最強の愛され系ボンゴレ♀は、今を全力で楽しみたい 作:時長凜祢@二次創作主力垢
とりあえず問題を解決したのち、借り物競走のため出場ゲートへと足を運んだ私は、恭弥さんの学ランを羽織ったまま、A組列の最後尾に並んでいた。
一緒に並んでいる生徒達は、ちらちらと私の方へと目を向けてくる。まぁ、風紀委員しか身につけることがない学ランを羽織っているわけだから、目立つのは仕方ないか。
「ナツ!しっかり!」
「ナツさんファイトー!!」
「しっかりやりなさいよナツ。応援してるわよ。」
そんなことを思っていると、観客席から聞き慣れた声が聞こえて来る。
視線をすぐにそっちへ向ければ、私に手を振ってる母さんとハルの姿があった。
ビアンキ姉さんは微笑んでいる。あ、目を合わせてみたら頷かれた。
「あ!ナツだもんね!」
母さん達に手を振っていると、私に気づいたらしいランボが、無邪気な笑顔を向けてきた。
彼にも小さく笑って手を触れば、すごく嬉しそうに私の方へと手を振っている。
あ、私のとこに駆け出そうとしたところを母さんに捕まった。まぁ、関係者以外が足を踏み入れてしまうのは良くないからね。
そのまま大人しくしといてね。
そんなことを思っていると、入場の合図が聞こえて来る。すぐに出場者達と一緒に指定された場所へ向かえば、第一走者がスタートラインへと移動する。
それを確認しながら、私は羽織っていただけの恭弥さんの学ランへと袖を通した。
相変わらずちょっと大きいそれは、私の手のひらが隠れてしまう。でも、こうしないと地面に落としそうなんだよね。
「行けー!!A組─────!!」
「B組負けんな─────!!」
「C組ファイト─────!!」
周りの生徒達が、自分達のチームへと声援を送る。
よく見ると既に競技が始まっており、一斉に走り出した参加者達がお題の箱まで駆け寄り、一枚ずつお題を引き当てている。
「え゛!?こんなお題あるの!?」
「ちょ、やだ!!恥ずかしいの引いた!!」
「これは確か……うん、あそこにある奴ね!!」
「借りて来ることできるかな……。」
「簡単なお題でよかったー!!」
そして、手にしたお題を見ては、顔を赤くしたり、ショックを受けたり、価値を確信したりと様々な反応を見せる生徒達。
全員、自分のお題のものを手に入れて来るため、コースから外して該当するものを探し、見つけることができた選手から、次々とトラックへと戻ってくる。
そう言えば、トップ3までの人は、お題を読み上げられて確認されるんだっけ……。
変なの引いてトップ3に入ったら読み上げられるとか地獄かな?
つまり、オーソドックスだけど下世話なお題である好きな人とか、憧れている人とか引いていた場合、それを読み上げられるわけで……うわぁ……めんどくさいことになりそうだな。
道理で参加者の生徒が、やけに気合が入ってるわけだ。いわゆる、変なお題を引きませんようにって意気込んでる状態。
「トップはA組!!お題は、家族!!」
「はい!私のお母さんです!!」
「久々に走ったから、ちょっと疲れちゃったわ。」
なんてことを考えていると、A組の生徒が第一走を制した。お題は家族とは、なかなか優しいお題である。
「2着はC組!お題はグラウンド整備のトンボ……ですね!」
「重たかった─────!!」
「確かにこれは女子には少し重い……。」
次にゴールしたのはC組。……グラウンド整備のトンボとかあるのか……と苦笑いをこぼしてしまう。
それなりに大きさがあり、重さもあるそれを、倉庫の方から持って来るのはなかなか大変だっただろう。
「3着はB組!!お題は、男子生徒の鉢巻ですね。」
「はい!仲良くしてくれる友達がいて助かりました!!」
3着目はB組。なるほど。男子の鉢巻か。簡単ではあるけど、仲良くしている男子生徒がいなかったら、結構戸惑いそうな内容だ。
自分の人脈もなかなかに必要らしい。
「第一走目は、1位がA組!2位がC組!3位がB組でした!!それでは、第二走目を始めます!二走目の生徒の皆さんはスタートラインへと移動してください!!」
その言葉を合図に、次の生徒がスタートラインの方へと足を運ぶ。次はどんなお題が出て来るのか……少しだけ楽しみになってきたな。
