最強の愛され系ボンゴレ♀は、今を全力で楽しみたい 作:時長凜祢@二次創作主力垢
波瀾万丈の体育祭を終え、恭弥さんからは何度も再戦を挑まれ、死ぬ気モードのコントロールのコツを得た私は、そんな恭弥さんを死ぬ気モードで毎回退けると言う生活が日常の一幕に加えられることになってしまった。
まぁ、私としてはありがたい変化ではあるけどさ。恭弥さんには申し訳ないけど、死ぬ気モードのいい訓練になってるから。
で、まぁ、これからは死ぬ気モードをどれだけ維持して戦えるようになるかが大事そうだな……なんて考えながら毎日を送っていたのだけど、さらにハードな日常生活に変化しそうな気がしてならないです。
『待ちなよ、プリーモの子孫。少しこっちに来てもらえる?』
「…………おっふ。」
いつものように風紀委員の仕事をこなし、恭弥さんの相手も済ませ、いつものように帰宅している時だった。
自身の家に帰るための帰宅路をのんびり歩いていると、急に目の前に紫色の炎が立ち上がり、思わず驚いて足を止めると、そこから1人の男性が姿を現した。
その男性は、どことなく恭弥さんに雰囲気が似ているプラチナブロンドの男性で、長いコートと、複数の手錠をベルトに下げている人だった。
いきなり現れた見知らぬ人……しかし、私の直感はすぐにそれが誰かを教えてくれた。
……初代ボンゴレファミリー幹部……おそらくだが、前にジョットさんが話してくれた、恭弥さんに雰囲気がよく似ている友、アラウディその人だろう。
「えっと……もしかしなくても、アラウディさんだったりします?生前、ジョットさんがボンゴレを率いていた時、ともに過ごしたことがあったって話した幹部の……」
『へぇ……彼、僕のことを話してたんだ。』
「ええ。私の先輩が、あなたとよく似た雰囲気をしてるって話していました。」
『君の先輩ってあれだろ?棒倒しの時に、君に勝負を挑んでやられていたヒバリとか言う……。彼と僕の雰囲気が似ている?どこが?』
「えっと……」
全体的に雰囲気が似てますけど……と言いたくなったが、口にしたらなんかめんどくさいことになりそうだと思い、少しだけ思案する。
「あまり……似てませんね。ちょっとだけ、雰囲気がそれっぽいってだけで、よく似てると言う言葉は、語弊がある気がします。」
『だろうね。』
とりあえず、似ていると言う言葉を否定するように返答すれば、アラウディさんはフン……と小さく鼻で笑い飛ばし、当たり前だと言うように言葉を返してきた。
どうやらこの返しは正解だったらしい。
「ところで、私に何の用で……?」
そのことに少しだけ安堵しながら、なんらかの目的を持って私に話しかけてきたらしいアラウディさんに、その目的は何かと問いかける。
何の用もなしに、関わってくることはないはずだ。妙なことじゃなければいいのだけど……。
『大した用事じゃないよ。少しだけ、ちょっかいを出しにきただけだから。』
「?………!!?」
アラウディさんの言葉に首を傾げていると、いきなり蹴撃が飛んでくる。
慌ててそれを回避するため、バックステップで距離を取るが、流れるように放たれていた拳が自身の目の前に映り込み、すかさず手でガードをする。
「うあ!?」
しかし、その攻撃は恭弥さんの比にならない程の重さを持っており、なんとか直撃を防ぐことはできたが、体は軽々と吹き飛ばされ、防御に使っていた腕にはビリビリとした痺れを感じる。
「っ……!いきなり何するんですか!?」
こちとら恭弥さんと死ぬ気モードの戦闘を終わらせた直後でかなり疲れてるんだけど!!?と怒鳴りたくなりながら、急に攻撃をしてきた理由をアラウディさんに問う。
こっちの問いかけを聞いたアラウディさんはと言うと、まるでそんな威嚇は効かないと言わんばかりにスンと表情はそのままで、私のことを真っ直ぐと見つめていた。
『反射神経は問題なしか。もう少し早く反応してもいいような気もするけど、今のを防ぐことができるなら、一旦は及第点かな。』
「は?何が言いたいんですか?」
『別に。こっちの話だから気にしないで。次はそっちからかかってきて。炎はともさなくてもいいから。』
「…………?」
アラウディさんの狙いがよくわからず、疑問を抱きながらも私は戦闘態勢をとる。
そして、彼の指示通り自ら向かっていき、そのまま攻撃を放った……が、やはりと言うか、軽々とそれは止められてしまう。
それならと一撃、二撃と連続で攻撃を放っていくが、どれも止められてしまった。
『攻撃の動きも悪くはないけど、やっぱりちょっと遅い。』
「!?」
言葉が紡がれると同時に鳩尾の方へと放たれた一撃。直撃する前に片手を前に出してそれを防ぐが、防いだ手を貫くように衝撃は走り、軽く鳩尾の方に痛みが生じる。
「っ!!?」
あまりの痛みに声を詰まらせる。腕の防御すら貫通する打撃って何?直撃するよりかはマシなんだろうけど、かなりの痛みが走ったんだけど!?
