最強の愛され系ボンゴレ♀は、今を全力で楽しみたい   作:時長凜祢@二次創作主力垢

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 出会った青年と言葉を交わしながら、自宅への帰路に着く蒼空の女王。
 争いも落ち着き、穏やかな生活に戻れると思っていた彼女は気づかなかった。
 新たな争いが、目前に迫っていることに・・・・・・



このまま、穏やかな生活に戻れると思っていたのに

「なるほど。メテオライトさんに言われて、私に一目会いに来ていたのですね。」

 

「ああ。六道骸と繋がりを得ている少女だと聞いて、それなりに警戒していたが、話してみると、警戒する程危険な存在ではなかったな。」

 

「そのように思ってしまうのも仕方ないかもしれませんね。あなたはずっと、骸の傀儡にされていたわけですから。

 まぁ、でも、今の骸は、かつての苛烈さは多少落ち着いています。マフィアに対する憎悪は、消えていないようですがね。」

 

「そうか・・・・・・。まぁ、憎悪なんてものは、そう簡単に断ち切れるもんじゃないからな。それが落ち着くまで、アイツから目を離さないでやってくれ。」

 

「ええ。そのつもりです。まぁ、私も彼には常に見張られてますけどね。無茶しがちだと周りから言われているので。」

 

「・・・・・・それに関してはお前自身もしっかり治してやれ。折角ファミリーを得たんだ。無茶をして倒れたりしたら、ファミリー全体がパニックになる。

 オレがまだ、北イタリアのマフィアのファミリーにいた時も、一度ボスがぶっ倒れたことがあってな。

 その時は、多忙な時期で体調を崩していたんだ。それを見た時のファミリーと言ったら、大災害が起こったんじゃないかレベルの混乱だったぞ。」

 

「ゔ・・・・・・き、肝に銘じておきます・・・・・・」

 

 あれからわたしは、ランチアさんと話しながら自宅へと戻るための道のりを歩いていた。

 どうやら、ランチアさんは一時的に来日しているだけで、すぐにイタリアに戻らなくてはいけないらしく、それまでにわたしと顔を合わせるだけしておきたかったとのことらしい。

 メテオライトさんは、一体何を考えているのか・・・・・・そんなことを思いながらも歩いていると、背後から「おひいさま」と言う声が聞こえて来た。

 

「あれ、バジル君?父さんも一緒だ。」

 

「はい!イタリアにそろそろ戻ることになったので、おひいさまにご挨拶をと思いまして!」

 

「ナツ。今回は本当にありがとな。ナツが異変に気づいてなかったら、父さんもどうなってたかわかんねーや・・・・・・」

 

 渋い顔をしながら言葉を紡ぐ父さん。

 話を聞いてみると、どうやら、今回のXANXUSさん達の行動に裏で乗っかっていた過激派連中が次々と取り締まられていったようだ。

 9代目の偽物を演じていた老人も、9代目が死ぬことに対して反発をしていないどころか、むしろ手遅れになることを望んでいた様子もあったようで、叛逆の中核になっていたため、現在、“復讐者”(ヴィンディチェ)に引き渡すか否かの協議を行なっているようだ。

 一部の連中には、自白剤も使用したようで、次々とXANXUSさんを中心にした過激派連中の行動が洗いざらい暴かれていると言う。

 

「・・・・・・マフィアは権力が絡む上、それによりとんでもない争いや、足の引っ張り合い、下剋上を狙った血の流し合いも発生することはわかっていたけど、そこまで酷かったとはね。」

 

「いや、本当にすまん。まさか、オレもそこまでひでーことになってるとは思わなかった・・・・・・」

 

「謝らなくていいよ。こればかりは、マフィアの世界の特性上、仕方ないことだと思うしね。」

 

 想像していた通りの世界であることに納得してしまっているわたしは、父さんが謝ることではなく、この世界では必然的に起こってしまう出来事だから気にする必要はないと口にする。

 マフィアの世界なんて、沢山の思惑や野望が飛び交う世界なのだから、謝罪されたところで、どうにかできるものではない。

 

「まぁ、わたしがボンゴレを継いだあとは、いざと言う時、きっちりと父さんにも動いてもらうつもりだし、わたしや母さんを守ると思って、沢山協力してよ。

 どう考えても、裏の世界は問題だらけな世界なんだから、この場で謝罪されるより、しっかり父親として家族を守ってくれたら方がまだいいしね。

 特に、何も知らない母さんのことは絶対に守って。わたしだけで母さんを守るのは難しいんだから。」

 

