最強の愛され系ボンゴレ♀は、今を全力で楽しみたい   作:時長凜祢@二次創作主力垢

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初代の術士と10代目

 誕生日は控えめで良い……そう告げていたにも関わらず、あまりにも盛大にお祝いされ、まるで夢を見ていたかのような誕生日を迎えてしばらくした頃。

 誕生日が終わってからやけに絡んでくるDさんや、宣言通り訓練を再開したアラウディさん、時折剣技を使う時の動きや、ちょっとした余興に使える剣舞などを教えてくれる雨月さんや、遠距離技術を磨くために度々姿を現すGさん、お昼寝に誘ってくるランポウ君や、対峙している人の懐に入りやすくするための敏捷を鍛えてくれるナックルさん、そして、死ぬ気モードのコントロール訓練をつけてくれるジョットさんと言った初代組の人と過ごしながら、日常に戻った私は、学校に向かうための通学路を歩いていた。

 私の隣にはなぜかDさんがいる。なんか、最近この人としょっちゅう過ごしているような気がするんだけど、気のせいかな?

 

「……なんでいつもいるのDさん。」

 

『暇なんですよ察しなさい。』

 

「暇だからってちょっかい出してくるのやめてほしいんだけど。正直言ってめんどくさいから。」

 

『しょうがないでしょう。今の状態の私を視認することができるのはあなたくらいなのですから。肉体から離れてかなりの時が過ぎ去った霊はかなり暇なんですよ。

 誰とも話すことはできないし干渉することもできやしない。暇過ぎて死にそうだと何度思ったことか。』

 

「いや、アンタ死んでないし暇もしてないだろ。ジョットさんから聞いてるからね?つい最近までどっかの誰かに憑依して彷徨いていたって。」

 

『おのれプリーモ……なぜそれをナツキに話したんだ。』

 

「うっわ、口わっる。本当にアンタ元貴族?」

 

『口悪いのはお互い様でしょう。あなた本当に淑女なんですか?』

 

 悪口の応酬にしか聞こえないだろうが、これは“わたし”とDさんの間に定着してしまったやり取りである。

 ことあるごとにボンゴレは強くなくてはならないだとか、なんかごちゃごちゃ言ってる上、“わたし”に同意を求めてくるものだから、少しばかりうんざりしたのだ。

 まぁ、でも術士としての師にしては申し分ない存在でもある。骸から大雑把にイメージとリアリティと、そのリアリティを信服する自身の気持ちが幻術には必要であるとは聞いているけど、Dさんは、さらに細かいところまで教えてくれるのである。

 例えば、水中の幻術を出すとしたら、水中のイメージと、長く水の中に入っている時に必然的に発生する現象……水があらゆる場所から入り込み、酸素ボンベがなければ息は続かなくなり、水分により衣服は重くなり、髪はゆらゆらと水中に揺蕩う……など、イメージに合った現象を、意識しやすいように口頭で教えてくれる。

 火柱を起こすのであれば……大地が崩れていくならば……大量の波が押し寄せてくるならば……イバラや蔦、ロープなどが絡みつき、身体を締め上げてくるならば……そのイメージに合った現象を教えてくれるおかげで、イメージトレーニングに協力してくれるのである。

 

 しかし、幻術は未だに使えていない。使うために必要な要素が揃っていない……使うために必要な触媒がない……これらの原因のせいで、まだ実用することができないのである。

 だが、Dさんはそれは当然のことだと言っていた。それを使えるようにするには、“わたし”が持ち合わせているDさんにも流れている力を発現させる必要があるからだ。

 そのため、Dさんから課せられている訓練は、幻術を発動させるために必要なイメージとリアリティをしっかりと結びつけ、より強力な幻覚を発動させるための脳内トレーニングと、Dさんが宿しているものと同じ波動……曰く、属性と呼ばれることがある力のコントロールだった。

 

『軽口はここまでにして……私と同じ属性の波動、それのコントロールの首尾はどんな感じですか?』

 

 そのためか、Dさんはいつも私の前に現れて、波動のコントロールの首尾を聞いてくる。

 そして私は、自身の意識を“私”から“わたし”へと切り替えて、ジョットさんに教えてもらった死ぬ気の炎を自ら灯す方法を利用して、その力を発現させる練習をしている。

 

