最強の愛され系ボンゴレ♀は、今を全力で楽しみたい   作:時長凜祢@二次創作主力垢

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新たな出会い

 Dさんから手渡された大鎌を使い、幻術の精度を上げる訓練、および大鎌を使った戦闘訓練がさらに追加されながら、日常生活を送っていた私は、この日、新たな出会いに見舞われる。

 

 それは、何気ない通学路。そこをのんびりとジョットさんと歩いている時のこと。

 私の通学路の途中には、道を歩く人に向かって、結構吠えまくるワンちゃんがいる家があった。

 今日もそこのワンちゃんは、私が歩いている道に向かって賑やかにワンワン吠えている。

 

「相変わらずここのワンちゃん吠えまくるな……」

 

『自身の縄張りを守るためだろうな。だが、それ以外にも何かありそうだな。』

 

「何か?」

 

『ああ。例えばだが……』

 

 ジョットさんがそこまで言った瞬間、何かが開く音が聞こえる。すぐに視線を音の方へと向けてみれば、ワンちゃんと道路を隔てていたはずの柵が開いており、それにより生まれた隙間から、そのワンちゃんは道路へと足を踏み出した。

 

「いや、危ないな。なんで閉まってなかったの。」

 

『だな……。不用心にも程がある。』

 

 その様子に呆れながら、道路の方へと出てしまったワンちゃんに目を向ける。

 ワンちゃんは私をじっと見つめながら、しばらく動きを止めたのち、尻尾を振りながら近寄ってきた。

 

「あ、ちょ、こら!!」

 

 近寄ってきたワンちゃんはそれなりの大きさがあり、体重もそこそこ重かった。

 そんな子に飛びつかれてしまった私は、抵抗虚しく地面に尻餅をついてしまう。

 その瞬間ワンちゃんは甘えるような声を出しながら、私の方にじゃれつき始めた。

 

「ちょ、わぶ!?顔を……ん……っ……舐めるなって!!」

 

『フッ……完全にじゃれつかれてるな。』

 

『おーおー……血は争えねーな。』

 

「笑い事じゃない!!ていうかGさんどっから湧いてきたの!?」

 

『湧いてきたって言い方は流石にひでーって。』

 

 何度か顔を舐められてしまったため、片手をワンちゃんの顔と自身の顔の間に挟むよう添え、なんとかぺろぺろ攻撃を止める。

 しかし、ワンちゃんは一向にこっちの上から退く気がないのか、甘えた声を出しながら撫でろと頭を押し付けて催促してきたり、間にある私の手を舐めたりとじゃれつくのをやめない。

 

「ちょっと!!学校に行けないから退いてよワンちゃん!!」

 

「くーん……」

 

「いや、くーんじゃなくて!!もう!!」

 

 なんとかワンちゃんの下から抜け出した私は、未だにこちらに寄ってくるワンちゃんを真っ直ぐと見据えながら、口を開く。

 

「お座り!」

 

「ワンッ!」

 

「お手!」

 

「ワンッ!」

 

「おかわり!」

 

「ワンッ!」

 

「ハウス!!」

 

「くーん……」

 

「そこは従って!?」

 

 綺麗にハウスだけやらなかったワンちゃんにツッコミを入れ、ため息を吐く。

 なんなんだこの子。綺麗にハウスをスルーすんじゃない。

 

『グッ……あははははははは!!』

 

『おまっ……ジョット……!!爆笑すん……だははははははは!』

 

「笑うな!!」

 

『痛い!?』

 

『いってぇ!!』

 

『ンッ……ヌハハハハハハ!!ざまぁないですねプリーモ!G!もっとやってもいいですよ、ナツキ!』

 

「うわ、ひっつき虫まで湧いてきた。」

 

『ちょっと!?』

 

 次々と湧いてきた初代組に対し、呆れと苛立ちから素の自分が顔を出す。

 側から見たら爆笑物だけどこっちからするとそうじゃないからね?

 ていうか、最近初代組がやけにわちゃわちゃし始めたな。全員揃ったからか?

