最強の愛され系ボンゴレ♀は、今を全力で楽しみたい   作:時長凜祢@二次創作主力垢

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変な医者がやってきた

 ボクシング部への勧誘のお断りや、恭弥さんからの不穏なお言葉などがあった日から数日経った頃。

 いつものように、学校でやることを一通り済ませて、自宅の方へと歩いていると、肩にわずかな重さが伝わってきた。

 すぐに肩に視線を向けてみれば、そこにはリボーンが座っており、相変わらず人を移動の脚に使ってんなこの家庭教師……と呆れる。

 

「ナツ。帰ったら気をつけろ。」

 

「は?いきなり何言ってんのリボーン。」

 

「……実は今日、マフィアになるなら顔を合わせた方がいいだろうと呼んでおいた医者がいるんだが、ちと性格に難がある奴でな。

 特に女相手に問題ばっかり起こす奴だから、ちと気掛かりなんだ。

 もちろん、オレがいる限り、妙な真似はさせるつもりはねーが、あれ相手に制御が効くかはわからない。」

 

「何でそんな奴呼んだのさ……」

 

 非常に言葉を詰まらせるリボーンに湿り気を帯びた目を向けてしまう。

 ていうか、その医者どんだけ節操なしなんだ。こちとらまだ中学一年生だぞ。

 

「これから先、ナツがマフィア関係のいざこざに巻き込まれるのは目に見えてるからな。いざと言う時は奴の力も借りる必要があると思ったんだ。

 特に、マフィア関係のいざこざでの怪我は、間違いなく普通の怪我じゃねーからな。

 ある程度の怪我なら、通常の医者にかかっても問題ねーが、大きなものや、マフィア関係による体調の変化は通常の医者じゃ手に負えねーことがある。だから、マフィア側に属してる医者との顔合わせも大事なんだぞ。

 特に、ナツの場合はマフィアのボスと言う立場上、あらゆる可能性を考慮し、それを防ぐための手段を持つ必要がある。

 それらを考えると、オレが呼んだ医者は条件を満たしてるんだが……」

 

「女性関係にめちゃくちゃ難があり過ぎるため、リボーンであってもどうかと思うような相手でもあると。」

 

「ああ。だが、腕は確かだからな。なんかされそうになったら、オレがちゃんと動くつもりだが、いざと言う時は殺す気でぶん殴っていいぞ。それくらい節操なしだから、その医者は。」

 

「マフィアって変わり者の集まりなわけ?」

 

 リボーンから告げられた言葉に、思わず表情を歪める。でも、彼が言ってる医者事情に関しては、正直言って同意しかない。

 マフィアのボス……その立場にいる以上、どんな刺客がやってくるかわからないし、場合によっては毒なんかを盛られる可能性もある。

 もし、そんなことが身に起きたらと思うと、治療手段を増やすのはいいことだろう。

 ただ……節操なしの女好きって何?そんな変態さんがマフィアにはいるのか……。

 

「そいつの名前はDr.シャマル。医者であり殺し屋でもある男だぞ。」

 

「殺し屋でもある……。」

 

「ああ。まぁ、会ってみりゃわかるぞ。」

 

 “奴の性格を考えると、正直言ってあまり合わせたくねーがな……”とどこか遠い目をしながら告げてくるリボーンに、私は引きつった笑みを浮かべる。

 あの、めちゃくちゃ会いたくないんですが……?

 

 

 *:・゚*.+ ❀ *:・゚*.+ *:・゚*.+ ❀ *:・゚*.+ *:・゚*.+ ❀

 

 

 リボーンからのお知らせにより、少しだけ重くなった足取りで、自身の自宅への道のりを歩いて行く。

 内心では他にいなかったのかと少しだけ文句を言いながら、漏れそうになるため息を飲み込んで。

 ゆっくりでも足をすすめていれば、必然的に自宅にたどり着き、程なくして玄関も目の前だ。

 

「……帰りたくない。」

 

「気持ちはわからなくもねーが、会っておいた方がいいぞ。ボスたるもの、あらゆる技術面に優れた人間との人脈を作っといた方が、身を守りやすくなるからな。」

 

