最強の愛され系ボンゴレ♀は、今を全力で楽しみたい   作:時長凜祢@二次創作主力垢

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 憤怒の嵐が脱落する中、女王の雨と、女王の嵐は、それぞれ雲と霧の指示の通りに動いていた。


 side Another.


雨と嵐は走り抜ける

 骸と別れ、女王の雨の守護者である少年、山本武は、施設の中を走り抜けながら、辺りを見渡していた。

 

「おーい!ランボ!いたら返事してくれー!」

 

 本来ならば、どこに敵対者が隠れているかわからないめ、大きな声で味方の名前を呼ぶことは悪手だが、憤怒の王・・・・・・独立暗殺部隊のヴァリアーを統率するXANXUSの雷の守護者も、嵐の守護者も、晴の守護者や、霧の守護者も姿を見せることはなかった。

 山本が対峙した、XANXUS側の雨の守護者であるS・スクアーロは、そもそもが大空戦を辞退しているため、この場にいるはずもなく、安全がほとんど確立されている状態だったため、問題なかったのだ。

 

「ランボー!どこにいるんだー!?」

 

「!?山本だもんね!!ランボさんここだよ!!」

 

「!?」

 

 声を張り上げながら施設の中を走り抜けていると、ある場所からランボの声が聞こえて来る。

 すぐに足を止めた山本は、声がした方角へと向かう。そこは、使われていない空き部屋で、ロッカーがいくつかあった。

 

「ランボ?ここにいるのか?」

 

 しばらくの間、無言で部屋を見渡した山本は、静かに部屋の中に声をかける。

 すると、複数あるロッカーのうちの一つが静かに開き、そこからひょっこりとランボが姿を現す。

 

「ランボ!」

 

 それを見た山本が名前を呼べば、呼ばれたランボはすぐにその表情をくしゃりと歪め、ボロボロと涙をこぼし始めた。

 

「うわぁああ!!怖かった!!怖かったよぉ!!」

 

 大きな声で泣きながら、山本に駆け寄ったランボ。

 足元に抱きつきながら、涙を流す小さな守護者の姿を見た山本は、苦笑いをこぼしながらも、そっと小さな彼を抱き上げた。

 

「だよなぁ。チビ助の体で、本当によく頑張ったぜ。」

 

「うう・・・・・・グスッ・・・・・・ランボさん・・・・・・頑張ったもんね・・・・・・っ・・・・・・ナツを守る宝物・・・・・・っ・・・・・・変な奴に取られないように・・・・・・っ・・・・・・!!」

 

 嗚咽を漏らしながらも、ランボは手にしていた雷のリングを山本に見せる。

 戦うことは難しくても、自分なりの方法でリングを守ったのだと把握した山本は、小さく笑いながら、その頭を優しく撫でた。

 

「すげーじゃねーかランボ!ナツもきっと喜んでくれるぜ!」

 

「・・・・・・本当?ナツ・・・・・・ランボさんのこと、褒めてくれるかな・・・・・・?」

 

「ああ、きっとな。」

 

 “きっと褒めてくれる”・・・・・・その言葉を聞き、ランボはその場で笑顔を見せる。

 しかし、山本はその笑顔を見ても、素直に笑うことはできなかった。

 確かに、奈月は褒めてくれるかもしれないが、ランボを励ますために使ったこの言葉は、彼にとってはかなり複雑な言葉だったのだ。

 

 “褒めてくれる”・・・・・・それは、本当に思っている言葉ではあるが、きっと、彼女ならば、褒める前に、その表情を暗くしてしまうと、なんとなく彼は思っていたのだ。

 なぜなら彼女は、とても優しい女の子であり、力を持ち合わせているからこそ、小さい子供の彼が、命を脅かされる状況から遠ざけたがっているはずだと思っていたために。

 

 守護者と呼ばれている存在同士が戦う中、奈月の表情はあまり変わっていなかった。

 必ず結果を見届ける・・・・・・確かな責任と決意が合わさった表情で、しっかりと守護者同士の戦いを見守っていた。

 だが、山本は気づいていた。彼女が、戦いの最中で大切な仲間・・・・・・友人が怪我するたびに、小さな手に力を入れて拳を握りしめていたことを。

 しかし、彼女は自分が辛いと思っていることを隠し、ボスとしてずっと前を、戦場を見続けていたことに。

 

 ─────・・・・・・きっと、ナツはランボがリングを手にしてるのを見て、悲しい表情をするんだろうな。

 