「今のところはこんな感じかな……。」

 

 Dさんの問いかけに応えるようにして、意識……精神の入れ替えを行い、ジョットさんから教えられた死ぬ気の炎の灯し方を使うと、額ではなく片手に熱が集まる。

 それを解放してみれば、私の片手に霧のようなインディゴの炎がゆらめいた。

 

『おや、だいぶ安定するようになりましたね。』

 

「ん。なんとか頑張った、」

 

『ヌフッ……ナツキのその力に貪欲なところは非常に好ましく思います。大きな組織や、その手が届く者達を維持するためには、最低限の力だけでは意味がないですからね。

 あなたには期待しかありませんよ。これならば、私の望みも叶えることができそうです。

 可能であれば、あなたの側で、それを支援する立場に身を置きたいものですね。』

 

 ……なんかDさんの私に対する好感度が上がった気がする……と少しだけ考える。

 あれ?大丈夫かこれ?私、間違った方向に行ってない……?

 

「指を鳴らせば軽い幻術は使えそうだけど、一時的なものにしかならないかな。多分、Dさんが言う術士からしたら、お粗末以外の何者でも無い。」

 

『それは否定できませんね。ですが、術士になるための基盤は徐々に整いつつありますから、焦らなくても問題はありませんよ。

 大丈夫です。ナツキには私がついておりますので、術士としても、ボスとしても、理想的なカタチになるように調節して差し上げますよ。』

 

「調節?調教の間違いだろ。」

 

 Dさんの腹の内に宿っているだろう嫌な……しかし、確かな芯もあり、必要だと思ってる何かしらの感情を感じ取りながらも、呆れの言葉を出すだけに止まる。

 おそらくだけど、深く探りを入れたりしたら、かなり厄介な状況に陥る気がするからね。

 

『調教だなんて人聞きの悪い。私はただ、先達者として経験に基づいたものを教えているだけですよ。

 まぁ、今はそんなのはどうでも良いです。先はまだ長いですからね。じっくりと物事と現実を教えて差し上げますよ。』

 

 そう言ってDさんは自身の手元に大鎌を出現させた。なぜ今武器を出した?と思っていると、彼は大鎌に自身の炎を一瞬纏わせたのち、私の方へと放り投げてきた。

 慌ててそれをキャッチすると、手元に実体化した大鎌が……って……

 

「銃刀法違反─────!!」

 

 ベッと勢いよく投げ捨てれば、大鎌がガシャンッと大きな音を立てて地面に落下する。

 こんなもん持ってるところを人に見られたら間違いなく私は犯罪者になるじゃないか!!

 

『ちょっと!?私の武器を地面に投げ捨てないでくれません!?』

 

「アホか!!人に見られたら銃刀法違反でわたしの方がしょっ引かれるわ!!なんつーもん渡してきてんだひっつき虫!!」

 

『ひっつき虫ってなんですかひっつき虫って!!一応私はあなたの師なのですが!?』

 

 ギャース!!と言わんばかりの勢いで怒鳴りつければ、Dさんから言い返される。

 側から見たら何もないところを怒鳴りつける私がただの不審者になるが、今いる場所はそこまで人が多く通らない場所で、こちらの様子を見るものなど1人もいないのである。

 

『全く……触媒に使えると思ったから渡したと言うのになんですかこの仕打ちは。』

 

「触媒ぃ?」

 

『ええ。プリーモから聞きませんでした?死ぬ気の炎は手持ちにある武器などにも灯せる話を。』

 

「あー……確かに聞いた。ジョットさんやGさん、アラウディさんが自身の武器に灯してるのも見せてもらったよ。

 まぁ、ジョットさんの場合、あれって武器って言って良いのかわからないけど。」

 

『言わんとしてることはわからなくもないですが、素手も工夫すれば立派な武器になりますよ。』

 

 少しだけ互いに怒鳴り合ったのち、落ち着きを取り戻した私は、Dさんが武器を渡してきた理由を聞く。

 どうやら彼は、“わたし”としての精神状態の時に使えるインディゴの炎を如何に効率よく使用し、確かな戦力として昇華させるかを考えていたようだ。

 それにより出てきたのが、インディゴの死ぬ気の炎を纏わせるための触媒となる武器を持たせることだったらしい。

 そう言えば、骸も言ってたっけ。私が術士として力を行使するには、触媒となるものと練習が必要だって。

 

