最強の愛され系ボンゴレ♀は、今を全力で楽しみたい   作:時長凜祢@二次創作主力垢

64 / 385
獄寺の合流

 鼻歌を歌いながらの作業を行い、大体半分程洗い物を終えた頃。お店の出入口に使われている引き戸が開けられる音が聞こえた。

 それに気づいた私は、鼻歌を歌うのをやめて、すぐに出入口方面へと目を向ける。

 感じ慣れたこの気配は……

 

「10代目!!リボーンさんに聞きましたよ!!山本んちのアコギな商売に騙されたって!!」

 

「うん、なんでそれを信じたかな?そんなわけないでしょ。」

 

「人聞のわりーこと言うんじゃねー!って言うか、タイミング悪過ぎだろ!!」

 

「あ゛あ゛!?タイミングわりーってどー言う意味だよ!!」

 

「……いきなり喧嘩しないでよ。」

 

 目の前で行われている喧嘩に、いつものこととは言え……と思わず呆れた眼差しを向ける。

 なんでこの2人、いっつも何かしら突っかかってんだろ……。いや、まぁ、基本的には隼人が噛み付いてる感じな気がしなくもないけど……。

 ていうか、リボーン、隼人にそんなこと言ったわけ?隼人が大袈裟に捉えているだけじゃなくて?

 だとしたら本気で呆れるし、ちょっと軽蔑するんだけど……。

 

「とにかく10代目!食器洗いはオレに任せて一休みしてていいっスよ。」

 

「ありがとう。じゃあ、ちょっとそこで一休みするよ。」

 

「はい!」

 

 なんてことを思いながら、隼人の言葉に甘える……フリをする。

 何と言うか、心のどこかでこの場を離れたらダメだと言う警告が鳴り響いている。

 とりあえず、一旦は私が作業していた場所を明け渡して……と。

 

「どりゃっ」

 

 私がその場を少し離れれば、隼人がすぐにそこに立ち、洗いかけの食器とスポンジを手に取り、作業を始める。

 しかし、彼が手にしていた食器は、ぴょーんと宙を舞い、床へと吸い込まれるように落ち始める。

 すかさずそれをキャッチすれば、隼人は「あ……」と小さく声を漏らし、食器をキャッチした私の方へと目を向けた。

 無言で隼人に視線を向ければ、私の視線と彼の視線か交わる。

 

「は……ははは。ちょっと手が滑りました……」

 

 何度か瞬きをしながら、隼人を見つめ続けていると、彼は苦笑いをこぼしながら、再び作業に入ろうとする。

 

「そりゃっ」

 

 手にしていた食器を台に置き、隼人の動向を見守っていると、再び食器がコチラへとすっ飛んできた。

 慌てずそれをキャッチして、もう一度隼人に目を向ける。

 

「……さて、言いたいことはあるかな?」

 

「も、申し訳ありません10代目……。実は、アネキがいつもいたので、厨房に入ったことってなくて、こーゆー仕事は全く疎いんです……。」

 

「だと思ったよ。」

 

「ゔ……」

 

 呆れながら言葉を口にすれば、隼人がその場で縮こまる。こちらに迷惑をかけたと思ったのだろう。

 事実、二度手間になるところだったから迷惑被ってるし、それは否定しない。

 ただ、それよりも……

 

「隼人。無理にやったことないことをやろうとしなくていい。頼られたいから見栄を張ったのかもしれないけど、見栄を張るだけじゃ技術はどうにもならないし、事実、今の現状が広がっている。」

 

「すみません……」

 

「謝らなくていい。手伝いたいって気持ちは十分伝わってるから。やったことないことを引き受けて、私を休ませたいって気持ちがね。」

 

「はい……」

 

 私の言葉に、隼人はしょんぼりしたまま、謝罪と返事を繰り返す。

 そんな彼を見て、やれやれと私は小さく首を振る。

 

「わからないならわからないから教えてほしいって聞くこと。別に、それは恥ずかしいことじゃないからね。

 むしろ、私はそっちの方が助かるし嬉しいよ。何も知らずにやって、それで失敗したりした時、怪我とか後悔で嫌な思いをするのは君だからね。」

 

「…………。」

 

 こちらの指摘に、隼人は無言になる。心なしか、すごく縮こまっているように見えた。

 

「手伝おうとしている気概は認める。でも、今の隼人じゃ、仕事を逆に増やしてしまいそうだ。」

 

「……すみませ………」

 

