最強の愛され系ボンゴレ♀は、今を全力で楽しみたい   作:時長凜祢@二次創作主力垢

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京子とハルのチートデー

「ナツさん!あの、今からナミモリーヌに行きたいんですけど、いいですか?」

 

「ナミモリーヌ?まぁ、構わないけど。」

 

「はひー!ありがとうございます!」

 

 とある月の第3日曜日。天然石などを取り扱う神谷さんの店で買い物した帰りに、ハルと偶然出会した。

 まぁ、休日ならそんなこともあるかと思いながら、彼女と話をしつつ街を歩いていると、彼女がナミモリーヌに寄りたいと言っていたので、とりあえずついて行くことにした私は、ルンルンで歩くハルの手を静かに掴む。

 

「はひ!!?」

 

「危なっかしいから手を繋いどこうか。楽しみなのはいいことだけど、かかとのある靴を履いてるんだから、転けたら大変でしょ?手を繋ぐのが嫌なら、とにかく私のどこでもいいから掴んで。

 せっかく可愛らしい格好をしてるのに、転んで怪我をしたり、服を汚しちゃったら台無しだよ。」

 

「はわわわ……!!もう!!ナツさん、そう言うところです!!ハルの心臓にダイレクトアタックしないでください!!もっと好きになっちゃいます!!」

 

「あはは。何それ。」

 

 顔を真っ赤にしながらそう言ってくるハルに、小さく笑いながら言葉を紡ぐ。

 私は素直な感想を口にしたまでだから、別に狙っちゃいないんだけどね。

 

「心臓にダイレクトアタックしてきたナツさんなんてこうです!!」

 

 そう言ってハルは私の腕に自身の腕を絡めて、抱きついてくる。しかし、いるのは車道側。

 うん、危ない。

 

「腕を絡めるのは構わないけど、車道側は危ないからこっちにしようね。」

 

「はひ……スマートです……。」

 

 すかさずハルの腕を掴んだ私は、車道側に自身の身を置けるように、ハルを歩道側へと移動させる。

 私に移動させられたハルは、スマートだと顔を赤くしながら、歩道側の私の腕に自身の腕を絡ませた。

 

『ナツキが男性のような所作をしてるのですが、これについて何か一言ありますか?プリーモ。』

 

『?女性を大切にしていていいと思うが……』

 

『言っとくけど、ナツキも女の子だからね?』

 

『ナツキのあれは、もう癖みたいなもんだと思うぜ?女を大切にする所作が身についてんのは、まぁ、父親がいない代わりに自身がしっかりしないとって思考の延長戦だろ。』

 

『ああ……まぁ、ナツキの母君は放っといたら何をしでかすかわからないくらい天然な部分がありますからね……』

 

『あれ、絶対いつか詐欺とかスリにあって痛い目を見るよ。』

 

 顔を赤くしながらも、私の腕に腕を絡ませて歩くハルのペースに合わせながら足を進めていると、背後からそんな会話が聞こえてくる。

 ……初代組にすら心配されるレベルの天然っぷりって……めちゃくちゃ母さんの将来が不安になってきた。

 いつか私が家から出ることがあったらどうするんだ……。

 

「あ、ナツさん!ここです!ナミモリーヌ!」

 

「あー……たまに母さんがケーキ買って帰ってる店か。人多いね。」

 

「はい!ナミモリーヌは種類が多いことで有名なんですよ!」

 

 なんてことを思いながらたどり着いたケーキ屋。ものすごく見覚えのある綴りを見つけ、母さんがケーキをよく買って帰る店であることを把握する。

 ハルと一緒に店に入れば、一気に甘ったる匂いが嗅覚を刺激する。別に嫌いではないけど……うーん……。

 

「って、あれ?京ちゃん?」

 

「!あ、なっちゃん!ハルちゃんも一緒だったんだね。」

 

 生クリームだらけなのはちょっと得意じゃないんだよな……なんて思いながら、店内をぐるっと見渡せば、おしゃれな格好をして、ショーケースのケーキをじっと見つめている京ちゃんの姿を見つける。

 いったいどう言う偶然だ……?と思いながらも京ちゃんに話しかければ、彼女はびっくりしたような様子を見せたあと、慌てて顔を赤くする。

 