『長物ならば触媒にうってつけです。炎を纏わせた部分を地面に触れさせることができれば、その場ですぐに幻術を展開できますからね。

 それに、長物は慣れたら使い勝手もいいですよ。なぜなら長い分リーチが長くなり、懐に深く入り込まなくても攻撃を放つことができますし、それなりにメリットがあります。

 ですが、隠す方法がなければ目立つ、慣れるまでに時間がかかる。と言うデメリットもあります。』

 

「………なるほどね。」

 

 Dさんと言葉を交わしながら、先程投げ捨てた大鎌を拾い上げる。

 現在私の武器は、恭弥さんからもらったトンファーと、自身の素手による戦闘のみ。

 一応、リボーンから銃の扱いを教えてもらったり、Gさんからアーチェリーの使い方を教えてもらってはいるけど、それは持ち歩ける物ではないため、使うことはない。

 とは言え、近距離と遠距離は身につけつつある。だから、それだけで問題ないと思っていたけど……。

 

「幻術と大鎌か……。」

 

『おや?ヌフフフフ……どうやら、興味があるようですね。』

 

「いや、興味があるって言うか、近距離は素手とトンファー、遠距離は銃を基にした攻撃を……って考えていたんだけど、中距離の攻撃手段、そういやないなって思ってさ。

 一応、トンファーに仕込まれてる物の中には中距離に適したものもあるけど、それは小手調べ程度にしか使えないって言うか……。」

 

『そのトンファー、いったいどうなってるんです?仕込みってなんですか仕込みって。』

 

「風紀委員長お気に入りの武器ですが何か?興味を示したら同じ物をくれたから使わせてもらってるんだよ。おかげで風紀委員会に参加させられたけど。」

 

 Dさんと話しながら、大鎌をマジマジと見る。

 うわ、この大鎌、持ち手の先にも刃物ついてる。棒術を使えたら、それなりに使い勝手は良さそうだけど、やっぱりでかいと言うか、持ち運びは不可能だな。

 

「せめて折り畳めて身につけることができれば、長物武器も悪くないんだけどね……。」

 

 そう言って武器をDさんに投げ渡せば、Dさんは私から投げ渡されたそれを軽々と受け取り、同時に実体化……有幻覚を解除してその場から大鎌を消す。

 まぁ、私には視えているんだけどさ。

 

『折り畳み式の長物武器ですか……。確かにそれは考える価値がありそうですね。』

 

「乗り気になるな。」

 

 呆れながらツッコミを入れ、学校までの道のりを歩く。

 後日、素晴らしい笑顔で堂々と武器を持ってくるDさんが現れるとは思わずに。

 

 

 ───── 一週間後…… ─────

 

「どうぞ、ナツキ。お受け取りください。」

 

「…………マジでやりやがったこの術士。」

 

 一週間程経った頃。“夜に並盛神社までお越しください。”と言う匿名のメッセージカードが届いた。

 ……と言っても、カードにスペードのマークが記されており、さらにはインディゴの炎が灯っていたせいで誰からのメッセージかすぐにわかったけどね。

 んで、嫌な予感がして行かない方がいいかもって思っていたのに、気づいたら並盛神社にいるってどう言うこと?

 

「ちょっとDさん。わたしに何か仕掛けたよね?何したわけ?」

 

「何と言われましても……まぁ、確かに少しばかりカードに細工はしておりましたが、それだけですよ?」

 

「その細工、絶対何か操作するようなタチの悪いやつだろ……!!」

 

「ヌフフフフ……さぁ?どうでしょうね?」

 

 笑い声を漏らしながらそい言ってくるDさんに思わず拳が飛んだのは仕方ない。

 でもこいつ、普通に軽々と受け止めやがったんだけど!!

