最強の愛され系ボンゴレ♀は、今を全力で楽しみたい 作:時長凜祢@二次創作主力垢
恭弥さんの上着を羽織ったまま歩くこと十数分。校舎から少し離れたところにあるボクシング部の部室へとたどり着いた私は、周りの視線を感じながらも部室の中へと足を運ぶ。
「待っていたぞ、奈月!!」
「「「!!?」」」
「え……あれって風紀委員の学ランじゃね?」
「だよな……え?笹川センパイ正気か?」
「女子が入部するかもって話を聞いたから、ちょっと楽しみにしてたのに、一気に腹が底冷えしたんだけど」
「なぁ、これってヤバいんじゃ……下手したらオレら、咬み殺されねーか!?」
「「「「ひぃ─────っ……!!」」」」
部室の中に足を運んでみれば、了平さんは歓迎の言葉をかけきたが、それ以外の部員が顔を青くする。
隼人と武と京ちゃんの3人は、私が上に誰かの学ランを羽織っている現状に驚いているのか、目を丸くして固まっている。
『……効果的面だな。向こうの生徒達など、完全に恐怖を感じているみたいだぞ。』
そりゃ風紀委員会にはほとんどの人間が逆らえませんから……なんて、物騒なことを考えながらも、隼人達に近寄れば、すぐに3人は私の元に走り寄ってきた。
「あの、奈月さん?羽織ってる上着、明らかに男もんですけど……」
「そりゃ風紀委員長直々に渡された風紀委員長の学ランですから。さっさと仕事を始めたいから、早く帰って来いって言われてんだよね。」
「だよなー……。」
「なっちゃん、ほんっとうにごめん!!やっぱり私からお兄ちゃんに断りを入れた方が良かったね……なっちゃん、すごく忙しいのに……。」
「一応、委員長には仕事に遅れることを伝えてるし、真っ直ぐでちょっぴり頑固そうな了平さんが、京ちゃんの言葉だけで止まってくれるかと聞かれたらちょっと微妙なところだから気にしなくていいよ。
それに、こう言う手合いはハッキリとフラないとなかなか諦めがついてくれないからね。
私はそれをしに来ただけに過ぎないから、そんな顔しないで。」
申し訳なさそうな様子を見せる京ちゃんの頭を優しく撫でたのち、私は了平さんと向き直る。
彼はどことなくワクワクしているようだった。強い手合いがいることを楽しんでいるのだろう。
「お前の話を聞きつけて、タイからムエタイの長老まで駆けつけているぞ。」
「は?」
さて、どうやって断ろう……最悪実力行使か?なんて考えていると、了平さんから聞いたことのない存在の名前を聞かされる。
意味がわからず首を傾げていると、
「パオパオ老師だ!」
「パオ………………」
「どーした老師!!何かあっただろうか!?」
パオパオ老師だと紹介された存在は、ゾウの被り物とボクシンググローブを身につけただけの上半身裸なリボーンだった。
絶対に何かやらかそうとしているであろう彼に冷めた視線を向ければ、ゾウの鳴き真似をしようとしていたらしいリボーンが硬直する。
そして、しばらく無言になったあと、静かに床に降りてスタスタと歩き始める。
「パオパオ老師!?」
「少し、用事を思い出したから失礼するぞ。」
そう言ってリボーンは部室の外へと出て行く。了平さんがパオパオ老師─────っと叫んでいるが、どうでもいいと鼻を鳴らす。
「むぅ……!せっかくの機会だったのだが、用事を思い出してしまったのなら仕方ないな!!」
リボーンが立ち去って行った方角をしばらく見つめていた了平さん。
だが、しばらくして頭を切り替えたのか、再び私の方に向き直った。
「奈月!ボクシング部に入れ!お前の力であればきっと高みに行けるはずだ!!」
「褒めてくださりありがとうございます。謹んでお断り申し上げますね。」
ボクシング部に入るように言ってきた了平さんに、笑顔でお断りの返事を返す。
スパッと言った私のお断り表明を聞いた了平さん以外のボクシング部の部員さんが少しだけざわつく。
まぁ、一部ですよね!よかった!とか言ってるけど、やっぱり風紀委員会って怖いんだな。
「何故だ!?」
「何故って見ての通りですが?私は風紀委員会に所属しているため部活なんてできないんですよ。」
「委員会に入っていようが問題ない!!部活と委員会の両方をこなせばいいだけの話だ!!」