「ち、違うからね!?第3日曜日はケーキ好きなだけ食べるって決めてて!毎日ケーキ3個食べようとしてるわけじゃないから!!」

 

「うん、ちょっと落ち着こうか?」

 

 別に聞いてないのにと苦笑いをこぼしながら慌てる京ちゃんを落ち着かせる。

 なんでそんなこと口走っちゃうの。恥ずかしい個人情報なら言わなくてもいいのに……。

 

「一種のチートデーって奴かな。一ヶ月に一回の感覚で、たくさんものを食べるって言うご褒美時間。

 それを一つの生き甲斐、目標に定めればいろいろ頑張るための導になるし、笑ったりしないよ。」

 

 そんなことを思いながら京ちゃんに伝えれば、彼女は顔を身近にしたあと照れたように俯いてしまった。

 そうなるならなんで話した……と少しだけ呆れそうになったが、なんとか堪える。

 

「ハルと同じですー!」

 

「ん?」

 

「!」

 

 不意に、話を聞いていたハルが京ちゃんの言葉に食いつくように反応する。

 もしや、ハルも今日をチートデーに定めていたのだろうか?

 

「ハルも第3日曜は“ハル感謝デー”と言って、自分へのご褒美にケーキいっぱい買うんです!」

 

「わ───っ一緒だ!」

 

「ハルの場合らここのお店のミルフィーユは外せません。」

 

「私も────っそれとシュークリーム!」

 

「ここのカスタードはバニラビーンズ入りですもんね!」

 

「そーそーっ!あと、フロマージュタルトとベイクドチーズケーキも美味しいよね!」

 

 どうやらハルも今日をチートデーに定めているらしい。

 可愛らしい女の子達がキャッキャと笑顔を見せてる姿はなかなか目の保養になるな。

 

「立ち話もなんだから、うちに来てゆっくり話せ。茶ぐらい出すぞ。」

 

「……洋菓子店に茶道はちょっと場違い感がすごいよリボーン。」

 

 腕を組みながら、前世では見ることがなかった可愛らしい友人達のキャッキャッウフフを見つめて癒されていると、すぐ側でリボーンが和茶を立て始めたため、呆れながらそれにツッコミを入れる。

 せめてそこはバトラー服で紅茶を入れるくらいしろよ。そしたら目立つことないから。

 ていうかヒットマンが目立っていいのか。標的にバレるだろそれ。

 

「リボーンちゃん!」

 

「なっちゃんの誕生日以来だね!こんにちはー!」

 

 それでいいのかヒットマンと呆れて言葉を告げながら、目の前に広がるショーケースに目を向ける。

 

「ナツもケーキを買うのか?」

 

「ん?うん。一応買うつもりだけど。」

 

「どれを買うんだ?」

 

「クリームが少ないもの。嫌いってわけじゃないんだけど、食べ過ぎたらちょっと気分が悪くなるからさ。甘さ控えめのクリームなら、たくさん食べることができるんだけど。」

 

「なるほどな。だから京子達が作った誕生日ケーキはあんなに食ってたのか。」

 

「うん。甘さ控えめなら、気分が悪くならないからさ。」

 

「なら、京子達に食べやすいものを聞いてきたらどうだ?それならナツもケーキを一緒に食べることができるだろ。」

 

「そうだね。京ちゃん。ハル。クリームが多過ぎず、そこまで甘過ぎずに食べやすいケーキとかタルトってあるかな?」

 

「「あるよ!!/あります!!」」

 

「お、おう……」

 

 2人のお嬢さんの勢いに負け、思わず軽く仰け反りながらも、彼女達が言うおすすめのクリームが多過ぎず、なおかつ甘過ぎない程よいケーキの話を聞く。

 とりあえず、私は1つでいいかな……。甘いものは好きでも、ケーキはたくさん食べることができるくらい好きってわけじゃないしね。

 ……正直、私はドーナツくらいがちょうどいいんだけどなぁ。

 

 

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「モンブランもうめーな。」

 

「よかった。」

 

「イーピンちゃんもどーぞ。」

 

