最強の愛され系ボンゴレ♀は、今を全力で楽しみたい 作:時長凜祢@二次創作主力垢
「……てなことがあったんだけど。」
「まぁ……ごめんなさい、なっちゃん。まさか、ランボ君が学校にまで行っちゃうとは思わなくて……」
「いや、謝らなくてもいいよ。母さんだっていつも一人で家事を頑張ってくれてるわけだし、怒ってないから。
ただ、私が学校に行ってる間は、たまに気にかけてほしいかな。母さんの負担を増やすことになって、申し訳ないと思うんだけど。」
「いいのよ、なっちゃん。それに、お母さん、あまり負担には思ってないのよ?
だっていっつもなっちゃんが手伝ってくれるもの!むしろ楽させてもらってる方よ。」
“本当に、なっちゃんは母さん達の自慢の娘よ”と笑顔で言ってくる母さんに、私は小さく笑う。
“わたし”には果たすことができなかった自慢の娘……“私”にはちゃんとできているんだね。
───……とは言え、やっぱり母さんにも手を離せないタイミングだってあるだろうし、ランボが1人になる時間は度々あるはず……。母さんのお手伝いを勉強の一環でランボに頼んでみる……って方法もあるにはあるけど、5歳児にさせても大丈夫なお手伝いってないよな。
少しだけ過った暗い考えを振り払うようにして、ランボが学校に来ないようにする方法を考える。
家から学校までかなり距離があるしね。もしも何か遭ったらと思うとあまりいい気分ではない。
慕ってくれるのは嬉しいけど、それ故に犯罪に巻き込まれちゃったら、ランボを預けてきているボヴィーノファミリーのボスさんに顔向けができないしね。
「オレの知り合いに話を持っていってやろーか?」
「え?」
そんなことを思っているとリボーンから声をかけられる。驚いてリボーンの方に目を向けてみれば、彼は“イタリアのおいしい水”とか言うペットボトルにストローをぶっ刺して飲みながら、私の方へと目を向けていた。
「……どう言う風の吹き回し?あんなにランボをシカトしてたのにさ。」
「もう変なことは企んでないぞ。ナツの性格はこれまでで把握することができたからな。ナツは誰よりも真面目でお人好しで、人想いだってことは理解してる。
そんなお前のことだ。ママンの負担をどうすれば軽減することができるのかとか、ランボに寂しい思いをさせないようにするには何を用意したらいいのかとか、どーすればランボが子供にゃちと厳しい学校までの道のりを1人で歩こうとするのを止められるのかとか、ぐるぐる考えてるんだろ?」
「ゔ……良いところ突いてくるな……。」
「何でもかんでも1人でどうこうするなんて考えるな。そんなんじゃいつかナツの方がぶっ倒れるぞ。お前にいろいろ聞いた時から、オレも少し考えを変えることにしたしな。
もう変なことはしないし、ナツばかりがいろいろ抱え込むような目に遭わねーようにするつもりだぞ。
まぁ、正直言って、ナツが持ち合わせている常識にはそぐわないことを二度とやらない自信はあまりないが、なるべくオレからもナツにちゃんと提案した上で話を聞く。
どう足掻いてもオレはこっちの住人だからな。あまりお前の期待には沿えないかもしれないがな。」
“だから、必要ないと思ったらバッサリ切っても構わないから、一度は話を聞いてくれ”……どこかいつもとは違い、猫かぶっているリボーンではなく、本来のリボーンと思わしき姿が目の前の彼から感じ取ることができる。
……“わたし”には触れるなって、態度で示したはずなんだけどね。お寿司屋さんでのあのやり取りで、“わたし”の方を多少なりとも勘付かれたか。
とは言え、無駄に掘り返すつもりはないらしい。それならそれで構わない。むしろ掘り返してくれなくてありがたみすら感じる。
“わたし”の記憶は、“わたし”と言う存在の話とその結末は……なるべく人には話したくないんでね。
「……わかった。今回はリボーンに任せるよ。」
そんなことを思いながら、私はリボーンに任せると返す。
“わたし”の方にも問うように言われたら、流石にキッパリと断れないしね。
