最強の愛され系ボンゴレ♀は、今を全力で楽しみたい   作:時長凜祢@二次創作主力垢

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イーピンとランボ

 イーピンが日本で修行すること決めて初めての休日。普段より遅めに起床すれば、当たり前のように初代組が現れるので、一通り挨拶を伝えた私は、朝食を食べようと思い一階のリビングダイニングへと足を運ぶ。

 

「ん。母さんもイーピンもおはよう。」

 

「─────!」

 

「おはよう、なっちゃん。今朝食を作ってるから待っててね。」

 

「ん。」

 

 そこにはすでに母さんとイーピンがおり、イーピンは新たに増やされた椅子に座って大人しくしてて、母さんは朝食の用意をしていた。

 いつもなら私も母さんの手伝いをしてるんだけど、母さんから休日くらいはゆっくりしなさいって言われて、お手伝いを止められているので、作業に移ることなく自分の席に腰掛ける。

 ……不意に、雨が降ったあとのような匂いが嗅覚に触れる。

 

「あれ?雨が降ったあとみたいな匂いがする……」

 

「そうなのよ。さっきまで通り雨が降っててね。イーピンちゃんが教えてくれなかったら洗濯物が大変なことになってたわ。」

 

「ああ……だから雨が降った時の匂いがしたんだ。ありがとう、イーピン。母さんに通り雨を教えてくれて。」

 

「!」

 

 どうやら、私が寝ている間に通り雨に見舞われていたらしい。イーピンのおかげでそれに気づいたんだと母さんが教えてくれたので、感謝の言葉を述べれば、彼女は一つ会釈した。

 

「はい、なっちゃんのご飯ね。」

 

「ん。ありがとう、母さん。いただきます。」

 

 相変わらずちょっとぎこちない……と苦笑いをこぼしながら、母さんが用意してくれた朝食に手をつける。

 しかし、そんな中元気な笑い声と、とたとたと走り回る足音が近づいてきたため、一旦箸を止めて席を立った。

 

「ランボさん登場!!!」

 

「─────!!!」

 

 現れたランボを見るなり、何かを叫んだイーピン。すかさずテーブルの上にあったお味噌汁のお椀と白米が入った茶碗を手に取り、サッとそれをどければ、イーピンがテーブルの上に乗った。

 

「─────!!」

 

「!?」

 

「何て?」

 

『『『『「ブロッコリーの化け物だ。」』』』』

 

「ん゛っ」

 

「くぴゃっ!!?」

 

 何かを叫んだイーピンの言葉に首を傾げていると、ジョットさん、Gさん、アラウディさん、Dさん、リボーンの声が同時に同じ言葉を紡ぐ。

 かっこいい声と可愛い声の五重奏でその言葉は反則だって……っ

 

「ガ・マ・ン……」

 

「ラ、ランボ。気にしなくても大丈夫だよ。」

 

 リボーンが口にした翻訳を聞き、ガクッと項垂れるランボに、私にしか聞こえてない五重奏のせいで込み上げてくる笑いをなんとか抑えながら、ランボに気にしなくても大丈夫だと声をかける。

 

「お〜〜〜ば〜〜〜け〜〜〜だ〜〜〜ぞ〜〜〜っ!!」

 

「いや、ノるんかい!!」

 

 しかし、ランボはどうやら言われた瞬間がちょっとショックだっただけのようで、むしろブロッコリーの化け物発言にノるようにイーピンを追いかけ始めた。

 ランボとイーピンがドタバタと走り回る中、とりあえず避難させた白米と味噌汁をダイニングの中央から離れた位置まで持っていき、行儀が悪いことを承知の上で立ったまま食べる。

 

「ねぇ、なっちゃん。」

 

「ん?」

 

 すると、そろりそろりと母さんが私の元へとやってきた。服装は普段のものとは違い、かなりおしゃれなものへと変わっている。

 おめかしもしているようで、どこかに出かけることは明白だった。

 

「実は母さん、今日お友達からピアノの発表会を見に行こうって誘われちゃったのよ。だから、お休みのところ悪いんだけど……」

 

「なるほど。道理で普段以上におめかししてて綺麗だったんだ。」

 

「もう……なっちゃんってばすぐそんなこと言って。」

 