「だから、私がやり方を教えてあげるからさ。ゆっくり、丁寧にを心がけながら仕事をしよう。いいね?」

 

「………!はい!!」

 

 私を手伝いたいと言ってくれる隼人に、洗い物のやり方を教えるから一緒にやろうと伝えれば、彼は笑顔で頷いた。

 その姿に小さく笑みを浮かべた私は、すぐに隼人の横に並ぶ。

 

「じゃあ、今から一つずつ教えていくから、よく聞いて。わからないところがあったらすぐに言うこと。いいね?」

 

「わかりました!」

 

「うん。いい返事。そんじゃ、始めようか。」

 

 こちらの問いかけに頷いて返事を返してきた隼人に対して、私はすぐに食器洗いのコツを教える。

 たまに首を傾げている様子を見せてくるため、その時は説明をしながら私が実践をする。

 隼人は教える人や、手本があればしっかりと技術を身につけることができるタイプだったようだ。

 おかげでこっちも教え甲斐がある。

 

「これなら、早めに仕事をおわらせることができそうだね。」

 

「だな。」

 

「10代目の教え方がわかりやすいからですよ。」

 

「そう言ってもらえて嬉しいよ。」

 

「あの、10代目。これは……?」

 

「ん?ああ、それの洗い方はね……」

 

 手短にわかりやすく説明すれば、隼人はなるほど、と言いながら私が教えたやり方で洗い始める。

 それを見た私は、自分の方にもある食器を洗っていく。

 

「あと少しだな。」

 

「うん。隼人のおかげで作業が順調に進んでいくから、早く帰ることができそうだよ。」

 

「へへ……!10代目のためならば、これくらいどーってことないっスよ。」

 

 笑顔で言葉を紡ぐ隼人に、笑いながらありがとうと伝えた私は、洗った食器を丁寧に拭いていく。

 そんな中、ランボがうろついている姿を見かけたため、2人に一言伝えたのち、彼の元へと歩み寄った。

 

「ランボ。どしたの?」

 

「ナツー。おっきい魚があるもんね。」

 

「おっきい魚?」

 

「うん!あれ!」

 

「………おわ。確かにこれは大きいね。マグロかな。」

 

「マグロー?」

 

「うん。ランボも大トロとか中トロって食べたでしょ?」

 

「うん!食べたよー!」

 

「それらはマグロから全部取れるんだよ。ただ、取れる量がかなり少ないから、値段が張るんだよね。」

 

「そうだったの?」

 

「うん。」

 

 ランボを抱っこしながら、彼が口にした大きな魚の説明をすれば、キョトンとした表情でマグロを見る。

 耳を澄ませてみると、ランボの方からお腹の虫の鳴き声が聞こえてきた。

 

「またお腹すいちゃった?」

 

「うん。お腹空いたもんね。」

 

「でも、これを楽しみにしてる人はいっぱいいるからね。お金を払わず食べたりしたら、また美味しいアメ玉が自分のところに届かなくなっちゃった、の話と同じ状態になっちゃうから我慢しよう。」

 

「我慢するもんね。アメ玉食べれなくなっちゃうの嫌だもんね。」

 

「いい子だね。オレンジのアメ玉がまだあるから、これを食べていいよ。」

 

「うん!」

 

 ランボにオレンジのアメ玉を手渡せば、彼はすぐにアメ玉を受け取り、包装紙を剥いで口内へと放り込む。

 でも、やっぱりマグロが気になるのか、視線はそっちの方を向いていた。

 うーん……帰り際、切り落としとか売ってもらえないか聞いてみようかな。

 もし売ってもらえるなら、買わせてもらいたいんだけど……。

 

「あとでおじさんに話してみようかな。わけてもらえるなら、その分支払って買わせてもらいたいな……。そうすれば、母さんにも食べさせてあげられるし……。」

 

「?」

 

「なんでもないよ、ランボ。」

 

 不思議そうにこちらを見てくるランボに短くそう伝えたのち、隼人達の元へと戻る。

 

「10代目!アホ牛とっ捕まえたんですね!」

 

「あっちって確か、魚を保存していた場所だよな?」

 

「うん。大きなマグロがあったから気になったみたいだ。だから、食べたらダメって注意をして連れてきた。」

 

「そうだったんスね。まぁ、寿司屋の魚って美味いですし、気持ちはわからなくもないですけど。」

 