 賑やかなのは嫌いじゃないけどさ……。

 

 そんなことを思いながら、私は小さく溜息を吐く。そして、腰に下げていたDさんから渡された大鎌になる道具を取り出して、すぐに柄になる部分にあるスイッチを押した。

 同時に精神を“私”から“わたし”のものへと入れ替えて、さらに並行してインディゴの炎を柄にある刃へと流し込む。

 そして地面に軽くその先を触れさせ、自身と重なるようにして、自分の姿を幻術で出現させ、その分身をワンちゃんがいた家の方へと移動させれば、そっちに誘導されたワンちゃんが尻尾を振りながら自宅の柵の内側へと入り込んだ。

 それを確認した私は、幻術にまぎれてその柵へと近寄り、手早く閉めて鍵をかけ、幻術を静かに解く。

 

「!?ワンワンワンワンッ!!」

 

「悪いね。わたしには学校があるから長く遊んでられないの。ってなわけでバイバーイ。」

 

 大鎌を素早く折り畳み、制服のスカートに装着していた武器用のベルトへと納めながら、ワンちゃんがいた家からさっさと離れる。

 背後からめちゃくちゃ名残惜しげな鳴き声が聞こえてくるけど、遊んでる暇はないんだから仕方ない。

 

『……ナツキ?いつのまにそこまで幻術が使えるようになったんだ?』

 

『プリーモがいない間に私が仕込んでおきました。素晴らしい線を行ってますよ彼女。』

 

『幻術教えるついでに妙なこと教えてねーだろうな?』

 

『おやおや……随分と過剰に反応しますね?私はただナツキに幻術の訓練と大鎌を使った戦闘しか教えていませんよ?今のところはですが。』

 

『この……!!』

 

『やめろ、G。言いたいことはわかるが、今ここで何をやっても意味はない。行動を取るなら、兆しを見せた時だ。』

 

『チッ……』

 

『フン……』

 

 ……うーん仲が悪い。仲違いと言うか、考えの食い違いから離れたあと、一悶着あったんだろうな。

 なんて、初代組の関係を分析しながら歩く。しかし、不意に感じた視線に気づき、すぐにその方角に目を向けてみると、そこには1人の女の子と思わしき小さな子供が塀の上に立っていた。

 

「……どうしたの?」

 

「─────!!」

 

「………うん?」

 

 何の用かと思い、その女の子に声をかけてみれば、女の子は何かを口にする。

 しかし、明らかに言語が日本とは違うものだったため、女の子が何を言ってるかわからず、思わず私は首を傾げる。

 

『“女の子の悲鳴が聞こえたから助けようと思ったんだけど、大丈夫だったの?”と言っていますよ。』

 

「!!?」

 

『おや。』

 

 そんな中、背後にいつのまにか近寄ってきていたDさんが、耳元で言葉を発したため、肩をビクッと震わせてしまう。

 私がそんな反応をしたからか、Dさんは一瞬驚いたような表情を見せたあと、小さく笑い声を漏らす。

 

『もしや、耳が弱いとか?』

 

「っ〜〜〜〜!!」

 

『ヌハハハ!!なるほどなるほど。ナツキはどうやら耳が少々敏感なようですね。面白い事実を知ることができました。』

 

『『うっわ……』』

 

『そこの2人。あからさまに引かないでもらえませんかね?』

 

 Dさんのイタズラに赤面と涙目になりかけながらもなんとか堪え、私は目の前にいる女の子に向き直る。

 

「……大丈夫だよ。心配してくれてありがとう。」

 

「!」

 

 小さく笑いかけながら、感謝の言葉を述べれば、女の子は顰めっ面を見せたのち、私に頭を下げて走り去る。

 それを見送りながら何度か瞬きをしたあと、私はすぐ側にいたDさんの鳩尾に肘鉄をお見舞いする。

 

『ヌハッ!!?』

 

『ングッ……!!』

 

『ハッ!ザマァねーな。』

 

 ノーモーションの肘鉄は、流石にDさんも予想外だったようで、並盛神社で殴りかかった時とは違ってクリティカルヒットしたらしい。

 その場で蹲るDさんを見て、ジョットさんは笑いそうになり、GさんはニヤニヤとDさんを見下ろしている。

 

「金的よりはマシでしょ。」

 

『平然と男の急所を狙う発言しないでもらえます!?』

 

「え?食らいたい?しょうがないなぁ……」

 

『やめなさい!!誰が好んでそれを受けるんですか!!』

 

 鳩尾を押さえながら、同時に男の尊厳を守ろうとする姿を見せたDさん。

 そんな彼を見つめ、フンッと一つ鼻を鳴らした私は、再び学校へと向かうための通学路を歩き始める。

 

「そう言えば、あの子の言葉って何語だったんだろ……?」

 

 不意に、先程の女の子の言語に対しての疑問が脳裏を過ぎる。

 あの言語はいったい何語だったのか……。なんとなく、中国とか……あっち方面の言葉な気もするけど……。

 

『あれは中国の方の言語だな。』

 

『だな。多分、あっちの方の殺し屋かなんかだろ。』

 

「なるほど……」

 

 殺し屋と言う物騒な言葉はあえてスルーしながら、先程の女の子の言語がどこのものかインプットする。

 なんと言うか、これから先も関わりがありそうだから、一応理解は深めた方が良さそうとだしね。

 

「……ねぇ、ジョットさん。Gさん。この際Dさんでもいいから、中国語や他の国の言語を教えてくれないかな?

