最強の愛され系ボンゴレ♀は、今を全力で楽しみたい   作:時長凜祢@二次創作主力垢

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イーピンの勘違い

 イーピンと言う殺し屋の話を聞いた翌日。

 特に何事もなく学校に向かい、一日の授業を終わらせていき、時間帯は放課後。

 私の周りをたまに彷徨いている初代組を言葉ではなく態度と目線だけで相手にしながら、今は学校の掃除中である。

 男子が箒を使ってチャンバラやらギターの真似事やらをしてるのを風紀委員会に入ってると言う自身の利点を利用しながら、注意しつつ掃除をこなしていると、肩を軽く叩かれる。

 視線を動かしてみれば、そこにはGさんがいて、私のことを見つめていた。

 

『あそこを見てみろ。昨日の殺し屋がいる。』

 

「?」

 

 視線だけでどうしたのか問いかけてみれば、彼は昨日の女の子がいると言って、背後を親指で示すGさん。

 その指が指す方向へと目を向けてみれば、確かにそこには昨日の女の子が京ちゃんと花の側にいた。

 

「やっぱり!昨日サイフ落とした時の!昨日は落としたお金を拾うの手伝ってくれてありがとうございました!」

 

「変なカッコ……どこの子?」

 

 遠巻きに様子を見ていると、女の子……香港の殺し屋、人間爆弾と称されたイーピンに、京ちゃんが感謝を述べていることがわかった。

 どうやら京ちゃんがサイフを落とした時、一緒に落としたお金を拾ってもらったらしい。

 ……人助けでも生きがいにしてるのだろうか?そんなことを考えながら、イーピンの様子を眺める。

 京ちゃんから感謝を述べられたイーピンは、昨日見せたように、表情に顰めっ面を浮かべながら、京ちゃんに頭を下げる。

 そのあと、くるっとこっちを向いたかと思えば、何やら写真を取り出して私とそれを見比べては、こちらの方に走り寄ってきた。

 なんだ?と思いながらイーピンを眺めていると、彼女は指を上に何度か向けて、その場を立ち去る。

 まるで、上まで上がってこいと言われた気分だ。

 

『……あれ、勘違いされてません?』

 

『間違いなく勘違いされてんな。』

 

『まさか、ターゲットとナツキを間違えたのか……?』

 

『それ、殺し屋としてかなり致命的じゃない?』

 

「……(どっから湧いてきたアラウディさん。)」

 

 イーピンが去って行った方角を眺めながら、困惑していると、ワラワラと集まってきた初代組4人。

 ジョットさん、Gさん、Dさんの3人は登校時から一緒にいたし、授業を受けているときも授業参観よろしく背後でこっちを見つめていたり、Dさんに至っては授業を受けてる私のすぐ横に来ては私にだけ幻術をかけて集中を乱してきたりと散々なことをしてきたからわかるけど、アラウディさんはいつやってきたんだ。

 

「あの子もなっちゃんの知り合い?」

 

「前の牛の子と言い、ナツは随分と変わったガキに懐かれてるわね。」

 

 突然のアラウディさんに対して内心でツッコミを入れていると、京ちゃんと花が話しかけてくる。

 どうやら、イーピンと知り合いだと思われたようだ。まぁ、私を見つけるなり走り寄ってきたから、この勘違いは仕方ない。

 

「いいや?特に知り合いじゃないよ。昨日朝にチラッと見かけて挨拶した程度で、仲良しってわけじゃない。」

 

「そうだったの?」

 

「じゃあ、なんでナツに駆け寄ったのかしら、あの子。」

 

「さぁ?まぁ、ちょっと様子を見てくるよ。何か言いたいことがあるのかもしれないし。」

 

「そうしな。」

 

「迷子だったら大変だしね。」

 

 迷子じゃないんだけどなー……と京ちゃんの発言に苦笑いをこぼしそうになる。

 でも、それは表に出さないようにして、手にしていた箒をなっちゃんに渡す。

 

