最強の愛され系ボンゴレ♀は、今を全力で楽しみたい 作:時長凜祢@二次創作主力垢
「よかったー。君の家の人から話を聞いて、向かおうと思っていたところだったんだ。」
「え?私の家の人?」
「うん。その、なぜか二足歩行をしてる赤ん坊に、登校中にね……。」
「あー……」
まさかの人物の登場に少しだけ困惑していると、誰のせいでこっちの方へと足を運ぼうとしていたのかを教えられる。
リボーンってば、私が正一君と話してるところ見てたな?あの時は、つい、正一君との話が楽しくって、ちょっとだけ気配探るのを怠っていたから、気づかなかったな……。
彼のことだから、きっと仲良く話していた時に、正一君の顔を覚えて、尚且つ帰る場所まで把握していたんだろうね。
でも、正一君が学校に向かう時に接触してくれたみたいだから、少しだけ安心した。
今までのリボーンなら、多分、正一君の家に凸ってもおかしくない。
「でも、話を聞いて私の家に向かっていたって?もしかして、その大きな袋が関係していたりするのかな?」
「……うん。実はそうだったりするんだよね。」
「……まさか…………。」
「うん。リボーンさんって人から、今日がナツさんの誕生日だって聞いたから、せっかくだし、僕も何かナツさんにあげることができないかなって思って。
それに、ちょっとナツさんと話したかったこともあってね。だから、ナツさんの家に向かおうとしてたんだ。」
笑顔でそう言ってくる正一君の姿に、思わず目を丸くする。
まさか、正一君まで私に何か送ろうとしているとは思わなかった。
「気を遣わなくてもよかったのに……」
「気を遣ったわけじゃないよ!僕はナツさんにお礼もしたかったんだ!」
「お礼……?」
「うん。ナツさんがくれたアイデアのおかげで、僕も携帯電話を持てるようになったんだ。
ずっと、何かあったら母さんが姉さんの携帯を借りるばかりだったし、買ってもらえるのは高校になってからだと思っていたもんだから、すごく嬉しくて。
これも、ナツさんのアドバイスのおかげだよ。それに、ナツさんが食べ物と飲み物を沢山うちに譲ってくれたおかげで節約もできて、予想より早く部屋の修理代を返せることになってね。
まぁ、急に携帯が欲しいとか言っちゃったから、姉さんと母さんにはいろいろと根掘り葉掘り聞かれて、ちょっと大変なことになったけど、姉さん達にナツさんのことを話したら、いつかお礼をしないとって話になったんだ。ナツさんのおかげで、沢山助かったことがあったから。」
少しだけ照れ臭そうに笑いながらも、手にしている贈り物は気遣いからのものではないと言われ、思わず無言になる。
こんなことになるとは思わなかった。私はただ、最善の方法や、使えそうな方法を教えただけなのに、こんな風に返ってくるとは思わなかった。
「あの、ナツさん。」
「なに?」
「僕がいつももらってるお小遣いの範囲内で、女の子が喜びそうなものがこれしかなかったんだけど、ナツさんって、ぬいぐるみとか好きかな?」
「ぬいぐるみ?うん。好きだよ。可愛いものやもふもふしたものは大好きなんだ。」
「そ、そっか!それなら、これ、受け取ってもらえるかな?」
おずおずと手渡された大きめのプレゼントを両手で受け取る。袋の口から見えたのは、大きめのオオカミのぬいぐるみのようだった。
「オオカミさん?」
「うん。母さん達と出かけたショッピングモールで、前に一度見かけてね。」
「……可愛らしいものだったから、買うの大変だったんじゃない?」
「正直言って、かなり恥ずかしかった……」
「ぷっ……あはは!!だと思った!!」
「ちょ、笑わないでくれないかな!?」
「フ、フフ……ッ……ごめん……っ……男の子がぬいぐるみ買うのって結構勇気がいる行為だと思ってたし……っ……ちょっと恥ずかしがり屋な正一君にはなかなかハードルが高いと思って……っ……想像したら笑いが込み上げてきちゃった……っ」
「ゔ……わからなくもないけどさぁ!!」
顔を真っ赤にしながら、こっちの言葉に反応する正一君の姿に、少しの間笑いが治らなくなる。
すごく嬉しいことだし、頑張って買ってくれたことを笑うのは失礼なのはわかってるんだけど、なかなか破壊力がすごかった。
「はぁ……久々に笑ったよ。」
「うう……頑張ったのに……」
「ごめん。悪気はなかったんだけど……」
「わかってるよ。ハッキリ言って、僕の柄じゃないってことは、僕自身が一番わかってるから。
本当は、ナツさんの綺麗な髪に合わせて、何か髪留めとか渡したらいいのかと思ったりもしたんだけど、その、恋人でもない人間から、アクセサリーの類を渡されるのって、嫌じゃないかなって……。
それに比べたら、ぬいぐるみなら、友達にも渡せるかなって思ったんだ。」
「……そっか。ありがとう、正一君。」
