最強の愛され系ボンゴレ♀は、今を全力で楽しみたい   作:時長凜祢@二次創作主力垢

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体育祭は波瀾万丈 Ⅲ

 開会式も終わり、とうとう体育祭本番。

 様々な競技が行われる中、各チームの応援も響き渡り、この祭典を盛り上げる。

 今行われている競技は、チームから選抜された代表選手同士による長距離走。

 そのトップを走っているのは武で、陸上部のホープとも呼ばれている生徒すらも追い越して、真っ直ぐとゴールテープを切った。

 それを見たAチームは、一気に盛り上がる。戻ってきた彼の元に走り寄った男子生徒達は、口々に武の健闘を讃え、ハイタッチをしたり、背中を叩いたりして喜びを分かち合っていた。

 これぞ青春の一幕。精神面が既に三十路越えの私には少々眩しいな。

 

「ナツ!」

 

「ん?ああ。」

 

 そんなことを考えていると、私の姿を見つけた武が笑顔でこちらへと駆け寄ってくる。

 それが何を意味するものか理解した私は、すぐに武の元へと歩み寄り、片手を挙げた。

 同時に響き渡るハイタッチの音と、なぜか騒がしくなる女子生徒達の声。

 なんだなんだと思っていると、奈月ちゃんと武かっこいい!と騒がれていたようだ。

 

 

「次の種目は男子対抗の障害物レースか。確か、隼人が参加者だったかな。」

 

「はいっス!」

 

「そっか。普通の競争に比べたら結構勝手が違うけど、君ならなんとかなりそうだね。

 怪我をしないように、だけど全力で行っといで。」

 

「任せてください、10代目!!じゃ、行ってきます!!」

 

 そう言って競技参加者が集まる列へと走っていく隼人を見送りながら、この後のプログラムに視線を落とす。

 これが終わったら女子対抗のリレーがあって、そのあと男子対抗リレー。で、借り物競走か。

 借り物競走……毎回珍ネタが混ざってるって話だから、気を引き締めていかないとな。

 

「なっちゃん!」

 

「ん?どしたの京ちゃん。」

 

「うん!次のリレー、私と花が出るから、応援してもらいたくって。」

 

「もちろん応援するよ。ただ、無理はしないでね。」

 

「大丈夫よ。確かに私達はナツに比べたら全然体力も足の速さも劣るけど、それなりに運動神経はいい方だから。」

 

「知ってるよ。」

 

「絶対に頑張って上位に入るね!」

 

「ん。怪我には気をつけてね。」

 

「うん!」

 

 いったいどんな珍ネタが混ざってるかな……なんて考えていると、次の女子対抗リレーに出場することになっている京ちゃんと花が、私に応援してほしいと伝えにくる。

 すぐに怪我に気をつけながら頑張ってほしいと返せば、2人は笑顔で頷いて、出場者ゲートの方へと走っていく。

 女子リレーは、確か陸上部の三年生がアンカーだったかな。都大会を優勝したことがあり、全国大会でも2位の快挙を果たした人と聞いたけど。

 

「真面目にやらんかタコヘッド!!A組の勝利がかかってるんだぞ!!?」

 

「あ゛あ゛!?俺に指図すんじゃねーよ芝生頭!!こっちは棒倒しのために体力温存してんだよ!!」

 

「全力でやらなくては勝てんだろう!!?」

 

 なんてことを考えていると、少しだけAチーム側が騒がしくなっていることに気がつく。

 すぐにその方角へと視線を向けてみれば、何やら言い争っている様子の隼人と了平さんの姿が見えた。

 

「ちょっと、なんの騒ぎ?」

 

「あ、ナツ……実はよ……」

 

 すかさず足をそこに運んでみれば、困惑している様子の武がこちらに気づき、状況を説明してきた。

 どうやら、障害物レースの勝敗に関して、隼人と了平さんが言い争っていたらしい。

 なんでも、隼人が慣れないレースで少々遅れをとってしまったようで、4位という結果になってしまったのだとか。

 

