最強の愛され系ボンゴレ♀は、今を全力で楽しみたい 作:時長凜祢@二次創作主力垢
3日間の夏休み返上により、他のみんなより先に学校に登校しては、恭弥さんのお仕事のお手伝い兼手合わせ相手をこなしながら、とうとう迎えた始業式。
お盆だけの期間のみの接触かと思えば、それを過ぎても私に取り憑いてるジョットさんを引き連れて、私は通学路を歩いていた。
夏休み明けとは言え、相変わらず照りつける太陽は結構な熱を持つ。まだしばらくは水分補給をこまめにしないといけないかな……なんて思いながら、スクールバッグからスポドリを取り出して飲んでいると、背後から軽い衝撃に襲われる。
「おわ!?」
「おはよー!なっちゃん!」
こんなことするのは1人しかいないと思いながら、背後を振り向いてみれば、そこにはやっぱり京ちゃんがいて、相変わらず私に抱きついていた。
「ちょ、京ちゃん……。水分補給中に抱きつくのは危ないよ。君の制服に飲み物がかかったりしたらどうするのさ。」
「え!?あ、ご、ごめん!まさか飲み物飲んでる途中だったっは思わなくて……」
「いや、まぁ、こぼれなかったから結果オーライだけど、今度から気をつけなよ?スポドリの成分って、一度服にかかったらなかなかベタベタが取れないからさ。」
「うん。」
危ないな……と思いながら、京ちゃんに注意をすれば、彼女はすぐに小さく頷き、謝罪の言葉を述べる。
その様子にやれやれと思いながらも、自分より背が低い京ちゃんの頭を撫でれば、彼女は気持ち良さそうに破顔して、にこにこと、可愛らしい笑顔を見せた。
しかし、不意に私の足元から頭に視線を何度か巡らせて、キョトンとした表情をこちらに見せる。
「なっちゃん、もしかして、身長伸びた?」
「え?」
「だって、明らかに夏休み前に比べたら目線が高くなってるんだもん!夏休み前はまだ私と目線がかなり近かった気がする!」
むむむ……!と表情を拗ねたようなものへと変え、こちらを眺めてくる京ちゃんに、思わず何度か瞬きをする。
え?身長……伸びてんの?自分じゃわからないんだけど……。
『言われてみれば、オレが最初にナツキを見た時に比べたら、頭の位置が高くなってるな。お前の友達が言ってるように、もしかしたら少し背が伸びたのかもしれないぞ?』
「………マジか。」
首を傾げながら、身長伸びたの?と考えていると、ジョットからこそっとそう教えられた。
まさか身長が伸びていたとは……道理で京ちゃんの頭がちょっと下の位置に見えたわけか。
「なんだかずるい。背が高いなっちゃんなんて、絶対かっこいいに決まってるもん……。」
「かっこいい?私が?」
「うん。私ね、なっちゃんのことはずっとかっこいい女の子だって思ってたんだよ。
何度も助けてくれるし、守ってくれるし、それに、すっごく頼もしいから。
でも、目線がまだ近い時は、可愛いなーって思うところも結構あったんだよ?
なのに身長が高くなって、大人っぽくなっちゃったりしたら、可愛いがなくなって かっこいいしか残らないよ!」
「あはは。まさかそんなことを言われるとは思わなかったな。かっこいい私はお嫌いかな?」
「嫌いじゃないけどちょっとドキドキしちゃいそうで、なっちゃんには可愛いところをいっぱい残しておいてほしいよ……。」
むぅ……と唇を少しだけ尖らせながら、そう言ってくる京ちゃんに、思わず小さく笑みを浮かべてしまう。
「こら。そんな風に頬を膨らませてたら可愛らしい顔が台無しだよ。」
「もう………」
でも、ずっと拗ねたような表情はしてほしくないため、すぐに膨れっ面を見せる京ちゃんの頬を撫でながら、拗ねないでほしいとお願いすれば、京ちゃんは一瞬目を丸くしたあと、照れたような表情を見せる。
うん、膨れた表情よりは何倍もいい……と満足したので笑みを浮かべれば、すぐ近くでクスッと小さな笑い声が聞こえてきた。
視線だけをそちらに向けてみれば、そこではジョットさんが笑っている。
『ナツキが男だったら、間違いなく多くの女性から好意を寄せられていただろうな。
人に好かれると言うのは、どのような道を歩くにせよ大切なものではあるが、時に人を狂わせることもある。気をつけるんだぞ?』
穏やかな笑みを浮かべながら、私がもし男だったら、と言うifの話を口にするジョットさん。
時に人を狂わせるから気をつけろって、もしかしなくても、ヤンでデレなお嬢さん方の話をしているのだろうか。
……うん、肝に銘じておこう。
「む?そこにいるのは京子ではないか?」
なんてことを考えていると、背後から京ちゃんに話しかける声が聞こえてきた。
京ちゃんと一緒に背後を振り返ってみると、そこには銀色のベリーショートと、手の包帯、鼻の絆創膏と額の傷と言った、なかなかに個性的な容姿をしている男子生徒が1人いた。
見たことがないため、間違いなく先輩だろう。でも、京ちゃんの名前を知っている………?
