最強の愛され系ボンゴレ♀は、今を全力で楽しみたい   作:時長凜祢@二次創作主力垢

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 意味深な言葉を残し、日を越した蒼穹の女王は、憤怒の化身が療養する病院を訪れる。
 全ては彼に、あるお願いをするために。



蒼穹の女王は、憤怒に願う

 スクアーロさんとの面会をした翌日、わたしは、ある場所へと足を運んだ。

 それは、ヴァリアー陣営が身を置いている病院。断られる可能性はあるが、一つのお願いをするために、XANXUSさんとの面会をしたかったのである。

 

「どうも、XANXUSさん。」

 

「・・・・・・何だ?無様な姿を晒してるオレを笑いにでも来やがったか?随分と女王陛下は暇なようだな。」

 

 XANXUSさんが横たわる病室に足を運び、挨拶を口にすれば、これでもかと言わんばかりの嫌味を言われてしまった。

 まぁ、それも仕方ないことだろう。ぽっと出のマフィアと縁がなかったはずの小娘に手も足も出ないレベルでコケにされてしまったのだから。

 

「そうですね。まぁ、そのように言われても仕方ないことをしたことは自覚してますよ。

 ですが、先に仕掛けてきたのはあなたの方ですよね?だから、私はそれ相応の報復を行なったに過ぎませんよ。」

 

 XANXUSさんからの嫌味に対し、真っ向から言い返す。

 わたしの反応を見たXANXUSさんは、一度こちらを無言で見つめたのち、すぐに視線を逸らした。

 雰囲気からして、さっさと帰れと言わんばかりの様子だ。まぁ、自身をコテンパンに負かした小娘なんかと長く同じ場所にいたくはないだろう。

 ならば、さっさと本題に入る方が、彼の精神衛生上、マシになるかもしれないな。

 

「今回、こちらに足を運んだのは、あなたに一つだけお願いしたいことがあったからです。

 もちろん、任意ですので断るのも自由ですし、歯向かうのも勝手です。ですが、話だけは聞いてもらえませんかね?」

 

「お願いだと・・・・・・?」

 

 そんなことを思いながらも、わたしはここにやって来た理由を口にする。

 案の定、XANXUSさんからは訝しげな表情を向けられてしまったが、自身を負かした小娘が、命令ではなくお願いと口にしたからか、少しだ話を聞こうとしている様子を見せた。

 

「ええ。これからのボンゴレファミリーを考えるにあたり、あなたの力が必要だと思いまして。」

 

 訝しげなXANXUSさんの姿に、わたしは小さく笑みを浮かべたまま言葉を紡ぐ。

 あなたの力が必要・・・・・・まさか、そのようなことをわたしから言われるとは思いもよらなかったのか、XANXUSさんは驚いたように目を丸くしたのち、僅かな警戒を表に見せる。

 

「・・・・・・降伏は求めねーんじゃなかったのか?」

 

「ええ。求めるつもりはありませんよ。ただ、私はあなたを利用したいだけですからね。」

 

 わたしの言葉の意味が理解できないのか、XANXUSさんは困惑したような表情を浮かべる。

 真っ向から利用したいなんて言われたのだから、その反応は妥当だろう。

 だけど、わたしが彼に通したい話は、まさに、彼の知識を利用するに等しい行動のため、嘘偽りは一つもなかった。

 

「知っての通り、私はあなた程マフィアの知識を持ち合わせているわけではありません。ですから、私はあなたの知識をお借りしたいのですよ。

 もちろん、搾取するだけの関係は築かないつもりでいます。あなたにとって、メリットになるかはわかりませんが、提示したい条件もあります。

 まぁ、先程も言った通り、これは全て任意によるものですからね。断ってくださっても構いません。」

 

 淡々と、自身の目的をXANXUSさんに伝えれば、彼は一応話を聞こうとはしてくれているのか、少しだけ警戒を緩めてくれた。

 そのことに安堵しながら、口元に笑みを浮かべたわたしは、静かにいる口を開く。

 

「XANXUSさん。私と一緒に、ボンゴレを強固なものへと変えていただけないでしょうか?

