怪異友愛録 −金井正則の幽霊事件簿−   作:unknown505

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第5話

くねくねの襲撃を躱し、神社に到着した二人は神主に今後の行動を問いかける。

 

正則「爺さん、俺達は今後どうしたらいいか教えてくれ!」

 

美琴「お願いします!教えてください!」

 

神主「・・・もうすぐ日が暮れる。そうすれば、奴らは人の目を欺きあちら側へ引き潜るであろう。」

 

美琴「そんな・・・!」

 

神主「あの女・・・あの女を止めねばならぬ。」

 

正則「あの女・・・っ!あのイカれたババアか!」

 

神主「人の思い込みというものは恐ろしいものよ・・・。だが、それが奴等の原動力なのだ。あの女の狂気は訳が違う・・・何せ、奴は過去に人を「殺めて」おるのだからな・・・。」

 

美琴「えっ・・・!?」

 

正則「やっぱりか・・・」

 

神主「お主は気づいておったみたいだな。」

 

正則「まぁ、あんなイカれ具合を見たら真っ先にそれが浮かんだ。他の可能性もあったがあのババアの目は、人を殺した時の目つきだったよ。」

 

美琴「(正則君、やけに詳しい・・・。そういえば正則君、昔から過去を話したがらないし何かあったのかな・・・。)」

 

神主「なるほど・・・お主らはまだ廃工場の奥は見ていないであろう?」

 

美琴「はい・・・あの時はおばさんがいたんで・・・」

 

正則「・・・あん時は口に出さなかったが、あのババアの後ろに若干抜け道があったんだ。多分、あしらわれたな。」

 

美琴「やっぱりあのおばさん、何か隠してたんだ。もしかしたら・・・」

 

正則「・・・その可能性はある。最悪の場合、見たくないもんがあるかもな。爺さん、今なら道は開いてるのか?」

 

神主「うむ、今なら道は開いている。意を決したのなら行ってみると良い。だが気をつけろ・・・あの女は、最早何をしでかす化分からぬ。危険だと思ったならばすぐにこの神社へ引き返してこい。」

 

正則・美琴「「・・・分かりました。」」

 

そう言って二人は廃工場への道を再び歩む。その際、正則は美琴が若干震えている事を察し、手を繋ぐ。

 

美琴「・・・正則君。」

 

正則「大丈夫だ美琴、俺がついてる。何があってもお前を守る。」

 

美琴「・・・うん、ありがとう。・・・っ!正則君!」

 

正則「出やがったかくねくね!オラァっ!!」

 

美琴「えっ!猟銃が効いてない・・・!」

 

正則「時間が経って耐性が付いたか!美琴!担ぐぞ!」

 

美琴「えっ、きゃっ!?」

 

正則は美琴をお姫様抱っこで担ぎ廃工場まで一目散に走る。

 

正則「唐突にすまねぇ美琴、この方が効率が良くてな。」

 

美琴「それは、そうだけど・・・・・・っ!来たわ!」

 

正則「ちぃっ、来やがったか!オラァっ!!」

 

廃工場に付いた正則はくねくねが接近してくるタイミングで鉄パイプを持ち、壁に設置されていたパイプ目掛け思い切り振りかぶる。パイプは大きな音が鳴りくねくねはどこかへ消え去る。

 

正則「ぐぁっ!痛ってぇ!」

 

美琴「正則君大丈夫!?」

 

正則「あぁ、衝撃がこっちまで伝わってきてな・・・。じ〜んと来たぜ・・・。」

 

美琴「無茶しすぎだよ・・・!」

 

正則「言ったろ、何がなんでもお前を守るって・・・。だからこのくらい平気さ。」

 

美琴「正則君・・・」

 

正則「さて、こっから先はかなり危険な事になるかもしれないから、絶対に離れるなよ美琴。」

 

美琴「うん・・・。」

 

そう言って二人は廃工場を進む。中年の女が焚き火をしていた場所が開いておりそこから奥地へ入れる様になっていた。

 

美琴「道が開いてる・・・。」

 

正則「警戒は怠るなよ・・・。」

 

二人は警戒しながら奥地への道を進んでいく。すると行き止まりにたどり着き、行き止まりの場所には廃墟と化した墓地があった。

 

正則「・・・こんなところに墓地があるなんてな。」

 

美琴「なんだか、不気味だね・・・。」

 

正則「ああ・・・・・・んっ、あんなところに井戸が。」

 

そう言って二人は近づいて井戸の中を覗く。しかし中は真っ黒で何も見えない。

 

美琴「何か、あるのかな?」

 

正則「今ライトで照らしてみる。・・・あれは、骨か?」

 

正則はポケットライトで井戸の中を照らす。井戸はかなりの深さがあり、最下部には何かの骨が無数に落ちていた。

 

美琴「骨・・・何の骨なんだろう。」

 

正則「さぁな、動物が足を滑らせて落ちたんだろう。こんな高さじゃあ絶対に上がってこれねぇし、最悪打ちどころが悪けりゃあ死ねるな。」

 

美琴「・・・・・・特に何も無さそうだnきゃっ!?」

 

正則「ん?どうした美こtっうぉおっ!?」

 

井戸を覗いていた美琴がふと、墓地の方へ振り返るとそこには先ほどの中年の女が背面を向いて体育座りをしていた。それに二人は驚く。

 