 だからこそ、謝罪よりも優先しないといけないことがあることを父さんに伝え、その中でも、母さんのことは絶対に守ってほしいと口にする。

 父さんは、わたしの言葉に一瞬目を見開き、申し訳なさそうな表情を見せた後、それを振り払うように小さく笑い、静かに頷き返してくれた。

 

 そんな中、すぐ近くから、真っ直ぐと視線を向けられていることに気がつく。

 視線の元を辿るように自身の目を向ければ、そこにはわたしを見つめたまま、驚いているランチアさんの姿があった。

 

「・・・・・・どうかしましたか?」

 

 なんでそんなに見られてるんだと思いながら、ランチアさんに声をかければ、彼はハッとしたような表情を見せたのち、静かに口を開いた。

 

「ジロジロ見てしまってすまなかった。メテオライトから、ボンゴレの10代目候補として挙げられた沢田奈月と言う少女は、まだ14歳になって間もないと聞いていたから、かなり負担に思ってるんじゃないかと勝手に印象として挙げていたんだ。

 だが、蓋を開けてみればすでに覚悟をした上で話を引き受けていたと言う状況ときた。驚かない方が無理があるだろう。」

 

 マフィアになると言うことがどれ程辛く、責任が重いことかを理解していること・・・・・・本来ならば、14歳ができることではないことをしてしまっているわたしに、どうやら彼は驚いてしまったようだ。

 父さんとバジル君の2人も、こればかりはランチアさんに同意しているのか軽く頷いている。

 

 唯一、この場で、わたしがどう言う存在であるのかを知っているリボーンだけは、わたしのことをじっと見つめており、あまり無理はするなと言い聞かせるように、わたしの頭を優しく撫でていた。

 

「そうですね・・・・・・。マフィアに苦しめられてきた骸達や、わたしにマフィアのことを教えてくれた師匠(せんせい)達から知識を得ていること、それと、一度引き受けると決めたことを途中で放り投げるなどと言った行動だけは取りたくないと言う感情があるので、それに影響されたのかもしれませんね。

 完全にマフィア側である方々との権力争いにも身を投じてしまいましたし、覚悟を決めたとも言えます。」

 

「なるほどな・・・・・・。そう言えば、メテオライトが言っていたな。一昨日まで、ボンゴレファミリーの正統後継者を決めるための争いをこなしていたと。

 本来ならば受ける必要がない過酷な争いだったそうじゃないか。だが、向こうが一歩も譲らなかったんだろう?」

 

 ・・・・・・どうやら、ランチアさんはメテオライトさんからリングの争奪戦の話を大まかに聞いていたようだ。

 本当に、メテオライトさんはなんでも知っているなと苦笑いをこぼしたくなりながらも、その話を肯定するように頷く。

 

「元々は、私が高校を卒業するまで、ボンゴレリングが表に出ることはなかったそうなのですが、私のような小娘がボンゴレファミリーを担うなど、と言う反対勢力側の方が、異議を唱えたようでして。

 結果、リングを賭けた争いに話は発展してしまい、一昨日までの争いに繋がってしまったのですよ。」

 

「そいつは難儀だったな。だが、マフィアの世界に足を踏み込むと言うことは、それが常日頃からどこかしらで起こるのは確定してしまっている。

 オレも、マフィアとして過ごしている期間がそれなりに長いからな。六道骸に出会してしまう前の時代でも、権力や反対勢力のぶつかり合いによる激しい争いを何度も見た経験がある。

 オレがいたファミリーにも、反旗を翻す敵対勢力はそれなりにあって、それに伴った戦闘にも身を投じていた経験からも、争いが絶えないと言うのは否定できない。」

 

 ランチアさんから、わたしの見解は全て当たっていることを告げられ、やっぱりかと溜め息を吐きそうになった。

 まぁ、骸の記憶や、XANXUSさん達との争いにより身に染みたからわかってはいたけど、改めて現実として突きつけられると頭が痛くなりそうだ。

 でも、それを全てひっくるめた上で向き合うと決めたのだから、投げ出すことは絶対にしない。

 

