最強の愛され系ボンゴレ♀は、今を全力で楽しみたい 作:時長凜祢@二次創作主力垢
「なるほどなー……。チビ達が寿司食ったあと、そのまま店出ていっちまったから、ナツが支払おうとしてたのか。」
「うん。でも、ちょっと今の手持ちじゃ払えそうになくてね。だから、ここはとりあえず支払えない値段分をお店の手伝いをすることでなんとかしようとしていたんだよ。」
「あはは!ナツらしいな!でも、ちとマジメ過ぎじゃねーか?まぁ、払わなきゃいけないってのはわかっけど、わざわざ自分で働いてなんて……」
「んー……そうかな?払えない分は手伝って返すのがいいと思うんだけど……。悪いのはこっちだし。」
このお寿司屋さんが、武の実家にもなっていると言う衝撃的な事実を知り、しばらくした頃、私は、さっきまでここで何をしようとしていたのかを武に教えた。
話を聞いた武は、まさかの現状に陥ってる私に、苦笑いをしながら大変だなと言ってくる。
マジメ過ぎとも指摘されたけど、そうでもないと私は思っていたり。
まぁ、武が帰って来たから、彼を付き添いとして一旦家まで戻り、必要金額を取ってくることもできるから、今はそこまで深く考えなくてもいい……のだろうか?
そこら辺の匙加減がよくわからず、少しだけ首を傾げる。
向こうの方では、こちら側に非があった場合、必ず非があった側が責任を持って後始末をしたり、謝罪したりしていたから、これが当たり前だと思ってんだよね。
まぁ、そもそもが食い逃げなんて言う職人さんを冒涜するようなこと自体やったことないんだけどさ。
ただ、向こうでは社会人なんだから責任がうんぬんかんぬんって言われ続けたし、自分で処理するのが板についていたせいで、責任を取らないと気が済まないと言うか……。
そんなことを考えていると、武のお父さんがおぼんにお茶が入った湯呑みを乗せて、作業場から姿を現した。
「いやぁ、嬢ちゃんがいつもタケシが話してた女の子だったのかー。こいつの彼女なら、話は変わらぁな。」
「え?」
「ば!?親父!!何言ってんだ!!」
おぼんに乗ってる湯呑みを、私と武の前に置きながら、そんなことを言って来た武のお父さんの言葉に、思わずポカンとしてしまう。
今、この人なんて言った?武の彼女?誰が?私が?
「違うのかい?学校から帰ってくるたびに、タケシが口にするもんだから、オレはてっきり……」
キョトンとした顔で、そう言ってくる武のお父さんの姿に何度か瞬きを繰り返す。
「親父!!ナツが困ってるだろ!!」
すると、武が顔を真っ赤にしながら、武のお父さん……やっぱ長いな。お寿司屋のおじさん……うんおじさんの方がやっぱいいな。
おじさんと私の間に割り込んで、何言ってるんだとおじさんに注意する。
「……なるほどなー。」
武の反応を見て、おじさんは私と彼を交互に見たのち、何かしらガッテンが言ったように言葉を呟く。
意味がわからず、ただひたすら首を傾げるが、武はそんな私の方へと振り向き、気にしなくていいからな!と伝えて来た。
あまりの勢いに、少しだけ圧巻されるが、あまり聞いて欲しくない内容であることは察したため、特に追求することなく、静かに頷いた。
「ま、なんにせよ、タケシと仲良くしてる子なら話は別だ。さっきの分は、おじさんが奢ってやるよ。」
「え!?そんな、悪いですよ!!だって、さっきだって私、結構お値段がするものをサービスしていただいたんですよ!?」
「いいってことよ。そのかわり、これからもうちの息子をよろしく頼むぜ。」
「えっと……仲良くしてってことですよね?それはもちろんさせていただきます。私にとっては彼も大切な人の1人ですから。」
まさかの奢り発言に、すかさず物申すがそれは受け取ってもらえなかった。
そのかわり、これからも武と仲良くしてほしいと伝えられる。
もちろん、それを否定するつもりはないし、私からも仲良くしてもらうつもりだ。
だって彼も大切な仲間、大切な友人なのだから。
「よし。じゃあ話はこれで終わりだ……と言いたいところだが……」
そんなことを思っていると、おじさんがどこか引きつった笑みを浮かべながら視線を動かす。
