最強の愛され系ボンゴレ♀は、今を全力で楽しみたい   作:時長凜祢@二次創作主力垢

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相当怖かったらしい……

 始まったランボの保育係適性テスト。

 先攻は自分がと隼人が口にして、しばらくした頃。

 

「………(って言ったのはいいが、どーすりゃいいんだ………?)」

 

「…………。」

 

 隼人もランボも互いに動かず、相手の出方を伺うような状態で固まっている。

 まぁ、いきなり世話をしてみろと言われても、すぐにできるようなものじゃないか。

 子供ってのは、正直言って何に喜び、何に泣き、何に反応して勢いづくかわからないし。

 私があんな風に振る舞えるのは、結局のところ、“わたし”と言う存在の記憶があるからだ。

 自分自身が子供を持っていたわけじゃないけど、友人や従兄弟がそれなりにいた分、対応の仕方を知っていただけ。

 結局のところ、そのアドバンテージありきのチートだった。

 対する隼人は子育ての記憶をまず持たない。周りにそれを見せてくれる大人がいたとしても、齢12年、もしくは13年の道を歩んでいるだけの子供には、なかなか難しいことだろう。

 四半世紀も生きてないのに、人生5年目の小さな子供を、完璧に世話して見せることなんてできるとは思えない。

 

 まぁ……弟や妹がいる人なら話は別かもしれないけどね。

 どこかで鬼退治をしている炭焼き一家の少年や、その少年が過ごしている世界で必死に生きている彼ら、彼女らのように、身内に下の子がいるならば、多少は子供を相手にすることもできただろう。

 ……あ、でもあっちの子達って、みんな家族に関係する重要な過去とか持ち合わせまくっているけど、一部は家族……兄弟仲が微妙な子達もいたような……。

 でも、なんだかんだ世話焼きが結構多かったから、強ち例えは悪くないか。

 

「あの、リボーンさん。10代目に世話の方法を聞くのは……。」

 

「もうちと早く考えればよかったな。3分経っちまってるからアウトだぞ。一つも行動に移さなかったから、獄寺は失格だな。」

 

「んなっ!?も、もう一度チャレンジさせてください!!」

 

「リベンジはちょっと無理かな。完全下校時間もあるし、武の適性も見ないといけないから許可できない。」

 

「じゅ、10代目ぇええっ!!」

 

 もう一度お願いします!!と必死にお願いしてくる隼人を軽くあしらいながら、私はリボーンに目を向ける。

 私の視線に気づいたリボーンは、すぐに小さく頷いたあと、武の方へと目を向けた。

 

「次は山本だぞ。」

 

「オッケー。」

 

 リボーンに名前を呼ばれた武は、すぐに返事をしてランボの方へと歩いていく。

 結局、隼人が何をしたかったのか分からなかったランボは、キョトンとした表情をしたあと武へと目を向けた。

 

「真打ち登場だな。」

 

 武の様子を見つめていると、いつのまにかまた肩に乗って来ていたリボーンが、呟くように言葉を紡ぐ。

 真打ち……まぁ、確かに武は子供に好かれそうな性格をしている。だけど、なんでかな。

 どうも武も失敗しそうな気がしてならない。

 

「性格とかは問題ないけど、良くも悪くも好きなことに一途で真面目な武だから……ちょっと心配なのは私だけ?」

 

「ナツは山本も失敗する可能性があると思ってるのか?」

 

「うん。なんとなくね……。」

 

 できることなら、それが起こる前に止めたいところなんだけど、さて、どうしたものか……。

 そんなことを思っていると、武は自身の荷物からグローブと野球ボールを取り出す。

 

「おまえ、キャッチボールやったことあっか?」

 

「?キャッチボールって何?」

 

「ああ。グローブつあま、このボールを取るんだぜ。」

 

 武がランボの片手にグローブを嵌め、もう片方の手で野球ボールを見せる。

 見たことないものだからか、ランボはキョトンとした顔でグローブとボールを見比べている。

 興味はかなりあるようだ。選択としては悪くない。でも、これが上手くいくかと聞かれたら……ね。

 

「……リボーン。ちょっとレオンを借りるよ。嫌な予感がする。」

 

「ん。いいぞ。レオンは多少の衝撃なら特に気にしないヤツだが、あとで撫でてやってくれ。」

 

「ん、了解。レオン。ちょっとだけ協力してもらえる?」

 

 片手を差し出して、リボーンのボルサリーノに乗っかってるレオンに話しかければ、私の意図を読んだらしいレオンは、すぐにピョンと私の右手に乗っかり、その姿をうにょんと変形させる。

