最強の愛され系ボンゴレ♀は、今を全力で楽しみたい 作:時長凜祢@二次創作主力垢
「いやぁ、奈月ちゃんがここまでしっかりやってくれる子だったたぁな。ありがとさん。」
「これくらい当然のことです。本当に身内がご迷惑をおかけしました。」
ランボにテーブルの拭き方を教え、少しだけ不穏な様子を度々チラつかせる隼人と武の2人は注意して、自分のやるべき仕事を全てこなしていく……それを繰り返しながら、過ごしていたら、おじさんからそう言われる。
当然のことをしたまでだと伝え、謝罪の言葉を口にすれば、おじさんはからからと朗らかに笑った。
「明日からも頼むわ……って言いてーところだが、さっき、ツケにしてくれとか言っていたチビっ子が、借金になってた分の全額と、迷惑料っつー理由で、大金を持ってきてなぁ。それに免じて今回は許すよ。」
「え?リボーン。おじさんが言ったことは本当?」
「ん?」
「は?」
「え?」
おじさんから告げられた言葉の真偽を確かめるため、すぐに視線をリボーンの気配がある方向へと向けてみれば、彼はすぐに私の肩の上に跳び乗ってきた。
急に現れたリボーンの姿に、隼人と武とおじさんは、驚いたように声を上げる。
気づいてなかったのか……と一瞬思ったが、そう言えばリボーンが気配を消していても気づけるのは今のところ私だったことを思い出し、気づかないのは当然か……と遠い目をする。
「相変わらずナツは鋭いな。……大将が言ってることは本当だぞ。さっき、食った分の代金に詫び金を上乗せして支払った。だからバイトはもうしなくていいぞ。」
リボーンからさっきまでの金額を全部支払ってきたことは真実であると告げられ、やれやれと深くため息を吐く。
払うつもりがあったなら、さっさと払ってくれたらよかったのに。
「念のために聞いとくけど、今回、こんな暴挙に出た理由は何だったわけ?」
「……いわゆる社会見学みたいなもんだ。若いうちに経験できるものは経験した方がいいからな。」
「だからって食い逃げは良くないな。職人さんの頑張りを冒涜する行為だ。
あとから支払うからと言って良しと言うわけじゃない。今回のこれは、少々許すには度が過ぎている。」
「…………。」
ハッキリと今回のことを批判すれば、リボーンは無言になる。基本、私がこうなってる時は、かなり怒っていることを理解しているのだろう。
事実、今回のこれは、あまりにも酷過ぎた。それこそ、二度と家に入ってくるなと言ってもおかしくない程に。
まぁ、ただ、今回は特別……本当に特例として許すことにする。
彼にとっては、これはそれなりに屈辱的なことだろうしね。
「ただ、今回はランボにとってのいい反面教師になってくれたからね。特別に不問にするよ。
おかげでランボは手伝いを覚えたし、隼人も洗い物や掃除を今まで以上に上達したわけだから。
いやー、流石は敏腕家庭教師様だー。自らを犠牲にして悪いことをしたらどんな目に遭うかを教えるだなんて教師の鑑だよー。
どうすれば一番わかりやすく教えることができるかをよーく理解していらっしゃるようで、私にはとても真似できないやー。」
嫌味たっぷりにそう伝えれば、リボーンが私から視線を逸らす。多少はダメージが入った証拠だろう。
何かを言ってくる様子はない。
「次はない。二度とこんなことしないように。社会見学させたいなら、もう少しマシなやり方でさせることだね。」
最後に吐き捨てるようにそう告げて、リボーンを床にさっさと下ろす。
そして、少しだけお疲れ気味のランボに近寄り、彼の体を抱き上げた。
「ランボ。今日は私の部屋においで。お手伝いを頑張ってくれたからね。今日は一緒に寝よう。」
「今日もナツと寝ていいのー?」
「うん。悪いことをしたリボーンには、しっかりと反省してもらわないといけないからね。今日のお休みタイムは没収だよ。」
「やったー!オレっち、今日もナツのお歌聞きたいもんね!」
「もちろん。帰ったら夕飯を食べて、一緒にお風呂入ろっか。一人で入るのは大変だろう?」
「ありがと、ナツ!早くおうちに帰るもんね!」
「うん。帰ろっか。」
ニコニコと笑顔を見せながら、私に抱きつくランボの頭を優しく撫でながら、おじさんの方を見る。
おじさんは、小さな見た目をしているリボーンに対してハッキリと批判し、お手伝いをしてくれたランボにご褒美を渡そうとしている私を見ながら、「本当にしっかりもんだなぁ。」と笑顔を見せながら言葉を紡いでいた。
「本当にご迷惑をおかけしました。申し訳ありません。」
「まぁ、今回はこっちも不問にしとくからよ。次からはすぐに用意できる金銭内で食いにきてくれや。
社会見学してーってんなら、いくらでも手伝いに来ていいぞ。正直、めちゃくちゃ助かったからな。」
「では、また機会がありましたら。次は、母も連れてきますね。」
「おうよ!っと、そうだった。切り落としでわりーが、よかったらこれ持って帰ってくれ。刺身程度にはなるからよ。」
そう言っておじさんが渡してきたのは、今日出た切り落としと、削ぎ落としのマグロだった。
まさかの贈り物に目を丸くする。え?これもらって帰っていいの?