「ヒョホホホ!!」

 

 何やってるんだうちの総大将達はと呆れながら、今にも互いに手を出してしまいそうな状況にある隼人と了平さんを止めようとしたら、随分とまぁ独特な笑い方をする生徒が現れた。

 すぐに視線を笑い声の方へ向けてみると、そこにはこちら側の倍近くはありそうな巨体を持つ生徒が立っていた。

 この人は確か……Cチームの総大将である相撲部の主将である高田先輩だったかな。

 ……この巨体で棒のてっぺんに登るのか。支える役割を担う生徒達が大変そうだな。

 

「仲間われか〜〜い?ヒョホホ!棒倒しはチームワークがモノを言うんだよ〜〜。こりゃA組恐るるに足らないね〜〜〜!」

 

 ……一瞬、トンファーを構えそうになってしまった。何この先輩、やな感じ。

 自身の体格がいいからって、わざわざ馬鹿にしにきたわけ?

 

「余計なお世話だ!!」

 

「なんだテメーは?」

 

 なんて考えていると、言い争いをしていた隼人と了平さんの怒りの矛先が、茶々を入れてきた高田先輩の方に向けられる。

 同時に2人の足や手に力が入り、わずかに動く様子を確認できたため、私はこのあとの展開をすぐに読むことができた。

 すぐに私は一瞬だけ意識を集中状態へと落とし込み、集う熱を解放し、死ぬ気モードへと移行する。

 これくらいしないと、流石にパワーがある2人を無傷で止めることができない。

 

 死ぬ気モードに移行した私は、同時に地面を強く蹴り上げる。身体能力が向上した状態にあるからか、2人の手足が高田先輩の体に直撃する前に体を滑り込ませることができた。

 

「奈月!!?」

 

「10代目!!?」

 

「ヒョ!!?」

 

 一瞬にして高田先輩と隼人達の間に私が姿を現したからか、全員が驚いたように声を上げる。

 しかし、私はそれを気にすることなく近づいてくる隼人の足と、了平さんの腕を掴み、怪我をしないように調節しながら、高田先輩に攻撃をしようとしていた隼人と了平さんを地面へと転がす。

 

「あだ!?」

 

「ぬお!?」

 

 私によりすっ転ばされた隼人と了平さんが目を白黒させる。

 

「……総大将と先輩が、何恥ずかしいことしてるですか?しかも、あわやとんでもない暴力沙汰になってたし、周りにも迷惑かけまくってるし、ふざけてるんですか?」

 

「す……すみません10代目……。」

 

「ス……スマン、奈月……。」

 

 すっ転んだ2人を見ながら、少しだけ怒気を帯びた声音で話しかければ、隼人と了平さんが謝罪してくる。

 それを見た私は小さくため息を吐き、倒れている2人に手を差し伸べた。

 すぐに2人は私の手を掴み、そのままゆっくりと立ち上がる。その姿にやれやれと首を振れば、申し訳なさそうな表情をした2人とも目があった。

 

「負けて悔しいのはわかりますが、それを火種に周りに迷惑をかけられては困ります。

 しかも、同じチームだけでなく、他のチームにまで損害を与える寸前だった。これもある種の違反ですよ。」

 

「「………はい。申し訳ありませんでした。」」

 

「周りに迷惑をかけるようであれば、私も動かざるを得なくなります。そこら辺頭に入れておいてもらわなくては困ります。

 ……これで2人に忠告は1回。あまりにも目に余る程問題を繰り返すようであれば、私も風紀委員として見逃せなくなるので、しっかりしてください。

 風紀委員会としての私には、仲間だとか同じチームだとか関係ないので。」

 

「「はい、肝に銘じておきます……」」

 

