最強の愛され系ボンゴレ♀は、今を全力で楽しみたい   作:時長凜祢@二次創作主力垢

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とある師弟の共同戦線

 それはある日の夕方の話。

 いつものように、風紀委員の仕事をこなして学校から帰宅した時のこと。

 

「「「「そいつぶっ殺ス!!!」」」」

 

「は!?待て待て待て待て!!地元で犯罪を犯そうとするんじゃない!!」

 

 帰宅して早々、物騒なことを言って殺気立っている居候組を見つけた私は、慌てて家の中にかけこむ。

 いったい何があって殺気立ったんだこの四人組!!

 

「ちょっと、何があったわけ!?」

 

「あ、なっちゃん。実はね……」

 

 急いで4人を止めながら、キッチンで困っていた母さんの元に駆け寄ると、何があったのかを教えてくれた。

 どうやら、今日買い物に行ったところ、カバンに入れていたおサイフが無くなっていたようで、おそらくスられてしまったとのことらしい。

 その話を聞き、そう言えば、恭弥さんから最近並盛でスリやひったくりが多いことを教えられたことを思い出す。

 母さんはどうやらそれにあってしまったようで、今日の夕飯がないから困っていたらしい。

 

「なるほどね。事情はよくわかった。だけどそこの居候組。暗殺はやめてくれるかな?私が買いだめしていたカップ麺あげるから。」

 

 とりあえず、どう言う状況にあるのかを教えてもらった私は、まずは殺気立っている居候組を宥めるために、今日の夕飯はカップ麺でなんとか凌いでくれと伝える。

 すると、殺気立っていた居候組の殺気が霧散して、いつもの空気が戻ってきた。

 

「私とんこつ。」

 

「オレ、ミソだぞ。」

 

「オレっちシーフード!」

 

「─────!」

 

『小さな彼女は醤油が食べたいみたいだな。』

 

 4人の意見を聞いた私は、すぐに買いだめしていたカップ麺を取り出して、それを配った。

 居候組はすぐに私が手渡したカップ麺を受け取り、お湯を沸かし始めた。

 それを見ながらソース焼きそばを2つ取り出して母さんに渡せば、彼女は笑顔を見せてくれた。

 

「心配ねーからな、ママン。明日からはスられないように護衛してやるぞ。」

 

「まあっ!ありがとう!頼もしいわ〜〜!」

 

「もちろん、ナツもやるんだからな。」

 

「……風紀委員の仕事がなければね。」

 

「まぁ、それは仕方ねーな。だが、なるべく早く終わらせてくれ。また被害に遭ったらめんどくさいからな。」

 

 リボーンからの言葉に素直に頷く。

 まぁ、母さんの側には少しでもしっかりした人間がいた方がいいからね。今回ばかりは引き受けよう。

 でも、仮に明日はなんとかできたとしても明後日や明明後日と心配要素はかなりある。

 なるべく、明日のうちになんとかしたいところだけど……あ……。

 

『うん?ああ、言わなくても結構ですよ。何がしたいのかすぐにわかりました。』

 

 少しだけ考えた末に、私はDさんに視線を向ける。

 それにより彼はすぐに私の言いたいことを理解したようで、口元に笑みを浮かべながら、静かに頷いた。

 目蓋を一回ゆっくり閉じて開くことにより、感謝の気持ちを伝えた私は、すぐに思考を回す。

 どうせなら、一変怖い目にあってもらって、反省させた方がいいだろうしね。

 

 

 *:・゚*.+ ❀ *:・゚*.+ *:・゚*.+ ❀ *:・゚*.+ *:・゚*.+ ❀

 

 

 翌日。

 風紀委員の仕事を終え、自宅の方へと戻れば、リボーンから買い物に行くと声をかけられる。

 すぐにそれに頷いて、制服から私服へと着替えた私は、母さんの買い物に同行する……が……なんか母さんの前をちびっ子が殺気を纏いながら歩き、母さんの後ろでも美人が殺気を放つと言うヤバい絵面となっており、私は無言でそれを見つめた。

 

『殺気立ち過ぎでは?』

 

『食事は生きるために必要なことで、それを買うためには金銭が必要なのもわかるが、ここまで殺気立っていたら目立たないだろうか?』

 

