最強の愛され系ボンゴレ♀は、今を全力で楽しみたい 作:時長凜祢@二次創作主力垢
誕生日の時くらいは甘えていいと言われ、すでに“わたし”の時に捨ててしまい、こっちの世界でも持ち合わせていないそれを、今更思い出せるはずもないと、心の中で吐き捨てた翌日。
今日は“私”としての“わたし”の誕生日。だけど、やはりと言うか、昨日言った通り、少しの要望さえ叶えてくれればそれでいいと考えている“わたし”は、特に浮き足立つような感情など抱くことなく、いつもの行動を繰り返す。
「ナツ。学校行くんだろ。」
「ん?当然でしょ。誕生日でも平日なら学校はあるわけだし。体調も悪いわけじゃないから、登校するのは当たり前。
ああ、昨日は妙な空気にして悪かったね。こっちもいろいろあって、どんな反応をしたらいいかわからなくてね。」
「別に気にしてないぞ。お前が何か抱えてることはすでにわかってるからな。でも、探るつもりはない。前も言ったように、話していいと思った時にでも教えてくれたらいいからな。」
「そりゃどーも。」
学校に行こうと玄関へと向かったら、リボーンに声をかけられる。すぐに昨日のことを謝罪したら、彼は気にしなくていいと返してくれた。
それを聞いて、少しだけ安堵しながらも、わたしはスクールバッグを手に取り、玄関の扉へと足を運ぶ。
「ナツ。今日は帰りに荷物が増えるだろうからこれでも持って行っとけ。」
「?何これ、袋?」
「ああ。まぁ、賑やかないい1日にするためのちょっとしたお守りみたいなもんだ。気をつけて行けよ。オレは今日は留守番なんでな。」
「?」
そんな中渡されたなんの変哲もない畳まれた紙袋。首を傾げながらそれを受け取れば、気をつけて学校に行けと言われる。
リボーンが留守番なんて珍しいけど、まぁ、凡そ“私”の誕生日のためだろう。
別に気を遣わなくてもいいのに……そんなことを思いながらも、渋々紙袋をスクールバッグに入れたわたしは、学校へと向かうための道へと足を踏み出す。
……なんか意味深なこと言われた気がしてならないんだけど、いったい何を企んでるんだ?
ジョットさん達も見当たらないし、状況がよくわからない。理解できていることと言えば、別に気を遣わなくてもいいって言葉をスルーして、“私”の誕生日が進行していると言うことのみだ。
「……みんなして何をやろうとしてるんだ?気を遣われて何かされても、こっちは困るだけなんだけど。」
それだけわたしは誕生日に対して、少しばかりいい思い出がない。“私"になってから、何度か母さん達に祝ってもらったけど、ずっとどこか素直に喜べず、困惑のみに襲われていた。
それでも、誕生日を迎えた無邪気な子供を演じることで、こっちの気持ちを隠し通した。
ずっとそれの繰り返し。とうの昔に、心の底から誕生日を喜ぶと言うことを、わたしはできなくなっていた。
「精神もすでに成人した大人のものだし、今更誕生日なんて……」
素直に喜べたのは、いつ頃までだっただろうかと少しだけ脳裏に過らせる。
一度殺してしまった自分の想い、自分自身を思い出すなんて、もうできるはずがないと言うのに。
*:・゚*.+ ❀ *:・゚*.+ *:・゚*.+ ❀ *:・゚*.+ *:・゚*.+ ❀
考え込みながらも過ぎる時間の中、いつも通りの日常生活を送り、一日の授業を全て終わらせ、早くも放課後。
わたしは、放課後のルーチンの一つである風紀委員としての仕事をこなすため、トンファーを制服に提げながら、教室の外へと出る。
「笹川。黒川。2人はナツんとこのチビに話聞いたか?」
「うん!今日、なっちゃんの誕生日だって聞いたよ。」
「ナツの誕生日パーティーの話もね。」
「じゃあ、2人も来るんだな。」
「「もちろん!」」
「よし。じゃあ、10代目の家に向かうぞ。」
「あ、待って!」
「私達、ナツの誕生日プレゼント探したいからさ。ちょっと寄り道していい?」
「おう!まぁ、オレと獄寺もそのつもりだったし、全員でいいもの探すのな。」
いつものルーチン。変わらない一日。少しだけ夕飯が特別になるだけの、“私”と言う存在の誕生日。
でも、ほんの少し違うものがあれば……普段とは違うちょっとした贅沢だけがあれば、別に構わないと思っていた今日。
まさか、ほんのちょっとした贅沢だけで済ませるはずだったこの日が、かなり大きなイベントとなり、一生忘れられない一つの思い出になるとは思わずに、“私”は今日を過ごすのだった。
沢田 奈月
誕生日に対して、あまりいい思い出がない10代目。
まさか、ほんの少しの贅沢だけでいいと告げた誕生日が、大きなイベントになるとは思っていなかった。
奈月の誕生日を祝いたい人達
リボーンの伝達により、各自さまざまな用意をしている。
控えめな反応しかしない奈月に、毎年祝ってほしいと言わせてやる計画進行中。