 どことなく気落ちしてるようなリボーンの声を聞き、アンタもめっちゃテンション下がってんじゃねーかとツッコみたくなる。

 しかし、彼が呼んだと言うことは、性格はあれでも必要な人材と言うことだから、なんとも言えない気持ちになる。

 

「やめてくれ〜っ!!」

 

「死ね。」

 

「ぐふっ!?」

 

 非常なまでに複雑だ……なんて肩を落としながら考えていると、自宅の中からやけに賑やかな声が聞こえてきた。

 そのあと、程なくしてかなり大きな物音が外まで聞こえてきて、自宅の中の異常に気づく。

 

「ちょ、ビアンキさん!?何やってんの!?」

 

 先ほどのやり取りの中に、ビアンキさんのものと思われる声を聞いた私は、急いで自宅の中へと駆け込んだ。

 その瞬間、視界に入ったのは、階段から派手に落下したであろう見知らぬ男性と、階段の上からゆっくりと降りてくるビアンキさんの姿だった。

 

「人の家で何やっちゃってんのこのお姉様───っ!!?」

 

「あら、ナツ。おかえりなさい。賑やかにしてごめんなさいね。あまりにも目に余る害虫が入り込んでいたから始末していたのよ。」

 

 “久しぶりに世のためになる殺しをしたわ”とスッキリしたような様子で言葉を紡ぐビアンキさんに困惑しながら、階段から落下してる男性に目を向ける。

 この人……ポイズンクッキングと自身の顔の間に布挟んでない?

 

「相変わらずのおてんばだなぁ。」

 

 本当に死んでるこれ?恭弥さん呼ぶべき?と固まっていると、倒れていた男性が言葉を紡ぐ。

 やっぱりこの人まだ生きてたわ……と携帯電話を制服に収め、男性の様子を観察する。

 

「やっぱ女の子はそーでなくっちゃ〜〜っ!!ますます好きになっちった!」

 

「あ……」

 

 するとその男性はむくりと起き上がり、ハイテンションのままビアンキさんの頬へと躊躇いなくキスをした。

 油断していたらしいビアンキさんは、突然のその行動に上手く反応ができなかったようで、目を見開いて一瞬固まる。

 

「死ね!!」

 

 しかし、すぐに男性を容赦なく蹴り飛ばしては、玄関の方へと転がした。

 一連のやり取りの流れのせいで、完全に思考がフリーズしてしまい、目の前に広がる惨状に呆気に取られる。

 

「ナツ。早くこっちにいらっしゃい。そいつの近くは危険よ。」

 

「あ、ハイ。」

 

 有無を言わさぬビアンキさんの圧に、大人しく返事を返して靴を脱ぎ、トコトコと彼女の元へと歩み寄れば、自然な動作で手を引かれ、ビアンキさんの背後に匿われる。

 ここまでしないとヤバい人なのかとドン引きしながら大人しくしていると、私の方に再びわずかな重さがのしかかる。

 

「……リボーン。もしかしなくてもこの人が例の?」

 

 すぐにリボーンだと判断した私は、帰り際に伝えられた医者とは、目の前にいる存在であってるか問いかけた。

 

「ああ。さっき話したドクター……これからのことを考えて呼んでおいたDr.シャマルだ。」

 

「リボーン……眉間にめっちゃシワがよってるよ。いつものポーカーフェイスもなんか崩れ気味だし。」

 

「言わないでくれ。やっぱ呼ばねー方がよかったかもなと若干考えてるんだぞ。」

 

「どんだけ警戒されてんのこの医者。」

 

 ビアンキさんの背後に匿われながら、リボーンと静かに言葉を交わす。

 いや、ホント、なんでこんな医者呼んじゃったの……。

 

「さっきも言ったように、こいつの腕は確かなんだ。医者としての技術は、オレでも信頼を寄せる程度にはな。こいつの手にかかりゃ、ある程度の病気や怪我はちゃんと治るぞ。

 ただ、人格や性格面では……な……。だが、こいつ以上の能力を持ってる医者は、あまり思い浮かばねーんだ。」

 

「性格のせいで思っクソ何もかも台無しにしてんじゃんこの人……。」

 

