最強の愛され系ボンゴレ♀は、今を全力で楽しみたい 作:時長凜祢@二次創作主力垢
ランボが飛んでった方角は覚えていたため、あの子ように麦茶が入ったペットボトルを片手に歩き回る。
すると、前方から1人の男の子が、どこか不安とも困惑とも取れる表情をしながら歩いてきている姿を確認することができた。
茶髪にメガネのその男の子は、よく見るとランボを背負い、片手に木箱のようなものを抱えている。
「おーい、そこの茶髪メガネくーん。」
「そこの茶髪メガネくんって……へ……?」
「……ん?」
なんで見知らぬ男の子に背負われてるんだこの子……なんて思いがら、名前がわからない男の子を特徴で呼びながら声をかければ、その男の子は私を見ながら固まってしまった。
あれ?知り合いだったっけ?と首を傾げながら、男の子の方に近寄ってみると、何やら顔が赤くなっている。
「え?ちょっと君、大丈夫?なんか顔が赤くなってるけど……」
「ひえ!?あ、えっと、その、なんでもないです!!本当に!!」
「………?」
顔を真っ赤にしながら、なんでもないと言ってくる男の子の様子に首を傾げる。
本当になんでもないのだろうか?と言った疑問が脳裏を思わず過ってしまうけど、この子は何も話そうとしない。
むしろ、チラチラとこちらを見ながら顔を赤くしている?何と言うか、変な挙動をしてらっしゃる。
「いや、本当に大丈夫なのかな?ほらこれ。元は君が背負ってる男の子用のものだったけど、あげるよ。
水分補給とミネラルの補給はしっかりしとかないと、この時期は碌なことにならないからね。」
「え!?いや、本当に大丈夫ですから!!……って、今、背負ってる男の子用って言いました……?」
「?うん。言ったけど。」
「……てことは、あなたが、沢田 リボーンさん………?」
「いや、誰だ沢田 リボーンって。私は沢田 奈月。リボーンって名前の人とは別人だよ。まぁ、リボーンのことは知っているけどね。」
「あ、よかったぁ……!!実は、本来ならあなたの家にいる沢田 リボーンさんのところに届くはずだった荷物がこちらに届いちゃったみたいで……!!これなんですけど……」
天の助けとばかりの反応をしながら、手にしている木箱をこちらに見せてくる茶髪メガネ君。
すぐにその箱の中を蓋を開けながら確認してみれば、そこには、「ボヴィーノ夏のおわび詰め合わせ」と記された文字があった。
よく見ると、手紙も一緒に添付されているようで、一度確かめた方が良さげなものだった。
「……うーん、一度全部確認したいから、ちょっと一緒に来てもらえるかな?」
「へ?確認?」
「そ。本当にこれはうちに来たものなのか、それとも君の元に来たものなのか、それを見極めたいんだよね。
可能だったら、これが届いた時の状況とかも教えてほしいし、さ。」
「え……えーと……それはもちろん、構いませんけど……。」
「んじゃ、ちょっと歩こうか。この時間帯、涼しい場所があるからさ。
あ、その前に君の名前は?話をするのに、茶髪メガネ君呼びはなんか変だしね。
私はさっき言ったように沢田 奈月。気軽に奈月でも、ナツでも、好きなように呼んでよ。」
「え゛!?名前呼びのみですか!?」
「?何かおかしいかな?」
「いや、普通は苗字呼びとか……!!いや、別に名前呼びが悪いってわけじゃないですけど……!!」
「だったらいいじゃん。あと、敬語は使わなくていいから。見た感じ、同い年っぽいしね。」
「ええ……?」
困惑したような様子を見せる茶髪メガネ君に、思わず笑い声を漏らしてしまう。
それを聞いた茶髪メガネ君は、目を丸くして固まり、ひいていた赤を再び顔に灯すが、少しだけ拗ねたような表情を見せる。
「笑わなくてもいいじゃないか……」って小さく聞こえてきたけど、それは聞かなかったふりをして、名前を教えてほしいと再び口にすれば、彼は赤くなった頬を軽くぽりぽりと書いたあと、静かに口を開いた。
「えっと……僕は入江 正一。ここから見えるかな?あのマンションに住んでいて、それで、その……」
ようやく名乗ってきかれた茶髪メガネ君……改め、正一君が静かに指を差した方へと目を向ける。
そこには、やけにぶっ壊れているマンションの一部屋があり、明らかにランボがあそこまで吹っ飛んでしまったことがわかる現状だった。
「……オーケイ。なおさらどちらに送られたものか確認する必要がありそうだね。
涼しいところに移動したあと、改めて状況を教えてもらえるかな?可能ならば、どれだけの被害が出てしまってるのか、直接確認させてもらいたいところだけど、初対面でご自宅にお邪魔するわけにもいかないから、なるべく詳細に話してもらえる?」