『一般人に殺気なんかわかるわけねーだろ。その証拠に周りを見てみな。微笑ましいって目しか向けられてねーぞ。』

 

『て言うか、結局ナツキの親、サイフをスられてるじゃないか。』

 

『あなたがフラグなんか立てたからでは、アラウディ?』

 

『……その言葉どこで覚えたわけ?』

 

『ナツキがたまに口にしていて、意味を聞いたのですよ。言ったことが程なくして起きることをフラグ回収と言うそうですね。』

 

『ふーん?ナツキの前世って変な言葉がある場所だったんだね。』

 

 ……前世の癖でネットスラングをたまに口にしてしまうことがあったけど、変なところで影響を出してしまった。

 まさか、Dさんがその言葉使うとは思わなかったよ。

 

「リボーン達、ちょっと幅を取りすぎじゃないかな?」

 

 そんなことを思いながら、幅を取って歩くリボーン達に声をかける。

 人の邪魔になったらいけないし、何より目立つから。

 

「これくらいしねーと護衛になんねーからな。……ん?」

 

 私の注意を聞いたリボーン。しかし、彼はあっけらかんとしてこれが護衛だと口にする。

 しかし、何かを見つけたようで、彼の視線は別のところに向いた。

 

「……ママン。ここのコーヒー豆のコーヒーが飲みてーぞ。」

 

「いや、おねだりかよ。」

 

 どうやら、たまたま視界に映り込んだコーヒー店が気になったようで、彼は悪びれもなくその店を指差し、母さんに声をかける。

 

「じゃあ、買っていきましょうか。」

 

 しかも母さんはそのおねだりをあっさりと承諾してしまった。すると、それを聞いた護衛メンバーが一瞬動きを止め、すぐに行動を取り始める。

 

「ランボさんはソフトクリーム!!!」

 

「はいはい。しょーがないわね───。」

 

「─────!!」

 

「イーピンちゃんは甘栗が食べたいのね───。」

 

「私にも何か……」

 

「─────!!」

 

「コーヒーが先だぞ。」

 

「ソフトクリーム!!!」

 

「……………なんなわけこいつら。」

 

『ナナの将来が急激に心配になってきたんだが……?』

 

 リボーンのおねだりを境に、一気におねだりをし始めた居候組に引きつった表情になる。

 普通、居候してる家の主にここまで遠慮なしにおねだりできないよね?だってその家の出費になるんだよ?

 なんで?普通は遠慮するところでは!!?

 

『ナツキが倒れそうになってる。』

 

『そりゃなるだろ。』

 

『あまりにも遠慮がなさ過ぎて私までドン引き案件なのですが?ここは普通、遠慮するところですよね?』

 

『もしくは、自腹を切るのが正解だろ。人の家の金をなんだと思ってんだナツキの家に居候してる連中は。』

 

『それに対して素直に応じてしまうナナもナナだな……。優し過ぎるというのも考えものな気がするぞ……』

 

『優しさと甘さを履き違えていたあなたが言えることではないと思いますがプリーモ?』

 

『てめぇ……まだそんなこと言ってやがるのか?』

 

 ……あれ〜………?

 なんか背後にいる初代組からちょっと不穏な空気が……。少しだけ体感温度が下がった気がするから勘弁してほし…………ん?

 

「………Dさん。」

 

『ええ。どうやら釣れたみたいですね。ド天然過ぎるのも考えものではありますが、そのマヌケさ……いえ、無防備さに今回は感謝しなくては。』

 

「サラッと人の親ディスらないで?」

 

 Dさんの発言に軽くツッコミを入れながらも、私はある場所に目を向ける。

 それは、一つの喫茶店。そこから嫌な視線をハッキリと感じ取ることができたため、リボーン達や、店内にいる人間にバレないように目を向ける。

 そこにいたのはメガネとスーツの男に柄の悪そうな男、そして、長髪の男である。

 その3人組は、確かに母さんのことを視線で捉えており、下卑た笑みを浮かべていた。

 

「いたのは3人。メガネとスーツの男に、柄の悪そうな男、引きこもりしてそうな根暗な男の3人組。」

 

『口の動きから、“間違いない。昨日スったカモ女だ”、“あの女ためそーとーついてないよな”、“犯罪3兄弟にまたあっちまうとは”って言葉が読み取れたよ。』

 

『犯人で間違いなさそうだな。』

 

