最強の愛され系ボンゴレ♀は、今を全力で楽しみたい   作:時長凜祢@二次創作主力垢

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 慰労会による祝宴があった翌日、蒼穹の女王はある青年を訪ねる。
 それは、彼女達の前に立ち塞がった、銀色の鮫の青年だった。



女王は鮫と再会する

 9代目が身を置く屋敷にて、慰労会として開催され祝宴を楽しんだ日の翌日。

 わたしは、いつものように呪解をして行動を取るリボーンを連れて、ある場所へと向かっていた。

 それは、ディーノさんが身を置いている日本の屋敷。そこにいる、ある1人の青年を訪ねるために。

 

「おはようございます、スクアーロさん。」

 

「・・・・・・ああ、沢田奈月かぁ。」

 

 キャバッローネファミリーの人々に連れられ、屋敷の中へと足を運べば、厳重なる監視下の元、ベッドに寝転んでいた青年、S・スクアーロさんの姿が視界に入り込む。

 すぐに彼に話しかければ、彼はわたしの姿を見るなり、少しばかり表情を歪めた。

 彼の視界の先には、わたしが腕につけているブレスレットに通されたボンゴレリング・・・・・・ボンゴレファミリーを正式に継承する候補者が手にする、証の指輪が映り込んでいた。

 

「跳ね馬から聞いたぜぇ。うちのボスを一方的に抑え込みやがったらしいなぁ。」

 

「ええ。戦闘の開始と同時に、いつものブーツを使って鳩尾を狙い、いくつか骨を折らせていただきました。

 いくらタフネスがあろうとも、胸部にある骨・・・・・・肋骨が一本でも折れてしまえば、暗殺部隊のボスであろうとも、行動に制限がかかりますからね。

 ついでに、戦闘に長けている雲の守護者と、真っ先に戦線離脱を図ってもらいたい雷の守護者にリングを与え、行動に移してもらいました。」

 

「ハッ・・・・・・相変わらずえげつねーことをやりやがる女王陛下だぜ。」

 

 吐き捨てるように告げられた言葉に、わたしは数回瞬きを繰り返す。

 先制で肋骨を狙ったことに対して、感心と引きの両方を抱かれているようだ。

 そのことに関して、少しだけ考え込む。戦場である以上、えげつないだ卑怯だはないような?

 

「生きるか死ぬかの戦場で、えげつないも卑怯も何もないでしょう?相手の行動を制限する・・・・・・もしくは、確かなデバフを与え、戦闘力を一気に落とすと言うのはセオリーでは?」

 

「ちがいねーなぁ・・・・・・。」

 

 考え込んだ後に出て来た思考を口にすれば、スクアーロさんは小さく笑い声を漏らす。

 そして、鋭さのある三白眼を、わたしの方へと向けてきた。

 

「話によりゃあ、お前はオレの技すら模倣したそうじゃねーか・・・・・・」

 

「ああ・・・・・・“鮫衝撃”(アタッコ・ディ・スクアーロ)のことでしょうか?あなたが、私と戦闘した際、何度か使用して来たのを見ていたので、武にしっかりと情報を提供させていただきました。

 どうも、複数回見たものは、ある程度模倣できてしまうようなので。まぁ、映像越しとかは無理ですけど。」

 

「チッ・・・・・・相変わらず一般離れしてやがんな・・・・・・」

 

 今回ばかりは呆れとドン引きであることがハッキリわかる。

 まぁ、長く考えて編み出したはずの技を、数回見た程度で模倣してしまうような人間がいたら、誰だってそんな風に思うだろう。

 そんなことを思いながら、返事として肩をすくめてみせれば、やれやれと言わんばかりの様子を彼は見せた。

 

「・・・・・・これも、跳ね馬から聞いた話だが、お前はどうやら、ウチのボスさんの裏の裏をかいていたそうじゃねーか。」

 

「ああ、9代目の偽物事件に関してですか?こう見えて私、9代目とは随分と前から文通と定期連絡をしあう仲でして。

 彼と何度もやり取りをしていたからですかね?ある日、届いた一通のお手紙の中に、“怪しい動きをしている者達が最近確認されている”、と記されておりまして。

 それを見て、9代目が危ないと判断したので、9代目の霧の守護者であるクロッカンさん・・・・・・および、私の霧の守護者である六道骸と、霧の守護者に選抜されてもおかしくないレベルの幻術を扱える私自身の三つの力を合わせ、ヴァリアーが9代目を襲撃するより先に、本物と差し支えがないレベルの有幻覚による偽物の9代目を用意させていただきました。」