 ああ、勘違いされる前に言っておきますが、これは、私の下につけと言っているわけではありません。

 ただ、自身の知識不足、および、自身の周りの環境からして、私にはXANXUSさんのように、真っ向から衝突してくださるような方が必要だと思いましてね・・・・・・。」

 

「真っ向から衝突する人間が必要だ?何を言ってるんだお前は。」

 

 意味がわからんと言わんばかりの反応を見せるXANXUSさんに、まぁ、その反応も仕方ないと思いながらも静かに頷く。

 衝突してくれるような人間の有無・・・・・・あえて衝突してほしいだなんて、マゾヒストかと、内心で自身にツッコミを入れながら、わたし再び口を開いた。

 

「真っ当な反応、ありがとうございます。予想通り過ぎて少しばかりつまらないですが、自分でも意味不明なことを自覚していますので、あえてそのツッコミは受け入れましょう。」

 

「あ゛?」

 

 急な襲撃により、急遽様々なことをしなくてはならなくてはいけなくなったことに対する鬱憤を吐き出すついでに、毒を交えて言葉を紡げば、案の定、XANXUSさんは苛立ちを見せた。

 だけどわたしは、そんな彼のことなど気にすることなく、自身が置かれている環境を口にする。

 

「私の周り、全体的に私のことを肯定する人間の集まりとなっておりまして・・・・・・。

 自身のファミリーどころか、キャバッローネファミリーや、門外顧問のトップ、さらに言うと、あの最強のヒットマンと名高いリボーンまでもが、私のワガママや望みを叶えようとしてしまうのですよね。

 もし、そんな彼らを従えて、ボンゴレファミリーと言う大きな組織を引き継いだらどうなると思います?」

 

 わたしの問いかけに、XANXUSさんは一旦考え込むような様子を見せる。

 しかし、すぐに予想がついたのか、その表情を軽く歪めた。

 

「お前が望んだカタチで、何もかも変えちまうだろうな。」

 

 告げられた言葉に、わたしは静かに頷く。

 わたしと言うただ1人の人間が持ち合わせている思想のままに、ボンゴレファミリーが築き上げられてしまうと言うのは、あまりいいことではない。

 

「その上、私はまだマフィアの知識が浅く、あなた程持ち合わせていません。そんな私が、私の思想のままにボンゴレファミリーを継承してしまっては、間違いなく弱体の一途を辿るでしょう。」

 

 そこまで口にしたわたしは、XANXUSさんを真っ直ぐと見据える。

 ここからがぶっつけ本番・・・・・・彼の力を借りることができるようになるかの境目だ。

 

「そこで、私はXANXUSさんを含むヴァリアーの皆さんとは対等に意見を出し合う関係になりたいと思っています。

 知識が浅いことにより、狭い視野の中、自身の直感による閃きが唯一の頼りである私と、マフィアの世界の深部の方まで精通し、数多くある情報や情勢から思想を正確に効率よく組み上げることができるXANXUSさん・・・・・・どちらの知識も、特性も、これからのボンゴレには必要だと思うのです。」

 

 わたしの言葉に、XANXUSさんは無言で耳を傾ける。

 この反応が、どちらの答えを出したことによるものかは少しだけ判断しかねるけど、話だけは聞いてくれる・・・・・・それだけはしっかりとわかるものだった。

 

「私自身が掲げる思想や意見があるように、XANXUSさんにも、XANXUSさんが掲げる思想や意見があると思っています。

 だから私は、あなたの思想も参考にしたい。私だけの思想だけでなく、XANXUSさんの思想も合わせて、ボンゴレを変えていきたいのです。

 私の思想や意見よりも有用な思想と意見があれば、それを取り入れたいし、互いの思想と意見が衝突し合うのであれば、納得するまで衝突させるか、両方の思想と意見を折半し、新たなものへと昇華させる・・・・・・それができれば、ボンゴレをより良いものへ、そして、あなたにとっても過ごしても良いかと思えるようなものへと変えられると思いませんか?」

 

 そんなXANXUSさんに、わたしは畳み掛けるように、自身が彼にお願いしたいと思ったこと・・・・・・様々な意見をぶつけ合えるような関係を築いていきたいから、力を貸してほしいと言うお願いを口にする。

 