あまりの惨状に、引きつった笑みを浮かべながら、あのような状態になってしまった状況を、なるべく詳細に教えてほしいことを伝えれば、正一君はすぐに承諾してくれた。
じゃあ、行こうか……と私が知ってる涼しい場所へと彼の手を掴んで足をすすめる。
背後の方から小さな悲鳴というか、ひえっ!?的な声が聞こえてきたような気がするけど、今はそれに反応している場合じゃない。
まずはコンビニ行って飲み物の調達をしよう……。
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コンビニで飲み物を調達し、私は正一君の手を引きながら近所の大きな公園へと連れて行った。
この時間帯は、屋根がある休憩場所が一番涼しいため、ある程度熱中症を防ぐことができる。
まぁ、だからと言って、水分補給を怠ったら間違いなくぶっ倒れてしまうため、何も飲まないわけにもいかないのだけど。
そんなことを思いながら、私は正一君が手にしていた木箱に添付されていた手紙を取り出す。
電池切れのロボットよろしく動かなくなった正一君を横目で見ながら、水分補給は忘れないようにと伝えつつ、中身を確認する。
“この度はうちのランボが大変ご迷惑をおかけしました。これはほんのおわびのしるしです。なお、牛柄の袋はランボにやってください。”
丁寧な文字で綴られている文字。外国のマフィアが書いたとは思えないほど綺麗な日本語で記された文章を無言で見つめたあと、水分補給はこまめにと言った私の言葉に従って、ちびちびと飲み物を飲みながら、無言でこちらを向こうとしない正一君に視線を向ける。
「さて、本題に入ろうか。」
「ひゃい!?」
「ぷっ……ちょ……っ待って……正一君……声裏返って……フフ……っ」
「あう……笑わないでくれないか!?僕はあまり女子と話したことがないんだよ!?」
「あっははは!!だからってウブな反応し過ぎでしょ!!そこまで緊張しなくてもいいのに!!」
「緊張するなって方が無理だよ!!だってナツさんはすごく可愛い……っ〜〜〜〜〜!!」
あまりの反応に大声で笑うと、正一君は慌てふためきながら言葉を詰まらせる。
そして再び顔を真っ赤にしては、休憩場所にある木でできたテーブルに突っ伏してしまった。
少しだけ笑い過ぎたかな?と思いながら、笑いを抑えて正一君に目を向けてみれば、彼は耳まで真っ赤にしてしまっていた。
それが面白くて、また笑いが漏れそうになってしまったが、すぐにそれは我慢して、本題に入るために口を開く。
「さて、それなりに緊張が解れたところで本題に入ろうか。正一君。荷物が届いた時の状況を教えてくれる?」
「あ……ああ、そうだったね。その話をするためこっちに来たんだった。」
荷物が届いた状況について問いかければ、正一君はすぐに説明してくれた。
正一君曰く、なんの変哲もない生活を送っていたところ、急に大きな音が聞こえてきたため、すぐに音の方へと足を運んでみたら、気絶なのか眠ってるのかよくわからない状態でランボが彼のご自宅に倒れていたらしい。
で、大丈夫かと心配している数分の間、不意に呼び出しチャイムが鳴り響き、顔を出してみたら荷物が届けられていたのだとか。
そのため、自分のところではなく、ランボを預かっている私の家……沢田家の元に届くはずだったのではないかと思ったのだそうだ。
理由としては納得いく。しかし、リボーンの暗殺はボヴィーノファミリーの現ボスからの指令な訳だから、こちらに対して何かしらの迷惑があるかと言われたら、むしろ違うような気がするし、元に迷惑を被っているのは、目の前にいる正一君の家の方だと考えると……ふむ。
「んー……多分、メインは正一君の家に対するおわびなんじゃないかな?」
「え?どうしてそう思うんだい?」
「だって、私の家はランボを正式に預かっているからね。だから、迷惑以前に、世話を焼くのは当然のことなんだよ。
この子を任されている……と言えばいいのかな?だから、ランボのことは正式に預けられていてね。
対して正一君は、なんの関係もない一般人だ、たまたまその場にいただけに過ぎない、当たり前の生活を送っているだけの男の子って話。
そう考えると、おわびって誰に対するものなんだろうね?」
「……この子……ランボ君の関わりがないところで、たまたま巻き込まれてしまった、こっちに対して?」
「まぁ、あくまで可能性と言っただけであり、答えはちょっと断言しにくいけどね。
だからさ。今回のこのおわびの品は、互いに分けて持って帰るってことにするのはどうかな?