 呆れとドン引きが混ざった感情に苛まれながら、私はキュッとビアンキさんの服を少しだけ握る。

 精神的な年齢としては、目の前にいる人に近い私ではあるけど、ここまで厄介な男性だと、あまりにも惹かれなさ過ぎる。

 

「ったく、照れ屋だなビアンキは!」

 

「よるな!!ナツの教育に悪いでしょうが!!」

 

 再び詰め寄るシャマルさんに対して、ビアンキさんはポイズンクッキングを投げつけたあと、私を抱きしめながら彼を蹴り飛ばす。

 流れるような一連の動作に、流石ダナー……と現実逃避するように考える。

 あの、ビアンキさん。助けてくださるのはありがたいのですが、豊満なお胸の谷間を私の顔面に押し付けないでください、ちょっと苦しいです。

 

「……見ての通り、女好きのキス魔でな。こいつに関わる時は、必ずオレかビアンキを付き添いで連れて行くんだぞ。

 オレやビアンキがいない時に関わるようなことがあれば、獄寺辺りを連れて行け。

 こいつと2人になると碌なことにならねーしな。」

 

「ボロクソに言われる医者とか聞いたことないんだけど……?」

 

 あまりにもめちゃくちゃ過ぎる現状に、ため息を吐きたくなる。そんな中少しだけ息苦しさを覚えた私は、ビアンキさんの肩をぽすぽすと軽く叩いた。

 

「あら、ナツ。どうしたのかしら?」

 

「むぷ……ちょ、ちょっとお胸が苦しいので離してくださるとありがたいのだけど……。」

 

「え?あら、ごめんなさい。抱き心地が良かったものだから。あなた、なかなか健康的な体をしているのね。細過ぎず太過ぎず……あと、意外とあるのね。胸。」

 

「ビアンキさんには負けるかな……。」

 

 ようやく息苦しさがなくなったと思いながら顔を上げれば、ビアンキさんは私をじっと見つめてきた。

 不思議に思いながら首を傾げると、彼女は何かを思いついたような反応を見せた。

 

「ねぇ。確かナツ、さっき私のことをお姉様って呼んでいたわよね?もう一度言ってみてくれない?お姉様が嫌なら、姉さんでもいいから。」

 

「何で?」

 

「何となくよ。ほら、もう一度言いなさい。また胸に顔埋めるわよ。」

 

「なんつー脅し……って待って待って待って待って。本当に頭抑え込まないで。えっと……ね、姉さん。」

 

「……なんかいいわね、この感じ。隼人は反抗期なのか、異母姉弟の私を異性として意識し過ぎているのかわからないけど、すぐに倒れちゃうから寂しかったのよ。

 ナツ。今日から私のことはそう呼びなさい。妹ができたみたいで、気に入っちゃったわ。」

 

「え……呼ばなきゃダメ……?」

 

「胸に顔面押し付けられるのと、新技の実験台になるのと、姉呼びするの、どれか選ばせてあげるわよ。」

 

「姉さん呼びするから他の選択肢はやめて!?」

 

 慌てて呼び方を変えることを伝えれば、ビアンキさんは満足気な様子を見せる。

 なんともまぁ嬉しげだ。仕方ない……姉さん呼びをすると約束してしまった以上、これからそう呼ばないとだなぁ……。

 

 

 




 沢田 奈月
 シャマルの様子にドン引きしていた転生者な10代目。
 ビアンキに匿われていたら、なぜか流れで彼女を姉さん呼びすることになった。

 ビアンキ
 最初、奈月にお姉様と呼ばれ、何かくるものがあったらしい毒サソリ。
 奈月に呼び方変更の約束をさせて、どことなく満足げな様子を見せた。

 リボーン
 Dr.シャマルだけには奈月を会わせたくなかったが、彼女の立場を考えて渋々合わせることにした家庭教師なヒットマン。
 しかし、奈月より先にビアンキがいたこともあり、一時的に彼との接触が回避された。

 Dr.シャマル
 リボーンに呼ばれて日本にやってきた殺し屋兼業の医者。
 ボンゴレの10代目候補と顔を合わせるためにやってきたのだが、ビアンキに夢中になっていたせいで、ボンゴレ10代目候補の奈月に気づいていなかった。

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