 

 “私には、協力してくださる人脈が幅広く手札としてありますので”・・・・・・と口元に笑みを浮かべながら告げれば、スクアーロさんは深く溜め息をはく。

 その溜め息は、わたしと言うイレギュラーが現れたことに対する諦観が含まれているようだった。

 

「じゃあ、なんで9代目の死ぬ気の炎が観測されていたんだ?」

 

「私の知り合いに、死ぬ気の炎に関して詳しい方がいまして。その人は、死ぬ気の炎を灯せるボンゴレリングに使用されている鉱石の類似品を採掘できるようなのですよ。

 それをアクセサリーに加工し、死ぬ気の炎を灯せるようにして、9代目が持ち合わせている大空属性の死ぬ気の炎と、私と骸、それと、9代目の霧の守護者であるクロッカンさんの霧属性の死ぬ気の炎を同時に灯せるようにし、幻覚人形の依代にしていました。」

 

「ゔぉおい!テメェの人脈マジでどうなってやが・・・・・・つッ!?」

 

「あーあ・・・・・・大声なんか出すからですよ。治療を施されているとはいえ、9代目からの厳格な判断により叛逆者認定されたヴァリアー陣営なのですから、こちら程しっかりとした治療をされていないのですから。」

 

 体の痛みに表情を歪めたスクアーロさんに、今度はわたしが呆れながら声をかける。

 目の前にいる彼は、決戦の場に放り込まれた彼ら程軽度ではないが、それでもしっかりとした治療をされていない人だ。

 包帯はもちろんぐるぐる巻き。腫れの炎による治療も、致命的なもの以外には施されていないのだから、痛いのは当然である。

 

「くっ・・・・・・本当に9代目は、お前らの方を優先したらしいなぁ・・・・・・っ」

 

「だって襲撃してきたのそっちじゃないですか。私達は全体的に不意打ちでしたよね?しかも組織のボスを亡き者にしようとした上、ご丁寧に影武者まで使って何もかも有利に運ぼうとしていたのは誰でしたっけ?

 自業自得って言葉、ご存知です?あなた方がやったのは自業自得の因果応報ですよ。

 しかも、戦闘に関してど素人相手にプロを差し向けてきましたし、そう言うのなんて言うか知ってます?大人げねーんですよおっさん。」

 

「ン゛ッ・・・・・・・・・っ〜〜〜〜〜!!」

 

「てんめっ・・・・・・!!人が弱ってるのをいいことに好き勝手言いやがって・・・・・・っ!!」

 

「え?何か問題でも?ガキンチョ相手にくだらない罠張って陥れようとしたおっさん達に遠慮なんてする必要あります?ありませんよね?

 不意打ち喰らって窮地に立たされた側がなんで我慢しなくちゃならないんです?嫌味や毒の一つや二つ・・・・・・いっそのこと百くらい言っても別に構わないですよね?」

 

「不意打ちはそっちもしてるだろうが!!」

 

「え?そもそも先に罠を張って来たのはそっちなので罠を張り返しただけですよ?目には目を。歯には歯を。それなら、罠には罠をでしょう?何か間違ったこと、私言ってますっけ?」

 

 背後でリボーンが爆笑する中、これまでの鬱憤を晴らすように、次々と脳裏に浮かぶ言葉をスクアーロさんにひたすらぶつけていく。

 なんとか修行により、食らいつけるようになっていたとは言え、やはり、プロの暗殺者からいきなり戦闘を申し込まれると言うのは我慢ならないことだった。

 わたしが死ぬ気の炎の特性を知っていたからこそ、対処することができたが、それを知らなかった場合、わたし達はどのような結末を迎えていたかわからない。

 

 それこそ、未来を奪われてもおかしくなかったのだ。命が助かっていたとしても、大怪我を負って普通の生活ができなくなっていたかもしれない。

 生きていても一生目を覚まさない体にされていたかもしれない。不自由な体にされていたかもしれない。

 他にも、考えられるもしもは、戦闘の先に沢山存在していた。

 

 もはや、マフィアの世界に巻き込まないなんてことは不可能だ。

 抱えていた夢を、多くの人に捨ててもらわなくてはならない状態にまで後戻りはできなくなっている。

 それに関しては後悔しかない。後悔しかないけど・・・・・・

 