「先生には、風紀委員の仕事が急遽入ったって伝えといて。そうすれば大抵は黙り込むしね。」

 

「うん!伝えておくね。」

 

「ナツ……アンタだいぶ風紀委員会を盾に使うようになったわね……。」

 

「利用できるものは利用しないとだよ。まぁ、今回は明らかに学校の関係者じゃない子が入り込んだわけだし、十分風紀委員会の仕事足り得るから利用するんだけどさ。」

 

 京ちゃんと花にそう伝えて、私はイーピンが指差した場所へと向かうために移動する。

 上って指差していたから、間違いなく行き先は屋上だな。

 

 

 *:・゚*.+ ❀ *:・゚*.+ *:・゚*.+ ❀ *:・゚*.+ *:・゚*.+ ❀

 

 

 程なくしてたどり着いた屋上。そこに出るための扉に手をかけ、外に足を一歩踏み出してみれば、屋上の中央辺りにイーピンが立っていた。

 それを確認した私は、すぐに彼女の近くへと足をすすめる。すると、イーピンは私の気配に気がついたようで、こっちの方に振り向いた。

 

「……さて、わずかに殺気を漏らしながら、私を呼び出してくれたわけだけど……何の用かな、小さな殺し屋さん?」

 

「!!?」

 

 いつもの調子で話しながら、イーピンに君の正体は知ってるよとハッキリ伝える。

 すると彼女は隠していた殺気を見抜かれた上、自身の職業を言い当てられたからか、一瞬の動揺をこちらに見せる。

 その姿を見つめながら、私は腰のベルトに刺している変形大鎌……ではなく、仕込みトンファーに手を添えた。

 本当は、幻術を使って小手調を……と思っていたんだけど、どうもリボーンの気配がするからね。

 流石に彼がいては、幻術を堂々と使うわけにはいかない。

 なんせリボーンに黙って習得してるものだからね。練習も彼の気配がない時にしか行ってないし、この状況では使いたくとも使えない。

 

『……あの赤ん坊がいるから幻術は使えないようだな。』

 

『余計な邪魔が入ったものです。対人戦を行う時のいい幻術訓練になると思ったのですがね。』

 

 背後の方でものすごく残念そうな様子を見せているDさんと、リボーンの気配に気づいているジョットさんの会話を聞きながら、私はイーピンと向き直る。

 私に殺し屋であることを指摘されたことにより動揺を見せていたイーピンは少しだけ固まっていたが、すぐになんらかの構えを取り、私を真っ直ぐと見据えてきた。

 

「─────!!─────!!」

 

「?」

 

『“昨日は暗殺すべきターゲットとは知らずに手を差し伸べてしまったが、今日はお前を殺す”……そう言ってるけど、何かしたわけ?』

 

「ひえ!?」

 

『…………何?』

 

「っ〜〜〜〜!!」

 

『?……ああ、なるほど。耳が弱いんだ。』

 

 中国の方の言葉で何かしら訴えるように話しかけてきたが、理解できず首を傾げていると、背後からアラウディさんに話しかけられる。

 ちょうどその声が耳元で聞こえ、話すたびにかかる息に体がビクッと反応してしまい、私は顔を赤くした。

 ちょっとアラウディさん!!笑わないでもらえないかな!?

 

「相変わらずナツの側には秘密の友人とか言うのがいるんだな。」

 

「うわっリボーン!?」

 

「その様子だと、アイツが何を言ってるのか教えてもらってたな?」

 

「……確かに教えてもらったけど。」

 

「そうか。オレが教えてやろうと思ったんだがな。」

 

 そんなことを思っていると、隠れていたリボーンに話しかけられる。

 まさか出てくるとは思わなかったため、少しだけ困惑していたら、彼はてくてくと私の方に歩み寄り、イーピンの方に目を向けた。

 

「聡いお前のことだ。あれが誰かわかるだろ?」

 

