最強の愛され系ボンゴレ♀は、今を全力で楽しみたい 作:時長凜祢@二次創作主力垢
衝撃的な出会いから少しした頃、放課後にボクシング部の部室で待っていると言ってきた了平さんと別れた私は、自身が通っている1年A組の教室にて、どうしたものかと考えていた。
部活に誘われたことはすごく嬉しいし、男子とついていないから、女子でも参加できる部活だろうし、護身の一環で覚えてみるのも悪くないのかもしれないけど、私はすでに風紀委員会に参加している身だ。
もちろん、部活と委員会を同時に引き受けている生徒はたくさんいる。持田センパイだって、委員会と剣道部の主将の両方をこなしているしね。
でも、それは他の委員会だからできることであって、風紀委員ともなるとそうもいかない。
ていうか、絶対恭弥さんから却下されると思うんだよな……。
「おはようございます!奈月さ……ん………?」
「どーした、獄寺……って、なんかナツ、考え込んでるのな。」
うーん……と頭を悩ませていると、聞き慣れた声が二つ聞こえる。すぐに視線をそちらへと向ければ、やはりそこには隼人と武の2人がおり、不思議そうに私を見つめて首を傾げていた。
「ああ、隼人達か。おはよう。」
「はい……おはようございます……。」
「なぁ、ナツ。なんか考え込んでいたみたいだけど、なんかあったのか?」
武が心配そうな表情を見せながら聞いてくる。よく見ると隼人もどことなく心配そうな様子を見せており、余計なものをかけてしまったな……と少しだけ苦笑いをした。
「なんでもないよ。ただ、とある部活への勧誘を断らないとって思っていただけだからさ。」
「部活への勧誘を断る……ですか?」
「委員会をやって、部活をやって……じゃダメなのか?」
とりあえず誤解を解くために、何かしらの厄介な問題を抱えているわけじゃなく、部活への勧誘をお断りするため、なんて言おうか考えていただけであることを伝えた。
それにより、2人は再び首を傾げる。武に至っては、兼業することは考えないのかと聞いてきた。
「風紀委員会に参加してるから、部活まで増やすわけにはいかなくてね。意外と仕事多いんだよ。」
まぁ、全般的に不良連中を咬み殺して回るだけのお仕事ではあるんだけど……と言う言葉は飲み込んで、自身が参加している委員会は、意外と大変であることを伝える。
すると、2人はどこか納得したような表情を見せた。
「ごめんね、なっちゃん。お兄ちゃんって、ちょっと強引でガサツなところがあるから……。優しいお兄ちゃんではあるんだけど……」
「優しいお兄さんであることは十分わかるよ。かなり前のことでも、ちゃんと感謝を伝えるし、あそこまで頭を下げることができているからね。
妹想いの良いお兄さんだね。ちょっと真っ直ぐ過ぎて、こっちが気圧されそうになっちゃうけど。」
「でしょ?なっちゃん、無理しなくてもいいからね。私のことは気にしないで、キッパリ断ってくれてもいいから!」
「……京ちゃん、なんかめちゃくちゃハッキリ断っていいって言うけど、どしたの?」
なんだか少しだけ必死なような……?と不思議に思いながら、京ちゃんに断っていいとハッキリ言ってくる理由を問う。
私の問いかけを聞いた京ちゃんは、少しの間キョトンとしたあと、キリッとした表情をして口を開く。
「なっちゃんがかっこよくなり過ぎるのを防ぐためだよ!」
「Oh……」
ズバッと言ってきた京ちゃんに対して、思わず外国の人のような反応をしてしまう。
私がかっこよくなり過ぎるのは本当に嫌なんだね、京ちゃん……。
「それに、ボクシングって結構怪我しちゃう競技でしょ?私、なっちゃんに大怪我をしてほしくないの。
だって、お兄ちゃんもボクシングでたくさんあざを作ったことがあるし、歯だって何本も折ってるもん。」
そんななっちゃんは見たくないな……と、しゅんとした様子を見て何度か瞬きをする。
それ以上に怪我をしそうなお仕事をしているわけだけど、うん、これに関しては京ちゃんに話せないな。
にしても、私に大怪我をしてほしくない……ね。なおさら了平さんの勧誘は断らないとな……。
「とりあえず、放課後了平さんのところに行ってみるか。」
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始業式を終え、授業も終え、放課後のゆっくりできる時間。風紀委員会は、始業式とか関係なしに仕事があるのだが、それに少し遅れることを恭弥さんに伝えるべく、一応、屋上へと向かう。
京ちゃんたちには先にボクシング部の部室へと向かってもらった。最初はみんな私についてこようとしたけど、大勢で押しかけるのは迷惑だろうからと伝えれば、納得してもらえたから。
まぁ、迷惑だからと言うのは、別に適当な理由でもないしね。一番の理由は、群れていたら咬み殺されるからだけど。
「こんにちは、恭弥さん。」
「ん?ああ、奈月か。授業は終わったんだね。」
「ええ。」
「じゃあ、今日も始めようか。」
「あ、そのことなんですけど……」
「?」