あ、札束はそっちが持って行ってよ。あれだけ派手にぶっ壊れてるから、その修理費の足しにでもさ。」
「え!?」
「大丈夫。損害賠償として支払われた札束だと、ランボを預かってる家の人間が、ランボを預けてきている家から聞いたって話したらいいよ。」
「いやいやいやいや!!だからと言ってこんな大金……!!」
「戸惑う気持ちはわからなくもないけど、返そうにもランボの家の人とは文通しかしたことないし、彼の実家が外国にあることを知ってる身としては、どうすることもできないよ。」
「か、海外……!?」
海外にランボの家があると聞いた瞬間、固まってしまう正一君。今度は赤面を伴ったものではない。
「まぁ、どうしても躊躇いがあるってんなら、私が持って帰って、ランボの家の人に伝えとくけど……」
「……じゃあ、持って帰ってくれるかな?僕や僕の家族じゃ、ちょっと手に余るって言うか……」
「ん。いいよ。(まぁ、リボーンやビアンキさんが使っちゃいそうだけど、持って帰るだけ持って帰るか。)」
私の言葉を聞き、大金は流石に受け取れないと言ってきた正一君から、その札束を静かに受け取る。
すると、正一君は安堵の息を履いたあと、開け広げていた木箱に視線を移す。
「じゃあ……とりあえず分ける?」
「そうだね。半々……と言いたいところだけど、そっちが多めに持って行ってよ。
あれだけの破損を直すとなると、保険が適用されるとしても金額はそれなりにかかるだろうし、最悪、説明ができなくて保険がおりないって可能性もある。
どっちみち、お金はそれなりに飛んでいくだろうから、少しでも食事の足しにしてよ。」
「ありがとう、ナツさん……。でも、本当にいいのかな……?」
「どっちもいろいろあって大変だから問題はないと思うよ。だから、遠慮せずに持っていきなよ。」
「……うん。じゃあ、そうするよ。」
互いに話し合い、納得のいく結論を出すことができた。そうと決まれば、この贈り物を4対6で分けてっと……。
「じゃあ、こっちは正一君。こっちは私ってことで。」
「わかった。あ、この牛柄の袋は、ランボくん宛みたいなんだけど……」
「ん?ちょっと待ってね。ランボ。ランボ。起きて、ランボ。」
正一君から牛柄の袋を見せられて、すぐにそれを受け取った私は、彼から引き取り、膝の上で眠らせていたランボの頬を優しく両手で揉みながら声をかける。
すると、私の声と頬揉みに気づいたらしいランボが、ぱちっと目を覚ました。
「んえ……?ナツだもんね……」
「うん。ナツだよー。これ、君の自宅から届いたみたいだから、中身をちゃんと確認してね。」
「ランボさんへのお届け物?」
牛柄の袋をぶらぶらとランボの前で揺らせば、ランボは寝ぼけながらも袋の中身を見る。
ランボを抱っこしていたことにより、必然的に見えた袋の中身は、どうやら手榴弾や、ミサイル弾の類だったようだ。
「あー!ボスからの贈り物─────!!これでリボーンのやつをけちょんけちょんにぶっ飛ばせるもんね!!」
「ぶっとば……!?え!?ナツさん!?ランボ君、なんかすごいこと言ってるけど!?」
「うちで暮らしてるリボーンをランボは負かしたいみたいでね。多分、これを使って倒してやろうと思ってるんじゃないかな。
まぁ……毎回挑んでは軽くあしらわれて終わっちゃってるんだけどさ。」
「ええ……?それ、ナツさん大丈夫なの?」
「まぁ、今のところは問題ないよ。心配してくれてありがとね。」
不安そうな視線を向けてくる正一君に、微笑みかけながら大丈夫だと伝えれば、ホッとしたような様子を見せる。
しかし、何かしら思うところはあるのか、どことなく表情は険しい気がした。
「……あの、ナツさん。迷惑じゃなかったら、連絡先を教えてもらえないかな?」
「え?」
本当に気にしなくてもいいんだけどな……と思っていると、正一君は不意に、私の連絡先を聞いてきた。
急なことに驚いてしまい、どうしたの?と何度か瞬きをしながら首を傾げると、正一君は少しだけ恥ずかしげな様子を見せながらも、何かを決意したかのような表情をして、私の方へと目を向けてきた。