 XANXUSと呼ばれている相手のボスのように、仲間を切り捨てることなどできず、大切にする彼女だからこそ、大切であれば大切である程、彼女は傷つく仲間を見て自身が傷ついていくのだろうと、これまでずっと、彼女を見つめていた山本は思っていた。

 同時に、これまでの争いの中での彼女を見てきたからこそ、彼女は誰よりも責任感が強いため、一度引き受けたものは絶対に途中で投げ出さないと感じていた。

 

 責任感があるからこそ、引き受けたものは投げ出さない。

 優しいからこそ、大切な仲間が傷つく姿に自分が傷つく。

 だからこそ、大切な仲間を危険から遠ざけたい。

 だけど、大切な仲間は自分の側から離したくない。

 

 ─────・・・・・・これって、かなり辛いよな。でも、ナツはそれを隠すのが上手いんだよな。みんなに心配かけたくないからって我慢しちまうよな・・・・・・。

 

 大切だから手放したくない。大切だから傷ついてほしくない。

 引き受けた責任は全うしたい。引き受けた責任は安全な世界ではなく危険な世界の中にある。

 正反対の考えを持ち合わせている彼女は、きっと誰よりも辛くて苦しい思いを抱いている。

 それはきっと、彼女自身にしかわからない苦しみと辛さだから、自分自身では想像すらできない。

 ただ、それらを我慢してしまう彼女は、それだけ深く、沢山傷ついてしまうと言うことだけはわかっていた。

 

 ─────・・・・・・だからこそ、オレは、少しでも傷つかないように、力も知識も身につけるぜ、ナツ。

 

 ─────・・・・・・例え、ナツに追いつけることができなくても、ナツが少しでも笑って、安心できるように。

 

 そこまで考えて、山本はランボを撫でたあと、自身がいる場所から見える窓の外を見る。

 暗がりだからこそ見える、眩いばかりのオレンジの王冠。その光を反射し、存在感を主張するように輝く琥珀色の瞳と、吹き抜ける風に揺らぐ金色の光は、威圧感をまといながらも、見惚れてしまう程に綺麗だった。

 

「はは。暗いせいでナツがよく見えるや。」

 

「え?ナツいるの!?どこどこ!?」

 

「ん?ほら、あそこだぜ。」

 

 思わず呟いてしまった言葉に、泣き止んだランボが反応を示す。

 それを見た山本は、すぐに窓から見える琥珀色の少女を一度だけ指差し、彼に居場所を教えた。

 

「本当だ!!ナツ、すごくキラキラだもんね!!」

 

「ああ・・・・・・。本当に、眩しいくらいにな。」

 

 目を輝かせ、純粋な反応を見せるランボに、山本は小さく笑いながら同意する。

 女王を見据える彼の瞳には、少しだけ悲しみが揺らいでいた。

 

 

 

 

 

           ܀ꕤ୭*

 

 

 

 

 

 山本がランボと合流する中、建物の中から外に出た獄寺は、女王の晴の守護者である笹川了平がいるであろう方角へと向かって走っていた。

 

「おや?」

 

「ゲッ」

 

 憤怒の嵐の守護者であるベルフェゴールは、こちら側の女王、奈月の雲の守護者である雲雀がなんとかすると確信を抱きながら、目的地へと向かっている彼の耳に、不意に、穏やかな少年の声が届く。

 その声の持ち主が誰かすぐにわかってしまった獄寺は、すかさず表情を歪めながら、声の方へと視線を向けた。

 

「ゲッとはなんですか。人を化け物かのように。」

 

「・・・・・・仕方ねーだろ。」

 

 “あんなもん見せられたらよ”・・・・・・と、獄寺は、先日の寒気を感じる程の禍々しさをまとっていた骸の姿を思い出す。

 側にいた奈月が口にした、人間道と言う言葉から、目の前にいる霧の守護者が持ち合わせている能力によるものであることはわかったが、まさか、あそこまでの攻撃を敵対した存在に行うとは思いもよらなかったのだ。

 

 最初こそ、敵対者であったマーモンは応戦する様子を見せていたが、しばらくしたら、行われる攻撃に抵抗の意思すら抱くことなく、早く解放してくれと言わんばかりの諦めの境地に入っていた。

 それにより、頭が切れる方の人間である獄寺は、マーモンは完全に骸の手により攻撃をコントロールされ、心身ともにボロボロに叩き折られてしまったのだとわかった。わかってしまった。

 