「はは。素直な感想を言っただけだよ。ちびっ子達の面倒は私が見とくから楽しんできてよ。必要なら人手を増やすし、家のことは大丈夫だからさ。」

 

「ありがとう、なっちゃん。じゃあ、ランボ君達のことよろしくね?」

 

「ん。任せて。ごゆっくり。」

 

 母さんから事情を聞き、ランボ達のことは任せてほしいと伝えて見送る。

 私のそれを聞いて、母さんは笑顔を見せたあと、「帰りにケーキを買って帰るわね。」と一言告げて、玄関の方へと向かった。

 程なくして母さんの気配が遠ざかったため、私はすぐに携帯電話を取り出す。

 

「……(スマホとラインツール欲しい)」

 

 あっちの方が便利なんだけどと……なんてないものねだりをしながらいつもの2人にメールを送る。

 “何の用事もなければうちに集合。母さんが留守にするから、子守りを手伝って欲しい”と。

 

 

 *:・゚*.+ ❀ *:・゚*.+ *:・゚*.+ ❀ *:・゚*.+ *:・゚*.+ ❀

 

 

「ヒュ〜〜〜〜ドロドロ〜〜〜〜!!」

 

「─────!!」

 

 あれからそれなりに時間が経過した。未だにランボはイーピンを追いかけており、イーピンはそんなランボから逃げ回っている。

 

『……まだやってるものね。よく飽きないな。』

 

「あ、ランポウ君。」

 

 いつまで続くんだこの追いかけっこ……と自分で淹れたコーヒーに口をつけながら、2人のことを見つめていると、背後からのしっと体重をかけられる。

 振り返ってみれば、そこには表情を困惑に歪めながら私に抱きついているランポウ君の姿があった。

 

『ナツ。あいつら止めないの?いい加減飽きてきたものね。賑やかだし昼寝もできないよ……。』

 

「だからって背後から抱きついて体重かけてこないでよ。長身の男性の重さって結構あるんだよ?」

 

『知ってるものね。わざとだし。あいつらが大人しくならないとナツはオレ様のことを構ってくれないものね。』

 

「何?この抱きつきは構えってこと?」

 

『それ以外ないものね。ヒ〜〜マ〜〜……』

 

「きみなぁ………。」

 

 無我夢中で走り回ってるランボとイーピンが、視えない誰かと私が話してるなど気づくはずもなく、その無邪気さ、無我夢中さに乗じて、背後から抱きついてきているランポウ君と言葉を交わす。

 どうやら賑やかな2人のせいで、いつもの昼寝ができないからとこっちにちょっかいを出し始めたらしい。

 そんな彼の姿に、私は呆れて言葉をを紡ぐ。今だからこそ問題ないけど、別の人がいたら間違いなく私は変な人にしか見えないぞ。

 

『早く止めてよあの2人。オレ様ナツと昼寝したいものね。』

 

「駄々っ子か。」

 

『違うし。いっつもプリーモかGかDかアラウディの誰かがいるから今しかナツと過ごせないから言ってるだけだものね。』

 

「そう言われてもなぁ……」

 

 うりうりと頭を背中にぐりぐり押し当ててくるランポウ君の相手をしていると、来客を知らせるチャイムが鳴る。

 

「ん。来たみたいだね。」

 

『げぇ……何で他の守護者呼んでんの〜……?』

 

「守護……?」

 

『あ、そっか。まだナツってこっちは知らなかったものね……。えっと、ボスを中心に、6人の幹部がつくんだけど、それを守護者って呼ぶことがあるものね。

 詳しいことはいずれプリーモあたりが教えてくれるんじゃない?』

 

「なるほどね……。じゃあ、時が来るまではお預けか。まぁ、いいや。来客は私が呼んだんだよ。流石に1人で元気過ぎるちびっ子2人はさばき切れないからさ。」

 

『呼ばなくても良くない?ハァ……プリーモ達ばっかずるいものね。オレ様だってナツと話したいのに、いっつも先に行ってさぁ……』

 

 ランポウ君が文句を言いながら、緑色の雷のような炎の中に消えていく。

 かなり不満ではあるけど、渋々退散することにしたらしい。

 それを見送った私は、すぐに玄関の方へと向かう。そこには、隼人と武が立っており、1人一袋ずつ買い物袋を手に提げていた。

 

「来てくれてありがとう。すごく助かるよ。」

 

「いいってことよ!頼られてすげー嬉しいしな。な!獄寺?」

 

「馴れ馴れしくすんじゃねー!!まぁ、気持ちはわからなくもねーけどよ。」

 

「だよな!