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あれから、次々と走者がトラックを走り抜け、とうとうアンカーの番がきた。
これまでのお題はなかなかに個性的なものが含まれていたものだ。眼鏡をかけてる人、部活の先輩、部活の後輩と言った、人を探し出して走るものがあれば、〇〇部の〇〇と言った、部活で使う道具の指定もあり、初恋の人や気になってる人と言った内容もあったりと、かなり盛り上がっていた。
そして、順番が回ってきた私達アンカー側だが……どうやら、最終トラックの選手には特別に難しい内容のお題が入ったお題箱に変わるそうだ。
「皆さん!位置について!」
いったいどんな内容がお題箱に入っているのやら、と思いながら、スタートラインへと立てば、スタートを伝える号砲が鳴り響く。
それに合わせてスタートダッシュを決めれば、同時に走っていた女子陸上部のエースも置いて行く勢いで前の方へ行くことができた。
走り出した私を見て、A組生徒や、母さん達が盛り上がる。その声援を背中に受けながら、お題箱の中に手を突っ込み、一枚の紙を回収する。
「……うっわマジか。」
そこに記されていた文字を見て、思わず私は表情を歪めた。誰だこんな内容を書いたの。
あとでどうなっても知らないぞ。
「来てくれるといいんだけど……ね!!」
ため息を吐きそうになりながら、私はすぐ近くにある生徒席へと走り出し、そのまま群衆の上を飛び越す。
向かう先は並盛中学校の校舎。そこにいる人物なんて、1人しかいない。
他の生徒達が混乱する中、軽くぴょんぴょんとその場で飛べば、2階付近の窓ガラスが開き、そこから1人の生徒が飛び降りて来る。
「何?」
「すみません、恭弥さん。群れの中に足を運ぶのが嫌なのはめちゃくちゃわかるんですが、こんなものを引いてしまいまして……」
「………は?」
それを確認した私は、飛び降りてきた生徒……我らが風紀委員長こと、雲雀 恭弥にお題の紙を見せる。
そこには風紀委員長の文字がデカデカと記されており、それを確認した恭弥さんから、わずかに殺気が漏れ出した。
「ちょっと。誰?こんなお題を書いた奴。」
「おそらく体育委員会のどなたかと。」
「そいつ、今すぐ殺してきてくる。」
「咬みが抜けてますよ恭弥さん。」
イライラマックスの恭弥さんの様子に、冷や汗を流しながらも、なんとかして説得を試みる。
正直言って、こっちも咬み殺されそうだから嫌なんだけどね。
「あの……しばらくの間、私は恭弥さんの要望を出来る限り聞くので、少しだけ協力してくれると助かるのですが……やっぱ、群れの中に行くことになりますし、ダメでしょうか?」
「しばらくの間、僕の要望を聞く?」
「ええ。なんでもこなします……までは言い切れません。私にも一応は限界がありますから。ですが、その限界を迎えない範囲であれば、恭弥さんの気が済むまで要望を聞き、それを叶えます。」
私の言葉を聞き、恭弥さんが少しだけ考え込む様子を見せる。一応、考えてはくれるらしい。
「そう言えばさっき、2人の草食動物相手に、普段は見せない動きをしていたよね。あれ、どう言うこと?」
「あー……あれは、まぁ、いわゆる、本気のさらに本気状態と言いますか……。結構自身の限界を超えるような状態になっていて、普段はあまり使わない状態と言いますか……。
その、かなり体力を消耗するので、あまり使えないんですよ。そこまで体力があるわけではないので、あれ使った状態で恭弥さんとやり合うと、翌日に響きそうで……」
「ふーん……。」
意外と条件を提示したら、話を聞いてくれるんだよな……と考えていると、恭弥さんから、隼人と了平さん相手にしていた動きについて言及されてしまった。
そう言えば、まだ制御が完全にできているわけじゃないし、死ぬ気モードで恭弥さんと手合わせをしたことはなかったんだった……と思い出した私は、言い訳にしかならないと理解していながらも、あまりにも使い過ぎると疲れる状態だから、普段はセーブしていることを彼に告げる。
すると、恭弥さんはどことなく面白くなさそうに、しかし、かなり興味深いと言うように、私の方へと目を向けてきた。
「……いいよ。特別に今回は引き受けてあげる。」