 

「殴られろそこは!!」

 

「嫌ですよ。痛いじゃいないですか。私に被虐趣味なんてありませんよ?あなたのような方をいじり倒すのは楽しそうですが。」

 

「うっわうざ!!マジでうざい!!」

 

「随分と口が悪いですね。」

 

「誰のせいで口悪くなってると思ってんだ!!」

 

「Gに影響されるのはよくないですよ?」

 

『オレになすりつけんじゃねー!!』

 

 あれ?なんかGさんの声がすぐ横から……

 

「うわ!?え!?いたの!?」

 

『やっぱ気づいてなかったか。お前、Dの野郎から軽くマインドコントロール食らわされてたぜ?

 急いで追いかけて声をかけても反応しなかったし、ビビったぞ。』

 

「イテッ……うう……何?わたしそんなものにかかってたの?」

 

「チッ……余計な種明かししないでもらえません?」

 

『テメェの行いが悪ぃからだろーが!!』

 

 Gさんにこづかれながら、頭を抱える。なんでマインドコントロールなんてされたわけ?

 え?何か引き金になるようなものに触った?いや、触ったのはスペードのメッセージカード………んん?

 

「メッセージカードなら、別にスペードを選択する必要はない……。最初は自己主張のためかと思ったけど、それなら炎だけでもこと足りるはず……まさか……スペードマークを見つめるのが発動条件……!?」

 

「ええ。本来なら、私の右目に浮かぶスペードを見つめるのが条件ですが、少しだけそれを応用して、カードに細工させていただきました。」

 

「このやろ……!!」

 

 苛立ちを込めてDさんを睨みつければ、彼は小さく笑い声を漏らし、手にしていた物を投げ渡してきた。

 反射的に受け取れば、それはなんの変哲もない棒のようなものだった。

 それなりに重量があるそれを、なんだこれ?と少しだけ見つめていると、目の前にいたDさんが私が手に取ったそれに手を伸ばし、持ち手となる部分にあるスイッチのようなものを軽く押し込んだ。

 その瞬間、手元にあった棒が勢い良く伸び、Dさんが扱う大鎌と全く同じものへと変化する。

 

「おわぁ!?」

 

 驚いてそれから手を離せば、おっと、と言う言葉と共にDさんがすかさずキャッチする。

 

「な、なんなのこれ!?」

 

「何って見ての通り私が使ってる大鎌と同じものですが?まぁ、こちらは少々改良して、スイッチ一つで折り畳むことも伸ばすこともできますがね。」

 

「はぁ!?」

 

「他の武器を持たせようにも、私はこの武器を主に使っているので、教えることができないんですよね……と。」

 

 Dさんが軽く自身の大鎌にインディゴの炎を灯し、それを静かに振り下ろすと、わたしのすぐ隣にいたGさんがそれに包まれる。

 その炎が一瞬にしてGさんを通り抜けると、彼の姿が実体化していた。

 

「霊体の姿があまりにも鬱陶しかったもので。」

 

「鬱陶しいっつー理由だけで急に炎ぶっ放してくんじゃねー!!」

 

「実体化するための手助けをしてあげただけですが?」

 

「テメェ……!!」

 

 一触即発の状況に、思わず困惑する。なんか、わたしのこと視界から外れてないかなこれ?

 

「さて、ナツキ。こちらはあなた用に急遽作らせたものです。長く活動していれば、そう言った人脈はたくさん持てますからね。

 その人脈を利用すればこの通り。ちなみに、これは死ぬ気の炎を纏わせることができる物ですので、どうぞ活用してください。」

 

「………。」

 

 差し出された大鎌を見つめ、少しだけ無言になる。正直言って、あまり受け取りたくないわけだが、せっかく用意してくれた物を受け取らないと言うのもどうなのか……。

 

「ナツキ。無理して受け取る必要はねーぞ。いらねーならいらねーで突き返しちまえ。」

 

「うーん……まぁ、それはわたしも考えたんだけど、スキルがあるに越したことはないと言うか……。」

 

「お前な……。まぁ、確かに今はDの野郎に怪しい動きはねーが、あまりこいつから与えられるもんは受け取らねー方がいいぜ?何を考えてんのかわかりゃしねー……。」

 

 Gさんと一緒に考え込む。受け取らない方がいいとのことらしいけど……急遽作ってくれた……と言うか、作らされた人の苦労や、それ相応の出費が発生しているとしたら、いらないなんて言えないよな……。

 

「………ハァ……。」

 

「ヌフフフ……あなたならそちらを選ぶと思いましたよ。人の労働に何倍も理解を示しているのであれば、例え不満が強くとも受け取るのがナツキですからね。」

 