「そんな暇がないから無理だって言ってるんですよ。風紀委員会は他の委員会とは違って仕事がかなりありますからね。
違反者の取り締まりに、委員長の仕事の手伝い、雑用諸々と通常の仕事量に比べて遥かに多いんですよ。
その影響もあって放課後に部活に手を伸ばす余裕なんてありません。よって、ボクシング部には入りません。」
「委員会がない時もあるだろう!?」
「ないって言ってるのわかりませんか?毎日のように仕事があるのに部活ができるわけないでしょう。
そもそも委員長から許可がないし、入れないって話です。」
「許可を取ればいいだけの話だ!ボクシング部に入れ!!」
「きっぱりとお断りさせていただきます。」
入れ、入らないの応酬を繰り返す。周りは明らかに騒がしい。
まぁ、大半の声は、了平さんに対する命知らずさに対するドン引きのもので、私に対しての言葉は全くと言っていい程にないわけだけど。
ちなみに、京ちゃん達からは心配そうな眼差しと、了平さんに対する呆れの眼差しを感じ取ることができる。
まぁ、約1名、殺気ダダ漏れなんだけど。あの芝生野郎、10代目に迷惑なんかかけやがってって言う恨み言が聞こえてくる。
さて、どうしたものか。あまりにも遅過ぎると、恭弥さんか乗り込んできそうなんだけど。
「(もういっそのこと、恭弥さん方式で実力行使に移っちゃダメかな?最早解決策が気絶させる以外思いつかない。でもなぁ……)」
うーん……と考え込む。私が攻撃したら、間違いなく了平さんがかなりのダメージ受けるんだけど、いっそのこと殴り飛ばした方がいいような気がしてきたが、背後には京ちゃんがいる。
キッパリ断っていいとは言っていたけど、流石に実力行使なんてしたら、彼女が傷ついてしまうかもしれない。
どうしたものかと頭を悩ませる。さっきからさっさと終わらせてこいって催促するかのように携帯が震えてんだよね。
これ絶対恭弥さんからの着信なんだけど。
いい加減にしないと、恭弥さんから容赦のないお仕置きタイムと言う名の地獄の手合わせに付き合わされる……と冷や汗をかきながら思っていると、辺りに一発の銃声が響き渡った。
「は?」と思わず驚いていると、目の前にいた了平さんが急にばたりとその場に倒れ込んだ。
「え?」
『今のは……あの赤ん坊がやったのか?』
「!?」
ジョットさんの言葉を聞き、銃声が聞こえた方角へと目を向ける。そこにはライフルを構えた状態のリボーンの姿があり、そのライフルの銃口からは、一本の煙が立ち込めていた。
何をしてるんだあの家庭教師!!と顔を青くしていると、何かを破るような音が背後から聞こえてくる。
振り返ってみれば、そこには額に炎を灯した状態の了平さんが立っていた。
「む?どうした奈月。何故そこまで驚いた表情をしている?」
何が起こったかわからずポカンとしていたら、了平さんから声をかけられる。
それによりトリップしていた意識を取り戻した私は、急いでリボーンがいた方角へと目を向けた。
しかし、そこに彼の姿はなく、どこかへと移動してしまったようだ。
『ナツキ。あれが死ぬ気の炎を灯した状態だ。確か、お前のところにいた赤ん坊から説明してもらっていただろう?』
いったいどこに行ったんだ……と眉間に皺を少し寄せていると、ジョットさんから今の了平さんの状態を教えられる。
彼が口にした、あの赤ん坊から説明されたのではないかと言う問いかけに、少しだけ記憶を探ってみると、確かに彼から死ぬ気の炎の説明を受けていたことを思い出す。
すぐに肯定するように一つ瞬きをして見せれば、ジョットさんが小さく笑みを浮かべたのち、一つ頷く。
『あの状態の少年であれば、多少の攻撃ではびくともしない。まぁ、あまりこう言うのもどうかとは思うが、ナツキの攻撃どころか、死ぬ気の炎を灯した状態のナツキの攻撃を受けたとしても、大きなダメージにはならない。
だからと言って怪我を全くしないわけではないが、ある程度の無茶であれば耐えることができる。
いい加減、仕事に戻らなくてはならないのだろう?ならば、やることは一つじゃないか?』
“少々過激だから、あまり推奨はできないが……”と苦笑いをこぼしながら紡ぐジョットさんに、瞬きを一つして答える。