 

「にしても、ガキの世話とは、10代目も大変ですね。」

 

「簡単なことしかできねーけど、いくらでも手伝うぜ。子守も家事も、できる限り頑張るな。」

 

「オレも全力で手伝いますよ、10代目!」

 

「心強いね。じゃあ、やらないといけないことは指示出して行くから、少し手を貸してくれる?」

 

「少しだなんて遠慮はいらないっスよ、10代目。」

 

「どんどん頼ってくれよな!オレ達にとっちゃ、いい勉強の機会でもあるからさ。」

 

 2人の厚意を聞き、私は笑顔を見せながら感謝を述べる。

 これなら、家事と子守りを両立することができそうだ。

 

 

 *:・゚*.+ ❀ *:・゚*.+ *:・゚*.+ ❀ *:・゚*.+ *:・゚*.+ ❀

 

 

 隼人と武に家事と子守りのやり方をレクチャーしながら、作業を行い数時間が経過した。

 現在やっているのは洗濯物畳み。女物の下着などは流石にあれだから、2人にはタオルやリボーンとランボが使っているものを畳んでもらっている。

 

「ナツって、いっつもこんなに大変なのな……。」

 

「使用人達の苦労がわかった気がするっス……」

 

「オレも、親の苦労を知った気分だな……。」

 

「私は慣れちゃったけど、本当に親って大変だよね。中には仕事をこの忙しさの中プラスしてる人もいるから、やってもらうのが当たり前って考えは、早めに正した方がいいよ。あとになって苦労するのは自分達になるしね。」

 

 慣れない仕事の数々に、表情を引き攣らせる隼人と武の2人にそう告げながら、畳んだ洗濯物をまとめていると、賑やかな笑い声が近づいてくる。

 すぐに視線をそちらへと向ければ、まだ追いかけっこを続けていたらしいランボとイーピンの姿が視界に入った。

 

「ガハハハ!!まてーい!!ブロッコリーだぞ〜〜!!」

 

「─────!!」

 

 ランボとイーピンが、私達がいる場所をぐるぐると走り回り、辺りを散らかして行く。

 せっかく洗濯物畳んだんだけど、めちゃくちゃになりそうな予感……そう思った矢先だった。

 

「またんかー!!」

 

「あ……。」

 

 イーピンを捕まえようと跳躍したランボが、洗濯物の山の中へと突っ込み、振り出しに戻してしまったのは……。

 

「お前わざと洗濯物の山ん中突っ込みやがったなぁ!?せっかく10代目が畳んだんだものを振り出しに戻してんじゃねぇ!!!!」

 

「ガハハ………ハ……」

 

「ちょ、隼人!!ストップ!!ストップ!!スト───ップ!!!」

 

「死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ!!そのままじゃチビが死ぬって!!」

 

 畳まれた洗濯物の山に突っ込み、振り出しに戻してしまったランボに堪忍袋の尾が切れたのか、隼人がとうとう行動に移してしまった。

 慌てて武と一緒になって隼人を止めるが、暴れ牛状態の彼を止めるのにあと一手が足りない気がする!!

 

「何してるんですか獄寺さん!!」

 

 隼人をランボから離そうと奮闘していると、勢いよくこちらへと向かって走ってくる足音と、聞き慣れた声が響き渡る。

 その音は真っ直ぐと私達がいるリビングの方へと向かっており……

 

「子供をいじめちゃだめだってなんでわからないんですか!!?」

 

 程なくして怒鳴り声とともに、ハルが突入してきた。

 

「…………うるせーのがきた……」

 

「う゛ぇ゛……ナツ〜〜〜〜〜!!」

 

「ん。苦しかったね。もう大丈夫だよ。……隼人?」

 

「ゔ……も、申し訳ありません、10代目……。」

 

「謝るのは私に対してかな?」

 

「………悪かったよ。」

 

「随分と渋々だな……。」

 