 もし、マーモンと同じような立場に自身がいたら・・・・・・もし、骸が奈月の味方として身を置くことなく、敵対していたとしたら・・・・・・想像するだけで血の気が引きそうな結論に至ってしまい、心の底から奈月の味方でよかったと彼は思った。

 

「芝生頭んとこに行くつもりか?」

 

「ええ、そのつもりですが、何か?」

 

 抜けきらない寒気を抱きながらも、口にした問いかけの言葉。

 骸は、特に思案するような様子を見せたりすることなく、獄寺の問いかけに答える。

 

「だったら、お前は奈月さんのところに行ってくれないか?芝生頭のとこにはオレが向かう。

 奈月さんなら大丈夫だと思うが、戦力は強化するに越したことねーしな。」

 

 すかさず獄寺は、奈月の元へ向かってほしいこと骸に告げる。

 骸は、獄寺の言葉に一瞬だけキョトンとしてしまったが、すぐにその場で考え込むような様子を見せる。

 しかし、程なくして彼はその場で小さく頷き、獄寺に背中を向ける。

 

「そう言うことでしたら、そうさせていただきます。山本武にはランボ君の元に向かってもらいましたし、雲雀恭弥も君を解放して、奈月の元へと向かうため、行動を起こしていると思いますから。

 君に言われて行動するのは非常に癪ですが、今回ばかりはその話を引き受けましょう。」

 

「一言余計だっつの。」

 

 背中を向けた骸に悪態を吐きながら踵を返した獄寺は、その場からすぐに走り出す。

 ほとんど同時に、背後からも足音が聞こえてきたため、骸も行動を移したのだと獄寺は判断した。

 そのことに少しだけ息を吐きながらも、獄寺は晴の守護者同士の争いが行われていた場所へと移動する。

 

「おい、芝生頭!!まだリタイアなんかしてねーよな!?」

 

「む!?その声は、獄寺か!?ああ!極限に問題ない・・・・・・が、力が入らん!!」

 

「どんだけ薬浴びたまんまだったんだよテメェは!!」

 

 程なくしてたどり着いた場所には、ベッドにぐるぐる巻きにされているXANXUSの晴の守護者、ルッスーリアと向き合った状態で地面に膝をついていた女王の晴の守護者、笹川了平の姿があった。

 すでに手足に力が入っていない状態にまで薬が進行しているのだと考えた獄寺は、そんな了平にツッコミを入れながらも、手にしていたダイナマイトをポールへと投げつける。

 

 爆発と共にポールが崩落すれば、その上にあった晴の守護者を示すボンゴレリングが宙を舞う。

 すかさずそれを掴み取った獄寺は、すぐに了平の元へと近寄り、腕にあるリストバンドにボンゴレリングを嵌め込んだ。

 

「すまん!極限に助かったぞ!!」

 

「ったく!!薬が入った時はまだ動けただろうが!!」

 

「確かに動けたし、ポールも薙ぎ倒そうとしたんだが、上手く腕に力が入らなくてな・・・・・・まさか、このようなことになろうとは・・・・・・」

 

「あー・・・・・・まぁ、奈月さんが持ち歩いてる手榴弾に使われてる薬が混ざってるって話だったしな・・・・・・。

 奈月さんの手榴弾、強力な痺れ薬とか睡眠薬が入り込んでんだよな。」

 

「な、なるほど・・・・・・!奈月は、相変わらず色んな武器を持ち合わせているのだな・・・・・・!」

 

 獄寺と了平の間に沈黙が下りる。

 2人の脳内に浮かんだのは、大鎌や槍、拳銃やトンファーをふんだんに使いまくり、デカブツ兵器ことゴーラ・モスカを容赦なく破壊した彼女の姿だった。

 

「・・・・・・奈月さんは怒らせねー方がいいな。」

 

「極限に同意だな・・・・・・」

 

「知ってるか?奈月さんってブチギレたら容赦なく股間蹴り上げてくるんだぜ。」

 

「想像するだけで痛いぞ!!」

 

「オレも、あれだけは絶対に食いたくねーな・・・・・・」

 

 自分達を率いる少女は、基本的に穏やかで優しさに溢れている少女であり、男女問わず分け隔てなく接しては、多くの人脈を作り上げる存在。

 その上、我慢しがちな部分があるのは、すでに自分達の中では周知の事実であり、その素振りも何度も見せられている。

 だからこそ、噴火した時が一番恐ろしく、どのような事態が起こるかわからないと言うのが現実である。

 

「ち、ちょっと〜!!私、動けないのぉ〜!!見ての通り戦えないのよぉ〜!!攻撃できない人間なんだから、薬だけでも効果をなくしてちょうだ〜い!!」

 