「回転寿司じゃなく、こう言ったお寿司屋さんで使う魚は、お店の人が直接見に行っていいものを競り落とすことがあるから、美味しいのは当然だよ。

 寿司職人さんになる人も、魚の目利きを学ぶって聞くし、魚を手に入れるところからかなり手間がかかってるんだ。

 だから、盗み食いとか、報酬を支払わない食い逃げは御法度だよ。例え、何かしらの目的があったとしてもね。」

 

 隼人達と合流し、自分の気持ちや考えを吐露しながら、アメ玉を食べているランボの頭を撫でる。

 

「ランボも、食い逃げはしちゃダメだよ。例えばだけど、この人を倒してこいって言われて、君はしっかりと頼まれたことをやり遂げて帰ってきたのに、それに対する報酬がなくて、お礼すらもありませんでした……なんてことになったら、君はどう思う?」

 

「え!?頑張ったのにご褒美ないの!?」

 

「そう。全くのゼロ。報告したのに何も払われず帰っていいよって言われるだけ……流石にランボもそれは嫌だろう?」

 

「絶っっっっ対に嫌だもんね!!頑張ったのに何もないなんてランボさん怒るじょー!!」

 

「食い逃げはそれと同じこと。された側からしたらたまったもんじゃない。こなしたことに見合ったご褒美が一つもないなんて、なんのために頑張ってるんだって、嫌な気持ちになる。

 だから、今回は私がなんとかするけど、もう二度とやっちゃったらダメだよ?」

 

「うん!絶対絶対やらないもんね!!」

 

「よし、ちゃんと約束できるね?」

 

「約束するもんね!」

 

 元気よく約束すると言ってきたランボに小さく笑いかけながら、モコモコの頭を優しく撫でる。

 するとランボは少しだけくすぐったかったのか、小さく笑い声を漏らした。

 でも、頭を撫でられるのは嫌じゃないのか、ぐりぐりとこちらの手に頭を軽く押し付けてくる。

 

「ランボもいい子に約束してくれたし、残りの仕事もこなして行こうか。

 おじさんが休んでいる今の間に、少しだけ店内も掃除しよう。次のお客さんが、気持ちよくお寿司を食べれるようにね。」

 

「了解っス!」

 

「おう!」

 

「オレっちもお手伝いするもんね!」

 

「え?ランボも手伝ってくれるの?」

 

「うん!」

 

「ありがとう。じゃあ、私のお手伝いをしてもらおうかな。」

 

「いいよー!」

 

 まさかのランボの申し出に、一瞬だけ驚いてしまうが、せっかくだし、今のうちから教えられそうなお仕事を教えるかと考え、その申し出を受け入れる。

 となると、まぁ、簡単なテーブル拭きあたりをやらせてみようかな。

 

「隼人と武は床の埃や食べかすを掃除して。喧嘩したらますますゴミが散らかるから、いがみあわないでよ。」

 

「わかったぜ!」

 

「わかりました!」

 

「ランボは私とテーブルを拭いて回ろう。やり方がわからなかったら聞いてね。ちゃんと教えてあげるから。」

 

「うん!わかったもんね!」

 

「よし。じゃあ、作業開始!!」

 

 それぞれに指示を出し終えた私は、開始の合図をその場で送る。

 私の言葉を聞いた3人は、すぐに作業に取り掛かった。

 

 

 




 沢田 奈月
 前世の経験を活かし、教えたり指示したりを繰り返すボンゴレ10代目。
 リボーンの狙いをなんとなく読み取っているが、それはそれとしてランボの教育に悪いので、徹底的に反面教師として利用し、悪いことは悪いとランボに教えている。

 獄寺 隼人
 リボーンから奈月が山本の家で働いていると言う話を過大に解釈して合流した最初のファミリー。
 奈月にわからないことは見栄を張らず、ちゃんとわかるまで聞いてくれと言われ、彼女から説明を聞きながら、しっかりとお手伝いをこなした。
 食器は一つも割っていない。

 山本 武
 獄寺が合流したことにより、奈月の歌が聴けなくなってタイミングが悪いと思わず言ってしまった野球少年。
 だけど、まぁ、また頼めばいいかと少しだけ考えて、奈月のお手伝いをこなす。

 ランボ
 奈月に言われたので大人しくしていたが、獄寺や山本が奈月のお手伝いをしながら、彼女と話していてランボさんも!!とお手伝いに名乗り出た男の子。
 このあと、奈月に教えられながら、店内のお店を綺麗にふきふきして回る。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。