 イタリア語はランポウ君に教えてもらってるんだけど、なんか、それ以外の言語も必要な気がしてきた。

 マフィアのボスになるにせよならないにせよ、別の国の言語を身につけることができれば、これから先いろんな場面で活用できそうだし。」

 

『ではその役割は私が……』

 

『んじゃ、オレが教えてやるよ。遠距離の武器って練習できそうな場所が少ないせいで、やることがほとんどねーだろ?だったら、別の方面のスキルを教えるまでだ。

 ジョットや他の連中みたいに、たくさん教えることができなかったし、暇だったしな。』

 

「じゃあ、Gさんに教えてもらおっと。」

 

『おう。いいぜ。ついでにランポウも付き合わせるか。あいつ、基本的に昼寝してやがるし、暇してんだろ。ジョットもそれで構わないな?』

 

『ああ。ナツキにしっかり言葉を教えてあげてくれ。』

 

『了解。』

 

 結果、Gさんが新たに私の言語学習の教師に抜擢されることになった。

 別にリボーンに教えてもらってもよかったんだけど、逆に彼が知らないうちに身につけて驚かしてやりたいと言う感情もあった。

 まぁ、リボーンは私に秘密の友人がいることを知ってるから、そいつらに教えてもらったのか?って逆に聞かれそうな気もするけどね。

 

『私が先に名乗り出たはずですが!?』

 

『あ?そうだったか?ジョット。』

 

『……どうだったかな。』

 

『プリーモ!その間は聞いていた証拠でしょう!?惚けないでもらえます!?』

 

『ナツキ。学校に向かうのだろう?急いだ方がいいんじゃないか?』

 

「ん。そうする。」

 

『話を聞きなさい!』

 

 Dさんが吠える中、ジョットさんに促されるままに学校へと向かう道を軽く走る。

 ……Gさんがさっきの子を殺し屋と称していたけど、リボーンは知ってるのかな?

 確か、ビアンキ姉さんが来日した時、その情報を入手していたけど。

 あ、嫌な予感がする。また虫語マスターリボーンになってるかもしれないな……。

 

 

 *:・゚*.+ ❀ *:・゚*.+ *:・゚*.+ ❀ *:・゚*.+ *:・゚*.+ ❀

 

 

 授業が終わり、自宅へと帰宅した私は、朝から感じていた嫌な予感を胸に秘めながら、自室へと向かう階段を上る。

 なんと言うか、絶対リボーンがまた変なことになってる。変なことってよりは、それなりにキモいことになっている。

 なぜか私の勘がそう叫んでいるのだ。心して自室に入れと響かせるように。

 そんな警告を聞いていたら、自室に入りたくても入れない。スクールバッグを置きたいんだけど。

 

『ナツキ?先程から自室近くの廊下にずっと立っていますが、どうかなさいましたか?』

 

「……なんと言うか、部屋に入ったらSAN値がちょっと減りそうで。」

 

『お前、いつのまにクトゥルフの探索者になったんだ?』

 

「なんでクトゥルフ知ってんのGさん。」

 

『お前の学校でその話してる生徒がいたんだよ。』

 

「誰だクトゥルフしてる生徒。」

 

 初代組と小さな声で話しながらも、私は重い足取りで自室の扉へと手にかける。

 絶対リボーンの状態がやばいとわかってるから、ものすごく入りたくないけど、渋々扉を開け放つ。

 

「お。帰ったな、ナツ。」

 

『『『「うっわ……。」』』』

 

 その瞬間視界に入り込んだのは大量のトンボが顔に止まってるリボーンの姿だった。

 予想通り気持ち悪い状態だったせいで、少しだけSAN値が減る気配を感じる。

 なんでまた虫にたかられてんのこの赤ん坊……キモ……。

 ジョットさん達までドン引きしてるし、相当だぞこれ。

 

「おい、本気でドン引きすんなナツ。今でこそ赤ん坊の見た目になってるがこうなる前はイケイケのイタリア男だったんだぞ。女にそんな目を向けられたら流石に傷つくぞ。」

 

