最強の愛され系ボンゴレ♀は、今を全力で楽しみたい 作:時長凜祢@二次創作主力垢
『私→普段』
『わたし→彼女が転生者であることを知ってる人の前のみ』
『私、わたしの混合→表の主人公と裏の主人公が合わさってる』
と言った感じです。
この話は彼との邂逅にもなるので、ご注意ください。
ジョットさんからのメッセージカードを受け取り、いつも通りの寝支度を済ませたわたしは、すでに眠っている母さん達に黙って自宅の外に出る。
寝巻き姿のままではあれだから、少しだけラフな、だけど部屋着には見えないかっこうに身を包み、不審者が入れないようにと、しっかりと戸締りを済ませて。
「ナツキ。」
「あ、ジョットさ…………?」
「どうした?」
とりあえず縁側に腰をかけて、遥か彼方の星空を見つめていると、聞き慣れた声が鼓膜を揺らす。
すぐに声の方に目を向けてみれば、そこにはジョットさんがいた。しかし、どこか違和感を覚えてしまい、思わず言葉を不自然に切る。
わたしが急に固まったからか、ジョットさんが不思議そうに首を傾げた。
だけどわたしは、そんな彼の様子をスルーして、困惑の二文字を脳裏に浮かべる。
「ジョットさん……じゃないな。気配的には、ジョットさん達に近い状態のようだから、初代の誰かであるのはわかるけど。」
感じ取った違和感。それの答えを探るため、なんとか止まった思考を動かす。
それによりたどり着いた違和感の正体……それは、ジョットさんとはどこか違う、何者かの気配だった。
“アンタは誰?”……静かな声音で紡ぐ問いかけ。わたしの問いかけを聞いた、ジョットさんの姿をしている何者かは、少しだけわたしをじっと見つめる。
「ヌフフ……流石はプリーモの子孫。すでに超直感を開花させているようですね。しかし……見れば見る程興味深い方ですね。
この感じは……ふむ……前世の話は聞いているので、特に気にする点ではないのですが、その副産物か、波動が面白いことになっているようだ。」
そして、どこか独特といえる笑い声を小さく漏らしては、意味深なことをわたしに告げ、辺りに霧を発生させる。
すかさず臨戦態勢を取り、警戒心を剥き出しにすれば、再び笑い声が聞こえてきた。
「雰囲気がかなりプリーモに似ていたので、彼と同じく甘い考えを持ち合わせている人間かと思っていましたが……完全に考えがまとまっていない分、まだ改善の余地はありそうですね。
早めに接触ができて正解でした。最初は、プリーモ達に見つかった上、話しかけられるなどと言う現象が起こったため、どうしたものかと思っていましたが、今は感謝の方が強いですね。」
ふわりと霧が晴れると、どこか貴族を思わせるような上品な装いをしている1人の男性が現れた。
寒色の髪と瞳をしており、身にまとうそれも寒色ゆえに、どこか寒気を感じてしまうような、そんな男性だ。
「はじめまして、沢田 奈月さん。私はD・スペード。始まりのボンゴレ……初代に属していた者です。
まぁ、多少いざこざがありましたから、最終的にはプリーモ達とは手を切ることになりましたが、一応は初代のファミリーだった術士ですよ。
先程あなたに見せていたのは、いわゆる幻覚と言うものでして。幻術を使うことで少しだけプリーモに化けていました。」
“見抜かれてしまいましたがね”……と口元に笑みを浮かべながら言う男性……D・スペードと名乗った青年をまっすぐと見据えながら、無言を貫く。
ジョットさんのファミリーだったらしいけど……なんだろう。ものすごく値踏みをされてるような目を向けられているから、警戒を解いていいのかわからない。
「気を楽にしてください。まだ、あなたに何かするつもりはありませんから。」
「今まだって言った?言ったよね?警戒解けるわけないよねそれ?」
「ヌフフ……ちょっとした冗談ですよ。」
「冗談には聞こえなかったけど?ていうか、何の用?」
「ああ、これは失礼。プリーモの代わりに迎えにきました。次世代のボンゴレがどの様な存在か、少し興味があったもので。
プリーモの能力に匹敵する能力を持ち、同時にマフィアに関して完全に学びきれていないと聞きましたから、合流する条件に、私があなたを迎えに行くことを出していたんですよ。
私としては、なかなかちょうどいい状態の人間ですので。」
“おかげでなかなかいい収穫が出来ました”……などと笑いながら言ってくるDさんを、ジトーっと半目で睨め付ける。
なんか、めちゃくちゃ厄介な存在に興味を持たれた上、取り憑かれてしまった気がする。
「警戒するのは良いことです。何もかも受け入れるだけでは、いつかプリーモの二の舞になるでしょうからね。
とは言え、このままここに立ち往生するわけにもいきませんので、目的の場所に向かいますよ。
どうぞ、私の手をお取りください。一応は上流階級に身を置いていたので、エスコートには自信がありますよ。プリーモもできなくもないですが。」
静かに差し出された手とDさんの姿を見比べる。値踏みをする様な目は変わらず、しかし、敵意はなく、興味に溢れている目を向けてきている。
いつもの嫌な予感……嫌な感じは感じ取れない。今はまだ、手を取っても問題ないと、わたしの勘は言っている。
「……わかったよ。手を取れば良いんでしょ。」
吐き捨てる用に言葉を紡げば、Dさんは小さく頷いた。それを見たわたしは静かに差し出された彼の手に自身の手を重ねる。
その瞬間、Dさんは軽々とわたしのことを引き寄せて、そっと肩を抱いてきた。