 程なくして動きを止めたレオンは、野球のグローブの形へとなっていた。

 

「すごいな。」

 

「それが形状記録カメレオンの特性だ。かっこいいだろ。」

 

「うん。でも、結局はこの子の体だから、今からやる行動は間違いなく痛いだろうね……」

 

「まぁ、なんとなく意図はわかってるから、レオンも気にしないと思うぞ。

 だが、さっきも言ったように、あとで労ってやってくれ。」

 

「ん。そこら辺の礼節はしっかりしてるから安心して。」

 

 リボーンと言葉を交わしたのち、彼を地面に下ろした私は、静かにその場から移動する。その間、ランボと言葉を交わしていた武は、彼からちょっと距離を取り、右手のボールを投げるために少しだけ構えていた。

 ランボは……ちゃんとグローブの持ち方を教わってるみたいだけど、うん、やっぱり補助に入るべきだなこれ。

 

「ほらいくぞ。」

 

「うん。」

 

「そー……れっ!!」

 

 そう考えた瞬間、武は手にしていたボールをランボに向かって投げる。

 その目つきは明らかに鋭くなっており、投げる動作も無駄がなく、手加減すらもない。

 やっぱりかとため息を吐き、私は地面を蹴り上げた。武の手元からボールが放たれる前に、すでに動いていたおかげか、その豪速球はランボに届くことはない。

 急いでレオンが変形したことにより現れた私の右手のグローブをランボとボールの間に滑り込ませ、ボールをしっかりとキャッチする。

 どう考えても、子供相手に対する力のキャッチボールじゃないキャッチ音が辺りに響き渡った。

 

「あ……」

 

「ぐ……ぴ…………っ」

 

「…………何か申し聞きはあるかな?」

 

「……えっと…………。」

 

「これ、どう見ても子供相手に対する投球じゃないんだけど?」

 

「…………。」

 

「ランボもかなり怖かったみたいだし、今にも泣きそうだよ。これ、下手したら顔面にも当たっていたけど、何か言いたいことはあるかな?」

 

「……悪い。野球の動作に入ると、つい加減ができなくて………。」

 

「その自覚があるなら、もう少し考えて行動を取ろうか?子守や保育ってのは、子供を守るためのものでもあるんだよ。

 なのに、守る側が子供を怪我させそうになってどうすんの?子守や保育ってのがどう言う意味かちゃんと理解して、加減もできるようになってから提案してもらえる?」

 

「ゔ……わかった……。」

 

 武に注意する言葉をかけ、レオンが変形したグローブからボールを取り、それを武に返す。

 同時にレオンが本来のカメレオンの姿に戻ったため、すぐに私はレオンに視線を戻す。

 

「ありがとう、レオン。かなりの衝撃だったけど、どこか痛めてない?」

 

 首を傾げながらレオンに問いかければ、レオンはすぐに自身のお腹を見せる。

 あ、少しだけ赤くなってる。あのボール、かなり速かったと言うか、結構な衝撃が伝ってくるレベルだったから、レオンも痛かったようだ。

 

「ごめんね。痛い目に遭わせてしまって。本当にありがとう。」

 

 少しだけ赤くなってるところを撫でながら謝罪をすれば、レオンは私の方に視線を向け、じっとこちらを見つめるように静止する。

 しかし、すぐにどこかニコッと笑うような様子を見せたあと、自身のクルンとした尻尾でマルを作った。

 気にしなくていいよと言いたいらしい。その姿にちょっとだけホッとした私は、レオンを自身の肩に乗せる。

 

「……ランボ。怪我はしてない?」

 

「っ〜〜〜〜!!ナツ〜〜〜〜〜〜っ!!」

 

 固まってしまったランボに話しかければ、彼は翡翠のような両目からボロボロと涙をこぼしながら、私の名前を呼ぶ。

 すぐに彼を抱き上げて、頭を優しく撫でてあげれば、本格的に泣き出してしまった。

 怖かったと言う言葉も泣き声に混ざっているため、やっぱり相当な恐怖だったらしい。

 その言葉を聞き、少しだけ湿度ある視線を武に向ければ、彼はどこか縮こまったような様子を見せた。

 そんな武の姿が面白かったのか、隼人がゲラゲラと笑っている。

 

「何やってるんですか─────!!!」

 

 いや、アンタはなんもやってないのに人の失敗笑うなよ……と内心でツッコミを入れながらランボをあやしていると、聞き覚えのある声が辺りにこだまする。

 すぐに声の方へと視線を向けてみれば、そこには案の定ハルがいて、腰に手を当てて怒った様子を見せている。

 

「ハル?なんで並中に君が?」

 

「転入か?」

 

「違います!!新体操部の交流試合にきたんです。やっとナツさんを見つけたと思ったら、ランボちゃんが泣いてるなんて……!!」

 

 スタスタ……いや、ズンズンかな?とにかく、そんな効果音がつきそうな勢いで、ハルは私の方へと歩み寄ってくる。

 なんかハル、隼人を睨みつけてる?