 あれからしばらくして、自宅の方へと京ちゃん達を連れて帰り、のんびりと私の自室にてティータイム。

 京ちゃんとハル、そして、私はそれぞれ3つずつケーキを買って帰ったので、ケーキは合計9個となった。

 結果、今に居候してるリボーン、イーピン、ランボの3人にもケーキは行き渡り、京ちゃんとハルは、私が買ったケーキのうち2つを分けることで、なんとか彼女達のチートデーを台無しにすることはなかった。

 ……ところで………だ。

 

「なんで大きなランボがいるのかな?」

 

「子供のオレが10年バズーカを誤射したっぽいですね。」

 

「あれま……。全くあの子は……。本来、ボヴィーノのボスから禁止されてるって言ってるくせに、しょっちゅう発射しちゃってるな……。」

 

「オレは嬉しいですけどね。10年前の若く愛らしいナツさんとこうして顔を合わせることができるので。

 10年後のあなたは美しさに磨きがかかっているので変わらず想いを募らせてはいるのですが、どうもあなたの周りにはいつも誰かが必ず側を陣取っているので、独り占めもできませんし、ナツさんはナツさんで、オレのことを子供扱いしてばかりですし……。

 ですが、こっちにいる間だけは、未来とは違い、ナツさんと近い年齢、同じ目線でお話しできるので、とても好きな時間ですよ。

 5分間しかともに過ごすことができないので、なんとも歯がゆいと言うか、終わりが近づくにつれ、すごく名残惜しく思います。」

 

「……サラッとそう言うの言ってくるのやめてもらえるかな?かなり恥ずかしくなるから。」

 

「わざとですよ。今のうちにナツさんに10年後のオレの感情を知ってもらっておけば、いずれ意識してもらえそうですから。」

 

 小さく笑みを浮かべながらそう言ってくる大きなランボに困惑の表情を浮かべる。

 甘い熱を帯びた目を向けられると、どうも顔に熱が溜まるような錯覚に陥るから勘弁してほしい。

 と言うか、10年も想い続けるってかなりのことだぞ……。よく頑張ってるなこの子。

 

「おい、そこの2人組。何イチャイチャしてんだ。」

 

「なんだ?羨ましいのか、リボーン。」

 

「違うぞ。すぐ側でそのやり取りをされるとこっちにまで飛び火するって言ってんだ。」

 

 “京子とハルを見てみろ”と言われ、大きなランボと一緒に2人の方へと目を向ける。

 視線の先にいる京ちゃんとハルは、少しだけ頬を赤らめて、私達に目を向けていた。

 

「……コホンッ……悪かったね。別にいちゃついてるつもりはなかったけど。」

 

「オレはそのつもりでしたが……」

 

「一旦口を閉じようかランボ。」

 

 一刀両断するように、大きなランボに短く告げれば、彼はリボーンを睨みつける。余計な指摘をしやがって……と言わんばかりの表情だ。

 しかし、リボーンはそんなランボの睨みつけなどスルーして、目の前にあるモンブランをもぐもぐと食べる。

 だけど、途中でモンブランを食べる手を止めては、私の前にあるフルーツケーキに目を向けてきた。

 

「そっちは美味いか?」

 

「うん。京ちゃんとハルのおすすめなだけあって、すごく美味しいよ。

 フルーツの酸味と、甘さが控えめなクリームのバランスがうまく取れていて、後味がさっぱりとした食べやすいケーキになってる。」

 

「そうなのか。一口くれ。」

 

「構わないけど……」

 

「ナツのフォークでいいぞ。モンブランの味が混ざったら微妙なことになりそうだしな。」

 

 コーヒーを口にして、口内をリセットしたリボーンに言われるがままに、自身が使っていたフォークでフルーツケーキを一口大に切り、口元へと持っていけば、リボーンはすぐにそれを口に入れた。

 

「こっちもうめーな。」

 

「うん。私みたいに多めのクリームが苦手な人でもしっかり食べることができるよ。」

 

「だな。確かにこれなら、甘いのが得意じゃなくても1つ食えそうだ。オレのも食ってみろ。こっちも割と甘さ控えめだぞ。」

 

 すっと一口大にしたモンブランを差し出してくるリボーンに対して、数回瞬きをしたあと、私は静かに差し出されたそれを口にする。

 リボーンが教えてくれた通り、甘さはかなり控えめで、ちょっぴり大人の味わいだ。

 