「……もらっていいんですか?」
「おうよ。どうせ廃棄になるもんだから、せっかくなら母ちゃんに食べてもらえ!んで、気に入ったら一緒に、今度は寿司を食いにきてくれよ。」
「……ありがとうございます。あ、お金……」
「いいっていいって。実はなぁ。タケシの奴が、奈月ちゃんが自身の母親に食わせてやりてーって言いながら作業してたって言っててな。
だったら、廃棄になるもんでわりーが、しっかりと食える分を渡したらどうかって話してたんだよ。
こっちも、廃棄になるもん持って帰ってくれたら助かるしな。」
「……ありがとうございます。例え廃棄だとしても助かります。」
小さく笑みを浮かべながら、おじさんに感謝を述べた私は、ランボを抱っこしたまま自宅へと戻るための帰路につく。
「10代目!送っていきますよ!」
「ナツ!送ってくぜ。」
「あ゛?オメーは自分ちにすっこんでろよ!!」
「女の子とチビだけで帰らせたらダメだろ?」
「だーかーらー!!オレが10代目を送るから来んなって言ってんだよ!!」
そんな私を見て、隼人と武が送ると告げて近寄ってくる。
同じようなことを言ったからか、隼人は武につっかかり、武はキョトンとした顔をしたまま、送るのは当然だろ?と言うように首を傾げている。
隼人が一方的に武に噛みついているようにしか見えないけど、なんだろう……?
気のせいか武も引く気はないと言わんばかりの雰囲気を纏っているような……?
「じゃあ、2人に送ってもらおうかな。頼もしい2人が一緒なら、もっと安全に帰れそうだし。」
ならばどうするのが正解か……と考えて、私は両方に帰りの付き添いをお願いする。
私の言葉を聞いた2人は、一度こちらへと目を向けたのち、互いに互いの顔を見合わせる。
「じゅ、10代目がそうおっしゃるなら。」
「頼もしい……か。はは。ナツにはそう思ってもらえてるんだな。じゃあ、獄寺。2人でナツを家まで送るか。」
「仕方ねーな……。足引っ張んじゃねーぞ。」
「家まで送るだけだろ……。」
苦笑いをこぼす武と、彼のツッコミをスルーする隼人。
その2人のやりとりがあまりにも面白くて、私は小さく笑い声を漏らす。
そして、抱っこしていたランボを肩車したのち、目の前にいる2人の腕に、自身の腕を絡ませた。
「うお!?ナ、ナツ!?」
「じゅ、10代目!?」
「ガハハハハ!山本と獄寺、顔がタコみたいに真っ赤だもんね!!」
「あっはは!!確かに顔真っ赤だね!まぁ、私のせいなんだけどさ。」
顔を真っ赤にして慌てふためく2人の姿を笑いながらも、さっさと行くよーと言って、そのまま腕を絡ませたままお店の外に出る。
隼人と武の頬は赤いまま……だけど、こっちに少し釣られたのか、2人も小さく笑い声を漏らした。
色々あった今日だけど、2人の照れた反応に少しだけ癒されたな。ちょっとだけ、思春期の子には意地悪だったかもしれないけど。
そんなことを思いながら、2人と一緒に帰路についていると、背後からリボーンに名前を呼ばれる。
振り返ってみれば、彼は何かを確信したような、しかし、疑問が拭いきれないような……そんな表情をしていた。
「ナツ。お前はいったい何者なんだ?」
「……日々さまざまなことを学びながら生活している、沢田 奈月と言う1人の女子生徒。」
彼の問いかけに含まれた意味は、なんとなくだがわかってる。
でも、私はそれを理解していながらも、自身の上辺だけを紡ぎ返した。
だって、この話は別に、今、君にする必要はないでしょ?
沢田 奈月
基本的に精神年齢は上のため、たまに若い子をからかうことがあるボンゴレ10代目。
今回の食い逃げ事件の尻拭いをした結果、かなり怒っていたが、ランボのいい反面教師になったと考えることで今回は特例で許すことにした。
リボーンから探るような問いかけを受けたが、その意味を知っていながらも、私の中にいる“わたし”の話をしない。
獄寺&山本
たまに奈月のからかい対象になっている双璧。
急に腕に腕を絡ませてきた奈月に対してドギマギしてしまい、リボーンと彼女の問答に気づけなかった。
ランボ
奈月にからかわれて顔を真っ赤にした獄寺と山本を笑っていた男の子。
いいもん。ランボさんナツに肩車してもらったから!と開き直ってはいるが、同じ目線にいる2人を、少しだけ羨ましいと思ってる。
奈月に褒められると言う理由から、これからも彼女のお手伝いはしていきたい。
リボーン
奈月にこってり怒られた上、嫌味たっぷりな言葉を返されたので無言になっていたヒットマン。
奈月の対応の一部始終をかげて見ていたことにより、ある疑問と一つの確信を得たのだが、答え合わせはしてもらえなかった。
山本 剛
仲良くお店を出て行った息子とその想い人とダチの背中を見送りながら、なかなか賑やかで面白そうな三角関係ができそうだなと苦笑いをこぼした。