 

「ナツさん。ランボちゃんは大丈夫ですか?」

 

「ん。ちょっと怖い目に遭ったから泣いててね。今なんとかあやしてるんだけど、相当だったみたいで……。」

 

「みたいですね……。」

 

 あやしてもなかなか泣き止まないランボを見つめながら、ハルは眉をハの字に下げる。

 しかし、すぐにキッと隼人と武の2人に目を向けて、勢いのままに口を開いた。

 

「こんないたいけなチャイルドを泣かして!!獄寺さんと山本さんはナツさんと同じでランボちゃんからしたらお兄ちゃんなんですよ!?お兄ちゃんはランボちゃんみたいな子を守らないといけないのにいじめるなんて最低です!!」

 

「ハァ!?オレは何もやってねーぞ!!」

 

「……泣かせちまったのは事実だから何にも言い返せないな。」

 

 ハルの怒鳴り声を聞き、隼人は言い返して、武はしょんぼりと反省の色を見せる。

 それを見たハルはすぐにランボの様子を見ようと私の方へと視線を戻すが、こちらに彼女が声をかける前に、腕の中にいたランボは大泣きしながら、どこからともなく取り出していた10年バズーカを自身に向けていた。

 

「おっふ……武の投球はそこまでいくくらい怖かったのか……。」

 

 その様子に引きつった笑みを浮かべながら、まずいなと思いランボを地面に降ろす。

 同時にランボは手にしていた10年バズーカの引き金を引き、そこに装填されていた弾を自身の体へと撃ち込んだ。

 

「はひ!?ランボちゃん!?」

 

「大丈夫だよ、ハル。ランボは怪我してないから。」

 

「へ?」

 

「まぁ……かなり身なりは変わってるだろうけど、安心して。たまにある事象、ちょっとした未来からの来訪者が来るだけだから。」

 

「未来からの来訪者……?」

 

 私の言葉にキョトンとした様子で首を傾げたのち、立ち込める煙の方へと目を向ける。

 私も静かにそこを見つめていると、次第に煙が晴れていき、この数ヶ月で何度か出会している青年の姿が現れる。

 

「やれやれ……せっかくナツさんとゆっくりお茶していたんだが、こんな時に限って呼び出されるんだな……。」

 

 そこには、少しだけ困惑したような表情をしながら、カップ片手に地面に座り込んでいる大きなランボの姿があった。

 

 

 




 沢田 奈月
 適性テストを見守っていたが、片や動かず、片や怪我させる一歩手前と、呆れ返るほどの惨状にため息を吐いていたボンゴレ10代目。
 対処するためとは言え、レオンに痛い思いをさせてしまったので、あとでしっかりとお礼のおやつをあげようと考える。

 リボーン
 奈月にお願いされて、快く自身のペットであるレオンを貸し出したヒットマン。
 レオンが自分以外にも懐くのはなかなか珍しいと思いながらも、しれっと彼女に自身のペットを自慢した。

 レオン
 奈月に呼ばれたのですぐに協力したリボーンのペット。
 奈月のことは好きなので、彼女がお願いしてきたらすぐに力を貸す。
 奈月のなでなでは気持ちよかった。

 ランボ
 獄寺が固まったままになるわ猛スピードのボールが飛んできて顔面に当たりそうになるわで散々な目にあった男の子。
 山本が投げてきたボールはめちゃくちゃ怖かったし、奈月が手にしていたグローブなレオンに叩き込まれたボールの音と、一瞬の奈月の痛そうな表情を見てギャン泣きした。

 獄寺 隼人
 何をやったらいいかわからず、3分間ずっと固まっていた右腕志願者。
 結局失格になったが、山本が大失敗を起こしそうになり、ザマァみろと笑いそうになったが、この状況で笑えるの?と問うような目を奈月から向けられて、黙り込んだ。

 山本 武
 キャッチボールを提案し、やろうとしたが、厄介な癖があることを奈月に指摘され注意された野球少年。
 彼女の言葉に反省し、頑張って試合とそれ以外で加減ができるようにならないと……と考える。

 三浦 ハル
 奈月に泣きつくランボと、そんなランボををあやしてる奈月を見て、獄寺と山本がいじめたものだと考えて2人に怒鳴りつけた女の子。
 やっぱりナツさんは優しい人です!と感激していた。

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