 XANXUSさんは、わたしがそんなことを言ってくるとは思わなかったのか、これでもかと言う程に目を見開く。

 しかし、すぐにその表情は消し去り、わたしを見つめ返して来た。

 

「まぁ、簡単に言えば、良きビジネスパートナーとして、様々な意見をぶつけ合い、それを確かな組織運営へと繋げていきませんかと言うお誘いです。

 確かに、あなたはボンゴレファミリーに対する叛逆者のレッテルから逃れることができませんし、許されざることを行なっていたことも否定できません。

 そのため、本来ならば、その罪を裁く存在が表に出て来てもおかしくはありませんが、私としては、あなた程ボンゴレファミリーや、それを取り巻く情勢を把握している人間と言う手札は逃したくないのですよね。」

 

 口元に笑みを浮かべながら、わたしはXANXUSさんへと握手を求めるように手を差し出す。

 手を差し出したわたしを見たXANXUSさんは、わたしの目から、差し出された手の方へと視線を落とした。

 

「お話はここまでです。あとは全て、あなたの判断に任せます。私に、あなたの意見や知識、思想を少しでも参考にすることができるチャンスをくださいますか?」

 

 あくまで従僕ではなく対等を求めるわたしを見て、XANXUSはしばらくの間無言になる。

 しかし、そのあと小さく笑い声を漏らし、わたしが差し出した手を握り返して来た。

 

「いいだろう。その話を受けてやる。だが、ちゃんとこっちが満足するような運営をしてくれよな、女王様?

 くだらねー運営が目立つ様なら、その時はすかしたお前の寝首をカッ消してやらぁ・・・・・・!!」

 

「どうぞご勝手に。こちらの意見が有用であると判断している時は、真っ向から自身の意見をぶつけていくだけですので。

 まぁ、そちらの視野があるからこそ、動かせる物もあるでしょうからね。程よい距離感で過ごせたらと思います。」

 

 不敵に笑いながら握手に応じてくれたXANXUSさんに、自身の意見が正しい時は、それをただぶつけ、XANXUSさんの視野があるからこそ上手くいくことがあれば、その時はそれを使わせてもらうと告げる。

 そして、軽く掴み合った手を緩やかに振ったあと、わたしは静かに手を離した。

 

「では、これからは良きビジネスパートナーとして、互いの意見をぶつけ合いながら、互いに良い組織へと変えていきましょう。

 まぁ、私がボスを継承するのは、学生業を終えたらと言う話らしいので、今はまだ、ビジネスパートナー予約の様な物ですが、時が来たら、その時はよろしくお願いしますね?」

 

「ああ。言っとくが、しっかりと公正に判断しろよ。」

 

「もちろんですよ。公正に判断した上で、どちらの意見を運営に回すかを決めます。

 必要ならば、定例会議を開くことができる状況を作り、意見を出し合えば良いと思っていますしね。」

 

 釘を刺す様に言われた言葉に、それならば会議を開ける様にしてしまえばいと告げれば、XANXUSさんは一瞬、目を丸くする。

 しかし、すぐに「そうかよ」と短く言葉を漏らしては、ベッドに横たわった。

 

「では、私はこれで失礼しますね。」

 

「ああ。さっさと帰れ。」

 

「ええ。そうさせていただきます。」

 

 そんなXANXUSさんの姿を確認したわたしは、彼がいた病室から立ち去った。

 

「・・・・・・はぁ・・・・・・緊張したぁ・・・・・・。」

 

「だからオレを同行させろっつったんだよバカナツ。」

 

「まぁ、言いたいことはわかるけどね。プリーモの血が教えてくれたんだよ。彼とは一対一で対応すれば話を聞いてくれるし、手を組んでくれるってね。

 だから、一対一の環境を作ったんだ。でも、危険なのは変わりないから、リボーンには病室の外にいてもらった。」

 

「・・・・・・ったく・・・・・・そう聞くと、プリーモも中々酷なことをやらせやがるな。まぁ、血に刻まれたプリーモの意思がそうしろと言うのなら、間違いはなかったんだろうが・・・・・・。」

 

 呆れた様な表情をしながら、リボーンはわたしの中に流れるプリーモの血に対して軽く文句を口にする。

 この場にジョットさんはいないから、彼にこの話が届くことはないと思うけど、彼がこの場にいたら、申し訳なさそうにするか、頭を抱えてしまいそうだ。

 

