最強の愛され系ボンゴレ♀は、今を全力で楽しみたい 作:時長凜祢@二次創作主力垢
XANXUSさんの両手をクロスさせたまま凍てつかせたわたしは、真っ直ぐと紅玉の瞳を見据える。
彼の瞳には、明確な怒りと、敗北の色が強く宿っており、ようやく、彼の動きを止めることができたのだと溜め息を吐いた。
「・・・・・・まさか、9代目もプリーモが使用した零地点突破を使える方だったとは。
体に刻まれているその古傷は、彼から受けたそれの傷跡ですね。」
少しだけ考え込みながら、目の前にいる青年の体に刻まれている傷跡が、一度零地点突破を受けたことがあるものであることを口にすれば、XANXUSは目を見開いて固まる。
その様子を静かに見つめたわたしは、その場で死ぬ気の炎を解除した。もちろん、警戒は止めることなく、いつでもまた灯せるようにしながら。
「・・・・・・XANXUSさん。私にはあなたの気持ちがわかりません。卑怯な手を使ってまで、どうしてそこまでボスの座にこだわっていたのかなんてね。
だからこそ、わかったフリをするつもりも、あなたの感情を理解したような態度を取るつもりもない。」
警戒をなくすことなく、自身の意見を静かに口にする。事実、わたしなんかがXANXUSさんが持ち合わせているボスの座に対する執着を把握することなどできるはずがない。
わたしは彼ではないのだから、それを知ることなどできるはずがない。
骸のように、かつての過去を教えてくれているなら、ある程度理解することはできるけど。
ただ、これだけは言えることだった。
提示するなら今しかない・・・・・・わたしも、プリーモの声も、それだけはわかっていた。
「ただ、あなたにこのリングを渡してはならないことだけはわかります。ボスの座を空け渡したくないと言う執着からではなく、あなたの命を守るために。」
「!!?」
わたしが口にした言葉に、XANXUSさんが固まった。赤い瞳に宿る怒りは、一瞬にして戸惑いへと変わり、確かな動揺を体に走らせている。
「私は知ってます。あなたの中に、ボンゴレの血が流れていないことを。あなたは、養子として9代目に引き取られ、そのまま育った人なのでしょう?」
「「「「「!!!?」」」」」
「何・・・・・・で・・・・・・それをお前が・・・・・・っ!!」
わたしが口にした言葉に、一斉に空気が動揺に揺らぐ。
少し離れた位置から、武とランボの気配を感じ取れるため、2人もこの話を聞いたのだろう。
まぁ、ランボだけはわかっていないのだろうけど。
「言ったでしょう?私には、あらゆる情報を把握するための伝手がある。ボンゴレファミリーに精通している、ある1人の情報提供者に、その情報を教えてもらいました。
一応、誤解がないように伝えておきますが、この情報の提供者は9代目ではありません。
彼とは、ほとんど連絡など取ることはできませんでしたからね。今回の状況から考えても。」
9代目の生存がバレないように、幾つもの手を打ちながら、その手を守り抜く・・・・・・その考えの元動いていたために、9代目とは、わずかな時間、ファミリーの怪我を治すための協力要請と、その日の争奪戦の結果を伝えるだけにとどめていた。
これが、ちゃんとXANXUSさんに伝わっているかはわからないけど、9代目が漏らした情報ではないことだけは、ハッキリと彼に伝えておきたかった。
「きっとこれは、本来ならば明かすべき事実ではないのでしょうね。ですが、いずれは必ず把握されてしまう事実です。
あなたは、イタリアにある下町に生まれ、先天的に炎を宿していた・・・・・・死ぬ気の炎とは違う性質を持ち合わせていた、憤怒の炎と呼ばれる力を。
きっと、下町に暮らしている人も、9代目が炎を宿していることを知っていたのでしょうね・・・・・・。
だからこそ、あなたの母親は、あなたは9代目と自身の間に生まれた子供であると言う妄想に閉じ込められてしまった。」
静かに言葉を紡ぎ、彼の身に起きたことを語る。
9代目と明確な関係など持ち合わせていないはずの母親が引き起こしてしまった、一つの悲劇を。
