最強の愛され系ボンゴレ♀は、今を全力で楽しみたい 作:時長凜祢@二次創作主力垢
あれからしばらくした頃。隼人のぎこちなさも少しずつ解消されていく中、私は武の宿題をずっと見ていた。
ある程度は自分で解かせてみて、どこがわからないかを把握して、その苦手なところを重点的に教える……そんな感じに。
「サンキューナツ!相変わらずわかりやすい授業だぜ!」
「これは授業じゃないって。にしても、武はどうやら、疲労により授業が頭に入りにくいだけであって、しっかり学力はあるみたいだね。」
「そうか?なんか、そう言ってもらえると、ちと照れくさいのな。」
「あはは。照れなくてもいいのに。」
「……………。」
「……で、隼人はいつになったらその緊張解れんの?」
「す、すみません10代目……。どーも、異性の部屋にお邪魔することに慣れてなくて……。これまでその、まともに異性と関わったのは、アネキ以来だったもので、ほとんどなくてですね……。」
「なるほど?じゃあ、これからも部屋に来てみる?」
「んな!?」
「あっはは!!冗談だってジョーダン。」
「じゅ、10代目ぇ……。」
たまに隼人を揶揄いながら、武の宿題を進めていく。内心ではもう20分近くはいるから、隼人には慣れてほしいところだけどと思いつつ。
そんな中、不意に武が宿題をする手を止める。
「どしたの?またわからないところでも出てきた?」
「ん?ああ……実はな。ほとんど問題は解けたんだが、どーも問7だけがわからなくてさ……。」
「問7?」
「ああ。これなんだけど……」
そう言って武が見せてくれた問題は、これまで使ってきた公式のどれにも当てはまらない内容のものだった。
それを見た私は、思わず無言になる。はて?こんな問題を解くための公式はあったかな?
前世では、大学まで卒業して、自身に合った仕事をこなす生活を送っていたけど、こんな問題は大学で習ったことがない。
向こうで学んだ全ての式の応用や、派生でも解けそうな気配がなく、私も思わず首を傾げる。
「隼人。隼人。」
「は、はい!?」
「あのさ、この問題わかる?」
「へ?10代目でもわからない問題が?」
「うん。ちょっと見てくれるかな?」
「はいっス。」
もしかしたら、イタリアの方で習っているかもしれないと思い、とりあえず隼人にパスしてみれば、彼はその式を見つめ、しばらくの間無言になる。
しかし、彼にもどうやらわからないようで、何度か瞬きをしたあと、コテンと首を傾げた。
「申し訳ありません、10代目。それなりに勉学はできる方だと自負してはいるんですけど、オレがこれまで習ったもんの中には、こんな問題が解けるような公式はありません。」
「謝らなくていいよ。でも、外国で習うような問題でもないんだね。」
ふむ……日本人と外国人だと、外国人の方が学力が高く、日本人はそれなりに低いって話を聞いたことがあったから、もしかしたら外国から来日した人なら習ってるかもと思ったけど、そうでもないのか。
となると、この問題はいったいどこで習うんだろう?
「このくそ暑いのにお前達はさらに暑苦しーな。」
3人揃って首を傾げていると、すぐ近くからリボーンの声が聞こえて来る。
同時にクーラーが効いているにも関わらず、それを凌駕するレベルの熱気を感じ取ることができたため、不思議に思いながら声の方へと向いてみると、そこには真冬レベルの格好をしながら、炬燵と囲炉裏と熱々の鍋をコトコト煮込んでいる我らが家庭教師の姿があった。
「いっそのことガマン大会やれ。」
どーんっと言う効果音がつきそうな様子で妙な提案をしてくるリボーンに、思わず無言になってしまう。
しかし、部屋のすぐ外に別の気配があることに気づき、そちらを見つめる。
「リボーン。熱中症になって病院に行くことになったら大変だよ。とりあえず、熱源は全部切って、しっかりと水分補給をして。
いくらその姿が本来のものではないとしても、体が小さくなっていることや、すぐに眠くなっている様子があるから、どんな症状を発症するかわからないし、最悪、かなりの重症化も考えられる。
私の飲みかけだけど、スポドリ飲んでいいから、ミネラルもちゃんと取りなよ。」
「……………わかったぞ。」
とりあえず、リボーンには熱源をしっかり切り、スポドリによる水分補給と塩分補給を行うように指示を出した私は、こちらの指示を聞いて大人しく熱源を切る彼の姿を確認したあと、自室の前にある気配の元へと足を運ぶ。
「何やってんの、ハル。」
「はひ!?ど、どーしてハルだとわかったんですか!?」
「一度接触して覚えた気配は、どう言うわけか感じ取れる体質みたいでね。君の気配は、初めて顔を合わせた瞬間、きっちり覚えていたから、どこに隠れようとも見つけ出せる自信があるよ。
来てくれていたことに気づけなくてごめんね。友達が追加で出されちゃった宿題を見ることに集中し過ぎてしまったみたいだ。」
「は……はひ〜〜〜っど、どこに隠れようともハルを見つけ出せる自信があるだなんて……!!ナツさんかっこよ過ぎです〜〜〜!!どれだけハルをドキドキさせたら気が済むんですか〜〜〜!!」
「ときめかせるつもりはなかったんだけど、どうやら君のツボにクリティカルヒットしてしまったみたいだね。」