「ゲホッ……いったぁ………!!」
鳩尾を押さえながら跪き、痛みに悶えていると、こちらへと近寄ってくる足音が聞こえる。
すぐに視線をそちらへと向けてみると、アラウディさんは私の目の前まで歩いてきては、静かに片手を差し伸べてくれた。
一瞬だけ戸惑うが、伸ばされた手に自身の手を重ねれば、強い力で引っ張り上げられる。
その勢いのままその場に立ち上がれば、パタパタと足についた砂を払われた。
「……いったい何なんですか急に。攻撃してきたり、攻撃してこいって言ったり。」
『君の戦闘能力を少しだけ確かめたかっただけだよ。』
「私の戦闘能力を確かめる?何のために……」
『君に戦い方を教えるためだけど。』
「……………………は?」
何がしたいんだこの人はと思いながら問いかけてみたら、まさかの返答が返ってきた。
え?戦い方を教える?誰が?アラウディさんが?
『棒倒しの時、君の動きを見ていたんだけど、悪くない行動を取っているのに、攻撃の出だしが遅かったり、一部単調な攻撃が繰り返されたり、技術面でダメにしてるのが目に見えてね。
それをある程度解消することができたら、もう少し強くなれると思うよ。』
「はぁ……。」
『あとは、まぁ少しの興味かな。君に戦い方を教えたら、どこまで伸びるのか少し興味が湧いてね。
ついでだから、小柄な体を上手く活用して、かなりの人数を相手にしても無傷で、もしくは擦り傷や打撲程度の軽傷のみで終わらせるくらいに実力を伸ばしてみたくなったんだよ。
これから、定期的に君の前に現れるから覚えておいて。僕が使える戦闘技術を、頭に叩き込んであげるから。』
「……ちなみに、拒否権は…………?」
『あるわけないでしょ。今のままじゃ、プリーモが残したものを継ぐにせよ継がないにせよ、いろいろと不安が残る。
自身の良さを活かせるような技術を身につける方が、君自身痛い目に遭う頻度が少なくなるだろうしね。
それとも、今の技術力でこれから先ずっとやっていけると思ってるの?』
「それは……思ってないですけど……。」
『だったら話は早いね。これから先、複数人を相手にしても問題なく立ち回れるように技術力を上げてもらうから。
どっちみちこっちの世界に片足だけでも突っ込んでいる以上、未来永劫安全に過ごせるわけがないだろうし。』
“逃げないでね”と念を押すように告げたアラウディさんは、私に背を向けて立ち去っていく。
ある程度歩いた瞬間、紫色の炎に包まれて消えたけど、あの炎、なんだろう……。
了平さんと対峙した時に見かけた死ぬ気の炎と似たようなものに見えたけど、色が違うしな……。
死ぬ気の炎には複数の色と効果があるとか、そんな感じなんだろうか。
『ナツキ、大丈夫か?』
「あ、ジョットさん……。」
何度か瞬きをして先程の炎に関して考えていると、すぐ横にジョットさんがやってきた。
彼は、私の顔を見つめながら、どことなく心配そうな表情を見せている。
もしかして、一部始終見ていたのだろうか……。
『すまない。もう少し早く側に来ることができたらよかったのだが、アラウディから邪魔をするなと言われてしまってな。
彼なりに何か思うところがあり、そのことをナツキに教え、育て上げようと思っているようだったので、声をかけるべきか否か悩んでいたんだ。
だが、早めに声をかけたほうがよかったかもしれないな。』
“鳩尾付近は大丈夫か?”と、肩に優しく触れながら聞いてきたジョットさんに小さく頷き返す。
直撃は避けることができたから、その分ダメージは少なかったし、痛みもすぐに引いたから。