まぁ、嫌な予感はするんだけど、一旦は任せてみることにしたのだった。
───── ……翌日…… ─────
「……ナツ。先に謝っとく。すまない。」
「……まぁ、なんとなく予想はついていたから。」
真剣な表情で謝罪の言葉を口にしたリボーンに、大方予想ができた展開だと思いながらため息を吐く。
ランボの保育係になりそうな人選を探してくると言っていたが、結果は惨敗だったらしい。
「一応2人程来てくれたが、間違いなくナツが思っていた連中じゃないってなる2人だ。少しは落とした信頼を取り戻したかったんだけどな。」
「ダメだったならダメだったって言われた方がまだよっぽどマシだったと思うけど。」
「……次からはそうするぞ。」
「うん。そっちの方が、多分リボーンも精神的衛生上良いだろうからそうして。無理しなくて良いから。」
まぁ、呼んでしまったなら仕方ないと思うながら、リボーンと一緒に学校の校庭へと足を運ぶ。
「10代目〜!リボーンさ〜ん!こっちっスー!!」
「小僧と仲直りできたんだな!安心したぜ!」
そこにいたのは隼人と武のいつもの2人組だった。なるほど。確かにこの2人だと、思ってたんとなんか違う……に当てはまるっちゃ当てはまる。
しかも、2人とも学校がある時は、ランボのお世話をつきっきりでなんてできないしね。
とは言え、最初に謝罪をもらったし、本気でリボーンもやらかしたと思っているみたいだから、今回は許そう。
「ところで10代目。リボーンさんに呼ばれたのはいいのですが、どのようなご用件で?」
「そうだったそうだった。本題を聞かせてもらえるか?」
「ん。実はね……」
とりあえず、呼び出してもらっていながら、やっぱ何でもないはよくないと思い、リボーンが2人を呼んだ理由を教えようと口を開く。
しかし、そんな中聞き覚えのある笑い声が辺りにこだまし始めたため、口を閉じて笑い声の方へと目を向けた。
「ランボさん登場─────っ!!!」
「なんともまぁナイスタイミングでやって来たな……。今日はお留守番するように言ったはずなんだけど……まぁ、大方リボーンが呼んだんでしょ?」
「ああ。今回の目的のためには必要だったからな。」
「……まぁ、そうだろうね。人選かなりミスってる気がするけど。」
「それに関しては本当に悪いと思ってる。だが、これまで様子を見て来たが、基本的にナツばかりがランボの面倒を見てるだろ?
ワンマンの子守、子育てが負担になるのは、ナツが一番よく知ってるだろ?
だからナツは、ママンに対して何かとサポートをしてるんじゃないのか?負担をかけないように、少しでも楽ができるように、わざわざ、本来の気持ちを悟らせないように隠しながらな。」
「……それは…………。」
「いいか、ナツ。あまり抱え込むな、1人でなんとかしようとするな、少しくらいはサポートをつけろって言葉は、ナツと“お前”の両方にも当てはまる言葉だ。
だから、少しくらいはそれを誰かに預けることを覚えろ。」
“これまで散々な姿を晒していたオレが言えるような立場じゃないけどな”……と、頭に被っているボルサリーノを深く被りながら告げてくるリボーンを見据えながら、少しだけ目を細める。
その間、視界の端に私の元へと走り寄ってくるランボの姿が映り込んだけど、今は、この家庭教師に問いたいことがある。
「……どこまで気がついてるわけ?随分と“わたし”を気にかけるような言葉を言ってくるじゃないか。」
「完全に理解してるわけじゃねーぞ。ただ、これまでの一連の動きから、少しの確信に触れることができたってだけの話だ。
でも、安心しろ。ナツがオレに話してもいいと思うまでは、しつこく聞いたり、探ったりするつもりはない。
ただ、少しくらいは気を緩めてもいい、わがままを言ってもいい、甘えたいと思っていいってことを忘れるな。
そんで、いつか気が向いた時でいい……必要だと思った時でいいから、お前が隠してるものを教えてくれ。
それを受け止められるくらいにはオレも人生を詰んでるからな。」
