最強の愛され系ボンゴレ♀は、今を全力で楽しみたい   作:時長凜祢@二次創作主力垢

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体育祭は波瀾万丈 Ⅰ

 9月に入り、少し経った頃。並盛中学校は、体育祭の季節である。

 京ちゃんが了平さんから聞かされた話によると、並盛中学校の体育祭は、かなりのビッグイベントで、準備期間の時点で既に学校の雰囲気が違うらしい。

 まぁ、実際、一回以上経験してる先輩方は、なんかめちゃくちゃ燃えているし、初めて参加する一年生達も、かなりワクワクしている様子がある。

 京ちゃんもどこかニコニコで、彼女も楽しみなんだろう。

 

 並盛中学校の体育祭のチーム分けは、一年から三年全体でA、B、Cとなり、組同士の対抗戦とのことだ。

 そして、この体育祭の目玉となるのは、クライマックスに男子が行う“棒倒し”だと言う。

 ルールとしては、組の総大将となる生徒が棒のてっぺんに登り、相手チームの総大将を落とすことで勝利が決まるらしい。

 ま、女子である私には関係ないのだけど。

 

「“極限必勝!!”これが明日の体育祭での我々A組のスローガンだ!!勝たなければ意味はない!!」

 

「……相変わらず賑やかだな。」

 

「でも、お兄ちゃんすっごく楽しそうだよ。無茶をしないか心配だけど。」

 

「だね。飛ばしすぎてぶっ倒れなきゃいいけど。京ちゃん。了平さんは京ちゃんの話ならしっかり聞くし、休憩の度に水分補給をさせなよ。

 常時燃えていたら、血圧やらなんやが上がって、熱中症のリスクも高くなる。」

 

「うん。わかった。ちゃんと水分補給をするように言っておくね。」

 

「ん。それでいい。とりあえず麦茶は必須だから、なるべく多めに用意してあげて。麦茶って、ミネラルが結構含まれているから、熱中症の予防に適してるんだ。」

 

「そうなんだ!なっちゃん物知りだね!」

 

「そりゃ、自宅で小さい子を預かってるもんだから、健康管理をしっかりしないからね。」

 

 燃え上がっている了平さんを横目に見ながら、私は隣に座っている京ちゃんと雑談をする。

 まぁ、雑談……というよりは、体調をしっかり見とかないとあの人ぶっ倒れるから気をつけて、って言う健康面の心配になっちゃったけど。

 

「そう言えば、女子も盛り上がる競技あるんだっけ。」

 

「うん。女子は男子のように力を使ったり、体を張ったりする競技は難しいから、別枠で盛り上げる競技があるんだって。

 確か、借り物競走だったかな。体育祭を運営する体育委員会が、借りてくるもののお題を用意してくれるから、それを借りてくるんだって。

 噂だと、結構変わったお題とかも入っているみたいだよ。」

 

「へぇ……。去年はどんなお題があったんだろ。」

 

「私が聞いたのは、カツラの人、だったかな?」

 

「……それ、お題引いた人も、お題に沿われた結果連れてこられた人も気まずいやつ……。」

 

 どうやら、なかなかひねたお題が複数混ざっていそうだ。まぁ、それはそれで面白くはあるけど、内容によってはめちゃくちゃ頭を悩ましちゃいそうだな。

 

「奈月さん。奈月さん。」

 

「ん?」

 

 なんてことを考えていると、京ちゃんの反対側に座っていた隼人から肩を軽く叩かれる。

 すぐに隼人の方へと視線を向けてみると、彼は少しだけ困惑したような表情を見せてこちらを見つめていた。

 

「どしたの、隼人。」

 

「あの芝生頭が言ってるボータオシってなんスか?」

 

「ああ……。どうやら、この並盛中学校の体育祭の中で、一番盛り上がる競技みたいでね。

 全てのチームの男子生徒が総出で参加する競技で、総大将が棒のてっぺんに登り、他のチームの総大将を棒の上から地面へと下ろすことで勝敗が決まるんだよ。

 まぁ、誰が棒を倒されないように支えて、誰が他のチームに特攻をかますのか考えたりもしないといけないだろうから、なかなか戦略性のある競技なんじゃないかな?」

 

「なるほど。」

 

「奈月!!さっきから周りとよく話しているようだが、こちらの話は聞いているのか!?」

 

「うるさっ……ちゃんと話は聞いてますってば。あれでしょ?組の勝敗の決め手は棒倒しだから、ここを確実に取っていこうって流れでしょ?」

 

「うむ!!ちゃんと聞いていたな!!」

 

 隼人に棒倒しの説明をする中、大声で話しかけられ、少しだけ不機嫌になる。

 注意するのはいいけど、離れていても耳に響くような声は少しだけ苦手だ。

 しかも、今いる場所は講談室だからね。余計に声が響くのなんの。少しくらいは考えてくれ。

 

「棒倒しは、例年組の代表を総大将にするならわしだ。つまり、オレがやるべきだ。だがオレは辞退する!!」

 

 ……何言ってんのこの人?

 

「オレは大将であるより兵士として戦いたいんだ─────!!」

 

 …………だから何言ってんのこの人?