「本当ですか!?」
「その代わり、あの草食動物達の前でなっていた君と勝負させてもらうよ。君の動きを見て、少し体を動かしたくなっていたところなんだ。」
「おっふ……まぁ、構いませんが……。」
「じゃあ行こうか。」
「はい!すぐにでも……ってうわ!?」
死ぬ気モードの私と戦いたいってのが要望かー……と少しだけ遠い目をしそうになる。
しかし、恭弥さんを説得することができたことが嬉しくて、トラックに行こうと言って来る恭弥さんに返事を返すと、急な浮遊感に襲われた。
驚いて今の状況を確認すると、私は恭弥さんに軽々とお米様抱っこされてしまっていた。
「ど、どこにそんな力が……!!私重くないですか!?」
「うるさい。耳元で騒がないでくれる?落とされたいの?」
「落とされたくはないです!」
「だったら黙ってて。ていうか、話していたら舌を噛むと思うよ。」
「は?うきゃ!?」
まさかの状態に混乱する中、恭弥さんが私を抱えたまま勢いよく地面を蹴り上げる。
その瞬間、景色は次々と変わっていき、気がついた時には既にトラックの方へと移動していた。
「「「「ええ!?ヒバリさん!!!?」」」」
トラックに綺麗に着地したかと思えば、ゴールの方へと走り出していた恭弥さんに抱っこされたまま移動していると、周りの生徒達が顔を青くして驚愕の声を上げる。
しかし、恭弥さんはそんな生徒達など気にすることなくトラックを走り抜ける。
こっちが説得している間に、先にお題に沿ったものを借りていた生徒が前を走っていたけど、それすらも恭弥さんは一気に抜き去り、そのままトップへと躍り出る。
「あ。」
「何?」
「今回のお題をぶっ込んだ生徒見つけました。体育委員会の委員長さんです。」
「へぇ……教えてくれて助かったよ。探す手間が省けた。」
そんな中私は、生徒達の中で、一番顔色を悪くし、焦っている様子の生徒を見つけた。
すぐに恭弥さんを呼ぶようなお題を作った犯人だとわかった私は、そのことをすぐ恭弥さんに伝える。
これで、あの委員長さんの未来は決まったわけだけど、ま、今回は仕方ない。
そう思いながら、恭弥さんに抱えられていると、彼はゴールテープを切り、トップでのゴールを果たす。
「1位はA組!!お題……は……は、はい、風紀委員長で合ってますね。」
「マイク貸して。」
「はい……。」
さっさと寄越せと言わんばかりに読み上げ役の人に手を伸ばした恭弥さん。
読み上げ役の人は、すぐに恭弥さんへマイクを手渡した。
「体育委員会の委員長は、あとで応接室に来ること。逃げたら許さないよ。」
マイクを受け取った恭弥さんは、それを使って先程私が伝えた体育委員長にお呼び出し放送を行う。
遠くの方で短い悲鳴と、だからやめろって言ったのにと言わんばかりの空気の重さを感じ取る。
お呼び出し放送を聞いた全校生徒は、命知らずだとか、勝たせる気なかっただろとか、なんでヒバリさんを巻き込むようなことをしたんだよと言った雰囲気を纏った。
「草壁に手を回すように伝えておいたから楽しみにしてて。全力で遊んであげるから。」
「……また草壁さんがパシられている。」
「副委員長なら当然の仕事だよ。それじゃあ、またあとで。遊ぶ時間になるまで校舎内に戻っておくよ。いい加減蕁麻疹が出そうだし。」
「群れアレルギー……?」
スタスタと立ち去って行く恭弥さんの背中を見送りながら、アホなことを考える。
現状から考えると、なんか後半戦でやらかしてくれそうだなぁ……。
沢田 奈月
実はヒバリ相手には一度も死ぬ気モードで戦ったことがなかったボンゴレ10代目。
しかし、獄寺と了平の仲裁に入った際に、とうとうヒバリに死ぬ気モードがバレてしまったため、隠すことができなくなった。
雲雀 恭弥
借り物競走に巻き込まれてかなり不機嫌だったが、奈月から満足するで、しばらくは要望に応えると言われ、機嫌を持ち直した風紀委員長。
これまで見たことがなかった死ぬ気モードの奈月を見て、今までは本気じゃなかったのかとかなり拗ねたが、彼女の協力してくれたら要望に応えると言う条件を利用することで、その状態の彼女との戦闘を取りつける。
草壁をパシり、なんらかの手回しを行ったらしい。
なお、体育委員会の委員長はこのあと容赦なく咬み殺した模様……