「なんにせよ、XANXUSさんの知識を借りることができる状況が作れたことはかなり大きいよ。

 わたしの知識だけじゃ、上手くいかないことが間違い無く出てくるからね。」

 

 XANXUSさんの手を借りることができる環境を作れたことはかなり大きいことを口にする。

 前世でも組織の運営をしたことがなかったため、組織運営に関しての知識はからっきしだったわたしからすると、暗殺部隊と言う部分的な部隊であろうとも組織運営をこなしてきたXANXUSさんの知識は、何よりも大きな力となる。

 彼の考えを取り入れながらも、自身の目的を果たすための組織を作り上げていけば、きっと、少しでも願いを叶えられるはずだから。

 それに・・・・・・

 

「確かに、リボーンやディーノさん、父さんの知識を借りるだけでも組織の運営はできると思う。

 でも、みんなの知識だけじゃ補えないことも出てくると思うんだよね。だからこそわたしは、活用できそうなものは活用したい。

 彼のことを理解するために歩み寄るよりも、互いに互いを利用することができる関係を築く方が、彼からの叛逆の意思をある程度削ぐこともできるはずだからね。」

 

 何よりも必要に応じて彼の意思や思想を取り入れ、XANXUSさんにとっても過ごしやすい状況を作り上げる方が、無駄な衝突を最小限に抑えることもできる様になるはずだ。

 対等に議論し合う関係に落とし込み、ビジネスパートナーとして組織の運営に関わらせること・・・・・・それが、今回の狙いだった。

 

 わたしの話を聞き、リボーンは目を丸くする。

 だけど、すぐにその表情は小さな笑みに変わり、小さな笑い声を漏らした。

 

「CHAOSだな。対等に組織運営に関わらせることで、相手の欲求をある程度叶えて抑え込むなんて、一体どこで思いつきやがった。」

 

「わたしなりに考えただけだよ。まぁ、この考えが上手くいくかどうかは、これから先のやり取りによって判断するしかないけどね。

 もちろん、敵対行動を取るのであれば容赦はしない。その時は、リボーンにも協力してもらいたいかな。」

 

「ああ。もちろん協力するぞ。」

 

 互いに顔を見合わせながら、口元に笑みを浮かべたわたしとリボーンは、すぐに前を向いて病院の廊下を歩く。

 これでまた日常に戻れる・・・・・・そう思いながら。

 

 まさか、その考えとは裏腹に、新たな戦いが目前に迫っているとは気づかずに・・・・・・・・・。

 

 




 沢田 奈月
 周りはこっちの意見を優先しがちな人々ばかりだし、誰かストッパーがほしいと思い、その立場としてXANXUSを抜擢した蒼穹の女王。
 XANXUSの叛逆の意思を削ぐことも目的の視野に入れ、彼にビジネスパートナーとして一緒に組織を運営しないかと告げ、見事彼に承諾させた。

 リボーン
 一緒に来てくれと言った割には、病室外待機を命じられ、かなり困惑したし反対もしたが、彼女が直感していた通り、一対一の方が話せている様子だったため複雑な気持ちを抱く。
 今回の誘いに対し、XANXUSの叛逆の意思を削ぐ目的も含めていたことを聞き、相変わらず考えが一般離れしていると笑った。
 彼女に言われるまでもなく、彼女に敵対する相手は容赦なく排除するつもりでいる。

 XANXUS
 一対一で話を持ちかけてくるどころか、自分にビジネスパートナーにならないかと誘ってきた女王にかなり驚いた憤怒の王。
 自分の考えも真剣に吟味した上で取り入れたいと言ってきた彼女に、最初はかなり警戒をしていたが、琥珀色の瞳から本気であることが伝わったため、その話を引き受けた。
 対等でと言ったのはお前の方だ。ちゃんとこっちの話も聞いてもらうぞ。

ハルのハルハルインタビューや、犬のケンケンぱぁ〜、ルッスーリア3丁目、怪物使いツナのネタは・・・・・・

  • 骸「奈月ありで番外に書きましょうよ。」
  • リ「別にいらねーんじゃねーか?」
  • 雲「どっちでもいい。」
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