 

 周りがガゴーンッと言わんばかりにドン引きする中、私は呆れたようにため息を吐く。

 隣に座っている京ちゃんはと言うと、実兄のとんでもない発言に顔を真っ赤にしており、ものすごく恥ずかしそうにしていた。

 

「だが心配はいらん。オレより総大将に相応しい者がこのチームには……」

 

「あのー、了平さん?」

 

「どうした奈月!!」

 

「念のため確認しますが、自分より相応しいとか言って、私を指名しようとしていませんよね?」

 

「………。」

 

 こちらの指摘を聞き、了平さんが無言になる。あ、これ、私のことを指名しようとしていたな?と、察するには十分すぎる程の間だった。

 予想通りと言うか何というか……盛り上げるためとは言え、少しばかり冷静さに欠けてるなぁ……。

 

「棒倒しに参加できるのは男子のみ。女子である私は参加することはできませんよ。

 ですので、総大将は私以外を指名するか、ご自身が務める方がよろしいかと。」

 

 内心で深く呆れながら、突拍子もない発言をされる前に制止をかければ、了平さんがぬおぉ……と唸り声を上げる。

 戦士として戦いたいと言う欲と、代役を立てることができない現実に頭を悩ませているらしい。

 

「……なっちゃん、お兄ちゃんがまた迷惑かけてごめんね。」

 

「あー……別に京ちゃんが謝る必要はないよ。君は悪くないんだし。」

 

「でも……」

 

「いいの。だから謝らないで。」

 

「うん。」

 

 京ちゃんが安堵の表情を浮かべるのを確認した私は、頭を抱えている了平さんへと目を向けながら、少しだけ考え込む。

 そこまで悩む程に総大将をやりたくないのかと、ため息を吐きそうになりながら、可能な限りできそうなことを詮索する。

 

「隼人。」

 

「はいっス。」

 

「もし、私が了平さんの代わりに総大将をやってあげてって言ったら、引き受けてくれる?」

 

「奈月さんが言うのであれば引き受けてもいっスよ!でも、なんでオレを?」

 

「そりゃ、隼人なら能力的に問題がないからだよ。頭は回る方だから、戦略を練ることもできそうだし、体格と体幹ともに文句なしの高水準。

 今必要なのは、仮に棒のてっぺんから落とされそうになっても、それに抵抗しててっぺんにいることを維持し、それなりに競い合いに立ち回ることができる存在……これらの条件を今のところ満たしているのは隼人だと私は思ってる。」

 

「!!」

 

「やれる?」

 

「もちろんです!!奈月さんの期待に応えられるよう、オレが全力で総大将を全うしてみせます!!」

 

 それにより出した答えは、この中で戦闘慣れしている上、頭もそれなりに回る隼人を棒倒しの時の総大将にすると言う答えだった。

 まぁ、武も候補ではあったけど、彼より戦闘慣れしているのは、殺し屋の経験がある隼人の方だ。

 筋力とかは武の方が上かもしれないけどね。

 

「……ってなわけで、隼人を総大将に私は推薦します。体格や体幹、ともに了平さんに引けは取らないし、十分相応しいのではないかと。1年A組。文句はない?」

 

「「「「はーい!!奈月ちゃんの意見に賛成─────!!」」」」

 

「確かに、戦うとなると獄寺が一番強そうだよな。」

 

「だな。」

 

「「「「「1年A組男子!沢田の意見に賛成だ!!」」」」

 

「……うちのクラスは全体的に隼人の総大将推薦に賛成ですが……先輩方はどうですか?」

 

 私の言葉を聞いた先輩達が、瞬きをしながら顔を見合わせる。

 その様子を見て、そう言えばこの人達は隼人の力を知らないんだった……と少しだけ考えて、私は静かに口を開く。

 

「彼は、私がちょっと厄介な先輩方に絡まれていた時、その先輩方から守り抜いてくれました。

 喧嘩殺法ではありますが、戦闘能力はかなりあります。複数人相手にあそこまで立ち回れる人間は、あまりいなと思いますよ。

 それに、頭の回転も速いです。抜き打ちで小テストを出された時に全て100点にすることができるくらいには。

 そのため、戦略面もそれなりに期待することができます。もちろん、体格からすると、彼よりもいい人がいますが、総合力的には、隼人が適任だと思いますよ。

 まぁ、所詮は私の1意見。全ての判断は、皆さんに任せます。」

 

 隼人を総大将にするメリットを、その場で軽くプレゼンすれば、先輩達は目を丸くして、何度か瞬きを繰り返す。

 しかし、それを聞いたことにより、ようやく納得してくれたのか、次々と賛成の声を上げてくれた。

 

「どうやら賛成派が過半数を占めるようだな!!では、棒倒しの総大将は獄寺 隼人に決定だ!!」

 

 決定を告げる言葉を聞き、チーム全体が盛り上がる。私が能力のプレゼンをつらつらと行った隼人はと言うと、少しだけ照れたような表情をして、頬をポリポリと掻いていた。

 

 

 

 




 沢田 奈月
 体育祭の棒倒しの総大将に獄寺を推薦したボンゴレ10代目。
 OL時代にプレゼン能力を少しだけ鍛えていてよかったと安堵する。

 獄寺 隼人
 敬愛する10代目からベタ褒めをくらい、顔を赤くしていた最初のファミリー。
 彼女の期待に応えられるように、全力で総大将を全うするつもりでいる。

 山本 武
 奈月のプレゼンを聞いて、やっぱり獄寺ってすごいのな!と笑顔になった2人目のファミリー。
 ……なのだが、総大将の件で、自分ではなく獄寺を推薦した奈月に少しだけもやっとしてしまった。

 笹川 京子
 兄の暴走が少しだけ恥ずかしかった原作ヒロイン。
 奈月にまた迷惑をかけようとしていたのでちょっと怒った。

 笹川 了平
 戦士として戦いたいがために、奈月を棒倒しの総大将に推薦しようとしたが、根本的な理由から不可能であることを知り、頭を抱えたボクシング部の主将。
 しかし、奈月な提案により、総大将が獄寺へと変わったため、自身の望みを叶えることができた。
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