「あなた方のような、人の命を軽んじるような連中如きに、私の大切な人々を殺されそうになって、黙っていられるわけがないでしょう?」

 

 それ以上にわたしは、他人にわたしの大切な居場所を奪われるのが我慢ならなかった。

 わたしの側が決して安全じゃないのはわかっている。生死が隣り合わせとなっている世界に足を踏み入れているのはわかっている。

 だけど、それでもわたしは、みんなを失いたくなかった。命を駒としてしか扱わず、役に立たないからとおもちゃのように切り捨てるような人に、奪われたくなんてなかった。

 わたしについて行こうと決めてくれた人々を馬鹿にされたくなかった。

 

 これは、明確な怒りだ。自分の大切な居場所を、守り抜くと決めた人々を、虫けらのように踏み潰そうとした、目の前にいる暗殺者と、その組織に対しての。

 

 わたしが真っ直ぐと、明確な怒りをぶつけていると、スクアーロさんは少しの間黙り込む。

 だが、こちらの感情が確かなものであるとわかった瞬間、その場で小さく溜め息を吐き、静かに口を開いた。

 

「お前の気持ちはよくわかった。だが、わかってんのか?お前らが入った世界は生ぬるい世界じゃねぇ。

 これまで通りにぬくぬくと平和ボケして暮らせるような場所じゃねーんだよ。

 完全にこちら側の世界の人間になっちまった以上、次々とお前らを消そうとする連中が現れる。

 いずれ後悔するだろうよ。この戦いで死んでいた方が良かったとな。」

 

 スクアーロさんから告げられた現実に、わたしは少しだけ無言になる。

 彼の忠告・・・・・・明確な警告は、ひどく重くのしかかる。

 

「ええ。それくらいはわかっています。だからこそ、私はみんなを守れるように、そして、しっかりと手を繋いでいけるように、これからも沢山の試練に向き合うつもりです。

 もちろん、他のみんなにも向き合ってもらいます。彼らの覚悟は、しっかりと聞き届けていますから。」

 

「覚悟だと・・・・・・?」

 

 スクアーロさんが口にした疑問に、わたしは静かに頷いた。

 

「私のことを側で守れるのであれば、夢を手放しても構わない。私以外のボスに仕えるつもりはないから、側にいさせてほしい。

 私が無茶をしないように手を貸していきたい。そのためならば強くなる。今は頼りなくても、絶対に私を守れるように強くなるから、一緒にいさせてほしい。

 私が助けを求めるならば、いくらでも手を貸す。味方をするから守護者にしてほしい。

 そして、私を守ると決めたから、本気で助けてほしいと望んだ時にすぐに駆けつけてあげたいから、ずっと側にいさせてほしい。

 度々ふわっとした理由がありますが、彼らの目には、明確な決意と覚悟が宿っていました。

 だから、私は彼らと共に、この道を歩いていこうと思っています。私の目的もありますしね。」

 

 自身の守護者として選ばれた大切な人々を脳裏に浮かべながら、この道を歩くわたしについて行こうとしている彼らの瞳に宿る確かな強さを思い出す。

 本当に・・・・・・わたしはみんなから大切にされているのだと、改めて認識しながら。

 

「・・・・・・そうかよ。」

 

 こちら側の話を聞いて、スクアーロさんは短く返事をしてベッドに寝転ぶ。

 このまま眠るのだろうかと、少しだけ首を傾げたが、彼が眠る前に、あることを聞きたいと思い立ち、わたしは静かに口を開ける。

 

「スクアーロさん。お休みの前に一つだけ教えてください。」

 

「・・・・・・なんだぁ。」

 

「あなたはなぜ、大きな力を持ちながらも、自身が組織のトップではなく、XANXUSさんの下につこうと・・・・・・XANXUSさんについて行こうと思ったのですか?」

 

 自身が持ち合わせている超直感を以ってしても、辿り着かなかった疑問の答え。

 それを知りたくて、スクアーロさんに問いかける。わたしからの問いかけを聞いたスクアーロさんは、少しの間無言になった。

 

「・・・・・・オレは、奴が持ち合わせている怒りに惹かれたんだ。野望すらも現実にする程、強く燃え盛る怒りに。

 お前のファミリー連中は、お前の優しさや、真っ直ぐと向き合おうとする真摯さ、温もりに触れたからお前のために夢なんざ捨ててやるとすら言えたんだろうな。

 それと似たようなもんだ。野望を現実に変えるための怒り、リングの秘密を知ったとしても、決して諦めず怒りを燃やし、掟すらも破壊尽くさんとするであろう不屈の精神に、オレは惹かれたんだ。