「……見た目赤ん坊が言っても絵面がおかしなことこの上ないよ、リボーン。」
「そっちこそ、誤魔化しだらけの仮面が、少しだけ剥がれてるぞ。」
リボーンの返しを聞き、小さく息を吐く。完全に見抜かれてるな、“わたし”の方。
まぁ、こっちのタイミングで話していいと言うのなら、今はこれ以上、“わたし”としてリボーンと言葉を交わさなくてもいいかな。
「……いつかきっと、話さないといけない時が来ると思うから、その時までは、あまり“わたし”を探らないでくれ。
この話は、そう簡単に話して割り切れるようなものじゃない。」
それならと、“わたし”は今返せる精一杯の言葉を口にして、この話を打ち切った。
すると、リボーンはお寿司屋さんでの騒動があったあの日から数日振りに、私の肩に飛び乗って来た。
「これからは、ナツにはこっちの方で対応させてもらう。これまでの猫被り状態は今日で終わりだ。
ナツがいつか、オレに明かしてもいいと思えるように、それなりに努力をさせてもらうぞ。」
「……勝手にしたらいいよ。まぁ、私からわたしを引き出すのは、そう楽じゃないと思うけどね。」
あくまで“わたし”に触れさせないスタンスは貫きながらも、少しだけ自身の仮面を外す。
リボーンが本来の自分……本来の年齢として対応すると言うのであれば、それなりに応えることはしないとね。
「10代目?」
「小僧もナツも、ヒソヒソ話をしてどうしたんだ?」
「うん?ああ、気にしなくていいよ。私とリボーンだけのちょっとした内緒話だから。」
「まぁ、これからのことについて話し合っていただけだ。これまでナツにはマイナスになることしかしてこなかったからな。早いとこ信頼を回復させたいと思っていただけだぞ。」
リボーンとそんなやり取りをしていたら、武と隼人に話しかけられる。
2人の疑問……それに私とリボーンは応えずに、ただ静かに隠した。
そして、不思議そうに私とリボーンを見つめているランボに目を向けて、今回の呼び出しの本題を口にする。
まぁ、話すのは私じゃなくて、リボーンだけどね。
「今回、お前達2人を呼んだ理由だが、ランボが関係ある話だ。簡単に言うと、少しくらいはお前達も子育てに参加しろってことだぞ。
今から、ナツと一緒にランボの面倒を見ることができるかの適正テストを行うからな。」
リボーンの言葉を聞き、隼人と武が驚いたように目を丸くする。さて、波瀾万丈の適正テストの結末は……どんなものになるのかな。
沢田 奈月
リボーンに“わたし”を僅かに勘付かれたことをすぐに理解し、少しだけその仮面が剥がれた転生者。
リボーンが本気で謝罪して来たことや、それなりに考えていた様子から、今回の間違った人選に関しては強く言わないことにした。
リボーン
奈月を覆うたくさんの仮面の断片を剥がすことに成功したヒットマン。
これまでの奈月の様子から、猫被りをした自分としてではなく、本来の自分……本来の年齢としての自分で対応することを心に決め、これからは教師と生徒ではなく、対等な大人として、だけど女性であることは頭に入れながら、彼女の未来を助ける道を歩もうとしている。
獄寺&山本
奈月とリボーンの間に生まれたなんらかの繋がりに少しだけモヤるが、リボーンから告げられた保育係の話に、そのもやは吹っ飛ばされた。
ランボ
リボーンに呼ばれたから学校に来てみたら、なんか奈月とリボーンがヒソヒソと仲良く話していたので、ちょっとモヤモヤしたが、それよりも2人が口にしていたなんらかの会話の内容に頭がついていかず首を傾げた。
沢田 奈々
ランボが奈月を追って学校に行ってしまったことに気づけなかったことに反省した奈月の母。
自身を苦労させないようにと、いつも手伝いや子守をしてくれている奈月を、世界で一番自慢できる娘だと誇っているが、いつも自分のことより、他人を気遣い、他人を優先する愛娘に、少しくらいは甘えたり、わがままを言ってもいいのにと思っているが、それをなかなか受け取ってくれないことも理解できているため、どこか複雑なジレンマを抱いている。