『おそらくだが、これから先、アラウディはしょっちゅうナツキの元に姿を現すはずだ。
彼に限って、ナツキが誰かと一緒にいる時は手を出してこないと思うが、1人でいると間違いなくやってくるだろうな。』
「そこら辺は配慮してくれるのか……」
『面倒ごとにだけはしないはずだ。だが、警戒はしておいた方がいいぞ。
多分、アラウディは、ナツキを視界に入れた瞬間連行するだろうからな。』
「………恭弥さんにもよくやられてるから慣れた。」
『それは、慣れていいものじゃないと思うのだが……?』
ジョットさんの困惑の声に鼓膜を揺らしながら、私は一つ深いため息を吐く。
学生としての勉強、風紀委員としての取り締まり、恭弥さんからのリベンジマッチに、初代幹部の人による抜き打ち体術訓練か……。
やることが……やることが多い………。
『ちなみに、オレの幼馴染みも何か企てている様子だったから気をつけておいた方がいいぞ。
おそらくだが、遠距離攻撃のレクチャーだろう。実は、先日の体育祭の時に話していたんだが、ナツキの体型や、筋肉のつき方からして、近接のみで力を行使するには限界があるのではと話していてな。
それを補えるように、素早さによる翻弄と、遠距離からの攻撃による補助を利用することで、戦闘をいかにトリッキーに切り抜けられるようにする方がいいのでは……と言う結論が出たんだ。』
「……何つー会話をしてるの初代ファミリー………。」
『無論、オレ達はナツキが本当にこの技術を身につけるかどうかを聞いてからレクチャーするつもりでいる。
オレが残したものを継ぐのであれば、十分な技術になるが、継がないのであれば、あまり必要がない技術だからな。
そこは、ナツキの意思次第だ。学ぶも学ばないも好きにしてほしい。』
「なるほどね……。アラウディさんは問答無用で戦闘技術を叩き込むつもりでいるみたいだけど……」
『そうだな……複数人を相手にして戦う技術は、案外日常内でも利用できる技術だからな。そこら辺は覚えていても損はないと判断した。』
……確かに損はないかもしれないけど、そんなノリで戦闘技術を教えてもいいのか初代ファミリー。
少しだけ呆れながら考える。まぁ、護身術に応用できそうだし、別に構わないから学ばせてもらうけどね。
「まぁ、戦闘技術は覚えていて損はないし、選ばれたからにはちゃんと責務を全うするつもりでいるから、戦える術が増えるのは問題ないけど。」
『そうか。ならば、今度Gも紹介しよう。遠距離を彼程扱える人間はなかなかいないからな。きっと、Gも張り切ってナツキに技術を教えるだろう。』
「ん。」
ジョットさんのどこか嬉しげな笑みを見つめながら、短く返事をする。
これから先、もっと初代ファミリーと顔を合わせることになりそうだ。
沢田 奈月
急に初代ファミリーの1人に戦闘能力を確かめるからと言われ攻撃を喰らわされたボンゴレ10代目。
これから先、さらにやることが増えたことを察し、遠い目をする。
アラウディ
奈月に戦闘技術の向上を促すために姿を現した初代ファミリーの1人。
彼女の現在の戦闘技術を測るために手合わせをしたら、しっかりと技術はあるのに、速さや技術不足のせいでそれが活かせてないことがわかり、素材はいいのに勿体無いと思い、これから定期的にちょっかいを出すことを宣言する。
逃げようとしたら、容赦なく拘束する気でいる。
ジョット
アラウディに接触され、確かめるためとは言え、容赦なく攻撃をされている奈月をハラハラしながら見つめていた。
奈月が、あらゆる技術を身につける気でいる様子に、どこか嬉しく思っていた。