「人間爆弾イーピン……昨日、リボーンが教えてくれた香港の殺し屋でしょ。」

 

「そうだぞ。」

 

 リボーンの質問に答えながら、静かにイーピンに目を向ければ、彼女はペコリと今を下げたのち、再び私を真っ直ぐと見据える。

 

「─────!!─────イーピン!!」

 

「かろうじて名前だけは聞き取れた。」

 

 中国の方の言葉の部分はよくわからず、かろうじて名前だけは理解できたと口にする。

 しかし、すぐに私は自身の腰のベルトにつけている仕込みトンファーを両手に取り、こちらを見据えるイーピンを見据え返す。

 私が戦闘態勢を取ったのを見たイーピン。彼女は独特な構を取ったあと、独特な音を立てて何かを放ってきた。

 その何かは視界に映らない。だが、なんとなく手の動きや目線で狙いが把握できたため、死ぬ気モードを発動させたあと、それを回避する。

 同時に背後にあったフェンスがガシャンッと音を立てた。よくみると少しだけ曲がっている。

 

「!!?」

 

「……見えない何かを放ってるな。普通に回避はできるけど、攻撃を放つ際に見せるわずかな予備動作や空気の動き、気配の動きなどから把握しないといけないのはなかなかにめんどくさい。」

 

 冷静に分析しながら、イーピンに目を向けてみれば、彼女は驚いたような表情をしていた。

 おそらく、初見で突破されるようなものではなかったのだろう。そりゃそうだ。見えない何かによる攻撃なんて、初見殺しもいいところ。

 ジョットさんやアラウディさんに戦闘訓練をしてもらってなければ、流石に私も危なかった。

 

「何かしらのカラクリはあるんだろうけど、あくまで推測でしかないからなぁ……。この方法で突破できるかな……。」

 

「お?ナツ。今の攻撃の秘密がわかったか?」

 

「なんとなくではあるけどね。ただ、これで突破できるかどうかわからない。」

 

「その方法を直感したなら、試しにやってみたらいいじゃねーか。オレの出番がないのはちと残念だがな。」

 

「こっちはたくさんの技術を秘密の友人達から教えてもらってるんでね。その中に含まれている戦闘訓練は、五つくらいあるんだよ。素早さに特化した訓練。剣術に特化した訓練。複数人を相手取る際の総合訓練。死ぬ気モードを維持しながら行う戦闘訓練。長物を使った戦闘訓練……どうも私に憑いてしまってる友人達は、そう言った技術に特化し過ぎてる。」

 

「……オレが教えられることほとんどねーじゃねーか。」

 

「気になるんだったら隼人達に何かしらやってあげて。ボスだけが強過ぎるってのも、考えものでしょ。」

 

「その方が良さそうだな。」

 

「ただし、みんなが無茶をしない範囲でね。大怪我を負わせたり、病院に通わなくてはならないようなことになったら、その時は容赦無くぶっ飛ばす。」

 

「発言が物騒になってるぞ。ていうかオレは約束したはずだ。もう、無茶をさせたり、ナツの常識の範疇から大きく逸脱するようなことはしねーってな。

 オレはちゃんと約束は守る。だから心配しなくていいぞ。」

 

 リボーンの言葉を聞き、フン……と鼻を一回鳴らし、イーピンへと視線を戻す。

 彼女は再び独特な構を取り、特徴的な音とともに何かを放ってきた。

 それを見た私は、手にしていた仕込みトンファーの玉鎖で前方を薙ぎ払う。

 その瞬間、ボフンッと言う音を立てて、何かが破裂する。同時に嗅覚にニンニク特有の刺激臭を感じ、私は慌ててその場から距離を取った。

 初代組は既に何かを察していたようで、屋上の出入口にの上にある高台に飛び乗っている。

 よく見るとあっち風下か。そりゃ逃げるな。

 

「やっぱり、なんか変なもんが飛んできてると思った。」

 