『長髪の男の口の動きから、“昨日同様、オレが行くぜ兄貴”、“このスリの三郎がな”と言う言葉も読み取れた。

 どうやら、ナナは昨日、あの男にサイフを盗られてしまったらしい。と言うか、なんだスリの三郎って。』

 

『犯罪3兄弟と言うのもダサ……いえ、なかなか自己主張の激しい個性的な兄弟名ですね。』

 

「……なんで口の動きから言葉がわかったの、ジョットさん、アラウディさん。」

 

『『読唇術』』

 

「……フィクションの中だけかと思ったよそれ。」

 

 サラッととんでもない技術を披露してくれやがりました初代組の2人にツッコミを入れながらも、先程喫茶店の前を通った際に把握した3人組の気配を探るために少しだけ集中する。

 すると、3人組の1人が喫茶店から外に出て、こちらのあとを追ってくる気配を感じ取る。

 ジョットさんが言っていた、3兄弟のうち、スリを得意としている末弟が出てきたのだろう。

 

 気配は徐々に近づいてきている。少しだけ嫌な視線を感じ取れたため、母さんの状況を把握しているのだろう。

 

「Dさん。」

 

『ええ。では、手はず通りに。大丈夫です。悪いようには致しませんよ。』

 

『チッ……本当にやる気かよ。』

 

『当然でしょう?ですが安心してください。確かに今回は、私とナツキが共謀するわけですが、悪さは絶対にしないと誓いますよ。

 ですので、そこまで警戒しなくても問題はありません。まぁ、それでも気に食わないと言うのであれば、監視でもしていたらどうですか?』

 

『言われなくてもするよ。全く……ナツキ。あまりこいつに気を許さない方がいいよ。自分の身を守るためにもね。』

 

「それくらいはわかってる。Dさんが危険因子なのは、嫌でも理解できるから。

 でも、今はこれが手っ取り早いんだよ。だって、その方が強く出れるから。」

 

『ヌフフフ……やはりナツキは利口ですね。必要とあれば力に手を伸ばすのは非常に好ましい。』

 

『……もし少しでも妙なこと見せたら、ただじゃおかねーからな。』

 

『どうぞご勝手に。……ナツキ。始めますよ。』

 

「うん。」

 

 Dさんの言葉を聞き、私は自身の優先精神を“私”から“わたし”の方へと切り替えるために目を閉じる。

 同時にわたしの肩にはDさんの手のひらが触れ、そして……

 

『いい子ですね。そのままの精神を保ってください。すぐに終わります。』

 

 彼の唇がわたしの額に軽く触れた瞬間、わたしの意識は暗く閉ざされ、まるで霧に包まれたかのような感覚と静寂さに飲み込まれた。

 

 

*:゚+。.♠︎.+*♠︎⡱:゚♠︎*:゚+。.♠︎.+*♠︎⡱:゚*:゚+。.♠︎.+*♠︎⡱:゚

 

 

 意識の浮上を確認し、かつての術士は目を覚ます。ゆっくり閉じていた目蓋を開けば、霊体の状態でも見えていた景色が近くなっていることを理解する。

 どうやら成功したようだ……そんなことを思いながら、かつての術士はほくそ笑む。

 しかし、すぐに気づかれないように、体の持ち主の記憶をたどり、普段の少女を演じる準備を行う。

 その際かつての彼女の前世の記憶が見え、悲惨な結末の記憶も把握したが、今はそんなことを気にすることなく、少女の振る舞いや口調を静かに学んだ。

 

 ───……多重の精神構造……それに気づいた時点で理解はしていたつもりですが、ここまで安定するとは思いませんでしたね。

 ですが、それは逆に好都合。器としてはまだ不十分ではありますが、このまま術士としての技術を学ばせていけば、いずれ完成された器になりそうです。

 とは言え、こちらは最終手段として利用するつもりですし、しばらくは様子を見るとしましょう。

 教えたことを取り入れる貪欲さは、私の理想を完成させるに相応しいので。

 

 少しだけ考え込むように、現在の大空の子供の状態を把握する。

 それによりいつかは器として利用することが可能であることを理解して、術士は笑い声を漏らしそうになった。

 だが、すぐにそれはなんとか抑えて、先程眠らせた少女の精神状態を把握する。

 いざと言う時以外は、基本的に彼女の意思に任せるつもりであるため、傷ついてないかを把握するために。

 