「争いが絶えない世界であることや、権力が絡むことにより起こるであろう出来事に関しては、骸の記憶や、一昨日までの争いで身に染みました。ですが、私は私の目的があるので、それらも全てひっくるめて向き合うつもりでいます。

 ただ、かなり大きな物ですからね。どこまで抱えて行けることやら・・・・・・。」

 

 苦笑いをこぼしながら、ランチアさんに伝えると、彼もわたしに釣られたように苦笑いをこぼした。

 しかし、彼はすぐに小さく笑い、私の頭を優しく撫でる。

 

「殊勝な心がけではあるが、1人で抱える必要はない。一つのファミリーに属していたからこそ言えることだが、ファミリーの一員として、ボスについて行こうとしてる連中は、大概、ボスのために力を振るうことや、知識を使うこと、ボスが1人にならねーようにと側にいることを望む連中がほとんどなんだ。

 ボンゴレファミリーのように、大量のファミリーを抱えるとなると、この考えが一律しているとは言い切れんが、少なくとも、お前について行こうとしているファミリーは、お前だけが抱え込もうとすることを良しとしない。

 だから、ちゃんと周りの連中を頼ってやれ。お前が引き取ることにした、六道骸のことも、自身の父親や、そのちっこい奴のこともな。」

 

 真剣な眼差しで、経験者だからこそ口にすることができるアドバイスを告げてくるランチアさんに、わたしは一瞬目を丸くする。

 だけど、彼が、これから先のわたしの未来を憂いて、先達として話してくれていることも痛い程わかり、静かにその言葉に頷いた。

 

「オレっちもナツのために頑張るもんね!」

 

「ん?なんだ、お前も沢田奈月のファミリーだったのか?」

 

「そうだよー。ランボさんもナツを助けたいから、ナツを守るための宝物守ったの。」

 

「小さいのにしっかりしてるな、お前は。それなら、自身のボスである彼女をしっかりと支えてやれよ。

 話していて思ったが、どうもこのボスのタマゴは、1人で何もかも抱え過ぎるタイプになりそうだ。」

 

「言われてんぞ、ナツ。」

 

「ええ・・・・・・?初対面の方からもそれ言われちゃうんですか・・・・・・?」

 

「それだけハッキリわかるレベルのお転婆娘ではあるな。」

 

 揶揄うような表情をしながら、わたしをお転婆だと称するランチアさんに、少しだけムッとしてしまう。

 父さんとリボーンは、ランチアさんの言葉に対して違いないと思ったのか、小さな笑い声を漏らした。

 少しだけそれにイラッとしたので、わたしは父さんの頬を両手で掴み、外側にびよんと頬を伸ばす。

 

「いひぇーっへなふ!?なにひゅんだ!?」

 

「なんかムカついた。」

 

「だかりゃってとおひゃんのほほをひっぴゃりゅにゃ!!」

 

 軽い八つ当たりとして父さんの頬を引っ張って遊べば、わたしの肩に乗っているリボーンや、父さんの側にいたバジル君、そして、一部始終を見ていたランチアさんが小さく笑い声を漏らした。

 程なくしてランチアさんから名前を呼ばれる。すぐに目を向けてみれば、彼は穏やかな笑みを浮かべたまま、何かを服の中から取り出していた。

 

「お前にこれを渡しておこう。頑張り過ぎて、オレが教えたことを忘れてそうだからな。

 たまにはこれを眺めて、さっき教えたことをしっかり思い出して、1人だけで行かなくていいと言う足を止める機会にしてくれ。」

 

 それは、一つの指輪だった。一瞬何で指輪を?と思いながら固まるが、すぐにその指輪が何か感じ取ったわたしは、静かに口を開いた。

 

「それ、ランチアさんが大切にされている物ですよね?ずっと綺麗に磨かれているようですし、かつて、属していたファミリーのボスの形見などではないのですか?」

 

「よくわかったな。その通りだ。確かに、これはボスの形見の指輪で間違いない。

 だが、紛れもなく、マフィアのボスとして、周りを大切にしながらも、頼りながらも生きて来た一人の人間の証でもある。

 まぁ、餞別の一つと思ってくれ。これから先、こっちの世界に足を踏み入れ、どのように生きていくべきかにぶつかっていくであろうお前が、1人で歩むのではなく、周りと歩むことを選べるように、1人で行こうとした時のブレーキをかけるきっかけにしてほしい。