「流石だな。タイミングもバッチリだ。……理解したと思うが……」

 

「攻撃に使われていたのはニンニクの臭いを圧縮した気体。多分、さっきイーピンが口にしていた中華饅のようなもの……あれにかなりのニンニクが使われてた感じでしょ。」

 

「その通りだ。この拳法の名は“餃子拳"。イーピンが食ってる餃子饅のくさい息を拳法で圧縮して相手の鼻に送り込み、直接脳を麻痺させてるんだ。

 脳が麻痺して筋肉が勝手に動く様は、まるで超能力で操られたみたいに見えるってわけだ。」

 

「ニンニクがキツイものなんて食べたら、私だったら自爆するね。

 別段病弱ってわけでもないし、虚弱体質ってわけでもないけど、気分が悪くなって絶対にリバース案件だ。

 よく女の子がそんな拳法を身につけようと思ったもんだよ。由緒正しいものなら申し訳ないけど、ハッキリ言って生理的に受け付けない。

 口臭をぶつけるようなものだから、恥ずかしい以外のなにものでもないな。」

 

「─────!!?」

 

 一度社会に出ていた上、多くの部下や上司と向き合うような立場にあった身だったため、口臭のケアは欠かさずやっていた。

 そんな私からすると、自身の口臭を利用して戦うような技術は、正直言って信じられない。

 下品以外のなにものでも無いし、その時の気質が残っている分、口臭ケアをしろと言いたくなってしまう程だ。

 呆れと少しの嫌悪を混ぜながら、素直な感想を口にする。すると、目の前にいるイーピンはダラダラと大量の汗を流し、その場でフリーズ。

 程なくしてその額には、麻雀の筒子によく似たマークが浮かび上がっていた。

 

「筒子?」

 

「“筒子時限超爆”のカウントダウンが始まっちまったな。」

 

「は?」

 

「イーピンは極度の恥ずかしがり屋でな。恥ずかしさが頂点に達すると、頭に九筒が現れるんだ。

 そんで。額の筒子は時と共に一つずつ減り、一筒になった時、全身の汗腺からギョウザガスを一気に噴出し爆発するんだ。

 この破壊力は小さいクレーターができる程だと聞いてるぞ。」

 

「なんで人体だけでガス爆発が完結されてるんだってツッコミは入れた方がいいわけ?」

 

 あまりにも突拍子もない状況に、一周回って冷静になる。本当になんなんだこの世界。

 プチタイムマシン的な10年バズーカがあったり、謎過ぎる拳法があったり、果てには人体一つでガス爆発を起こすことができたり……あまりの次元に理解が追いつかない。

 死ぬ気の炎を灯したり、幻術を平然と使ってる人間が何を言ってるんだと言われたとしても。

 

「あ、いたいた。これ、忘れてったよ。」

 

 なんてことを考えていると、掃除を終えたらしい京ちゃんが屋上に姿を現した。

 彼女の手元には、木の棒のようなもの……あれって、イーピンが持ち歩いている巾着を下げていたものかな?

 冷静にそれが何か分析していると、近くに来た京ちゃんを見たイーピンが、彼女の足元にピタリとくっついた。

 

「イーピンはカウントダウン中、恥ずかしさのあまり人にすり寄ってくるんだ。」

 

「それを早く言え。」

 

 追加で入ってきた情報に、ツッコミを入れた私は、すぐに京ちゃんの元に歩み寄り、Dさんに視線を動かす。

 私の視線に気づいたDさんは、一瞬キョトンとした表情を見せたあと、やれやれと言わんばかりの反応を見せ、大鎌を片手に幻術を発動させる。

 

「あれ?」

 

 その幻術は、私とリボーンと初代組を覗き、学校全体にかけられる。

 その間に私は京ちゃんにくっついているイーピンを引き剥がし、その額の筒子の数を見た。

 時間が経過するたびに減っているそれは、既に三筒にまで減っており、残り時間がわずかであることを示している。

 

「そぉっっらっっっっ!!!!

