怪異友愛録 −金井正則の幽霊事件簿− 作:unknown505
二人が医務室を出ると、廊下で等と黒いタンクトップに赤いノースリーブの上着という軽装をした男が会話していた。
等「ん?二人共、もう大丈夫なのか?」
正則「はい、もう大丈夫っす。」
美琴「私も大丈夫です。」
「・・・おおっ!君達が今回の事件に巻き込まれた子かい!?こりゃあ・・・中々の男前とべっぴんさんだ!どうだい?今から俺と事件の事でも交えながらゆっくりお茶でも!」
男はナンパのような言葉を並べながら2人に近づこうとするが等が男を静止させ、正則は美琴を背後に隠れさせようとする。
等「おい、剛・・・俺の言ってる意味が解らなかったのか?お前、今日から出入り禁止な。」
「そりゃあねぇってもんだよ!俺は事件の真相を世間につたえるべくなぁ・・・」
正則「・・・えっと、氷室さん・・・この人が・・・?」
等「いやこいつじゃないよ。済まないな二人共、気を悪くしないでくれ・・・。」
剛「俺は新聞記者の「加賀剛(かがつよし)」ってもんだ!よろしくな!」
正則・美琴「「・・・・・・」」
等「二人共、ご存知の通り物騒な世の中だ。よかったら最寄りの駅まで送るが・・・」
剛「おいおい、物騒ってのは俺の事かぁ?冗談きついぜ。」
美琴「大丈夫です・・・正則君がいるから・・・。」
正則「お気遣いありがとうございます、2人で帰れますんで大丈夫っす。」
そう言って二人は廊下を歩いて階段を降りていき入口まで向かっていった。
等「・・・お前のせいだぞ、剛。」
剛「・・・すまん。」
−菊川警察署 1F−
二人が1階へ降りると警察署の駐車場入口で複数のカメラやマイクを持った人だかりが出来ていた。
美琴「・・・由佳の事件の事、なのかな・・・」
正則「多分そうだろう・・・マスコミとかメディアはホント空気読めねぇからな。」
「おーいそこの君!」
正則「ん?」
二人が入口を眺めていると一人の青年が声を掛けてくる。
真純「君達が氷室さんの言ってた正則君と美琴ちゃんだね。俺は「梶真純(かじますみ)」正則君が持っていた武器を預かってたんだ。ちょうど届けようと思っていたんだ。」
正則「あなたが武器を持っていたんすか。ありがとうございます。」
真純「気にしないで良いよ。それとあそこの入口からは出られないし裏口使っていいよ。」
美琴「ありがとうございます。」
真純「気を付けてね。」
そう言って二人は警察署の裏口から外に出て菊川駅へ向かった。
−菊川市 田舎道−
菊川警察署を出て、田んぼが広がる田舎道を二人は歩いていた。
正則「っ・・・ヤベぇ、迷っちまったかもしれねぇ・・・。」
美琴「どうしよう・・・もしかしたら人がいるかもしれないから人がいたら聞いてみた方がいいかも。」
正則「だな。・・・おっあそこで田植えしてる人がいるな。」
そう言って二人は田んぼを回り一番近い位置で田植えをしている老人に話しかける。
正則「あの、すいません。ちょっといいですか?」
「・・・ん?どげんしたとねあんたら。」
美琴「実は道に迷ってしまって・・・菊川駅に行くにはどうすればいいですか?」
「菊川駅なら、ここから西の方向だよ。」
美琴「えっ?」
正則「マジか・・・」
そう言って老人は二人が歩いてきた道と逆の方向に指差す。
「こっから先は畑しかなかばい。駅に行きたいなら元の道に引き返した方がよかよ。」
美琴「そうなんですか。」
正則「助かります。ありがとうございます。」
美琴「ありがとうございます。正則君行こう。」
正則「ああ。」
そう言って二人は元来た道を引き返す。だが、正則はある違和感を感じとる。
正則「・・・・・・んっ?」
美琴「正則君どうしたの?」
正則「・・・・・・あの自販機、さっきも見たぞ。」
美琴「・・・そういえば。」
正則「んで歩いてると、まるで俺達を待っていたかのように霧が出てきてるんだ。何かおかしい・・・」
美琴「さっきのおじいさんまだいるかな?いたら聞いてみよう。」
正則「迷惑かもしれねぇけど・・・背に腹は代えられないな。」
二人は先ほどの畑へ向かう。すると畑仕事を終えた老人が道具の片付けをしていた。
正則「あ、いた。」
美琴「あの、すいません。」
「ん?またあんたらか。一体どうしたの?」
正則「何度もすいません、ただ聞いてもらいたいことがあって・・・」
「聞いてもらいたいこと?」
美琴「はい、あの・・・驚かないで聞いてください。こういうと変なんですが・・・同じところをぐるぐる回ってるんです。」
「・・・は?」
正則「・・・正直、俺らも混乱してるんです。どんだけ歩いても、おんなじ場所に戻ってくるんすよ。」
「そらアンタ・・・狐に化かされとるんじゃなかね。ハッハッハッ!!」
美琴「本当なんです!信じてください!」
「嘘はついてなかそうやねらそんなら・・・ちょいと様子ば見に行こうかね。」
正則「お手間取らせてすいません、お願いします。」
そう言って老人と共に道に出て辺りを見渡す。
「確かに・・・空気が嫌な感じばい・・・。」
美琴「どんなに歩いても・・・絶対にここに戻ってくるんです・・・。」
正則「今気づいたんすけど、風の感じも生暖かい・・・。この辺りじゃあよくあることなんすか?」
「いや・・・風が生暖かいのは初めてだね。ただ田舎では稀にこげな変な事が起こる。」
正則・美琴「「・・・・・・」」
「ま、ワシらにはどうしようもないことだって。こういう変な事は放ってくのが一番よか。事が収まるまで、ワシの家で寛いでいきんさい。お菓子くらいは出せるばい。」
正則「そうっすね、助かります。」
そう言って、正則は老人についていくが美琴はその場に佇んだままだった。
正則「ん?美琴どうした?」
「お嬢ちゃん、どげんした?」
美琴「あの、大した事じゃないんですが・・・あそこに、なんだか「白いモヤ」みたいなものが・・・正則君分かる?」
正則「ん?言われてみれば・・・確かに、何かモヤみたいなのが見えるな・・・。」
二人が見えた白いモヤは田園の中央付近でゆらゆらとうごめいていた。
「ん?どれどれ、メガネをかけて・・・」
正則「あそこなんすけど、見えます?」
「・・・・・・」
美琴「・・・?」
正則「・・・どうしたんすか?」
「・・・わカらなイ、ほウがイい・・・」
美琴「えっ?・・・ヒッ!?」
正則「なっ!?」
すると白いモヤを見ていた老人が片言の言葉を話した途端、不気味な笑い声を上げて走り回りどこかへ走り去る。
美琴「な、なんだったの今の・・・!?」
正則「っ!?美琴ぉっ!!」
美琴「えっ?」
遠くにいたはずの白いモヤはとんでもない速さで美琴に急接近していた。
正則「くそっ!食らえぇ!!」
正則は素早く拳銃を取ると白いモヤ目掛けて銃を撃つ。弾丸は白いモヤに当たり、叫び声を上げた。
正則「美琴!大丈夫か!?」
美琴「だ、大丈夫・・・!」
正則「それはよかった、怯んだ内に逃げるぞ!!」
美琴「う、うん!」
そうして正則は美琴の手を繋いで、再び新たな怪異との逃避行を開始する。