最強の愛され系ボンゴレ♀は、今を全力で楽しみたい 作:時長凜祢@二次創作主力垢
Dr.シャマルとの顔合わせを終え、何気ない日々が再び訪れた8月の末。
少しずつ秋の足音が近づいているこの時期、私は、屋上の出入口の上……普段は恭弥さんが使っている高いところに寝転んでいた。
なぜこんなところで寝転んでいるのかと言うと、本日は恭弥さんは委員会でいないため不在なので、こっそりと上ってみたのである。
ここってこんなに景色見えるんだな、と驚いたものである。
「ん?」
そんなことを思いながら辺りを見渡していると、校舎裏で何やらぶっ倒れている生徒が数人いることに気づく。
不良の喧嘩か?と一瞬思ったけど、あれ、よく見ると風紀委員会だな。
倒れている生徒は……あれって確か、緑化委員会か何かだっけ?恭弥さんから指示されて、生徒の情報は頭に入れていたけど、恭弥さん程パッとすぐに出てこない私でも、あの3人組のことは知っている。
どこに行こうと一緒に行動を取っている3人組で、ある種のサンコイチグループだ。
何度も廊下で見かけたから、くれぐれも恭弥さんの前では群れないように言っておいたはずなんだけど、咬み殺されてるってことはそう言うことか。
「委員会中まで群れるとかあり得ねー……」
「本当にね。ところで、何してるの奈月。ここ、僕が普段使ってるはずなんだけど?」
「おわ!?恭弥さ……うわわわわ!?」
あの3人マジか……と呆れながら眺めていると、背後から声をかけられる。
意識を3人組に集中させていたせいで近づいていた恭弥さんの気配に気づかなかった私は、不意に話しかけられたことによりその場でバランスを崩し、屋上に落下しそうになる。
「……何やってんの。」
「うう……すみません。」
しかし、寸前のところで恭弥さんが私の腕を掴み、引っ張り上げてくれたおかげで、彼の方に倒れ込む形になり助かった。
呆れたような眼差しを向けてくる恭弥さんに謝罪をしながら、私は彼から離れる。
まさか、恭弥さんに抱きつくような形で倒れ込むとは……人にくっつかれるのあんまり得意じゃない彼には本当に申し訳ないことをした。
「別にいいけど、なんでここにいたわけ?」
「……普段恭弥さんが見てる景色がちょっと気になって、恭弥さんが委員会に出向いてる間にちょっとだけ見てみようと上ってました。」
「ふーん?で、どうだった。ここからの景色は。」
「あ、はい。すごく綺麗でした!下の方は広さ的にも180度しか見えなかったので、360度全体が見れて、普段とは全く違う景色ばかりで、とても新鮮な体験でした!」
「そう。楽しめたならよかったよ。でも、今度からは勝手に使わないでもらえる?」
「ゔ……わかりました。すみません。」
好奇心に負けて無断で使った私バカ……と自身で呆れながら、恭弥さんが戻ってきたし、退散するかとその場から離れる。
……が、降りる前に恭弥さんに腕を掴まれたことにより、動きを止めることになる。
「恭弥さん?」
「ちょうどいいや。そこに座って。」
「え?はぁ……わかりました……って、え゛?」
なんで止められたんだ?と疑問に思いながら、大人しく言われた場所に座り込めば、恭弥さんが私の足を勝手に枕にして寝転んでしまった。
何かを言う前に膝枕をさせられてしまい、思わずポカンと間抜けヅラを晒す。
え?なんで私、恭弥さんに膝枕してんの?
