最強の愛され系ボンゴレ♀は、今を全力で楽しみたい   作:時長凜祢@二次創作主力垢

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霧包(むぼう)のその後

 聞きなれた目覚まし時計の音に意識が浮上する。それに従うように体を起こした私は、すぐ側にあった目覚まし時計を無言で止め、ゆっくり目蓋を開けた。

 

「……幻術の使い方とその応用と一緒にかなりのえげつないホラーゲームをさせられてる犯罪者3人組の記憶が残されてる気がするんだけど?」

 

『そうですか?気のせいではないでしょうか?』

 

「気のせいじゃないだろ。」

 

 目を覚ました瞬間、記憶に焼きついた幻術の使用方法と、それにより恐怖のどん底に陥れられていた3人の犯罪者の姿に、ため息を吐きながら、すっとぼけるDさんに目を向ける。

 

「身内の幻覚を利用したり、負の感情を揺さぶることで精神的なダメージを与えたり……幻術ってやっぱ、使い方によってはかなりやばい能力だな……」

 

『それを使いこなせるようになれば、一人前の術士です。どんな状況でも打破することができるようになるでしょう。

 まぁ、もちろん術士同士の戦闘になった場合は完全なる心理戦となりますので、まだ難しいでしょうが、術士以外ならば、かなり通用する精神攻撃となります。』

 

「特に情に厚い人間には、かなりの効果がある……」

 

『ええ。例えば、大切な兄弟や友人などの姿を幻覚で見せることにより、動揺を誘ったり、トラウマとなっている存在を幻覚で見せることによりトラウマを再発させたり……相手の情報を知っていれば知っている程手札が増えていくので、たくさん情報を持ち合わせておくのも一つの手かと。』

 

「なるほどね……。」

 

 Dさんから、幻術による戦闘方法をレクチャーしてもらいながら、残された記憶をしっかりと頭の片隅に入れておく。

 必要な時に使える手札は多いに越したことがないから。

 

「そう言えば、あの犯罪者達はどうなったわけ?」

 

『ヌフフフ……それは、本日のニュースと、ナツキの母君から把握できると思いますよ。』

 

「…………。」

 

 心底楽しげに笑っているDさんの姿に無言になりながらも、私はベッドから床に降りる。

 ……幻術の記憶以外、妙にモヤモヤと曖昧な状態なんだけど、私、どうやって寝たんだ?

 

『そうそう……あの3兄弟にきっちりと嫌がらせをしたあと、ナツキにはマインドコントロールを使用して一日のルーチンを終わらせるようにしておいたので、普段以上にボーッとしてるかもしれませんが、しばらくしたらいつも通り生活できるようになるので安心してください。

 食事や宿題などはなんとか私でもこなせましたが、流石に嫁入り前の少女の体を見るわけにもいかなかったので。』

 

「……ご親切にどうも。」

 

 ……食事と宿題を終わらせることはできたって、どれだけの間この術士は私に憑依していたんだ………。

 

 

 *:・゚*.+ ❀ *:・゚*.+ *:・゚*.+ ❀ *:・゚*.+ *:・゚*.+ ❀

 

 

 いろいろ思うところはあれど、とりあえず一階に降りてみたら、母さんの鼻歌が聞こえてきた。

 明らかに上機嫌であることがわかるそれに気づき、不思議に思いながらキッチンへと向かってみると、普段より豪勢な朝食ができていた。

 

「うっわ何これ?」

 

「あ、なっちゃ〜ん!おはよう!」

 

「包丁持った手を振らないの。ってか何があったのこれ?」

 

 危なっかしい母さんを注意しながら、何があったのか問い掛ければ、彼女はニコニコと笑いながら、私に何かを見せる。

 それは、スられていた母さんのサイフ。それにより大切なサイフが戻ってきたことを喜んでいたのだと理解できた。

 

「実はね、私のサイフを盗った人が自首しにきたみたいで、その時に私のサイフや多くの人のサイフが証拠として提示されたらしいのよ!

 それで取りに行ったらね。なんと、サイフの中身が手付かずだったの!もう嬉しくって、朝からご飯、奮発しちゃったわぁ。」

 

「なるほどね……」

 

 母さんの言葉に相槌を打ちながら、テレビの電源をONにする。

 すると、ちょうど並盛を騒がせていたその犯人達が捕まったと言う報道が放送されていた。

 

[なお、犯人達は精神的に摩耗しているような状態で見つかり、時折原因不明の精神疾患を発症し、幻覚や幻聴などに襲われている様子があるとのことらしく、違法薬物の使用なども疑われているもようです。]

 

「…………………。」

 

「まぁ……お薬を使っていた可能性があるのね……。なっちゃん。絶対に違法なお薬に手を出したりしてはダメよ?」

 

「………はーい……。」

 

 母さんの言葉に引きつった笑みを浮かべそうになりながらも、間伸びした返事を口にしてDさんがいる方角へと目を向ける。

 しかし、Dは私のもの言いたげな視線に気づかないふりをしているのか、自身が愛用している大鎌の手入れを呑気にしていた。

 

『……おい、ナツキ。Dの野郎、ナツキに憑依して犯人に何やらかしたんだ?』

 

「……幻術によるスプラッタ&ホラーの追体験フルコースかな。」

 

『意味がわからないんだけど?』

 

『ええ……?本気でアイツ何やっちゃったの……?』

 

『相当なことをやらかしているのは間違いないだろうな。』

 

『Dのやることは、私達には決して理解できそうにないでござるなぁ』

 

『と言うか、究極にナツキは大丈夫だったのか?かなりの時間、Dに憑依されていたのだろう?』

 

「なんとか大丈夫。でも、Dさんが残してくれやがった幻術の使い方と言う名のとんでもホラーゲームによる精神ダメージを受けた犯罪3兄弟とやらは哀れだとしか言いようがないかな。

 私が頼んだことで発生した嫌がらせイベントだから、間接的に“わたし”もやらかしてるんだけど。」

 

 冷静に考えてみれば、私がDさんに頼まなければこんなことにはならなかったのか……なんてことを思いながら、豪勢な朝食を口にする。

 うん、ご飯はすごく美味しいけど、これ、全部食べ切ることができるかな……。

 

 

 

 




 沢田 奈月
 Dの憑依から解放され、日常生活に戻ったボンゴレ10代目。
 うちの師匠やることがえげつない……とドン引きしていたが、冷静に考えたら自分が頼んだからこうなったのか、と遠い目をした。
 一般人に幻覚ってかなりやばい作用を引き起こすんだな……と考えながらも、Dが残した幻術の応用方法はしっかりと記憶にインプットした。
 骸にバレたらなんかまずい気がしたので、頭の片隅にそれは追いやるつもりでいる。

 D・スペード
 奈月に憑依し、やることをやったあと、彼女の裸体を見ないようにとマインドコントロールと幻術によるカバーでその日のルーチンは彼女本人に終わらせた元初代ファミリー。
 奈月に憑依した際、自身の力を遺憾なく発揮することができることがわかり上機嫌だが、大空の炎はやはり使えませんか……と少しだけがっかりしている。

 D以外の初代
 何やったんだこの霧男………。(ドン引き)

 沢田 奈々
 おサイフが戻ってきた上、お金も手付かずだったことにより上機嫌で料理を量産しまくっていた奈月のお母さん。

 犯罪3兄弟
 その後、彼らは定期的に精神科に通うのであった……。

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