「「!?」」

 

 再び辺りに沈黙が落ちる中、不意に、それを壊すように声が聞こえて来る。

 獄寺と了平は、ハッとしたように目を丸くしたのち、声の方へと視線を向けた。

 そこには、奈月インパクトのせいにより、先程まで2人揃って忘れていたルッスーリアがおり、彼は戦えない状態にあるのだから、せめて薬だけでも解除してほしいとヘルプを出していた。

 

「・・・・・・どうする?」

 

 しばらくの間、ルッスーリアを見つめた了平が、側にいた獄寺へと声をかける。

 獄寺はその場で考え込むように腕を組んだ。

 

 ─────・・・・・・確か、9代目曰く、この薬は脱力薬と遅効性の睡眠薬だって話だよな?

 

 ─────・・・・・・短時間で死に至る毒薬なら、奈月さんも解毒してやれと言うかもしれねーが、睡眠薬は無効化してやれって言うか?

 

 ─────・・・・・・むしろ、奈月さんのことだから睡眠薬を使うように9代目にお願いしてそうだよな。

 

 ─────・・・・・・奈月さんはお優しい方だし、眠らせることで、安静にさせて療養させるよな、絶対。

 

「・・・・・・薬は解除しなくてもいいだろ。命を奪うような薬を奈月さんが使うはずがねーしな。

 むしろ、眠った方が安静にできて回復を早めることができんじゃねーか?」

 

「む?・・・・・・言われてみればそうだな。」

 

「え!?ちょ、ちょ、ちょっと・・・・・・!!もしかして私ってば放置されちゃう感じなの!?」

 

「んなもん知るかよ。おい、芝生頭。早く奈月さんと合流するぞ。奈月さんが負けるとは思わねーが、念の為に奈月さん周りを固めた方がいい。

 なんせ、相手は奈月さんをハメてまでボスの座を譲りたくねーらしいXANXUSだからな。何を仕掛けてくるかわかったもんじゃねーぞ。」

 

「ああ。行くぞ!!」

 

「ちょっとぉ!?本当に放置しちゃいやぁ〜ん!!」

 

 背後から聞こえて来るルッスーリアの声を無視して、獄寺と了平は地面を蹴り上げる。

 自分達を率いる無茶しがちな少女であり、大切な存在でもある少女の元へと向かうために。

 

 

 




 山本 武
 骸と別れて施設内を移動し、ランボと合流した女王の雨。
 奈月の責任感の強さや、傷つきやすさをこれまでの争いを通して見ていたがために、彼女のことを心配している。
 彼女が少しでも傷つかないように、笑えるように、力と知識を身につけることを決意する。

 ランボ
 レヴィ・ア・タンに見つからないように、ボンゴレリングを所持したまま施設内を逃げ回っていた女王の雷。
 とても怖かったし、泣きたくもなった。だけど、大好きな女の子のために我慢して、自分にできる精一杯をこなす。
 合流した山本を見て、気持ちが緩んだのか、そのまま泣いてしまった。

 獄寺 隼人
 雲雀と別れ、了平の元へと向かっていたところ、骸と鉢合わせた女王の嵐。
 人間道を使用していた彼を見て、言いようのない寒気を感じるようなったため、敵対しなくてよかったと安堵していた。
 骸から文句を言われたりもしたが、なんとか彼を奈月の元へと向かわせ、了平と合流した。
 ルッスーリアからヘルプを出されたが、使われてる薬は毒薬じゃないしと放置することを選ぶ。

 笹川 了平
 薬のせいで力を最大限に使用することができなかったところ、獄寺の合流により、治療された女王の晴。
 ルッスーリアから助けてと声をかけられたが、毒薬ではないし、命に問題はないと獄寺から言われ、今は奈月を優先した方がいいと彼自身も思ったことにより、ルッスーリアを放置することを選ぶ。

 ルッスーリア
 しれっと放置の刑を受けてしまった憤怒の晴。
 奈月ちゃんを優先したい気持ちはわかるけど、私は攻撃できないんだから助けてくれてもいいじゃない!!
 このあと動けぬまま、眠りに落ちてしまった。

ハルのハルハルインタビューや、犬のケンケンぱぁ〜、ルッスーリア3丁目、怪物使いツナのネタは・・・・・・

  • 骸「奈月ありで番外に書きましょうよ。」
  • リ「別にいらねーんじゃねーか?」
  • 雲「どっちでもいい。」
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