「あわわ……!!腕を組んで壁に寄りかかって微笑むなんてズル過ぎです!!ズル過ぎます!!髪の色も相まって、王子様にしか見えません……!!」
きゃーきゃー騒いでるハルを見て、前世にいたかつての女友達を思い出す。
その子はいわゆる、乙女ゲームとかめちゃくちゃ好きな上、二次元に生き、推しがいればその推し語りわや行い、さらには夢を見るような元気な女の子だった。
目の前にいるハルに少しだけにていたこともあり、なんだか昔の彼女を見ているようだ。
ある意味でこれが夢女とか、推しを愛するオタクと言ったものなんだろうか……いや、この子の場合はリアコとか言う奴だろうか。
なんにせよ、過去の友人によく似てる。
「部屋に入りなよ。友人が飲み物、結構買ってくれていたから、ハルも一本もらったら?暑い中ここまで来て大変だったでしょ。」
「お、お邪魔します……!」
ハルを自室に招き入れれば、彼女は目を丸くする。私の自室に男子が2人もいたことに驚いたのだろう。
でも、私は昔っから友人ならば異性であろうと部屋に入れても気にしない性格だったため、彼女の驚きようはそのままスルーして、武が持ってきていた差し入れの中から、ミルクティーを取り出す。
「ミルクティーでいいかな?」
「は、はい!大丈夫です!……あの、ナツさん。そっちの銀髪さんは、リボーンちゃんやナツさんの呼び方から、獄寺 隼人って人なのはわかるのですが、もう1人のその方は……?」
「ん?ああ、山本 武。クラスメイトで友人。」
「初めましてだな!オレは山本 武。ナツのダチだぜ。」
「はい、初めましてです!私は、三浦 ハルって言います!将来はナツさんの隣で秘書だったり恋人だったりしたいと思ってます!よろしくお願いしますね!」
ミルクティーをハルに手渡しながら、彼女の質問に答えれば、その場で2人の自己紹介が始まる。
なんか、ハルからとんでもない言葉が紡がれたような気がしたけど、武は意味を理解していないのか、一瞬キョトンとしたあと、いつもの笑顔を見せて、よろしくなと彼女に告げた。
「にしてもナツ。いつのまに名門学校の緑中に通う友達を作ってたんだ?」
そして、ハルの制服を一時的に見つめたあと、私に話しかけてくる。
「緑中?」
「ああ。この辺じゃ超難関のエリート女子中だぜ。」
「え?そうだったの?」
「はい!実はいいところに通ってるハルだったのです!」
「このアホ女がそんなところに通っていたとは思いませんでしたね、10代目。」
「誰がアホですか─────っ」
ハルの恋人発言に関してはスルーなのかと思いながらも、武が口にした緑中と言う単語の意味を聞いたら、まさかの事実が判明した。
名門のエリート学校に通っているなら、何かわかるかもしれない。
「ちょうどよかった。ハル。ちょっとこれ見てくれる?」
「はい!いいですよ!」
「よし。ああ、解けるまで睨めっこする必要はないよ。解けないことは別に恥でもなんでもないし、今回のこの宿題には疑問点もかなりある。
とりあえず、まずは30分ごとに区切りをつけて15分ごとの休憩を挟むを繰り返そうか。」
「相変わらずテキパキしてるな、ナツ。」
「?だって、何をやるにせよ休息は必要でしょ?ただひたすら作業をこなすだけだと非効率だし、適度の息抜きは大事だ。
度々頭をリセットすることにより、わからないことの答えを見出すことができる可能性は上がるし、答えを見出すことができなくても、疲労の蓄積量がかなり違う。
いつも私はそう思ってるつもりだけど……何かおかしなこと言ってるかな?」
「はひ……ナツさん、できるOLさんみたいです……」
「お前、人生何周目だ…………?」
二周目の人生を歩いてるけど……と一瞬言葉にしそうなってしまったが、人生なんて何周もできるわけないでしょ、とリボーンの問いかけをはぐらかす。
………前世の癖でやることなすこと効率良くしようとしてしまうから、下手したら転生バレしそうだな。
なるべく見えないところでこっちの私は出すとしよう……。
沢田 奈月
前世の経験や、社会に出た時のことを生かし、効率を重視してさまざまなことをこなしていた転生者な10代目。
一度覚えた気配はどこに隠れようとも見つけ出せるため、かくれんぼで一番鬼にしてはいけない。
山本の追加課題を見て、いくらか疑問を見つけたため、それを解消しようと動こうとしている。
壁に寄りかかる奈月の図(絵心はない)
【挿絵表示】
山本 武
奈月のおかげで課題をすらすら解けている野球少年な2人目のファミリー。
よく奈月と互いを褒めあってるため、側から見たら付き合ってるように見えるかも……?
獄寺 隼人
これまでビアンキ以外の異性と深く関わることがなかったため、異性の自室に招かれることなどなかったせいで緊張しまくった最初のファミリー。
まさかハルが名門に通ってるとは思わなかったり
三浦 ハル
ガマン大会を提案した張本人だが、奈月の仕草の一つ一つのせいで種明かしができなかった女の子。
テキパキと指示を出す奈月の姿に、仕事ができる美人OLの図を思い描いた。
リボーン
奈月の言動一つ一つがあまりにもテキパキしていて、思わず人生何周目だと困惑してしまった家庭教師なヒットマン。
しかし、テキパキ作業を指示するその姿には感心しており、立派なボスになりそうだとも思った。