嫌な予感がして、武と一緒に視線を動かしてみれば、そこにはネタが置かれている場所からダイレクトに海産物を食べ散らかしている3人組がいた。
「な!?バカ!!何してんの!?それは他のお客様に提供されるもの……」
「ごち!!」
すかさず注意する言葉をかけるが、ビアンキ姉さんはリボーンを連れてその場からダッシュで逃げ出す。
続けてランボも一緒に逃げ出すが、途中で綺麗なまでにすっ転んだ。
「うわ!?ちょ、大丈夫!?」
明らかな顔面強打に、怒りより先に心配が出てしまい、私は慌ててランボの元に駆け寄った。
「ガ・マ・ン……」
「ああもう……何やってんのランボ……」
泣きそうな様子で、プルプルと震えるランボの姿に、ため息を吐く。
「顔面から見事にいってたな……。怪我は?大きなものはしてない?」
「うん……」
「ならよかった……」
全く……と呆れが出てくる中、私はランボの目線に合わせるためにその場にしゃがむ。
目の前で私がしゃがんだことに、ランボは一瞬ビクッと体を震わせた。怒られると思っているのだろう。
それがわかってるなら、なんで盗み食いなんかするかなと首を振る。本当は、この場でランボに怒鳴るところなんだけど……
「ランボ。どうしてあそこにあったお魚を食べちゃったの?」
「……お腹空いてた。」
「そっか。お腹が空いていたんだね。それなら確かに、食べたくなるのも頷ける。だって美味しそうだもんね。」
私の言葉を聞いて、ランボは小さく頷く。だけど、視線はこちらと合う様子がない。
こう言う時って、一応は申し訳ないと思ってるのだろうか。子供は育てたことないからよくわからない。
「そうだ、ランボ。ちょっとだけ例え話をしようか。」
「例え話?って、なぁに?」
「うん。ランボってさ。アメ玉が好きだよね?」
「うん。ランボさん。アメ玉大好きだもんね。ブドウ味だともっと好きだよ。」
「じゃあ、それにちなんで話を例えよう。」
これで合ってるかはわからない。キツく言うのがいいのか、優しくわかってもらうように話すのがいいのかなんて、子育て経験ゼロの私にわかるはずがない。
間違いかもしれないけど、正解かもしれない。どちらに転ぶかはわからない。
「この世界に、とても美味しいブドウ味のアメ玉を作ってくれるお店があるとしよう。
そのお店のアメ玉は、世界中のみんなが食べたいと言い、世界中のみんなが一番美味しいって言うアメ玉のお店だ。」
「そんなアメ玉食べたいもんね!どこにあるの?」
「うーん……そこは詳しくないからなんとも言えないかな。」
「ちぇ〜……」
「うん。がっかりする気持ちもすごくわかる。私もそんなアメ玉があるなら、一度は食べてみたいからね。でも、今はその話はしてないよ。」
やんわりとした口調でそう伝えると、ランボは少しだけ拗ねたような表情をする。
でも、私はそんなこと気にせずに話を続ける。
「そのアメ玉はお店でたくさん作っているから、世界中の子供達が食べることができる。
もちろん、世界中の大人達も食べることができて、幸せになれる。
でも、ある日そのアメ玉が、世界中に届かなくなっちゃうんだ。なぜか一粒も見つからない。」
“それはどうしてかわかるかな?”と口にすれば、ランボは首を左右に振り、わからないと言う意思を伝えてくる。
「世界中に美味しいアメ玉が届かなくなったのはなぜか。それはね。アメ玉を作っているお店の人が、お腹が空いたからとたくさんたくさん食べちゃったんだ。
おかげで作られたアメ玉は、一粒たりとも子供達に行き渡らない。お腹が空いたんだから仕方なく食べてるんだよって言う、アメ玉を作っている人達のせいでね。
もちろん、それはランボの手元にも届くことはなく、ずっとそのアメ玉が食べれなくなっちゃう。」
「!!?嫌だもんね!!アメ玉食べれなくなっちゃうなんて絶対いやだもんね!!アメ玉食べてるやつずるいずるい!!」
「そう。その気持ちだよ。」
「………?」
私の言葉に泣きそうになりながら、その場でジタバタしていたランボが、こちらの一言に首を傾げる。
どう言う意味かと問うように。