「その……何かあった時、相談ができるような人がいた方がいいんじゃないかと思ってね。
もちろん、僕なんかじゃ解決できないかもしれないけど、それでも、愚痴を聞くくらいはできるし、嫌なことがあった時も、話すだけで気分がスッキリすることもあるんじゃないかって……本当、やましい気持ちがあるとかじゃなくて……!!」
少しだけ慌てながらも、連絡先を聞いてくる正一君の様子に、思わず小さく笑い声を漏らす。
私の笑い声を聞いた正一君は、少しだけ目を丸くしたあと、頬を赤らめながら湿り気を感じてしまう視線を向けてきた。
拗ねたような表情からは、笑わなくてもいいだろ……と言いたげな様子が伺えてしまえて、笑い声をあげそうになってしまう。
でも、それはなんとか堪えて、出かける際に持ち出した小さなポーチから、ボールペンとメモ紙を取り出し、そこに自身の携帯の電話番号と、メールアドレスを書き記す。
「はい。私の携帯電話の番号とメールアドレスだよ。」
「ありがと……って携帯持ってるの!?」
「うん。いざと言う時に連絡を取れるようにって母さんが買ってくれたんだ。」
「いいなぁ……。僕はまだ、中学生だから遅く帰ることもないだろって感じに、携帯電話は買ってもらってないんだ。」
「へぇ……。ところで正一君。」
「何?」
「勉強はできる方?できない方?」
「え?うーん……学力テストでは、平均よりちょっと上くらいは勉強ができるけど……」
「なら、親にこう言ってみなよ。今度のテストで、学年上位の成績を出せたら携帯電話を買ってほしいって。
ほら、家の電話だと、お家の人が出たりするでしょ?だから、女子慣れしていない正一君宛に、女子から連絡が入ったりしたら、なんか騒がれそうじゃない?」
「言われてみれば……!!」
「だから、適当な理由をつけて携帯電話を買ってもらえるように準備してみたらどうかな?そうすれば、いつでも連絡が取れるからさ。」
企むように笑いながら、正一君に一つの提案をしてみると、彼は一瞬キョトンとしたあと、口元に笑みを浮かべて頷いた。
「さて、それじゃあ話も済んだし、解散するとしますか。」
「そうだね。ねぇ、ナツさん。」
「ん?」
「その……また会えるかな?」
要件も済んだし、帰ろうかと考えて立ち上がっていると、正一君からそんな問いかけを投げられる。
意外な質問だったため、思わず固まってしまったが、すぐに頭を切り替えて、その言葉に対する答えを、仕草と言葉で伝える。
「並盛にいたら、自ずとまた会えるよ。なんなら、曜日とか日付を決めて、学校が終わったあとに会うこともできるんじゃないかな。
こう見えて私、学校では補習常習犯の友達に勉強を教えて、基本的には赤点を取らないようにするくらいには、勉強ができるタイプだからさ。
宿題や課題でわからないことがあったら、特別勉強会を開くこともできるし。」
「あはは。ありがとう、ナツさん。じゃあ、もし何かあったら、連絡してね。僕も、ナツさんにたまに連絡するからさ。」
「ん。じゃあね、正一君。次に会う時辺りには、そのさん付けをやめてよ。」
「んな!?無茶言わないでくれ!!!」
こちらの館去り際の台詞を聞いて、顔を真っ赤にする正一君に、堪えきれなかった笑い声をあげながら、私は自宅へと向かうための帰路につく。
入江 正一君……なんか、いつかこれ以上に深く関わりそうな相手だったな……と、そんな予感をなんとなく思いながら。
……まさか、本当にこの先の未来で、この予感が明確なカタチとなり、現実となることに、この時の私は思いもよらなかった。
沢田 奈月
ランボを探していたら、新たなお友達ができた転生者な10代目。
これが遥か未来で、重要な役割を持つことになることに、彼女はまだ気づいていない。
入江 正一
よくわからない荷物が届いたので、沢田 リボーンと言う人物が暮らしている場所に向かっている途中で、可愛らしい同学年女子に出会し、ウブな反応を見せまくっていた少年。
この出会いが未来に関わる重要な出来事であることに気づいていない。
ランボ
終始おとなしかった雷少年。
奈月に連れられて帰宅した際、視界に映ったリボーンを再び強襲するが、見事に返り討ちに遭った。