最強の愛され系ボンゴレ♀は、今を全力で楽しみたい   作:時長凜祢@二次創作主力垢

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 父親の合流により、少しずつ情報を集めようと動く幼き女王。
 ファミリーが合流するまでの間、必要なことを考える中、彼女は、精神世界で目を覚ました。




幼き女王と始まりの幻霧

「・・・・・・・・・あれ?」

 

 父さんに休むように勧め、次にやることを考えるには、人が少な過ぎると言う状況下にあると判断し、一旦は周りが集まるのを待つべきかと考える中、気がついたらわたしは、精神世界で目を覚ましていた。

 

 広がる景色は水辺にある桜の木々・・・・・・ではなく、三日月に照らされた洋館のバルコニー。

 目の前に広がるのは湖で、静かな水面は空に浮かぶ三日月を鏡のように映し込んでいた。

 

「・・・・・・どっからどう見ても精神世界だけど、明らかに私のでもなければ骸のでもないんだよなぁ・・・・・・・・・。」

 

「当然ですよ。私が引き摺り込んだのですから。まぁ、正確にはお前の精神世界をベースに、私が作り変えたのですがね。」

 

「!」

 

 こんなことができそうな人、1人しか知らないんだけど・・・・・・と思いながら、バルコニーから見える湖に視線を向けていると、背後から聞き慣れた声が聞こえて来た。

 すぐに声の方を向いてみれば、そこにはものすごく疲れ切っているご様子の私の師(Dさん)が立っており、渋い表情を浮かべている。

 

「わー・・・・・・もっと時間かかるかと思ったんだけど?」

 

「確かに時間がかかりましたよ。明らかに妙な隔たりがありましたからね。しかし、お前が私の方に繋がりの糸を投げて来たのを確認し次第、幻月のアルコバレーノの力も使わせてもらって、なんとかこっちに、私だけ飛ばしてもらいました。

 お前に負担がかからないようにするため、私がその負担を被りましたがね。」

 

 刺々しい声音で言葉を紡ぐDさんに、わたしはその場で吹き出してしまい、笑い声を抑えるように口元を抑える。

 その瞬間、笑われたことが気に食わなかったらしいDさんから、かなり痛いデコピンを食らわされてしまった。

 かなりの痛みに、反射的に「いっっったぁ!?」と叫び声をあげてしまうが、Dさんは当然だと言わんばかりに鼻を鳴らし、その場で深く溜め息を吐く。

 そして、わたしの方へと手を伸ばし、こちらの頭を抱え込むようにして抱き寄せる。

 急な体重移動によろけてしまい、そのまま彼の胸元に飛び込めば、確かな力で、だけど、痛みなど感じることがないような優しさに包み込まれた。

 

「・・・・・・目の前で・・・・・・10年バズーカにより撃たれたかと思えば、10年後の姿すらなく、忽然と姿を消して・・・・・・私が、それを見てどんな気持ちになったかわかりますか?

 長らく生きる中で、再び見つけることができた安寧を、一瞬にして消し去られてしまったのですよ・・・・・・?

 もう・・・・・・二度と帰ってこないかと思っていました・・・・・・。本当に・・・・・・無事で良かった・・・・・・。」

 

 わたしを抱きしめる腕と、触れ合う体から、恐怖から来たものと思わしき振動を感じ取る。

 今にも泣きそうな、苦しみを訴えるような言葉・・・・・・少しの間、無言だけを彼に返す。

 

 すると、わたしの体を抱きしめる腕に力が加わった。少しだけ苦しくなるような、だけど痛みだけは与えない優しさが込められた腕だった。

 縋り付くような温もりを、ゆっくりとわたしは受け止める。大きいはずなのに、小さく感じてしまうような、寒空をまとう背中に、ゆっくりと腕を回して。

 

「・・・・・・心配かけてごめんなさい、Dさん。見ての通り、あなたがよく知ってるわたしは、怪我の一つも負ってないよ。

 大丈夫。わたしはここにいる。あなたの腕の中にちゃんといるよ。」

 

 緩やかにその背中を撫でながら、言い聞かせるように言葉を紡げば、わたしを抱きしめる腕に、一時的に強い力が加わった。

 わたしのことを確かめるように、消えた温もりを感じ取るように。

 

 程なくしてその力はゆっくりと抜けていき、コツンと頭に衝撃を浴びる。

 痛みはなく、確かな重さだけが加わっている様子から、Dさんがわたしの頭の上に自身の頭を乗せていることがわかった。

 

「・・・・・・ナツキ。」

 

「ん〜?どうしたの、Dさん?」

 