 ───……どうやら、穏やかに眠っている状態のようですね。これなら、彼女の精神に何かしらの支障が出ることはないでしょう。

 しかし……なんですかね、この精神。何度か私以外の誰かが干渉した形跡があるようですが。

 

 もしや、自分以外にも少女の精神に干渉することができる存在がいるのだろうかと首を傾げる。

 だとすれば、その存在を優先的に狙うべきか……前世で何度も傷つきながらも我慢して、誰かのために動いていた、それなりに気に入っている弟子の側に立ち、口出しできる立場になれるのだが……などと考えながら、少女の精神世界から意識を遠ざける。

 現在の主導権は自分自身。ある種の試運転も兼ねて、かつての術士、D・スペードは、自身の力を利用して、周りからは手にしている大鎌を見えないようにする。

 

「さて……始めましょうかね。幻術の使い方……その記録があれば、この子の力をもっと引き出せそうですし……」

 

 人々の喧騒に紛れ込ませるように小さく呟いた言葉は、D以外の人間に届くことなく世界に溶け込む。

 大空の子供はそのことに笑みを浮かべながら、手元にある大鎌の柄の先にある刃へと霧の炎を纏わせて、全てを飲み込むようにして、その場に幻術を発生させた。

 大空の子の身内と街行く人々には、大空の子が消えたことを把握させないように細工をして、スリを行おうとした男には、ある場所へと誘導するための細工を施すように。

 

「やはりナツキの霧の波動は、大空程ではないようですが、それでも霧の守護者に匹敵するレベルの高純度のようですね。

 おかげで私も強力な幻術を使用することができる……。ヌフフフ……ボスとしての力を持ち、同時に術士としての力も高レベルとは素晴らしい!

 唯一の欠点を挙げるとするなら、霧と大空を併用することができず、私自身も大空を扱えないところですが……これだけ両立した力を扱えるならば、併用する手立ても見つかる可能性はありますね。

 まぁ、そこら辺の課題はおいおいと克服していけばいいので、今は幻術の扱い方を教えましょう。

 目を覚ました時にでも、この場で学んだことを吸収しきってくださいね。私の弟子ならばできるはずですから。」

 

 幻術により自身の姿を消し、言葉を紡いだ霧に飲まれた大空の子供は、片手に大鎌を持ったまま踵を返す。

 彼女と彼が向かうのは、今から行う一つのショー……それを完成させる場所。

 

 少女の美しい琥珀色の瞳……その片割れには一瞬だけ、ほのかに輝くスペードマークが浮かび上がった。

 

 

 




 沢田 奈月
 殺気立った居候組を慌てて止めた時、自身の母親がスリにあったことを知り、なんとか居候組を宥めながら、これからのことを考えたボンゴレ10代目。
 のちにDと立てた作戦により、一時的に霧に飲まれることになる。

 D・スペード
 10代目の大空の子供を一時的に眠らせ飲み込んだ元初代の霧の術士。
 奈月に憑依した時にどのような力を発揮できるか、試運転も兼ねて今回の作戦を彼女と立てた。
 なお、彼女に憑依した際、その前世の悲惨な過去を見たため、しばらくは彼女の好きなようにさせ、彼女の意思による行動をサポートすることを決め、今回行った霧の憑依は、あくまで最終手段として使うことを決める。
 奈月の精神に干渉する何者かの気配には気づいているが、今は探るつもりがない。
 憑依時の奈月の肉体との相性は、自身の力を遺憾なく発揮できるくらいにはいいらしい。

 沢田 奈々
 サイフをスられてしまった奈月の母。
 居候組のおねだりを叶えるのは、護衛をしてくれるお礼のつもりなのだが、奈月や初代組からはかなりドン引きされていた。

 居候組
 ママンのスった野郎絶許!!と殺気立っていた居候達。
 Dが仕掛けた強力な幻術の細工により、奈月の変化には気づいておらず、彼女が姿を消したことも把握していない。

 初代組
 奈月とDが立てた作戦には全体的に反対なのだが、手っ取り早いからと奈月が承諾してしまったため不満ながらも見守ることにした初代ファミリー。
 奈月を利用し、妙なことをしようものなら引き摺り出してぶっ飛ばす考えでいる。

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