「D……テメェ……それをわかった上で黙って用意しやがったな?」

 

「当たり前じゃないですか。すでに用意された物は決して無碍にしない……この数日間である程度彼女がどのような人間が把握できたので、それを利用しなくてどうすると言うのか……。」

 

「チッ……。」

 

 Gさんが舌打ちをしながら赤い炎により姿を隠し、その場から立ち去る。

 

「赤い死ぬ気の炎……Dさんのインディゴの炎により付与された効果を分解してるような……?」

 

「よくわかりましたね。私やプリーモ達、そしてあなたにも流れている波動……属性は、それぞれ特殊な効果を持ち合わせています。これに関しては、理解を深めた方がより扱いやすくなるものですので今度教えてあげますよ。」

 

「……それ、受講した方がいいわけ?」

 

「その方が誰よりも有利に状況の主導権を握ることができますからね。

 まぁ、今はそちらより、あなたの術士としての技術の向上を優先しましょう。

 これから先、術士とぶつからないとも限りませんからね。」

 

「術士にぶつかった時、術士としての技術を持ち合わせていたらそれを何とかできるみたいな口振り……」

 

「ええ。できますよ。幻術を幻術で返すことは、その場の知覚、主導権を自身のものにすることを意味します。

 つまり、強力な幻術を強力な幻術で飲み込み、自身に支配権を移すと言うことは、物事や戦況を有利に運ぶための必須技能です。

 純粋な霧……術士と言うわけではないので、私の幻術を返せるようになるのは何十年もの修練が必要になると思いますが、よほどの術士でなければあなたの足元にも及ばないくらいには、実力を伸ばせます。私が伸ばしてみせます。」

 

 “物は試し。少しだけ幻術を使ってみては?”と言ってくるDさんの言葉を聞き、自身の精神主導権を、“私”から“わたし”へと切り替える。

 そして、自力で死ぬ気モードへと移行する方法を利用して、大鎌を持っている手に死ぬ気の炎を流し、柄の先にある刃へと纏わせたわたしは、地面にその先を勢いよく叩きつける。

 その瞬間、辺りの景色は一変し、まるで並盛神社が地面ごと崩れていくような、そんなものへと変化した。

 

「え゛?」

 

「これはこれは……想像以上に術士としての適性を持ち合わせていたようですね、ナツキ?」

 

 まさかの事態に固まっていると、Dさんが感心したように言葉を紡ぎ、手元にある大鎌の刃に炎を灯して宙を叩く。

 すると、崩れていく景色は元の並盛神社へと戻っており、わたしはポカンと口を開けた。

 

「ヌフフフ……初めて幻術を使ってみた気分はどうですか?」

 

「…………。」

 

「……まるで信じられないと言わんばかりの表情ですね。ですが、これがあなたの才能の一つですよ。

 なかなか育て甲斐のありそうな10代目だったようで、大変満足しています。これからが楽しみですね?」

 

 笑いながらそう言ってくるDさんの言葉を聞き流しながら、わたしはひたすら困惑した。

 ……どうしてこうなった?

 

 

 




 沢田 奈月
 ぽろっと漏らした長物武器を持たない理由をさっさとクリアして折り畳み式の大鎌を持ってきたDから渋々それを受け取り、試しに術士として力を行使するように言われて、幻術を使ってみたらとんでもないことになった転生者な10代目。
 サラッとDからマインドコントロールをされてしまった。

 D・スペード
 奈月に長物武器を進め、ちゃっかり改良した自身の大鎌と同じ物を手渡した元初代ファミリー。
 触媒ありきとは言え、あっさりと高レベルの幻術を使ってみせた奈月を素晴らしい!と内心で褒めながら、これからの指導を楽しみにしている。
 サラッと奈月にマインドコントロールをかけたら意外と通用したので、これまたいい意味で想定外の彼女を姿にほくそ笑む。

 G
 奈月が軽度とは言え、Dのマインドコントロールにかかってるのを見て慌てて彼女を追いかけた初代ファミリー。
 Dの危険性を理解しているため、奈月はなんとか守らねーと……!と決意する。
 もちろん、この後ジョット達にめちゃくちゃ報告した。

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