 しばらくの間、続いた空白。それを埋めるかのように、Dさんの声が鼓膜を揺らす。

 彼の背中を撫でながら、のんびりと返事をしていると、背中に回っていた腕が、緩やかに滑り上がる。

 ゆっくりと背中を撫でられ、くすぐったさに少しだけ身じろぐが、すぐにそれは止められた。

 背中にあった手が、わたしの両頬を包み込んだために。

 

「こんなことを言うのもどうかとは思いますが、もう少し、強くお前のことを感じていたいのです。だから、一つだけ、お願いを聞いていただけませんか?」

 

「お願い?」

 

「ええ。」

 

 Dさんのお願いと言う言葉に首を傾げると、頬に添えられていた右手の親指が、わたしの唇を優しく撫でる。

 それにより、彼が口にしたお願いが何か察することがで来たわたしは、口元に小さく笑みを浮かべ、少しだけ高い位置にある彼の首の後ろに手を回し、少しだけ距離を縮めた。

 

「なんとなくわかった。Dさんのお願い。いいよ。そのお願いは、叶えられる範囲のものだから。」

 

 そして、Dさんのお願いに小さく頷き返したのち、静かにその場で目を閉じる。

 一瞬だけ、触れ合っている温もりが小さく揺れた様子から、少しだけ驚かせてしまったようだ。

 だけど、その驚きはほんの一瞬で、再び背中に回った温もりにより、わたしの体は彼の方に引き寄せられる。

 同時に片方の大きな手が後頭部へと回り込み、こちらの頭を固定すると、自身の唇に、柔らかさのある温もりが押し当てられる。

 目を開けるまでもなく、それはDさんの唇で、彼はわたしのソレを啄むようなキスをする。

 

 程なくして確かめるかのような口付けは深くなり、明確な恋慕と情欲を含むものとなる。

 とは言え、目の前にいるこの人が、わたしのことを乱暴に扱うような人ではないことも把握しているため、少しだけ性急だなと思いながらも、静かにその想いに応えるように、わたしは抵抗することなく受け入れた。

 

 静寂な湖畔と三日月の洋館・・・・・・わたしと彼しかいない精神世界に、しばしの間、唾液が交わる湿った音がこだまするのだった。

 

 

 

 

 

          ❀

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・随分とねちっこく確かめてくれたな、Dさん。」

 

「それを受け止めるように応えたのはお前ですよ、ナツキ。」

 

「だからと言ってちょっと長過ぎない?」

 

「私だって1人の男です。お願いしたのは私の方ですが、ハッキリと愛していると言える女性が無抵抗に自身を受け入れてくれている現状に昂らない方が無理な話でしょう?」

 

 あれからDさんのキスに、かなりの時間付き合わされることとなった。

 休憩と言うのもおかしな話だが、キスが終わったかと思えば、やっぱりまだ足りないと何度も何度も繰り返しされてしまったのである。

 流石にやり過ぎだと思ったし、止めたりもしたのだが、あまりにも彼が寂しげな様子を見せていたため、断ろうにも断りきれなかった。

 

 まぁ、流石に唇が赤くなる程までとはいかないが、それでもおかわりが多過ぎた。

 

 呆れながら、咎める声をかけながら、そんなことを考える。

 Dさんはこちらのツッコミに、拗ねながらも自分だけが悪いわけじゃないと言い返して来た。

 

「正直言って、まだ足りないのですが、今はそちらより優先しなくてはならないことがありますし、一旦はここら辺で止めましょう。

 それで?現状を教えていただいても構いませんか?私が合流するまでの間、その身に何が起きたのか、わかっていることだけでも教えてください。」

 

 Dさんの問いかけに、わたしは小さく頷き口を開く。

 10年バズーカで撃たれたあと、わたしとリボーンが経験したことや、現状となるものを説明するために。

 

 10年バズーカで撃たれたあと、同時にバズーカの凶弾に着弾してしまったリボーンと一緒になって棺桶の中で目覚めたこと。

 

 何が起こったのか整理しようとして、2人で話し合っていたら、大人になった隼人と武がやって来たこと。

 

 2人から話を聞くに、白蘭と言う名前の人間が率いるミルフィオーレファミリーと呼ばれるファミリーが、ボンゴレファミリーと現在敵対しており、向こうの襲撃により壊滅状態に陥ってしまっていること。

 

 あとで合流した父の話だと、現在のボンゴレは、9代目ファミリーが完全に消息不明で、9代目に至っては命を落としてしまっていること。

 

 隼人や武、恭弥さんや父さんなど、現在集まっているファミリー達の話によると、ミルフィオーレファミリーは、まるでこちら側の行動も、戦力も、戦い方すらも把握している状態で襲撃をして来たらしいこと。