「では向かいましょうか。プリーモを待たせていますからね。ところでナツキさん?先程引っ張って思ったのですが、少々軽過ぎませんか?ちゃんと食事摂ってます?」
「いきなりなんか心配し出したんだけどこいつ。ちゃんと食事は摂ってるよ。」
「そうですか……。成人の女性と未成年の女性の違いなんですかね……。」
「成人の女性……大切な人でもいたの?」
「ええ。いましたよ。そんな彼女に比べてあまりにも軽かったので驚いてしまいました。
エレナもなかなか軽かったのですが、それ以上に軽かったもので……。」
「……そう。」
一瞬だけ見えた懐かしむような、そして、悲しさと愛しさを合わせたような瞳が視界に映り込んだため、短く相槌を打つだけに止める。
どこかかつてのわたしの父さんに似た目……いや、父さんとは違って、悲哀の他にも強い怒りというか……そう言った感情が見え隠れしていたため、今は指摘しない方がいいだろう。
「何か見えましたか?」
「……少しだけね。指摘しない方向でいたのに、なんで聞いてくるかな。」
「ヌフフ……そう拗ねたような表情をしないでください。まぁ、正直言って指摘しないでくれて助かりますがね。
今日のような日に、私のこの話は野暮ですから。ですが、あなたには一つの教訓として、早めに話した方がよさそうですね。」
「教訓?」
「ええ。本気でボンゴレを背負う気持ちがあるのであれば、十分な教訓になります。とは言え、今はお勉強の時間ではありません。」
“行きましょうか”と告げて、慣れた様子でわたしのことをエスコートするDさんに少しだけ困惑しながらも、彼のエスコートを受け入れる。
「どこに向かってるわけ?」
「そうですね……あなたもよく知っている場所とだけ言っておきましょうか。ですが、少々細工を施してあるため、普段とはかなり違ったものへと変わっていますがね。」
「細工……さっき、Dさんが言っていた、幻術とか言うのが関係してるの?」
「ええ。幻術に関しては知っていて損はありません。時間がある時にでも教えて差し上げますよ。
特に、あなたの場合は知っていればかなり役に立つものとなるでしょう。
今回のこれは、お試しの幻術体験にもなるでしょうし、あなたであれば、これに理解を得た時、かなりの力になると思いますよ。」
「?」
「ヌフフ……まぁ、今はわからなくても構いません。いずれ言葉の意味がわかりますよ。」
再び意味深な言葉を告げられ、わたしは首を傾げる。さっきから、まるでわたしにも幻術が使えるようになるって言われている気がしてならない。
そんな超人的な力、わたしは持ってないはずなんだけど……。
「……あれ?この道………」
なんてことを考えながら、Dさんにエスコートされるままに歩いていると、辿っている道のりがどこへ向かうためのものかに気づく。
小さく呟くように道を見渡すと、すぐ側で笑い声が聞こえる。
「どこに向かっているかわかりましたか?」
「並盛神社……」
「はい。その通りです。神社なら、何が起こっても不思議なことが起こったと思われるだけですし、仮に迷い込まれたとしても、いろいろ言いくるめて外に追い出せるでしょうからね。」
「いったい何をする気なのジョットさん達……」
「到着してからのお楽しみです。」
到着してからのらお楽しみとはぐらかされながら、並盛神社に向かうための道のりを歩き続ける。
そして、たどり着いた神社へと上がるための階段に足をかけた瞬間、視界が霧に覆われる。
「うわ!?何!?」
「細工をしていると言ったでしょう?これがその細工の正体です。私の能力により、ここら一帯に特殊な幻術をかけてあるのですよ。
まぁ、ほんの少しの神隠し体験とでも思っていてください。実際、よほど幻術に耐性がない限り、本当の目的地には辿り着けません。
真っ直ぐ歩いていたはずなのに、いつのまにか外に追い出されているような状況になるだけです。
ナツキはこちらから招き入れた客人となりますから、ちゃんと目的の場所に辿り着けますよ。
ああ、霧が晴れたら少々姿が変わると思いますが気にしないでください。」
「気にするけど!?」
こちらのツッコミなどスルーして、そのまま並盛神社へと向かうための階段を上がっていくDさんに連れていかれるままに、わたしもその道を歩かされる。
お構いなしか!!と怒鳴りたくなるが、それを口にする前に、階段を上り切ってしまった。
同時に、先程まで視界を覆っていた霧がふわりと晴れ、花火のような音が辺りに響き渡る。
「え……?」
音の方を見るように視線を上にあげれば、夜空に大きく『Buon Compleanno』と言う文字を作る、七色の花火が打ち上がっていた。
沢田 奈月
ジョットからのメッセージカードを受け取り、待っていたらなんかジョットじゃない人が来たんだけどと困惑していた転生者。
ジョットが迎えにくると言っていたため、普段の自分ではなく、前世の……ある意味で本来の彼女でもある自身として対応していた。
出会したらDの意味深な言葉に頭を悩ませる。
D・スペード
幻術を使うことでジョットの姿を取り、奈月に接触したが、すぐに彼女にバレた元初代ファミリー。
前世を持ち合わせている結果、奈月に発生した多重精神を持つようになってしまっていると言う副産物に気づき、術士としての適性を感じ取る。
最初はジョット達に見つかり、かなり表情を歪めていた上、ジョットの子孫の誕生日など……と思っていたが、前世を持っていることや、念のためにと聞いた奈月の人物像を聞き、興味を抱き、同時に、一つの可能性を見出した結果、奈月との接触に至った。