「あなたの母親は、何も知らない幼いあなたを連れ、9代目の元へとやってきた。9代目と、あなたを面会させるために。
あなたと面会した9代目は、あなたのことを引き取った。あなたは自身の息子であると口にして。
あなたは、きっとそれを心の底から信じていたのでしょうね。幼い子供は、知識がまだ多くなく、純粋であるがゆえに、目に映るものや言葉を信じますから。」
自身を慕う、幼い子供達のことを思い浮かべながら、純粋であるがゆえに、幼子は疑うことを知らないと口にする。
わたしのような、前世の記憶を持つと言うイレギュラーを持ち合わせていなければ、幼子のうちは、何もかも信じてしまうことを否定することができないから。
「9代目に引き取られたあなたは、沢山のことを学んだのでしょう。マフィアと言う存在がどのような組織で、あなた自身が置かれた世界が、どのような場所であるのかを。
ええ・・・・・・つい最近、マフィアに触れたばかりの私なんかよりも、はるかに多くの知識や、マフィアの世界での生き方を、その体に蓄えていたのでしょうね。」
マフィアのボスになるべく、行われ続けたであろう教育・・・・・・きっとそれは、今のわたしが受けているものとは比べ物にならないもので、マフィアと言う組織上、命の危険にも晒されながら行われていた可能性も高い。
普通に遊べるようなことはあったのだろうか?友達を作って笑うことはあったのだろうか?わたしのように、沢山の温もりに囲まれたことはあったのだろうか?
沢山の愛情を・・・・・・優しさを注がれ続ける生活を、経験することはあったのだろうか?
わたしは一端でしかマフィアを知らない。目の前にいる彼のように、深く触れているわけではない。
だからこそ、マフィアの世界の親子がどのようなものかわからない。どんな生活だったのかなんて、わかるはずがない。
「マフィアのボスになるための教育を受けていたあなたは、威厳と実力、その両方をしっかりと持ち合わせ、次代のボスに相応しい人間だったと、情報を提供してくれた方から聞いています。
同時に、次代のボスはあなたであると周りから思われているような状況下の中で、自身の母親と9代目の間には繋がりなど一つもなく、9代目の養子として引き取られただけに過ぎず、ボンゴレの血を明確に引いている人間でなくては、ボスの継承を認められないことを知ってしまったとも。」
だからこそ、あなたを理解することができるなど言うつもりはない。
明確な怒りや憎悪というものは、それらを宿している人間にしか計り知れないのだから、知ったかぶりをするのは、その上で同情するというのは、相手に対する侮辱にしかならないのだから。
「それを知ったあなたの怒りを、憎しみを、私は理解しようとは思いません。それらを理解しようとすることは、あなたと言う存在に対する侮辱にしかならないので。
・・・・・・同時に、私は、あなたに対して降伏など求めません。それは、あなたの憎悪を触発させるだけですから。」
この場で明確な敗北を突きつけたところで、激昂されるのは目に見えていた。
彼の怒りは燻ったまま、未だに赤い瞳を燃やしているのだから。ただ、このリングを彼に渡してはいけないことだけはわかっていた。
このリングは、目の前にいる青年の命を蝕んでしまうと、本能的に感じていたために。
「・・・・・・ただ、一つだけ、聞かせてください。あなたは、9代目から与えられていた愛情を、どれだけ把握できていましたか?」
「!?」
だけど、これだけは知りたかった。彼が持ち合わせている憎悪が計り知れないことは、理解不能なことはわかっていたが、彼が愛情を感じたことがあるかだけは知りたかった。
わたしは多くの愛情を知った。注がれ続ける温もりを、わたしの寂しさを埋めるために、与えられ続ける愛情を知った。
だからこそ、わたしは自分の周りに集まる人々を守りたいと思った。自身の寂しさを埋め合わせてくれる愛情を失いたくないと言うワガママのために。
では、XANXUSさんは?ボスの座に執着し、手を伸ばし続け、わたしとは違い、孤独でも、孤高でも構わないからと、駒は手にして座に手を伸ばしていた彼は、どれだけ愛情を感じていたのだろうか?
