
  • リ「別にいらねーんじゃねーか?」
  • 雲「どっちでもいい。」
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