「携帯でアラームかけてるから、それが鳴るまで少し寝るから。起こさないでよ。起こしたら咬み殺すから。」
「は?ちょ、ま、え?恭弥さん……?」
「……………。」
「……………(本気で眠りやがったこの風紀委員長……!!)」
すやすやと穏やかな寝息を立て始めた恭弥さんの姿にショックを受ける。
しかし、起こしたら咬み殺すと言う言葉を聞いて、動こうにも動けない状態になってしまった。
どうしたものかと考え込む。でも、すぐに答えは出せないと諦めて、そのまま雲が漂う青空を眺めることにした。
まぁ、空を眺めるのって、すぐに飽きると思うけど。
「…………(どうしようかなこれ。)」
できることなら早く帰りたいのだけど、恭弥さんって神経質そうだし、少し動いただけでも目を覚ましそうで怖いんだよな。
そう思いながら携帯電話をいじる。……って言うか、恭弥さんって髪の毛サラサラだな。
私の髪は父さん譲りの癖毛で、ここまでサラサラしてないんだよね。柔らかい髪質だし、触り心地は悪くないんだけど。
『……なんだか、猫みたいな男子生徒だな。』
「……………。」
くるくると自身の髪の毛をいじりながら、足に触れている恭弥さんの髪を羨ましく思っていると、ジョットさんがポツリと呟く。
静かにそっちに目を向けてみると、ジョットさんが恭弥さんを見下ろしていた。
『無断でナワバリに入られたり、無断で近づかれたりするのを嫌うと言うのに、心を許せたり気まぐれを起こしたりすると離れようとした相手に近づく……ほら、猫のようだろう?』
それにしか見えなくなったじゃんと少しだけ困惑しながら目で伝えれば、ジョットさんが小さく笑う。
そして、再び視線を恭弥さんに向け、小さく微笑んだ。
『少しだけ、アラウディを思い出すな。彼の場合は、あまり誰かに気を許すような様子は見せなかったが。』
聞いたことない言葉に首を傾げる。
言い方からして、ジョットさんの知り合いなんだろうけど……。
『アラウディとは、オレがボンゴレⅠ世としてまだ組織を率いていた時、オレが仲間にしていた友人の1人のことだ。
彼もなかなかの一匹狼でな。あまり、誰かと一緒にいる姿を見たことがなかった。
だが、必要な時はすごく頼り甲斐のある男だったんだ。利害が一致した時などは特に頼もしくてな。
独自の方向性からではあるが、誰よりも優しく、仲間を大切にするような奴だった。』
“いつかナツキにも会わせたいな”と懐かしむように告げてくるジョットさん。
その横顔を静かに見つめる。……ジョットさんの仲間であり友人。つまり、初代ファミリーの幹部ってことだよね。
彼が頼りにしていた人のうちの1人か……私もいつか会ってみたいな。
「……いつか、会えるかな。」
『むしろ、オレがなんとしても会わせる。ここだけの話、オレも誰かにオレのことや友人達の話をしたいんだ。
功績やどのようなことをしていたのかは伝わっているかもしれないが、何気ない日常の話などは伝わってないだろうからな。
ナツキの思い出話を聞く代わりに、オレの思い出話も聞いてはくれないだろうか?
もしかしたら、他のみんなもその話の途中で顔を出してくれるかもしれないからな。』
“その時は、ナツキにオレの友人達を紹介しよう”と穏やかに笑うジョットさんに、私は静かに笑い返して頷く。
だって気になるもん。ジョットさんが生きていた時、彼が一緒に過ごしていた友人の話。
私が頷いたのを確認したジョットさんは、少しだけ幼く見えるような笑顔を見せたあと、恭弥さんに膝枕をしているせいで動けない私の後ろに座り、少しだけこちらの背中に寄りかかる。
自分ばかり寄りかかられるのは少しだけ癪だったので、こちらも背もたれにしてやったら、小さな笑い声が聞こえてきた。
でも、彼の笑い声は私にしか聞こえないため、恭弥さんが起きることはなかった。
沢田 奈月
雲雀が委員会に出ている間、こっそりと彼の特等席である屋上の高台で景色を眺めていたボンゴレ10代目。
委員会を終えて戻ってきた雲雀に少しだけ怒られながらも指示に従っていると、なぜか強制的に膝枕をさせられてしまった。
彼の携帯から並盛中学校の校歌が流れるまで、一緒にいたボンゴレⅠ世とゆっくり過ごしていた。
雲雀 恭弥
委員会を終えて屋上に上がってみたら、自身の特等席を無断で使っていた奈月がいたので、勝手に使うなと少しだけ怒った風紀委員長。
このあと委員会で複数人がいる部屋に足を運んでいた疲労を回復するため、奈月に指示を出して膝枕をさせ、アラームが鳴るまで仮眠を取った。
アラームに使っていた並盛中学校の校歌を聞いて、今度奈月にも歌わせようと考えたのは言うまでもない。
ジョット
奈月と話していた雲雀を見て少しだけ自身の仲間であり友人でもあった初代ファミリーを思い出していたボンゴレⅠ世。
奈月が自身の仲間達に興味を示したことに気づき、今度、自分の思い出話も聞いてほしいことを告げ、いつか彼らと会わせたいなと笑顔を見せる。