「世界中に届いていたアメ玉が、お店の人がお腹が空いたからと言う理由で食べちゃって、届かなくなってしまう。それを聞いてランボは、どんな気持ちになったかな?」
「……すっごく嫌だもんね。ランボさんだってアメ玉食べたいのに、全部食べられたらムカつく……」
「それと同じことを、君はさっきまでしていたんだよ。せっかくたくさんの人の元に届くはずだったお魚を、ランボとリボーンとビアンキ姉さんは、お腹が空いたからって言って、いっぱいいっぱい食べちゃったから、楽しみにしていた人達に、悲しい思いをさせることになっちゃうね。私もそうなったらすごく悲しいかな。」
「………ごめんなさい。」
「……うん。ちゃんとごめんなさいができて偉いね。でも君が一番ごめんなさいをしないといけないのは誰かな?」
静かにランボに問いかければ、ランボはチラリとおじさんに目を向ける。
ランボに目を向けられたおじさんは、少しだけ驚いた様子を見せたのち、この子の意図に気づいたように、その場で静かにしゃがみ込んだ。
「ごめんなさい……ランボさん……お魚いっぱい食べちゃった……。楽しみにしてたみんなに、嫌な思いさせちゃったもんね……。」
「……まぁ、今回は反省してるみてーだから、特別に許してやるが、嬢ちゃんに迷惑かけ過ぎんじゃねーぞ。」
「うん。」
ランボの謝罪を聞いたおじさんは、苦笑いをこぼしながら、ランボの頭を撫でる。
頭を撫でられたランボは、すぐにチラッとおじさんを見たのち、私の足元にぎゅっと抱きついた。
「ちゃんとごめんなさいができたね。」
「うん。」
「とりあえず、みんなにもう悲しい気持ちをさせないように、食べるのは我慢しようね。はい。話に出していた美味しいアメ玉とは違うけど、ランボの好きなブドウ味のアメ玉だよ。
一旦はこれを食べて、いい子で待っててね。」
「うん!」
ランボにブドウ味のアメ玉を渡せば、彼は笑顔を見せたあと、包装紙を剥がしてアメ玉を転がし始める。
それを確認した私は、リボーンとビアンキ姉さんには、あとできっちり請求してやると考えながら、おじさんと向き直る。
「ご迷惑をおかけして申し訳ありません。彼らが食べていたものからすると、相当な合計金額になっていると思われるので、その分の支払いが終わるまで、お店のお手伝いをさせてください。」
「ああ。じゃあ、奈月ちゃん。あっちの作業場の方で食器洗いをしてもらえるかい?」
「はい。お任せください!」
「あ、じゃあオレも手伝うぜ、ナツ。」
「え?こっち側が悪いのに、そんな迷惑はかけられないよ。」
「気にすんなって!どうせうちの手伝いってことで、なんらかわりないしな!」
「……ありがとう。じゃあ、お願いしてもいい?」
「おう!」
かくして、私と武のお寿司屋さんのお手伝いが始まる。
まぁ、このあとまさか、もっと手間がかかることになるなんて、誰も思っていなかったけどね………。
沢田 奈月
身内のミスは自分のミス。ミスは自分ちゃんと責任を取る……の精神で、前世で社会人をしていたボンゴレ10代目。
子育てなんてしたことないから、何が正解かはわからないけど、小さいうちから教えられることはしっかり教えた方がいいと思いながら、ランボに譬え話を持ち出した。
山本 武
自身の父親が、奈月との関係にあらぬ誤解を抱いていたので、慌ててストップをかけていた野球少年。
ちびっ子達がやらかしたことの責任は取ると、店の手伝いを申し出る奈月に、自分も協力することを伝えた。
最初は遠慮されたが、最終的に頼めるかと言われて、頼られたことに笑顔を見せる。
山本 剛
学校から帰ってくるたびに、楽しげに奈月の話をしてくる息子の姿を見て、彼女を息子の恋人と思っていた寿司屋の大将。
しかし、今回の息子の様子から、まだ片想いだったかー……と苦笑いをこぼした。
ランボ
美味しいアメ玉を作る店の人が、お腹が空いたからとそのアメ玉を食べてしまい、多くの人に届かなくなる例え話を聞き、それと同じことをしていると言われた結果、反省した男の子。
奈月から、自分も悲しくなると言う言葉を告げられた時にものすごく反省して、剛に謝罪の言葉をかけた。
ビアンキ&リボーン
また盗み食いして逃げた人。絶対請求するからな……怒by奈月