愛情を感じていなかった?少しでも愛情を感じていた?それだけは知りたかった。
そして、できることならば、少しでもそれを知っていたらと、僅かな望みを抱いていた。
「っ・・・・・・気色悪い無償の愛などクソの役にも立つか!!オレが欲しいのはボスの座だけだ!!
カスはオレを崇めてりゃいい!!オレを讃えてりゃいいんだ!!」
「・・・・・・そうですか。それがあなたの考えなのですね。」
告げられた言葉に、わたしは短く返答する。
愛情など役に立たないものは不要である・・・・・・彼が心から望んでいるものは、ボンゴレが保有する確かな権力と威光のみ。
そのためならば、自身のコマですら使い潰し、容赦なく切り捨てることも厭わない・・・・・・。
本当にそれだけが求めるものであるならば、自身を崇め、讃えろと言う言葉は、出てこないのではないのだろうか?
彼もまた、ある意味で愛情を欲している存在だったのではないだろうか?
権力と威光、それを求めているのは間違いないだろう。だが、同時に出てきたその言葉は、どんな形であれ、愛情を求めているようにも見える。
だけど、きっと、それを指摘したところで、彼はそれを否定するのだろう。
「どうやら、私とあなたは、真逆の考えを持ち合わせている存在同士のようですね。」
そこまで言葉を口にしたわたしは、その場で踵を返したのち、わたしの元に合流した、武とランボからもボンゴレリングを預かる。
腰に下げていたベルトに、その二つのリングを固定して、手元に残っている大空のリングを、静かにその場で握りしめた。
「・・・・・・わたしは、無償の愛が役に立たないとは思いません。なぜならわたし自身、その沢山の愛情に生かされている身です。
どのような形であれ、沢山注がれる愛情の中で、わたしはようやく息をして、優雅に泳ぐことができる存在ですから。
だからこそ、その愛情を与えてくれる大切な海原は、絶対に手放したくありません。
・・・・・・だから、リングを奪った上で、わたしの居場所すらも消そうとしている人に、これを譲るわけにもいきませんね。」
そして、改めてボンゴレリングは渡せないことを告げたわたしは、いざと言う時の持ち合わせていたものを手に取り、一瞬にしてXANXUSさんの背後へと回る。
わたしが背後に回った姿を見て、XANXUSさんは目を見開き、こちらに視線を向けようとしたが、それより先に、わたしは手にしていた注射器の針を彼の首元に突き刺した。
「おやすみなさい、XANXUSさん。あなたの処罰に関しては、9代目に決めていただきます。
わたしはまだ、ボンゴレファミリーを継承したわけではありませんからね。」
手にしていた注射器を引き抜くと同時に、XANXUSさんは意識を失いその場で倒れ込む。
最終手段として持ち合わせていたこれは、念の為に持ち合わせていた、リストバンドに含まれている薬品の原型となっていた睡眠薬だった。
ヴァリアーの襲撃が起こった時、彼らの部下に使っていた薬品と同型の物で、暗殺部隊であるがゆえに、持ち合わせている薬物に対する耐性を、一時的に破壊して、強制的に眠らせる。
わたしがボスになれるようにと、度々ボンゴレファミリーの技術者を懐柔しに行ったDさんにより作り上げられた人脈は、これからも使うことになりそうだ。
「・・・・・・終わりました、9代目。」
「ああ。お疲れ様、奈月ちゃん。そして、ありがとう。私の息子を止めてくれて。」
そんなことを思いながら、わたしは9代目の元へと足を運び、回収したボンゴレリングを彼に手渡す。
わたしの手元からボンゴレリングを受け取った9代目は、申し訳なさそうな表情を見せながら、静かに感謝の言葉を述べる。
「此度の争奪戦・・・・・・沢田奈月を勝者として認め、10代目の正式な後継者として認めよう。」
そして、わたしの勝利をその場で口にし、XANXUSさんへと視線を向ける。
争奪戦が終わったにも関わらず、辺りに広がるのは、重たい沈黙だけだった。
ハルのハルハルインタビューや、犬のケンケンぱぁ〜、ルッスーリア3丁目、怪物使いツナのネタは・・・・・・
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骸「奈月ありで番外に書きましょうよ。」
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リ「別にいらねーんじゃねーか?」
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雲「どっちでもいい。」