「本当だ。こっちも美味しいね。今度機会があったら買おうかな。」

 

「オレも機会があったらフルーツケーキ食ってみるか。」

 

 リボーンと2人で互いのケーキを一口交換すると、大きなランボがムッとしたような表情をする。

 流石にここまで熱烈な告白をされているのだから、彼の好きがどのような好きかは理解できるため、嫉妬かな……なんて考えながら、自分のケーキを食べ進める。

 

 そんな中、イーピンがケーキを不思議そうに見つめて動かない姿が視界に映る。

 あまり食べたことがないのか、じっと見つめて観察しているようだ。

 

「イーピン?どうしたの?」

 

「─────……?」

 

「“これは何?”って言ってるぞ。」

 

「それはミルフィーユと言って、ナミモリーヌの中でも売上人気No. 1なんですよ!」

 

「食べてみて!絶対に美味しいから!」

 

 空気を変えるように、イーピンに声をかければ、やっぱりあまり食べたことないものだったから見つめていたことがわかった。

 イーピンの疑問の声を聞いた京ちゃんとハルは、すぐに食べてみてほしいと彼女に伝える。

 2人の後押しを聞いたイーピンは、目の前にあるフォークを使ってミルフィーユを一口大に切ったあと、恐る恐るそれを口に運んだ。

 その瞬間、その瞳から涙が一筋流れ落ちる。様子から見るに、かなり感動している様子だ。

 

「みんな通る道です。」

 

「やっぱり女の子ねー……」

 

 感動して固まるイーピンの姿に、京ちゃんとハルがうんうん頷く。

 私はそこまで感動すると言うことがあまりないためよくわからないけど、彼女達には共感できるものだったらしい。

 ……なんか自分の感性が浅いのを突きつけられた気がして少しだけ複雑な気分だ。

 でも、どうしても前世からの気質か、感動することが少なくてなんとも言えない。

 

「─────!」

 

 なんてことを考えていると、イーピンが京ちゃんとハルに何かを言う。

 2人はよくわからないと言わんばかりに首を傾げ、イーピンを見つめた。

 すかさずリボーンに目を向ければ、彼は私の視線に気づくなり口を開く。

 

「ケーキのお礼に秘伝の餃子饅を差し上げたい。」

 

「なるほど。……ん?」

 

 リボーンの翻訳を聞き、イーピンがお礼したいことを理解した私は、すぐに短く相槌を打つ。

 しかし、同時に、直感が何かを感じ取ってしまい、巾着に手を突っ込むイーピンを慌てて制止した。

 

「ストップ、イーピン。それ、一般人が食べても大丈夫なもの?」

 

「…………!!?」

 

 私の問いかけを聞き、イーピンは一瞬動きを止める。だが、すぐに何か思い当たる節があったのか彼女は慌て始め、2人にペコペコ頭を下げ始めた。

 

「─────!!」

 

「ん?」

 

「はひ?」

 

「“奈月さんに言われて思い出しました。こちらの餃子饅は、師匠から人に食べさせてはダメだと言われているものでした”……って言ってるぞ。

 よくわかったな、ナツ。お前が止めなかったら、今頃京子とハルが大変だったぞ。」

 

「いや、なんかピンときちゃって……」

 

『『『ボンゴレの超直感か。』』』

 

『開花してることに喜べばいいのか悪いのか……』

 

 背後の方でジョットさんが複雑な表情をする。

 おそらく、自身の血の影響とは言え、力を継承してしまっている私に対して、いろいろ思うところがあるのだろう。

 そんなことを思いながら、考え込むイーピンに目を向ける。何かお礼がしたいけど、何をお礼にしたらいいのかわからないのかな。

 

「だったら、そこの2人に何か作って贈ればいいじゃない。ここには料理が得意な人間が2人もいるのよ?もっとも、ナツキはどちらかと言うとお菓子専門で、私が料理専門って感じだけどね。」

 

 イーピンのお礼の手助けをしようと考えていると、私の自室にビアンキ姉さんが入ってくる。

 すぐに視線を向ければ、目があった彼女は小さく笑みを浮かべる。しかし、視界の端に入り込んだ大きなランボに気づいては、彼の方へと目を向けた。

 

「い゛!?」

 