 

 それを確認した私は、死ぬ気モードになったまま、イーピンを思い切り空へと向けて放り投げる。

 かなりの高さまで飛んでったイーピンは、一番高いところでカッと光り、大きな爆発音を辺りに轟かせるのだった。

 

 

 *:・゚*.+ ❀ *:・゚*.+ *:・゚*.+ ❀ *:・゚*.+ *:・゚*.+ ❀

 

 

「全く……とんだお騒がせ暗殺者だったな……。」

 

 あれから自宅へと帰宅した私は、爆発の後に合流した隼人の手によりぐるぐる巻きにされたイーピンを見つめながらため息を吐く。

 とんだ厄日だった……。Dさんのおかげで、外で何が起こったのか知られなくて済んだよ本当。

 

「ぐっ……右腕でありながら10代目が危険に晒されていることに気付かないとは!!申し訳ありません、10代目!!あなたを守るはずのオレが、こんな不甲斐ない姿をお見せしてしまうとは!!」

 

「どーどー。土下座をするんじゃない。私が対処できる範囲だったから対処したまでだしね。」

 

「それでもです!!あの時、突然方向感覚が狂わされなければ、もっと早くお側に行けたのですが……!!」

 

「……あー………それに関してはある意味私のせいだから気にしないで。」

 

 方向感覚を狂わせるってどんな幻術を使用したんだDさん……。そんな風に思いながら、ぐるぐる巻きのイーピンを見下ろしていると、先程から無言で写真を見ていたリボーンが口を開いた。

 

「イーピン。お前、この写真の奴を殺せって言われてきたんだろ?」

 

 写真を見せながらイーピンに問いかけるリボーン。イーピンはその写真を見て一回こくりと頷いた。

 

「これはナツじゃないぞ。」

 

「!!?」

 

 リボーンから告げられたまさかの事実。それを聞いたイーピンは驚いたような様子を見せる。

 いったい誰がターゲットだったんだと思いながら、リボーンに写真を見せてもらったら、どう見ても私と全く似ていない女性の写真がそこにはあった。

 

「………誰?」

 

「……わからないっス。」

 

 困惑しながら隼人と写真を見つめていると、ズシッと軽く頭上から体重をかけられた。

 横から伸びてきた手は、するりと私の手首を掴み、写真を見やすい角度に直す。

 

『とんでもない勘違い娘ですね彼女は。』

 

『確かに……。ナツキはここまでふくよかな顔はしてないよ。』

 

『目元も全然違うな。吊り目じゃねーかこれ。』

 

『愛らしさもナツキの方が断然上だな。どうしてこれをナツキと勘違いしたんだこの子は。』

 

『サラッと孫自慢しないでくれません?』

 

 人の頭を肘置きにしながら写真を見るDさん。左右から覗き込むGさんとアラウディさん。そして、私とDさん越しに背後から写真を覗き込むジョットさん……と、初代ファミリー包囲網に囲われながら見つめる写真は、どう見ても二十は等に超えている女性のものだった。

 しかも、女性のくせにかなり人相が悪い。完全にあちら側の人間ですと言った風貌の誰かだ。

 

「ハッキリターゲットを確認しないと、依頼を達成できないぞ。」

 

「─────……」

 

『どうやら彼女は相当なド近眼らしいですね。写真に写る人間を完全に認識できていなかったようです。』

 

「メガネかコンタクトしな……?」

 

「まだまだ未熟だな。」

 

 私とリボーンのダブル指摘を聞き、イーピンはショックを受けて動きを止める。

 

「─────!」

 

 しかし、すぐに何かを決意したような表情を見せては、中国の方の言葉で何事かを口にした。

 

『“このような失態を見せてしまい申し訳ありません。これから私は、日本で未熟な己を鍛錬すべく、日々精進してまいります”……だって。

 また変わり者を増やしたみたいだよ、ナツキ。』

 