 だからこそ、オレは、あいつが野望を叶える姿を、少しでも近い場所で見届けたかったんだ。」

 

 程なくして紡がれた問いかけの答えに、わたしは少しの間黙り込む。

 しかし、彼が言ってる気持ちはなんとなくわかってしまい、小さくわたしは笑みを浮かべた。

 

「確かに・・・・・・XANXUSさんは、私が眠らせるまでずっと指輪に手を伸ばし続けていました。絶対にボスの座を手に入れる・・・・・・その執念は、恐ろしくもあり、同時に尊敬できるものでした。

 あなたの言っている通り、XANXUSという男性は、どれだけ絶望を叩きつけられようとも、自身の望みを叶えてやるという不屈の精神の塊でしたよ。

 きっと、他の誰もが真似をすることができない、生まれ持った才能だったのでしょうね。」

 

 彼の想いを真正面から見ていたからこそ、口にすることができた言葉は、スクアーロさんに確かに届いたのか、彼は小さく鼻を鳴らす。

 

「当然だぁ・・・・・・。あいつは、オレが知る中で最も諦めが悪く、どんな時でも争い続ける男だからなぁ。

 お前も、ぼさっとしてたらいつか必ずあの男に灰燼に還されるぜ。精々、あいつを止められるくらい強くなり続けろ。」

 

「そうさせてもらいます。もちろん、私の大切な居場所を作ってくれるみんなにも、精進するように伝えておきますよ。

 ・・・・・・今度は向こうと拮抗するのではなく、圧倒的に上回れるようにとね。

 まぁ、それよりも私は、彼に一つお願いしたいこともあるのですが・・・・・・」

 

「お願いだぁ?」

 

「ええ。まぁ、任意のものですし、お断りされる方が遥かに高いのですが、できれば一つの手間を省くことができるようにしておきたいのですよね・・・・・・」

 

「???」

 

 わたしが口にした言葉に、眠ろうとしていたはずのスクアーロさんは、混乱したような様子で目を開ける。

 

「では、ゆっくりお休みください。失礼しますね。」

 

 そんなスクアーロさんに背を向けたわたしは、リボーンを連れて今いる場所を後にする。

 

「・・・・・・XANXUSに何を頼む気だ?」

 

 部屋から出て、しばらくした頃、リボーンから疑問を告げられる。

 XANXUSさんへのお願い事・・・・・・そんなものがわたしにあるとは思わなかったようで、彼も軽く混乱しているようだった。

 

「内緒。ただ、一か八かの賭けだから、念には念をってことで、父さんやディーノさん、もちろん、リボーンにも一緒についてきてもらう。

 わたしは、彼に降伏を求めるつもりはないし、敗北を突きつけるつもりもないけど、ボンゴレファミリーを継いだあとのことを考えると、彼のような人も必要になると思ったからね。」

 

「?」

 

「まぁ、明日になったらわかるよ。その話を持っていくつもりだから。」

 

 不思議そうにするリボーンに対して、明日になればわかるとだけ伝えたわたしは、そのまま帰路に着く。

 できることならば、聞いてほしいものだと思いながら。

 

 

 




 沢田 奈月
 スクアーロに面会し、鬱憤を晴らすかのように毒を吐きまくった蒼穹の女王。
 これからのことを考えて、XANXUSにあることを伝えたいと思っている。

 リボーン
 スラスラと毒を吐きまくる女王の姿にサイレント大爆笑をかましてしまった最強ヒットマン。
 しかし、スクアーロの元から離れる際、彼女が口にした言葉に疑問を抱き、ハテナマークを頭上に浮かべていた。

 S・スクアーロ
 跳ね馬の監視下で療養していたら、女王から思い切り毒を吐かれた憤怒の雨たる剣士。
 とんでもねー小娘だな相変わらず!!とイライラしていたが、彼女が退散する際に口にした“お願い事”と言う言葉に首を傾げた。

ハルのハルハルインタビューや、犬のケンケンぱぁ〜、ルッスーリア3丁目、怪物使いツナのネタは・・・・・・

  • 骸「奈月ありで番外に書きましょうよ。」
  • リ「別にいらねーんじゃねーか?」
  • 雲「どっちでもいい。」
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