いつものように屋上へと足を運べば、そこには恭弥さんがいた。彼は私の姿を見るなり、いつも通り仕事に行こうとしたが、すぐにそのことに関して相談があることを伝えると、不思議そうな表情をしながらも、話を聞く姿勢を見せた。
「恭弥さんは、ボクシング部の主将さんわかりますよね。」
「笹川 了平でしょ。彼がどうかしたの?」
「実は、今日の朝、彼にボクシング部に入らないかと勧誘されまして……」
「は?」
「ひぇっ!?」
話を聞いてくれるようで安心したと思いながら、今朝のことを伝えると、咬み殺す一歩手前モードの恭弥さんになってしまい、小さな悲鳴を漏らす。
わずかな殺気に、「あ、やべ」と冷や汗をかいていると、恭弥さんはツカツカと私の方へと歩いてくる。
それに比例するように思わず後退りをしてしまうが、屋上は限られた範囲でしか移動できない場所。
すぐに背中が一番端っこまでたどり着いてしまい、後退ができなくなる。
あ、と声を漏らしそうになった瞬間、ガシャンッと頭上からフェンスの音が聞こえてきて、同時にいつのまにか伸ばされていたトンファーで上を向かされる。
「(全然嬉しくない壁ドン顎クイ─────っ!!)」
あまりのことに冷や汗をかきながら硬直する。
逃げたくても逃げれないんですけどこれ……。
「まさか、部活に入るとか言わないよね?許可した覚えないんだけど?」
「いや、許可制なんです!?」
「当たり前でしょ、何言ってんの?」
めちゃくちゃ不機嫌そうな表情をしながら、こちらを見下ろしてくる恭弥さん。
あの、顔がめちゃくちゃ近いんですけど!?てかイケメンの至近距離凄み顔怖過ぎるっ!!
ドMさんなら歓喜しそうだけどノーマルには恐怖でしかない!!
「ちゃんと入部は断りますって!!恭弥さんのお仕事を手伝わなきゃいけないから部活なんてやってる暇ないし!!」
「じゃあなんでさっさと断りに行かないわけ?」
「仕事に遅れるかもしれないからですよ!!入りませんって一刀両断してもあの人すぐに諦めてくれなさそうだから!!」
「…………。」
若干涙目になりそうになりながらも、ここに来た理由を恭弥さんに伝えれば、彼は一度無言になって私を見つめる。
そのあと小さく息を吐いたのち、静かに私から距離を取ってくれた。
「わぶ!?」
「さっさと行きなよ。僕は応接室に戻るから。」
やっと恐怖の時間が終わったと思っていると、頭上からバサリと何かを被せられる。
それに驚いて声を漏らすと、さっさと行けと告げられた。応接室にいるから、断ったらすぐに戻ってこと言うことだろう。
冷静に分析しながら、頭に被せられた何かを取り除く。よく見るとそれは、恭弥さんが身につけてる学ランだった。
「………え?着て行けと?」
それが何を意味する物か理解し、思わずツッコミを入れてしまう。
何?僕のところの役員を勝手に取るなって牽制のつもりか?
「……ちょっとでかい。」
『………大変だな、ナツキ。』
ジョットさんから同情の眼差しを向けられる中、とりあえず恭弥さんの学ランの袖に手を通せば、少しだけ手のひらまで隠れてしまった。
やっぱ男子と女子の体格差って、それなりにあるんだな……。
沢田 奈月
ボクシング部の勧誘を断る前に、挨拶と仕事に入るのが遅くなることとを雲雀に伝えに行ったら恐怖体験をしてしまった転生者な10代目。
学ランを渡された理由をすぐに判断したあと、渋々袖を通してボクシング部の部室へと向かったが、そのせいで少々生徒にあらぬ誤解や、恐怖を抱かれたことに気づいていない。
雲雀 恭弥
ボクシング部に勧誘されたと奈月に言われ、ブチギレ寸前になった最強風紀委員長。
風紀委員の腕章が付いた自身の学ランを無言で投げ渡し、それを着るように促したあと応接室へと退散した。
ちゃんと身につけて行ったことを役員から聞いた時、苛立ちはなくなった。
笹川 京子
奈月にボクシング部への勧誘は断っていいとハッキリ伝えた原作ヒロイン。
これ以上かっこよくなってほしくないことも、怪我をしてほしくないのも全て本音。
このあと、まさか奈月が雲雀の学ランを着て部室に突入してくるとは思ってない。
獄寺 隼人
奈月が考え込んでいるのを心配して、トラブルなら右腕のオレが解決を……!!と思ったが、まさかの返答にキョトンとする。
何かあった時はオレが対処しようと奈月に付き添うことを決めるが、大きめの学ランを羽織って突入してきた敬愛する10代目にのちに混乱することになる。
山本 武
奈月が考え込んでいるのを心配して、かつての自分がしてもらったように相談に乗ろうとしたが、部活への勧誘の断り方を考えていたことを知り一安心。
最初は、部活と委員会を同時にしたら良いんじゃ……と思ったが、風紀委員会と言う言葉を聞いて、同時は無理だな、と察した。
ジョット
先輩と思わしき青年から学ランを被せられた子孫を見て、この子はなかなか苦労してそうだと苦笑いをこぼした初代ボンゴレ。
殺気ありの壁ドン顎クイ(どう見てもカツアゲシーン)を見て、一瞬キレそうになったのは言うまでもない。