 隼人をジトりと半目で睨みつけながら、泣いているランボの頭を撫でる。

 

「……で、何で三浦がいるんだ?」

 

「ナツさんのお母さんに心配だから時々見てやってって頼まれたんです。」

 

「ああ……母さんが。まぁ、ご覧の有り様だから、ストッパー役が増えて助かったよ。来てくれてありがとう、ハル。」

 

「はひ!?と、当然ですよ〜!将来はナツさんの隣で敏腕秘書でありお世話係になるつもりなのですから〜!!ナツさんのためであれば、ハルは例えマフィア相手であろうとも立ち向かってみせます!!」

 

「うん、秘書とお世話係の件はまだ容認できるけど、マフィアに立ち向かうのはやめようね?」

 

 少しだけ苦笑いをこぼしながら、マフィアにだって立ち向かうと宣言したハルに、それはやめようかと注意する。

 何の武術も身につけていない上、可愛らしい女の子がそんなこと言うんじゃありません。

 腹をすかせた肉食動物の檻の中にウサギが入り込むようなものだから。

 

「あ、その子がイーピンちゃんですね!ナツさんのお母さんから聞いてますよ。」

 

「─────!!」

 

「……はひ?」

 

 将来、ハルが無茶をしてしまわないかと頭を抱えていると、ハルがイーピンを見つけ、彼女に話しかけた。

 話しかけられたイーピンは、ハルを指を差しながら何か言う。しかし、中国の方面の言葉がハルにわかるはずもなく、何を言われたんだと首を傾げた。

 

「何て?」

 

『『『『『「シューマイの化け物だ」』』』』』

 

「はひ─────!?」

 

「ングッ!!ゲホゲホッ!!」

 

「じゅ、10代目─────!!?」

 

「ちょ、ナツ!?大丈夫か!?」

 

 とりあえずなんて言ったのか確認するために、いつのまにかリビングに入り込んでいたリボーンに問いかければ、同時に子供特有の声と、青年特有の声が鼓膜を揺らす。

 なんかランポウ君が増えてるし!!そんなことを思いながら吹き出しそうになったため、なんとか堪えようとしたら、変なところに唾液が入り込んでしまい咽せてしまう。

 笑って申し訳ない……っ……申し訳ないんだけど……っ!!!!

 初代組とリボーンの六重奏による「シューマイの化け物だ!!」は卑怯だから!!!!

 

 

 




 沢田 奈月
 初代組のせいで危うく大爆笑寸前だったボンゴレ10代目。
 母親の息抜きのためならばと、子守りと家事を率先して引き受けたが、流石にはしゃぎまくるランボとイーピンを2人まとめて相手しながら家事をするのは……と考えて獄寺と山本を呼んだ。

 獄寺&山本
 奈月に呼ばれて、頼られたことに喜びながらお手伝いをしたら、思ったよりもきつくて、改めて使用人や親の苦労を理解した2人。
 突然咽せてしまった奈月の姿にめちゃくちゃ慌てた。

 初代組(橙、赤、紫、藍)
 親切心半分面白半分でイーピンの言葉を訳していたお兄さん方。
 奈月の反応がなかなか楽しかった。

 ランポウ
 奈月にかなり懐いている初代雷。
 奈月とは昼寝友達で、割と厳しい初代メンツに比べてかなり優しいし、なんだかんだ構ってくれるので彼女を気に入っている。
 奈月の前では若干幼児退行する。

 リボーン
 度々奈月が吹き出すのを見て、秘密の友人とやらに絡まれてんな、と眺めているヒットマン。
 現在、奈月以外のファミリー育成計画を練っている途中。

 ランボ
 イーピンから化け物扱いされて最初はショックを受けたが、ちっちゃいもの通しというのもありイーピンを追いかけ回した男の子。

 イーピン
 ド近眼のせいでランボとハルを化け物だと言ってしまった女の子。
 ランボが追いかけてくるのでひたすら逃げ回っていた。

 三浦 ハル
 途中で合流した女の子。将来は奈月の秘所兼お世話係となって彼女の側で過ごすことが夢。
 相変わらず子供にひどいことをする獄寺にめちゃくちゃ怒ったが、イーピンから化け物扱いされてしまいかなりショックを受けた。

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