最強の愛され系ボンゴレ♀は、今を全力で楽しみたい 作:時長凜祢@二次創作主力垢
「……こんなもんかな。最近はめっきり不良と言うか、恭弥さんが咬み殺していい判定を出すような人がいなくて平和だね。
まぁ、そっちの方が無駄な労力使わなくてすむし、恭弥さんの機嫌も安定するから助かるんだけどね。」
「「「「(それは多分、奈月さんが風紀委員に入ったことにより、風紀委員の取締範囲が増えた上、体育祭の時に奈月さんが委員長とバチボコにやり合った結果、委員長を敗北させたからだと思います。
最近は、委員長がところ構わず奈月さんに手合わせを挑んで、奈月さんが返り討ちにする様子が多く目撃されていますし、間違いなく奈月さんの行動の結果です。)」」」」
風紀委員の役員としての仕事をこなし、今日も特に違反者がいないことを確認した私は、その場でぐっと背中を伸ばす。
私に同行していた風紀委員の役員が、冷や汗を流しながら苦笑いをして、こちらに目を向けているとは気付かずに。
んー……ちょっとだけ消化不良。今日は恭弥さんから手合わせの申し出もないし、どうしたんだろ、あの人。
いつもならこっちを見るなり挑んでくるはずなんだけど、今日は一日中見かけなかったし、何かあったのかな?
……あの人が誰かの誕生日を祝うとは思えないし、こっちの誕生日は関係してないと思うんだけど。
「なぁ、そろそろ……」
「だな。見回りを終えた以上、奈月さんは帰宅するだけだし、やるなら今しかないんじゃないか?」
「おい、誰が奈月さんに話しかけろ。オレ、奈月さんと話したことないんだって。」
「オレだって話したことないって。」
「オレは何度か指示出しされたことがあるけど、こっちから話しかけたことないからちょっと抵抗が……」
……何か背後でコソコソと話してる声が聞こえる。いや、コソコソの範疇外だな、ハッキリと会話聞き取れたわ。
何か用事あるならさっさと話しかけてきなよ。そんなに私話しかけ辛いか。何かちょっとショックなんだけど。
「……コソコソ話してるの聞こえてるんだけど、なんか用?」
「「「「!!?」」」」
いや、ビクッとしないでよ。流石に精神年齢三十路でもその反応は地味に傷つくから。
思わずジトーっと半目で同行していた風紀委員達を見つめていると、彼らは一瞬苦笑いをこぼしたのち、私の方に近寄ってくる。
「あの、委員長から聞いたのですが、今日は奈月さんの誕生日だそうで……」
「……え?」
告げられた言葉に思わず目を丸くする。何で風紀委員が私の誕生日知ってんの。
と言うか、恭弥さん、私の誕生日知ってたわけ?
「委員長曰く、知り合いから話を聞いたとのことでして。我々に話したのは気まぐれだとか。
ですが、その話を聞いた時、我々は皆、奈月さんのことを祝いたいと思い、今回は同行させていただきました。」
「……珍しく同行するって言われたから、何かと思えば………。別に気を遣わなくてもよかったんですけど。」
「いいえ!!これは決して気を遣ったわけではありません!!」
「!?」
吐き捨てるように、気を遣わなくてもいいと口にした瞬間、勢いよくそれを否定される。
そんな風に否定されるとは思わなかったため、肩をビクッと震わせると、目の前に少し大きめの箱と、手紙と思わしきたくさんの封筒を差し出された。
「我々は奈月さんを心から敬愛しています!常日頃から、風紀委員としての仕事をこなし、委員長の相手も行い、我々のことも気遣ってくださっている奈月さんを、心から慕っているのです!」
「そんなあなたには感謝してもしきれないほど、我々は助けられているのです!ですから、堂々と感謝を述べることができる機会ができて、我々はとても嬉しいのです!」
「いつもありがとうございます、奈月さん!あなたのような方が、風紀委員に入ってくださったことは、何よりも喜ばしいです!」
「こちらは、我々からの純粋な思いです。気を遣っているなどとんでもない。本当に、あなたには感謝しかありません。」
「どうか、こちらをお受け取りください。お誕生日、おめでとうございます!」
声を揃えて、ハッキリと祝いの言葉を口にする風紀委員達の姿に呆気に取られる。
しかし、彼らが気を遣ったわけではなく、本当に心から祝いたいと思っていることは痛いほど理解できたため、私は戸惑いながらも差し出された贈り物を受け取った。
「……ありがとう。ちょっと戸惑いが大きいけど、みんなの純粋な気持ちもよくわかったよ。贈り物……大切にするね。」
自身でもわかるくらいに、私の声音は明るくなっていた。それだけ、彼らの気持ちは、私の心に届いたのだ。
こんな風に、純粋に喜べたのはいつ頃だったかな。前世で捨てたはずの感情は、少なからず残っていたのかな。