「だったらさっさとそのトンボ外に逃してくれない?生き物は嫌いじゃないけど、大量に顔にたかられてるその状態は流石にキモい。」

 

 ドン引きしながらトンボをなんとかしろと伝えれば、リボーンはすぐにトンボを窓の外に逃した。

 それを見てようやく気分が楽になった私は、スクールバッグを机の上に置く。

 

「さっきのは情報を収集してくれる秋の子分達だ。」

 

「なんで虫を子分にすることができるのか疑問なんだけど。まぁ、どうでもいいか。何か気になる情報でもあったわけ?」

 

「ああ。情報によると、この町にイーピンが来てるらしいな。」

 

「イーピン?」

 

「人間爆弾と言われる香港の殺し屋だぞ。」

 

「香港……。」

 

 リボーンの言葉に、今朝見かけた中国語を話す女の子の姿を思い描く。

 なるほど。やっぱりあの子は殺し屋だったのか。Gさんが言ってたから知ってたけど、正直、あんなに小さな女の子が殺し屋であることを信じがたかったから驚いた。

 まぁ、目の前にいるリボーンも赤ん坊でありながら殺し屋だけど、彼の場合は、何らかの原因により子供化してしまった大人だと思っていたから特に気にしてなかったんだよね。

 それに比べてイーピンと言う子は、明らかに身も中身も子供のものだと言う印象を抱いていたから、かなりびっくりだ。

 

「殺し屋ってことは、日本にターゲットがいるってことか。」

 

「そうなるな。」

 

「平和だと思っていたけど、意外にも裏の世界は広いってことかな。」

 

「意外といるもんだぞ。裏の世界の住人って奴はな。」

 

 知りたくなかった事実だよと一瞬言いかけたが何とか飲み込み、短く相槌だけを打つ。

 まぁ、潜伏してる裏の人間がうちにはかなり集まってるし、私も結果的にその1人になってるしで今更感があるか。

 そんなことを思いながら、明日の準備を済ませて宿題を開く。

 

 翌日、まさかの勘違いに見舞われてしまい、今日出会した女の子に襲われることになるとは思わずに。

 

 

 




 沢田 奈月
 幻術の精度が徐々に上がっている10代目候補。
 Dの教えの賜物か、死ぬ気の炎の変更に必要な精神の入れ替えがかなりスムーズにできるようになっている上、精神の入れ替えと同時に武器の展開、炎の点火、幻術の発動を行えるようになっている。
 幻術を多重に重ねる方法も少しずつ学ばされており、すでに術士としての能力値は高めになっている。
 大鎌の扱いは筋力の関係でまちまちだが、使えるようになりつつはある。

 ジョット
 奈月を中心にかつての友人達が集まってわちゃわちゃするので結構楽しい初代ボンゴレ。
 奈月を気に入ったDもしょっちゅう顔を出しては奈月とふざけたり、初代組に紛れて騒ぐので、ちょっと嬉しい。
 が、やはりDを危険人物と認識してはいるので、奈月に悪影響を与えそうな兆しが見えたら容赦無く対応するつもりでいる。

 G
 奈月マインドコントロール事件のせいで奈月に過保護になっている初代の嵐。
 少しでもDが奈月にちょっかいを出そうとしたり、悪い方向へと誘おうとしたらどこからともなくすっ飛んでくる。
 ジョットと奈月だけだったら割とふざけて遊ぶことがあるのだが、他のファミリーがいたら、いつもの右腕モードに戻る。

 D・スペード
 奈月の評価をぐんぐん上げている元初代の霧。奈月にちょっかいを出したら、ジョットやGが過剰に反応してくるが、そんな2人とは反対に自身を頼ったり、自身が教えたことをしっかり実行する奈月の様子に悦を感じている。
 奈月とは割と言い争いをする姿を見せるが、仲は悪くないし、D自体も悪いとは思ってないし、そのやりとりが一つのコミュニケーションと化している。
 耳が弱い奈月を見て、面白いおもちゃを見つけたと上機嫌。

 リボーン
 奈月に全力で引かれてしまいかなり傷ついたヒットマン。しかし、すぐに頭を切り替えては、トンボから得た情報を奈月に教えた。
 実はトンボ達から奈月の話もこっそり聞いているのだが、彼女が幻術を扱えることや、初代組のことは知らない。
 ただ、たまに1人で戦闘訓練を行ってる様子がある話は聞いており、いつのまにそんなものやるようになったんだ……と遠く目をした。
 (なお、彼女は1人で訓練してるわけではなく、アラウディに稽古をつけられていたことは知らない)

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