 

 9代目と別れる際、父さんは彼から、ミルフィオーレファミリーが持ち合わせているボンゴレリングと差し支えのないリングを持ち合わせており、それが何かしらのギミックとなり、こちら側の把握をする事ができる状況を作り上げている可能性があると告げられたこと・・・・・・。

 

 これまで聞いて来た話を、なるべく整えながらDさんに伝えれば、彼は表情を曇らせながら、わたしの頭を優しく撫でて来た。

 

「話してくれてありがとうございます、ナツキ。随分と、一気に辛い経験をしてしまいましたね。」

 

「・・・・・・うん。正直言って、すごく精神的に来てた。でも、父さんや恭弥さん、何より、リボーンが側にいてくれるから、辛さはあるけど、なんとか耐える事ができてる。」

 

「そのようですね。それに、これからは私もお前の側にいます。必要とあれば、いつでも言ってください。

 ・・・・・・とは言え、私もすぐに動くことは難しいのですがね・・・・・・。」

 

「?どう言うこと?」

 

 わたしの話を聞き、慰めるように言葉を紡いだDさんの言葉に首を傾げていると、彼は静かに口を開いた。

 

「ナツキの居場所はわかるのに、隔たりがあって接触ができない状況にあるとダメ元で幻月のアルコバレーノに告げたところ、ナツキの居場所がわかっているなら、自分が送り飛ばしてやると告げて、この精神世界へと飛ばされたのです。

 時には現れて、時には消えると言った、月そのもののような隠れ性質が幻月にはあったようですよ。

 まぁ、まさか、本当に彼の力で時間を遡ったり、進めたりする事ができるとは思いもよりませんでしたがね。」

 

 呆れたような様子を見せながら、自身がこの場にやってくる事ができた理由を口にするDさん。

 まさか、メテオライトさんが持ち合わせている力に、そのようなものがあるとは思わず、ポカンと間抜けな表情をしてしまう。

 しかし、すぐに頭を切り替えて、Dさんを見つめれば、彼は再び口を開いた。

 

「ですが、私をこちら側に飛ばすためには、かなり力が必要だったようで、私の炎も使用することになりましてね・・・・・・。

 本来ならば、ナツキの精神に送り込むと言う流れから、ナツキにもかなり負担をかけることになると言う話でしたが、代替となる力があれば、ナツキの負担を軽くして、私と幻月の負担を大きくする事ができたようです。

 もちろん、私は迷わず後者を選びました。ナツキには大きな負担をかけたくありませんでしたからね。

 結果、こちらに移動することはできましたが、しばらくはナツキの精神世界から出られないようです。

 いつもなら、すぐにでもナツキの側に並ぶ事ができるのですが、今回は力の使い過ぎにより、自立して動くのが難しくなっておりまして・・・・・・」

 

「・・・・・・意外とぶっ飛んだ行動をして来たね?」

 

 て言うか、メテオライトさんの力がかなりやばいんですけど・・・・・・?

 

「それだけ私と幻月も必死だったと言うわけですよ。お前が急にいなくなったのですから。」

 

「それに関してはごめん・・・・・・」

 

 何はともあれ、Dさんがかなり早く合流する事ができたのはよくわかった。

 ただ、メテオライトさんもかなり無茶をしたようだし、プリーモファミリーが全員集まるまで、もうしばらく時間はかかりそうだ。

 

 

 

 




 沢田 奈月
 かなり長く時間がかかるだろうと思っていたが、すぐに合流し、自身の精神世界に入り込んでいたDと再会した幼き女王。
 これから先、しばらくの間、Dが自身の精神世界に居候することになってしまったが、まぁ、悪さをしないならと受け入れる。

 D・スペード
 目の前で現世の最愛が姿を消したため、かなり慌てた上、トラウマが再発しかけた始まりの霧たる青年。
 しかし、しばらくして繋がった彼女の精神により、そのトラウマは一時的に抑制されることとなったが、合流しようにも隔たりがあることに気づき、藁にもすがる思いで幻月のアルコバレーノの元に向かったところ、自身と彼女の繋がりを利用し、彼女の精神世界に飛ばされる事となった。
 なお、しばらくの間、力の回復のために、彼女の精神世界で休まなくてはならない状況に陥ってしまったらしい。

ハルのハルハルインタビューや、犬のケンケンぱぁ〜、ルッスーリア3丁目、怪物使いツナのネタは・・・・・・

  • 骸「奈月ありで番外に書きましょうよ。」
  • リ「別にいらねーんじゃねーか?」
  • 雲「どっちでもいい。」
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