最強の愛され系ボンゴレ♀は、今を全力で楽しみたい   作:時長凜祢@二次創作主力垢

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とある死者達の小さな秘密 ※一部編集しました

 ジョットさんとしばらく歩き、近所の神社の鳥居の前まで足を運んだ私は、鳥居の足に背を預け、ここらでいいかと小さく呟く。

 

『かなり自宅から離れたな……。ここまでしなくては話せない要因なのか?』

 

 首を傾げながら問いかけてくるジョットさんに、頷きだけで肯定する。

 この話は、本当は誰にもしないつもりだったけど、すでにこの世からは遠く離れた場所へと言っている彼になら、この話をしてもいいはずだ。

 

「実は、私とジョットさんには、一つだけ共通点があるんだよ。まぁ、あまりにも突拍子もない話だし、信じてほしいと言うには、あまりにも現実的じゃないけど、実際に私が経験しているものだから、真実としか言えないことなんだ。」

 

『オレと奈月にある共通点?』

 

「うん。……単刀直入に言う。私は、一度だけ死を経験している人間なんだ。」

 

『!?』

 

 私の言葉を聞いた瞬間、ジョットさんは驚いたように目を見開く。

 この人でもこんな顔をするんだ……なんて考えていると、彼は少しだけ眉間に皺を寄せながら、静かに口を開く。

 

『………それは……本当なのか?』

 

 確認するような問いかけに、小さく頷き、肯定の意を伝えれば、『そうか……』と小さく呟く。

 

『その……話せるところまででいい。一度死んでしまったこと……それについて、詳細を教えてもらえるか?』

 

 混乱した様子のジョットさんに、元から説明するつもりだった私は、再び頷いたあと、自身が現在に至るまでに経験している出来事を一つ一つ話す。

 

 まず、私は生まれた時から前世の記憶があることを。

 次に、元の自分はOLで、社会に揉まれながら生活していたことを。

 次に、仕事をしながらなんの変哲もない生活を送っていたところ、あることをきっかけに命を落としてしまったことを。

 最後に、明らかに命を落としたと把握していたにも関わらず、気がついたら沢田 奈月と言う今の自分として、この世に生を受けたことを。

 

 昔話をするように、自身の身のうちを明かす中、ジョットさんは無言で話を聞いてくれていた。

 まぁ、実際は自ら命を絶つ道を選んでいたのだけど、それを話すにはあまりにも自分の過去が複雑すぎるため、すぐにそれは飲み込んで、大まかに死んだことを話し終えれば、彼はどことなく悲しげな様子で聞いていた。

 

 ……最後まで話を済ませる時、ジョットさんの琥珀色の目から、そこまで辛そうな表情をしてまで話さなくていいと告げられたような気がしたけど、そんなに私は暗い表情をしていたのだろうか?

 すでに割り切っていたと思っていたのだけど、そうでもなかったらしい。

 

『……辛い話をさせてしまったな。すまない。』

 

「別に気にしてないよ。だから、あなたがそこまで悲しそうな表情をする必要はない。

 それに、向こうで人生全うできなかった分、こっちを全力で楽しむつもりだから、別に苦でもなんでもないから大丈夫。」

 

 笑顔でジョットさんにそう伝えれば、ようやく彼は穏やかな笑みを取り戻した。

 しかし、表情はどこか優れない。まぁ、大方、なおさらこっちに巻き込むべきじゃなかったと思っている感じなんだろうけど、今更逃げることはできないだろうし、マフィアになったらなったで、全力で全うするつもりなんだけどね。

 まぁ、死と隣り合わせになりそうだけど。

 

「私は一度死んでいる。だけど、どう言うわけか、私は転生し、今を生きている。

 そして、今日から数日はお盆だから命を終えていた人たちが戻ってきていると言われているから、幽霊や魂の霊力が強くなっている可能性があり、元は死者だった私も、なんらかの力や想いが増幅する条件を満たしていると世界に認識された。

 そんで、その中でもジョットさんは、私のことが心配だからと見守るつもりでいた……。

 あとは、まぁ、あの時助けてくれた声に感謝を伝えることができたなら……と私が考えていたこともあり、互いの意識や想いが繋がって、私はジョットさんを現世に呼び出してしまい、ジョットさんは私に取り憑いてしまった……。

 なかなか非現実的ではあるけど、可能性はあるかもしれないって、私は思ってるんだよね。」

 

『なるほど……。確かに、世の中何が起こるかわからないしな。もしかしたら、そんなこともあるのかもしれない。』

 

「まぁ、本当に可能性ってだけで、実際は違うかもしれないけどね。」

 

『そうだな。実際の答えは、流石のオレでもわからない。だが、ナツキが話してくれた、その不思議な話も、あながち間違いではないかもしれないぞ?』

 

「どうだろうねぇ……」

 

 ご先祖様と何話してんだかと内心で呆れながらも、少しだけ気が楽になったと考える。

 今を生きるあの子達には、流石にこんな話することができなかったから、ずっと黙っているつもりだった。

 でも、やっぱり心のどこかでは、ちょっぴり騙しているような気もして、誰かに聞いてほしかった。

 だから、一度終わりを迎えているジョットさんだけでも、この話を知っておいてくれるなら、いつかしんどいなと思った時に、少しだけ気分を落ち着かせることができるだろうから。

 

「ジョットさん。もし、弱音を吐きたくなった時や、少しでも気を楽にしたくなった時とかは、また話を聞いてくれる?