「ロメオ!!」

 

 ビアンキ姉さんの視線に気づいた大きなランボが顔を青くする。だが、辺りにボフンッと言う音が響き、大きなランボは煙に包まれた。

 程なくして煙が晴れると、そこには小さなランボが……。

 

「ガハハハ!ケーキだ!!」

 

「……気のせいか。」

 

 小さなランボを見た瞬間、瞳孔が開き気味になっていたビアンキ姉さんの表情がいつもの表情に戻る。

 どうやら、入れ替わる時間が終わったらしい。

 

「……ビアンキ姉さん。いつ戻ってきたの?」

 

「ついさっきよ。ママンがいないから、ナツに戻ったことを知らせようとしていたら、餃子饅の話が聞こえてきてね。

 その子達の口の中に餃子饅が入らなくてよかったわね。あれって、一種のポイズンクッキングのようなもので、一説には一個に500万のギョウザエキスが入ってると言われてるの。

 餃子拳の鍛錬を積んだ拳法家だからこそ食べられる代物だから、一般人がそんなものを口に入れたりなんかしたら、数時間くらいで命を落としてしまっていたわよ。」

 

「うん、説明が怪文書過ぎてほとんど理解できないけど、命の危機だったことはよくわかった。」

 

 突拍子もない説明に引きつった笑みを浮かべながら、ビアンキ姉さんの説明に対してツッコミを入れてしまう。

 なんなのギョウザエキスって……。500万も入ってるとか、乳酸菌じゃないんだからさ……。

 

「─────!」

 

「大丈夫よ。例えプロが作ったものでなくとも、ちゃんと感謝の気持ちを込めて作れば、それだけでも十分お礼になるわ。」

 

「─────?」

 

「そうね。ケーキのお礼なら、同じようにお菓子をお礼にするといいかもね。ナツに聞いてみなさい。この子、よく時間を見つけては自分でスイーツを作って1人で食べてるから、お菓子に関しては誰よりも優秀よ。」

 

「ちょ、姉さん!?どこでそれ見てたの!?」

 

「私の目は誤魔化せないわよ。度々キッチンに甘い香りと、洗ったばっかりと思わしきお菓子作りの道具と、ナツが使ってるカップを見かけてるんだから、誤魔化しが効くとは思わないでちょうだい。」

 

「くっそー……ちゃんと口止め料をランボにあげて内緒にしてたのに!!」

 

 今度からファブってやる……!!と拗ねた感情を隠さずに見せていると、クスクスとビアンキ姉さんに笑われる。

 笑うなよとむくれながらそんなビアンキ姉さんを見つめていたら、とてとてとイーピンが近寄ってきた。

 

「─────!」

 

「“お菓子の作り方を教えて”って言われてるわよ、ナツ。」

 

 中国の方の言葉で、何かを訴えるイーピン。そんな彼女の言葉をビアンキ姉さんはすかさず翻訳し、教えてあげたら?と告げられる。

 少しだけ無言になった私は、キョトンとする京ちゃんとハルに目を向けて、静かに口を開いた。

 

「京ちゃん。ハル。まだ時間はある?」

 

「うん!大丈夫だよ?」

 

「ハルも大丈夫ですよ。」

 

「ん。じゃあちょっと待ってて。とっておきのお菓子、用意してくるから。」

 

「とっておきのお菓子!?」

 

「待ちます待ちますすごく待ちます!!むしろ待たせてください!!」

 

「食いつきいいな……。まぁ、いっか。イーピン。おいで。とっておきを用意しに行くよ。」

 

「!」

 

 私の言葉を聞き、見事なまでに食いついてきた京ちゃん達に少しだけ驚きながらも、イーピンに声をかける。

 私の言葉を聞いたイーピンは、小さく頷いたのち、私について来るのだった。

 

 

 *:・゚*.+ ❀ *:・゚*.+ *:・゚*.+ ❀ *:・゚*.+ *:・゚*.+ ❀

 

 

「ん。イーピンが持っていくの?」

 

「!」

 

「そっか。わかった。じゃあ、気をつけて運んでね。」

 

 あれからしばらくして、私はイーピンと一緒にキッチンへと向かい、私がよく作ってるスイーツの中でも、割と簡単な分類に入るパイを教えた。

 本格的に生地を作ると今からじゃ間に合わないため、冷凍のパイ生地を使ったものだけど、これでも十分美味しいのである。

 