 周りに愛され、支えられて来たボスがいたのだと、頭の片隅に残すためにも。」

 

 “1人で行く道を選択しやすそうだしな、お前は”・・・・・・と苦笑いをこぼすランチアさん。

 初対面でもそう思われるわたしって・・・・・・と苦笑いをこぼしてしまったが、すぐに彼の手から指輪を受け取った。

 

「ありがとうございます、ランチアさん。先達からの助言、大切にします。」

 

「ああ。・・・・・・いいか。絶対に1人で背負うなんてことを考えるなよ。お前について行こうとしている連中は、お前に頼られることを望んでいるんだ。

 頼られないと言うことは、お前を支えようとしているファミリー全体に頼りないと突きつけられているのと同義となる。

 例え、能力が高い人間だとしても、支えられなくていい人間なんてものはどこにもいない。

 だからお前も、オレが慕っていたボスのように、しっかりと周りを頼って、これからの未来を歩んでくれ。」

 

 ランチアかしんからの助言に力強く頷き、口元に笑みを浮かべれば、ランチアさんも穏やかに笑って頷いた。

 

「ランボと言ったな。そろそろオレは行かないといけない場所に向かう時間になる。あとは、沢田奈月と一緒に散歩でもしてくれ。

 ・・・・・・守るって決めたなら、最後まで沢田奈月を守ってやれよ。オレのように、守らなくてはならないものを無くすな。」

 

「わかったもんね!オレっち、ナツをしっかり守るよ!」

 

 元気よく返事をしたランボを見て、ランチアさんは穏やかに笑い、彼をわたしの方に手渡して来た。

 すぐにランチアさんにお礼を言いながらランボを抱っこすれば、わたしに抱っこされた瞬間、嬉しそうな笑い声を漏らした。

 

「じゃあな、沢田奈月。六道骸のことを・・・・・・かつてはこっちの弟分だったあいつを頼んだぞ。」

 

 最後の最後まで骸のことを気にかけていたランチアさんに、任せてほしいことを伝えるように頷けば、ランチアさんはこの場から歩き去っていく。

 その背中を静かに見送れば、父さんから名前を呼ばれた。

 

「父さん達もそろそろイタリアに戻らねーと行けねーから、もう行くな。XANXUS達の処遇も、考えねーといけねーし。」

 

「それでは、おひいさま。またどこかでお会いしましょう!この度はゆっきりと過ごすことがあまりできませんでしたが、今度はゆっくりできるよう、親方様のことも連れてきます故!」

 

「うん。父さんのこと、しっかりと連れてきてよ。母さんもわたしも、いつでも歓迎するからさ。

 父さんは、これからもちゃんと連絡してよね。連絡してこなくなったら、それこそ絶交してやるんだから。」

 

「い゛!?ナツ〜!!絶交だけは勘弁してくれぇ〜!!」

 

「それくらい言われてもおかしくねーことをやってきたってことだぞ、家光。自分の家族なんだから、ちゃんと気にかけてやれよ。」

 

「うゔ・・・・・・ああ、ちゃんと連絡する・・・・・・」

 

 しょんぼりしてしまった父さんの姿に、わたし達は笑い声を漏らす。

 だけど、程なくしてその笑い声は落ち着き、わたし達は小さく笑みを浮かべて、その場で手を振り合った。

 

 

 




 沢田 奈月
 ランチアと話しながら歩いていたところ、危なっかしいお転婆娘な判定を彼からされてしまった蒼穹の女王。
 彼からの助言は、素直に聞くことを選び、いつでも自分の言葉を思い出せるようにと手渡された指輪を受け取った。

 ランチア
 まさか、中学生がここまでの覚悟を持っているとは思わず、かなり驚いてしまったが、同時に彼女の言葉の節々に混ざる、抱え込みやすい気質を見て心配した青年。
 自身の経験や、属していたファミリーのボスの姿から、1人で抱え込み過ぎないように助言をして、これから先、この言葉を思い出せるようにと、指輪を御守りにと手渡した。

ハルのハルハルインタビューや、犬のケンケンぱぁ〜、ルッスーリア3丁目、怪物使いツナのネタは・・・・・・

  • 骸「奈月ありで番外に書きましょうよ。」
  • リ「別にいらねーんじゃねーか?」
  • 雲「どっちでもいい。」
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