「奈月さん!荷物を手にしたあとは、すぐに教員達が使用している職員専用の駐車場へと向かってください!そこで委員長がお待ちです!」
「恭弥さんが?……いや、待って。職員専用の駐車場に何で恭弥さんがいるの。」
「それはいったらわかりますので!」
風紀委員達にそう言われて、再び困惑に見舞われる。
何で恭弥さんが職員専用の駐車場にいるのか全く検討がつかない。あの人、一応中学生のはずだから、免許とか持てるわけないはずなんだけど。
でも、待たせたらあとが怖いし、風紀委員の言葉にわかったと一言返したあと、自身の教室へと向かう。
恭弥さんからあんな提案をされるとは思わずに。
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「遅いよ、奈月。」
「………何でバイク持ってんですか恭弥さん。」
教室に戻り、荷物を回収したあと、風紀委員達から渡されたプレゼントと手紙をスクールバッグに突っ込んで、言われた通り職員専用の駐車場へと足を運んでみたら、大きなバイクにもたれながら立っている恭弥さんを見つけた。
恭弥さんの様子から、そのバイクが彼の所有物であることをすぐに見抜けた私は、引きつった笑みを浮かべながらバイクの所有に対して言及する。
「恭弥さん、中学生のはずですよね?なんでバイク持ってるんですか。少なくとも16歳じゃなければ免許は取れないはずですが?」
「僕は好きな時に好きな学年にいるだけだけど。」
“どんな理屈だよ!!”と思わずツッコミを入れたくなるが、何とかそれを飲み込んで、ため息すらも押し殺す。
彼の前でため息を吐くとか明らかに危ないからね。それだけでちょっとイラっとされて殴りかかられる時もあるわけだし。
「で、何の御用でしょう。」
「はい。」
「うわ!?ってヘルメット!?」
こんなところに呼び出された理由を問いかけると、軽く放り投げるカタチでヘルメットを渡される。
慌ててそれをキャッチして、なぜヘルメット……?と疑問を脳裏に浮かべると、静かに名前を呼ばれる。
返事の代わりに顔を上げれば、恭弥さんは真っ直ぐと私の方を見据えて
「乗って。」
「………マジっすか。」
親指でバイクの後ろを指差し、こちらに乗るように指示を出してきた。
まさかの事態に白目をむきそうになる。しかし、恭弥さんがそこまで気が長くないことも理解しているため、大人しく指示に従えば、私が手にしていた荷物を恭弥さんに引ったくられ、そのままバイクの座席の下にある空間へと収められてしまった。
うん、ちゃんと話聞かないと返してくれないやつ……苦笑いをこぼしそうになりながらも、恐る恐るバイクの後ろにまたがる……のは流石にスカートだと難しいので、横座りをするように腰をかければ、恭弥さんもすぐにバイクの前に座った。
「掴まってないと落ちるよ。」
「わかってますよ。」
えっと、こう言う時って恭弥さんの腰に手を回せばいい……んだろうけど、かなりハードル高くない?
でも掴まってないと落ちるって言われたし……うーん……これは、こうした方がいいのか、やっぱ。
「すみません、失礼します……。」
「何で謝るの?」
「いや、恭弥さんって人にくっつかれるの、あまり好きじゃない人じゃないですか。」
「別に、君なら構わないけど。」
「え?」
「なんでもない。あと、しっかり掴まっといて。行くよ。」
「あ、はい。」
おずおずと謝罪しながら恭弥さんの腰に手を回したら、恭弥さんしっかり掴まるように改めて言われ、もうどうにでもなれ!!と腰に抱きつけば、恭弥さんはバイクにエンジンをかけて、そのままバイクを発進させる。
……何か、恭弥さんから特大爆弾を落とされたような気がするんだけど、気のせい……かな………?
沢田 奈月
自身の誕生日なんて……と考え込んでいたが、同行していた風紀委員達から純粋な思いと感謝を込めたプレゼントと手紙を渡されたことにより、久々に純粋に嬉しいと考えた自身の感情を感じ取る。
これだけでも十分と彼女は思っているようだが、これだけで終わらないことをまだ知らない。
風紀委員達
奈月の誕生日を聞き、急遽風紀委員メンバーで金を出し合ってプレゼントを用意した上、沢山の手紙も書き上げた者達。
気を遣ったわけじゃありません!我々は純粋にあなたを祝い、感謝の気持ちを伝えたかったのです!
雲雀 恭弥
リボーンから奈月の誕生日を聞き、気まぐれと称して副委員長の草壁に伝え、連鎖的に風紀委員全体に奈月の誕生日を知らせた風紀委員長。
見回りを終えたタイミングを見計らい、奈月を駐車場まで呼び出して、自身のバイクに乗せて外に連れ出す。
奈月にならくっつかれても構わないと思うくらいには彼女を気に入っていた。