「お待たせ。」

 

「─────!」

 

「「わ─────っおいしそう!!」」

 

 とてとてと京ちゃん達の元に、イーピンがパイを持っていく。

 京ちゃんとハルは、イーピンが持ってきたパイを見ては目をキラキラと輝かせた。

 私がイーピンに教えたのは、レモンパイ。甘過ぎず酸っぱ過ぎずのバランスの取れたものだ。

 ただ、普段とは違い、イーピンのお礼と言う枠組みのものなため、私がいつも食べてる四角形や三角形のものではなく、星形のものである。

 

「イーピンから味が悪いものはあげたくないって身振り手振りで伝えられたから、味だけは私が調節したけど、それ以外は全部イーピンがやったものだよ。

 奈月直伝オリジナルレモンパイ。くどくない甘さを目指した結果できた甘酸っぱさによりさっぱり目のものではあるけど、甘いものが大好きな人でも美味しく食べられるよ。人数分作ったからみんなもどうぞ。」

 

「─────!」

 

「“とても美味しいケーキをありがとうございました”って言ってるぞ。」

 

 私の説明と、リボーンの翻訳を聞いた京ちゃんとハルは、それぞれ星形のレモンパイに手を伸ばし、口に運ぶ。

 

「「美味しい─────っ」」

 

「こっちもうめーな。ナミモリーヌのケーキも美味かったが、オレはこっちの方が好きだぞ。」

 

「ある意味大人向けのレモンパイね。私もこの味好きよ。」

 

 一心不乱に笑顔でレモンパイを食べるランボ以外のメンバーが味の感想を言ってくれる。

 その姿に私とイーピンは顔を合わせて笑顔でハイタッチ。私が好きな味付けだったんだけど、どうやらみんなにも好評だったらしい。

 

『羨ましいものね……オレ様もナツのレモンパイ食べたい……』

 

『……それは、この場にいるメンバー全員が思ってることだと思うぜ。』

 

『今度我々も作ってもらいましょうか。実体化していれば食べることができそうですし。』

 

 ……何やら後日作らされそうな気配を察知。

 勘弁してくれ初代組。

 

 

 




 沢田 奈月
 実はスイーツ作りが大得意だったボンゴレ10代目。
 得意になった経緯は、店のケーキは少々甘過ぎるため、自分好みの甘さのケーキを作ろうとした結果だった。
 簡単なものから本格的なものまで作るらしく、よく人がいないタイミングを見計らい、自作でスイーツを作っては食べていた。
 ランボには口止め料として、作ったお菓子を渡していたが、甘い匂いのせいでビアンキにバレていた。

 京子&ハル
 チートデーにケーキいっぱい食べる同盟が成立した2人組。
 ナミモリーヌのケーキはもちろん好きだけど、奈月オリジナルの甘さ控えめレモンパイも好きになった。

 イーピン
 京子とハルの2人に劇薬レベルの餃子饅を危うく食べさせてしまう寸前だった修行中の女の子。
 奈月に味付けを手伝ってもらいながらも、彼女のオリジナルレモンパイを作りあげ、2人に食べてもらった。
 あとで自分も食べてみたら、ものすごく美味しかった。(奈月は素人作と言うが、プロ並みに味はいい。)
 星形パイを提案したのはイーピンだった。

 リボーン
 奈月の意外な特技にびっくりしたヒットマン。
 食べたパイはかなり食べやすい甘さだったので気に入った。

 ビアンキ
 お出かけしていた毒サソリ。
 奈月の鋭さには感心以外何も浮かばないため、もはや褒めることしかできない。
 奈月オリジナルのレモンパイはかなり食べやすいさっぱりしたものだったため気に入った。

 ランボ
 実は奈月がお菓子を作ってるのを知っていたし、口止め料にお菓子を分けてもらってた男の子。
 ケーキ屋さんのケーキも好きだけど、ナツが作ったケーキはもっと好きだもんね!とは本人談。
 大きな自分が奈月を口説こうとしてることは知らない。

 初代組
 何あれ羨ましいなー………(奈月特製レモンパイを見つめながら)


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