そして、携帯電話を取り出し、恭弥さんへとメールを送る。少々荒っぽいが、実力行使に出ていいか問うために。
返信はすぐに来た。むしろさっさと終わらせて戻って来いとの内容で。
「ふぅ……京ちゃん。先に謝っとくよ。」
「え?」
「今からちょっと手荒な真似を了平さんにする。怪我はさせないようにするけど、怪我をさせてしまったらごめん。」
そう告げて、私は静かに瞼を閉じる。少しだけ意識を集中させ、一箇所に熱が集まる感覚を感じ取り、それを一気に解放する。
その瞬間、ハルを助けた時に感じた力が湧いてくるような感覚と、穏やかで、しかしどこか力強い温もりがが体中に揺らいでいる。
「あの時に死ぬ気モードのコツを覚えておいて正解だった。おかげでいつでも死ぬ気モードになることができる。」
『オレから見たらまだ少し未熟な部分はあるがな。今度もう少し精度を上げれるよう、自宅内でもできる訓練方法を教えよう。
本格的な訓練方法に比べたら、精度の上がり方はかなり遅いが、やらないよりかはマシなはずだ。
いつ、本格的にこちらの事情に巻き込まれるかわからないし、今のうちからやっておいても損はない。』
それは随分とありがたい申し出だことで、と思いながら瞬きを一つ。そして私は、了平さんの方へと視線を向ける。
「さっさと仕事に戻りたいので、実力行使に移らせてもらいます。気絶しても責任は持ちませんのでお覚悟を。
まぁ、流石に病院送りにするつもりはないので安心してください。行動不能にはなるでしょうけどね。」
「どう言うことだ?」
「まぁ、了平さん側の言葉を使うのであればスパーリングと言ったところでしょう。」
「なるほど!ではリングまで上がるんだ奈月!!」
「ええ。かまいませんよ。ただし、一つだけ条件をつけます。」
「どのような条件だ?」
「どちらかがリングの外まで出たら負け。そして、負けた方が勝った方の言うことを聞く……と言った単純な条件ですよ。
この条件下の元、この場で勝負し、私が負けたら恭弥さんから許可をなんとか取ってボクシング部に参加します。
ですが、この条件下の元、この場で勝負し、私が勝ったらこちらのボクシング部への入部拒否を受け入れてもらいます。」
「いいだろう!」
「………言質は録りました。では、始めましょうか。」
携帯電話にこの条件の話をしてる音声を全て録音し、私はリングに立つ。
そして、そこら辺にいる部員から、必要な道具を受け取り、それを身につける。
全く……京ちゃんのお兄さんだから、乱暴な真似はしたくなかったんだけど、結局こうなるのか……。
沢田 奈月
実は死ぬ気モードになるためのコツはすでに身につけており、いつでも死ぬ気モードになれるようになっていた10代目。
かなりの実力がある彼女であっても、本気の雲雀相手はそれなりに体力が持っていかれるので苦手にしており、必要であれば実力行使を使って了平を黙らせることを考えていた。本人はあまり乗り気じゃない。
ジョット
自力で死ぬ気モードになれる奈月を見て、まだ精度が甘いなと思っており、自宅でもできる簡易的な訓練方法を教えることを約束する初代ボンゴレ。
曰く、瞬時に死ぬ気の炎を灯せるようになれば、戦闘面でも早め早めに行動を取ることができるようになるから教えた方がいいと思ったとのこと。
しかし、戦うために力を与えるのではなく、守るために力を与えるスタンス。
獄寺 隼人
誰の上着ですかそれ─────!?となった最初のファミリー。
山本 武
まさかの風紀委員長の上着着用状態の奈月に苦笑いをこぼした2人目のファミリー。
笹川 京子
忙しそうな奈月に申し訳なさいっぱいの原作ヒロイン。
実力行使に出ると言われた際、反対したかったが、奈月の様子から、本人も実際は乗り気じゃないとわかっており、どちらも怪我をしないでと願いながら見守ることを決める。
リボーン
奈月に絶対零度の眼差しを向けられ結構ショックだった家庭教師なヒットマン。
奈月が苛立ちと焦りの両方を抱いていることや、実力行使にはあまり出たくないと考えていることには気づいており、死ぬ気弾による了平の狙撃で少しだけ彼女が動きやすいようにした。