こんなに大きいと、ちょっと荷物に入らないな、と思いながら、大切にぬいぐるみが入った贈り物用の袋に入ったオオカミのぬいぐるみを抱きしめれば、正一君は頬を赤らめながらも、口元に小さく笑みを浮かべた。
「あ、それと、なんだけど……ナツさん。今、携帯電話あるかな?その、可能なら、なんだけど……」
しかし、すぐに彼は緊張した面持ちで、両手で握りしめた携帯電話を見せてきた。
それが何を意味するものかをすぐに理解した私は、自身のスクールバッグの中にある携帯電話を取り出して、正一君に見えるように開く。
「せっかく互いに携帯電話を持ってるから、連絡先を交換しておこうか。用事があるなし関係なしに、メールとかできるといいな。」
「ちょ、僕が言おうとしたこと!」
「あはは。ごめんごめん。なんとなく言いたいことがわかっちゃって。」
「ええ……?そんなに僕って顔に出る?」
「うん。心配になるくらいにね。下手したらいろいろバレちゃいそうだよ。」
「ゔ……気をつけないとな……。姉さんにいろいろとからかわれそう……。あ、じゃあその、連絡先、交換してもらえる……かな?」
「いいよ。」
正一君の携帯電話と、私の携帯電話。両方の携帯に導入されている赤外線を利用して、互いの連絡先を交換する。
自身の携帯の連絡先に登録された入江 正一の文字を確認した私は、携帯を閉じて再びスクールバッグの中へと戻した。
「ナツさん。」
「ん?」
「お誕生日おめでとう。僕、ナツさんと会えて、すごく嬉しいと思ってるよ。だから、これからも仲良くしてくれたら嬉しい……かな。」
「……うん。ありがとう、正一君。用事があってもなくても、せっかく互いに繋がることができたわけだし、気軽に連絡してきてもいいからね。」
「うん。ナツさんも、気軽に連絡してきてね。嫌なことがあったりしたら、相談してくれてもいいから。
前も言ったように、解決まではできなくても、愚痴を聞くことくらいはできるから。」
「ん。そうだね。もちろん、それ以外の時も連絡するよ。念のため、都合の悪い時間とか曜日があったら教えてもらえるかな?
そう言う時に連絡を入れてしまわないようにした方が、互いに気持ちよく話せるし。」
「そうだね。じゃあ、ナツさんの都合が悪い時の話も聞かせてほしいな。僕も、ナツさんに嫌な思いはしてほしくないから。」
「いいよ。」
互いに都合が悪い時の情報を交換し、どちらも気持ちよく話せるようにすれば、2人して顔を見合わせて笑う。
しかし、そんな時間も終わりが近づくわけで……。
「結構話し込んじゃったな……。ナツさん。家まで送るよ。」
「え!?大丈夫だよ?ここは私の家の近所だし、別に気にしなくても……」
「それでも、だよ。近所とは言え、何があるかわからないんだから。」
「……ありがとう、正一君。」
私のことを送ると言ってくれた正一君に、お礼の言葉を伝えれば、彼は笑顔を見せたあと、私の手元にある荷物を少しだけ持つ。
あ……と一瞬思ったけど、彼の厚意を無碍にするのもどうかと思い、そのまま彼に荷物を少し持ってもらいながら、自宅へと向かうための帰路についた。
程なくしてたどり着いた自宅前。沢田の表札が見えた私は、ここまで送ってくれた正一君に向き直る。
「荷物を持ってくれてありがとう、正一君。」
「これくらい気にしないで。はい。」
正一君が預かってくれた荷物を受け取り、自宅の門を通り抜ける。すると、背後から正一君に名前を呼ばれた。
振り返れば彼は私に微笑みかけており、静かに口を開く。
「おやすみ、ナツさん。一日は残り僅かだけど、誕生日、楽しんでね。」
「!………うん。おやすみなさい、正一君。またね。」
正一君の言葉に小さく笑顔を見せながら、私は玄関を静かに開ける。
その瞬間、辺りに響き渡ったのは、複数のクラッカーの音と
「「「「「「「お誕生日、おめでと─────!!(おめでとうございま─────す!!)」」」」」」」
とても賑やかな、大切な人達の重なり合った声だった。
沢田 奈月
入江から誕生日のお祝いをされて驚いた10代目。
純粋な感謝の気持ちと、祝いたいと言う気持ちを言葉で告げられ、君もなんだね、と穏やかな気持ちを心に抱く。
もらったぬいぐるみは、自身が使ってるベッドの上に新しく並べるつもりでいる。
入江 正一
登校中に接触してきたリボーンから、奈月の家に住んでる人間だと言う自己紹介を受けたのち、彼女の誕生日を告げられて、急いで自宅に戻り小遣いを片手に登校した学外の少年。
帰りに恥ずかしくも勇気を出しオオカミのぬいぐるみをプレゼント用に買い、帰宅……母親と姉に揶揄われながらも、なんとかそれを奈月に届けた。
奈月から連絡先を交換してもらった時、内心でめちゃくちゃ喜んでいた。
next→沢田家と友人達