……あ。
「もしかして、京ちゃんが話してくれた、ボクシング部のお兄さん?」
それらの情報から、一つだけ思い当たる節を口にしてみれば、京ちゃんは笑顔を見せながら元気よく頷いた。
どうやら、この人が京ちゃんのお兄さんだったようだ。
「ん?もしやお前は、沢田 奈月と言う女子生徒か?妹から話はよく聞いている!
ナンパに遭っていた妹と、その友達を助けてくれたそうではないか!極限に感謝しているぞ!!」
「え?ああ……そのことに関してはお気になさらず。当たり前のことをしただけに過ぎませんから。
京ちゃん自身、ものすごく困っていたと言うか、ちょっと怖がっている様子だったので。」
勢いよく頭を下げてきた京ちゃんのお兄さんに、あの時のことは当然のことであることを伝え、気にしなくていいと告げる。
背後から、『ナツキ……そんなことしていたのか……?』とジョットさんからの困惑の視線を感じる気がするけど、今はスルーして、頭を上げてほしいと伝える。
京ちゃんのお兄さんは、私の言葉を聞いて頭を上げてくれた。
「にしてもお兄ちゃん、どうしたの?確か先に学校に向かってたよね?」
妹想いの優しいお兄さんなんだなと考えながら、京ちゃんのお兄さんを見ていると、京ちゃんが不思議そうな様子でお兄さんに問いかける。
京ちゃんのお兄さんはそれを聞いて、ああ、と小さく呟いたのち、自身のスクールバッグから、あるものを取り出した。
「学校付近まで登校した際、不意にカバンが軽いことに疑問を持ってな。中身を確認してみたら、弁当を忘れていた。
そのため自宅まで走って取りに戻っていたのだ。そのせいで遅くなってしまってな。」
「もー……ちゃんと中身を確認して学校に行ってねって言ったのに……。」
「スマン!反省している!!」
……どうやら京ちゃんのお兄さんは、彼女より先に学校に向かっていたが、忘れ物を取りに自宅まで戻って、再び登校してきたらしい。
すごく体力あるんだな……と感心する。まぁ、ボクシング部に入ってるくらいだし、体力がない方がおかしいか。
京ちゃんの自宅、学校からそれなりに離れていた気がするんだけど……そんなことを思いながら、ふと私は、こうして面と向かって京ちゃんのお兄さんと会ったのは初めてであることを思い出す。
「そう言えば、互いに一方的に知ってる状態で、こうして面と向かって顔を合わせたのは初めてでしたね。」
「うむ!そうなるな!ではオレから自己紹介しよう!!オレの名前は笹川 了平!!ボクシング部の主将を務めている!!
座右の銘は“極限”だ!!よろしく頼むぞ、沢田 奈月!!」
「1年A組、沢田 奈月です。先輩の妹さんとは1年の始めの方から仲良くさせていただいてます。よろしくお願いしますね、笹川先輩。」
「笹川先輩と言う呼び方は性に合わん!!京子の友達なのだろう?であれば、オレの友であるとも言える!気軽に下の名で呼んでくれ!」
「では、了平さんと呼びますね。私の方も、下の名で呼んでいただいて構いません。」
「ならば、奈月と呼ばせてもらおう!!よし!自己紹介は終わったな!!では、本題に入らせてもらう!!」
「………本題?」
なんか、
その言葉に嫌な予感を抱きながら、一応話を聞く姿勢を見せれば、彼は私の肩をガシリと掴み、真っ直ぐとこちらを見据えながら口を開いた。
「我が部、ボクシング部に入れ、奈月!!」
…………………うん。厄介ごとが始まったみたいダナー。
沢田 奈月
お盆までかと思ったら、ずっとジョットに取り憑かれていた転生者な10代目。
京子の兄、了平の言葉から、また厄介なことが舞い込んできたことを察する。
ジョット
返事はなくても、目を見れば奈月の言いたいことがわかっちゃう初代ボンゴレ。
奈月の表情から、めんどくさいと言う感情を読み取り、頑張れ、デーチモと内心で応援する。
笹川 了平
妹である京子から、奈月の話は度々聞いており、彼女の腕っ節の強さも知っていたボクシング部の主将。
忘れ物を撮りに帰り、再び登校したら、妹と一緒に歩く奈月を見つけ、ボクシング部へと勧誘した。
笹川 京子
先に登校したはずの兄と合流した原作ヒロイン。
奈月をボクシング部に誘う自身の兄を見て、すごく楽しそうにしてるなーと笑顔になった。