 暗い話もそれなりにあるけど、楽しかった話や、嬉しかった話もたくさんあるんだ。

 だから、不意にそれを思い出して、沢田 奈月ではない、一度終わりを迎えた何気ないOLの昔話をしたいんだ。

 少しくらい、被っていた猫を一度脱いで、ゆっくりしたいから。

 こんな話……今を生きるあの子達には話せないものだしね。」

 

『ああ。それくらいなら引き受けよう。それに、少しだけ興味があるからな。

 過去のナツキが生きていた世界はどんな世界で、過去のお前がどんな生活を送っていたのか。』

 

 穏やかな笑みを浮かべながら、お願いを聞いてくれたジョットさんに、ありがとうと伝えながら笑顔を見せる。

 なんか、久々に昔の自分を知ってくれる人ができて、ちょっとだけスッキリしたな。

 相手は一度、命を落としているご先祖様だけど、それでも、過去の私をを誰にも知られず生活するのは、少しだけ寂しいと思っていたから。

 

 向こうの生活は楽しかった。捨て切れない程の思い出があるから。

 今の生活もとても楽しい。新しい思い出や出会いがあって、新しい経験もたくさんできるから。

 だからこそ、両方抱えておきたかったし、両方知ってもらいたかった。

 いつか、忘れ去られるとしても、せめて生きている間だけは、誰かに覚えてもらいたかった。

 

『そうだ、ナツキ。さっきは言いそびれたが、オレにも一つだけ、こうして接触できた理由に心当たりがある。』

 

「え?本当?」

 

『ああ。一番可能性がある要因と言えるだろう。だが、今はまだ話す時ではない。その時期じゃないんだ。』

 

「……と言うと、マフィアの関係……いや、ボンゴレファミリーのボスになるにあたり、重要な話ってことだね。」

 

『その通りだ。だからまだ、このことは話さない。今はただ、どこにでもいる……と言うにはいささか環境が違い過ぎるような気もするが、それは一旦置いておき、友と笑い合い、家族と笑い合う穏やかな日常を送ってくれ。』

 

 ジョットさんの気遣いに素直に頷けば、彼は優しく微笑んで、私の頭を緩やかに撫でる。

 少しだけくすぐったく思いながらも、それを大人しく受けていると、ピタリと撫でる手が止まった。

 

『……風が出てきたな。そろそろ家に戻った方がいい。帰ろうか、お前の家に。』

 

「うん。」

 

 帰宅を促すジョットさんとともに、自宅へと向かうための帰路につく。

 側から見たら1人の少女が真夜中の道を歩いているように見えるのだろう。

 しかし、私には彼が視えていて、彼が実態を持ってるようにしか視えなくて、1人分の足音ではなく、2人分の足音が聞こえている。

 その音を心地よく思いながら、月光が照らす真夜中の住宅街を駆け抜けた。

 

 程なくして見えてきた私の実家。今の私が生きる家に辿り着き、室内に入って手洗いとうがいを行った私は、自分にしか視えないジョットさんとともに、自室の方へと足を運ぶ。

 そこには、どうやら私を待っていたらしいリボーンがおり、自室に戻ってきた私に視線を向けてくる。

 

「ナツ。お前、さっきまで庭で何と話してやがった?暗がりと高さのせいで読唇術は使えなかったが、何かとやり取りをしていたのが見えていたぞ。」

 

 訝しげな様子で質問をしてきたリボーンに、私は何度か瞬きをしたのち、すぐに口元に笑みを浮かべる。

 

「秘密の友達。こればかりはリボーンにも内緒だよ。」

 

 そして、ジョットさんのことを秘密の友達だと告げたあと、静かにベッドへと横たわる。

 それを見ていたリボーンは、疑問と困惑を混ぜたような様子を見せながらも、横たわる私の腕の中へと体を潜り込ませ、再び寝息を立て始めた。

 眠たいなら眠っとけばよかったのに……と一瞬考えてしまったが、すぐに自分も眠るため、開けていた瞼を閉じようとする。

 そんな中、不意にベッドが緩く軋む音を聞き、静かにそちらへと視線を向けてみれば、そこにはジョットさんが座っていた。

 

『Buona notte, Natuki. Sogni belli……』

 

 ジョットさんは、私と目を合わせるなり、穏やかな声音でそう言って、幼い子供を寝かしつけるように、私の頭を撫で始める。

 彼が呟いたのは、おそらくだがイタリア語だろう。意味合いとしては、就寝前の挨拶と言ったところだろうか。

 そんなことを考えながら、私は静かに瞼を閉じる。頭を撫でる緩やかな温もりは、意識を夢の中へと手放すまで感じ取ることができた。

 

 

 

 




 沢田 奈月
 元はOLだったが、最終的に自ら命を絶ち、今の世界へと転生したことを自身の先祖に明かしたボンゴレ10代目。
 ジョットの前だけでは、どこか少しだけ幼くなる。

 ジョット
 奈月の過去を知る唯一の存在になった初代ボンゴレ。
 これから彼女が歩む未来を憂い、できる限りのサポートを行うつもりため、その憂がなくなるまでは、彼女の側に静かに寄り添い、時には助ける決意をする。
 (実際は来孫だが)奈月のことは我が子のように見ているため、大切にする気満々で、彼女のためになることなら、なんでもするつもりでいる。(男子の恋愛ハードル引き上げのお知らせ)

 リボーン
 奈月が誰かとやりとりをしていることに気づいて、彼女の帰宅を待っていたが、秘密の友達だとはぐらかされてしまった。
 彼女がボンゴレのご先祖様のせいで、さらなるレベルアップが起ることを知らない。



 作者の独り言
 あの浪○さんボイスで穏やかに最後の挨拶されたら、昇天する自信しかありません。
 なっちゃん強い……。

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