「っ〜〜〜!!」

 

『甘い。僕が君の肘鉄を食らうわけないでしょ。』

 

 それを聞いたアラウディさんが、また耳元で翻訳した言葉を口にしたため、私は反射的にDさんにもやった肘鉄を放つ。

 しかし、それは彼に軽々と止められ、食らわないと告げられる。同時に彼は私の耳元にフッと軽く息を吹きかけてきたため、思わず悲鳴が出そうになってしまった。

 

「あの……リボーンさん?10代目は何を……?」

 

「秘密の友達とやらが視えてるみたいだぞ。ちなみに、これは嘘でもなんでもないらしいな。

 ナツが何度か夜中に家を抜け出して、誰かと話してるのを見たことがあるしな。」

 

「い゛!?つ、つまり、幽霊っスか!?」

 

『幽霊……で合ってるのか?』

 

『いや、幽霊って死ぬ気の炎は使えるか?』

 

『霊的な何かではありますが、幽霊と言うにはいささか特性が違うような気がしますが?近い何かのような気はしますけど。』

 

『興味ない。』

 

 ビビる隼人と首を傾げるジョットさんとGさん。冷静に分析をするDさんに、興味自体ないと突っぱねるアラウディさん。

 バラバラの反応(幼馴染みコンビは同じだけど)を見せる初代組を少しだけ見つめた私はイーピンに向き直る。

 

「修行する間、よかったらこの家で過ごしなよ。ホテル代とかかさばらないし、なにより安定した休息を取れるからね。」

 

「!謝謝!!」

 

 私の言葉を聞いたイーピンは、一瞬だけ驚いた様子を見せる。しかし、すぐにニコッと笑顔を見せながら、感謝の言葉を口にした。

 その姿を見て、私は小さく笑みを浮かべる。また1人、人が増えたね。

 

 

 




 沢田 奈月
 耳が弱いボンゴレ10代目。イーピンの勘違いにより、命を狙われるが、初代組につけられた訓練の賜物か、無傷で勝負を終わらせた。
 初代組がくっついてきやすいので、側から見たらハーレム状態に見えなくもないが、本人は全く気づいていないし、それを指摘する人もいない。

 D・スペード
 奈月の目配せにより、やれやれと肩をすくめながらも、プリーモよりも自分を頼るその姿に優越感を抱いて幻術を使用した元初代ファミリー。
 学校全体に幻術をかけたことにより、獄寺が奈月の元に行けないトラブルを引き起こしたが、特に気にしていない。
 奈月の頭がちょうどいい位置にあったので肘置きにしながら写真を眺めた。

 アラウディ
 耳が弱い姿を見て、少しだけ面白かったためイタズラした初代雲。
 奈月のことは気に入っているので、割と茶目っ気たっぷりにイタズラをしたり、ちょっとした訓練中の意地悪をすることでその反応を見て楽しんでいる節がある。
 Dが陣取ってなかったら、間違いなく彼が奈月の頭を肘置きにしていた。

 ジョット&G
 思った以上に奈月に絡みに行くアラウディとDに困惑しながらも、毎日のように奈月の元へ姿を現す幼馴染みコンビ。
 奈月のことは可愛がっているので、イーピンの勘違いにはかなり引いていた。

 リボーン
 ようやく少しだけ奈月の秘密の友人の存在に触れたヒットマン。
 奈月以外には視えない何かからいろいろ教わっている奈月の姿を見て、奈月のボス水準は上がりつつあることを感じ、少しだけ拗ねた。
 こうなったらナツ以外をネッチョリ鍛えてやる(無理はさせない程度に)

 イーピン
 ド近眼のせいで、とんでもない勘違いをかました香港のヒットマン。
 奈月の能力値の高さや、リボーンがいる環境なら、未熟な自分も少しずつ磨けるのではと思い、日本に拠点を一回置いて、奈月達の側で鍛錬を重ねることを決意する。


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