 縮こまる程に反省する隼人と了平さんの姿を見て、私は深くため息を吐く。

 そして、何度か深呼吸をすることで死ぬ気モードを解除した私は、未だに固まっている高田先輩へと視線を向けた。

 その際、高田先輩はビクッと肩を揺らすのが見えた。よく見ると彼の視線は、私が腰に提げている折り畳み式のトンファーと、恭弥さんの学ランにつけられている風紀委員を示す腕章を行ったり来たりしており、冷や汗をダラダラと流してるようだった。

 

「確か、C組総大将を務めることになった相撲部主将、高田さんでしたね。」

 

「は、はい……」

 

「この度はうちの組の人間が失礼しました。そちらに怪我がなくて何よりです。」

 

「お、おう……」

 

「それはそれとして、随分と品のない挑発をしてくださりましたね。おかげで、あわや校内で暴力沙汰が巻き起こるところでした。

 まぁ、暴力をした時点で非の大きさはこちらにありますが、そちらもある意味で原因になってしまったことをお忘れなく。

 今回はとりあえずイエローカード……いわゆる1回目の忠告のみにしてこちらは何もしませんが、繰り返し品のない挑発をし、風紀を乱すようであれば、私も手を出さざるを得なくなります。

 そこら辺は頭に入れて、ご自身のチームへお帰りください。以降、2回目の忠告を受けてもなお、問題を起こすようでしたら、風紀委員会役員として、容赦なくその体を形成する肉の鎧ごと咬み殺します。わかりましたね?」

 

「ヒィ!!すみません!!すみません!!すぐにチームに戻りますので勘弁してくださ〜〜〜〜い!!!!」

 

 少しだけトンファーに手を触れながら軽く睨みつければ、高田先輩は慌ててA組のテントから立ち去った。

 高田先輩が戻ったC組のテントでは、高田先輩の慌てっぷりを見た生徒達が顔を青くして私の方へと目を向けている。

 

「……少し凄んだだけでこれか。所詮体がでかいだけってこと?」

 

「いや、さっきの沢田、めちゃくちゃ怖かったからな?」

 

「そう?他の役員に比べたらまだ優しいと思うけど。」

 

「いやぁ……目の前で女子がガタイのいい男子を2人まとめてすっ転ばした上、お説教していたら、誰だって怖いと思うぞ……。」

 

 “まぁ、スカッとしたけど”なんて言って笑うチームメイトに釣られて、周りが一斉に笑い出す。

 それを見た私は少しだけ首を傾げるが、すぐにある気配を感じ取り、その方角を睨む。

 私が視線を向けた方向にはリボーンがおり、こそこそと何かしようとしているようだった。

 しかし、私が視線を向けていることに彼は気がついたようで、一瞬固まったのち、私の方を向いてきた。

 余計な真似はするな。少しの苛立ちと殺気を向けながら、視線だけでそれを訴えれば、彼はそそくさと退散し、私の母さん達が座っているテントの方へと移動していた。

 

 

 




 沢田 奈月
 風紀委員としての仕事をしている時は、誰に対しても敬語になるボンゴレ10代目。
 暴力沙汰になる前に、獄寺と了平をすっ転ばして、そのままお説教をした。

 獄寺&了平
 奈月からお説教を受けた2人組。
 どちらも片手だけで奈月にすっ転ばされるとは思っていなかったため、かなり混乱していた。

 笹川京子&黒川 花
 リレーに出ていたため、A組テントで問題が起きていたことに気がつかなかった。
 後から話を聞いて、問題を起こした獄寺と了平、そして、C組の総大将に対してかなり怒った。(奈月に見てもらえなかったため)

 山本 武
 奈月に隼人達の状況を説明した。
 初めて風紀委員としての奈月を見て、いつもこんな感じで仕事やってたのな、と1人考えていた。

 リボーン
 少しだけ引っ掻き回そうとしたが、しっかりと奈月に捕捉されてしまい、手を出すのを諦めた家庭教師なヒットマン。
 触らぬ神に祟りなし……とりあえず大人しくすることにした。

 C組生徒達
 高田先輩怖がらせるとかやっぱ女子でも風紀委員って怖ぇ─────!!


 
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