美琴「いつの間に・・・?」

 

正則「・・・おいアンタ、いつの間にこんなところに・・・。」

 

女性「行ったはずだよ、アタシは地元民だから裏道くらい知ってるってね、アンタ達こそ、こんな陰気な場所にまで現れるなんてねぇ・・・。」

 

正則「もうすぐ日が暮れる・・・夜になりゃあ視界が悪くなって危険だぜおばさん。」

 

女性「どこへ行こうが同じさ、私はここが一番安心なんだ。」

 

正則・美琴「「・・・・・・」」

 

女性「そういや言ってなかったね、あの化け物の正体を。」

 

美琴「それって・・・「くねくね」ですか?」

 

女性「それは都市伝説だろうがっ!!」

 

美琴「ひっ・・・!」

 

正則「聞いただけだろ、何をそんなに怒る事があるんだ・・・。違うなら答えを教えてくれよ。」

 

女性「ヒヒッ、アンタと同じでそいつも出来が悪いだよ。」

 

正則「おい、いい加減n「あそこの井戸、見ただろ?」・・・あっ?」

 

女性「何か見えたかい?」

 

正則「あぁ見えた、何かの骨がな。」

 

女性「そうかい、見えたのかい・・・。ヒヒッ、あそこは枯れ井戸だけど骨は枯れずに残ってんのよ。・・・それも「人間の骨」がね。」

 

正則・美琴「「っ!!」」

 

女性「この際だから特別に教えちゃうわ、アタシね・・・十数年前に人、殺してんのよ。それも他でもない「我が子」をね。」

 

女性は自ら殺人犯である事を明かし、過去を話す。その際正則と美琴は背後へ下がる。

 

正則「やっぱり、殺人犯だったか・・・。それで我が子を、あの井戸に放り投げたって感じか?」

 

女性「察しがいいね、その通りさ。」

 

美琴「け、警察には言わなかったんですか・・・!?」

 

女性「警察は優秀でね、アタシは何もしなくても捕まると思ってたんだ・・・。けどなんの進展もなく、いつからかこんな場所に来るようになったんだ。」

 

正則「・・・様子が、おかしい。美琴俺の背後にいろ。」

 

美琴「ま、正則君・・・?」

 

正則は女性の異変を感じ、女性は過去を話す。そうして一通り話し終えた後、ぬるりと悍ましい表情で正則達の方へ向く。

 

女性「・・・・・・お前達が、アイツを出したの?だったら筋が通るってもんさ!お前達だけがこの街に残ってる事も!アタシが化け物に襲われる事も!全て!!」

 

正則「くっ!!」

 

そうして正則は拳銃を女性へ向けて睨みつける。女性は拳銃を突きつけられても臆することなく二人に近づいていく。

 

美琴「正則君!!」

 

正則「止まれ!止まらないと撃つぞ!!」

 

女性「撃てるもんなら撃ってみろガキぃ!!」

 

正則「ちぃっ!美琴!逃げるぞ!!」

 

美琴「う、うん!」

 

女性「待ちな!全て吐いてもらうよ!!」

 

あまりの気迫に耐えかねた二人は女性からの逃走する。しかし工場の封鎖地点で追い込まれてしまう。

 

正則「しまった!行き止まりか!!」

 

美琴「正則君!おばさんが・・・!」

 

女性「観念しなあんた達!逃げ場はないよ!!」

 

正則「くそっ・・・っ!!」

 

美琴「あっ・・・!!」

 

女性「あっ?一体なんだってんだiっ!ぎゃあああああああああっ!!!」

 

すると女性の背後にくねくねが現れ、至近距離でくねくねを視認した女性は断末魔を上げ発狂して倒れる。

 

美琴「おばさん・・・!」

 

正則「構ってる暇はねぇ!神社まで走るぞ!」

 

美琴「うん!!」

 

二人は神社まで全力で走る。走っている最中にサイレンの様な音が響き神社に近づくにつれ、お経が聞こえてくる。

 

正則「っ!神社までもうすぐだ!走れ!」

 

美琴「う、うん!!」

 

そうして全力で走り、神社の鳥居をダイブして潜り抜ける。

 

正則・美琴「「はぁ、はぁ、はぁ・・・」」

 

正則「っ・・・もう、くねくねは消えてるか・・・。」

 

美琴「私達、助かったんだ・・・。」

 

神主「よくぞ、無事に戻ってこれたな。」

 

正則「っ!爺さん・・・。」

 

そうして老人はかつて日本各地に「子殺し」という風習が根付いていた事や案山子の伝承等を話した。それを聞いた二人はなんとも言えない顔をする。

 

正則「・・・何とも言えねぇな・・・。現代に五体満足で産まれてこれた事に感謝しねぇと。」

 

美琴「そうだね・・・。」

 

神主「・・・どうやら、待ち人が来たようだ。」

 

美琴「えっ?」

 

正則「まさか、氷室さん達か・・・!?」

 

すると神社の入口付近から剛達の声が聞こえ、ようやく迎えが到着した。

 

美琴「氷室さん達だ!良かったぁ・・・!」

 

神主「あやつらに感謝するのだな、アレを払えたのはあやつらの働きもあっての事だ。後は、自分で道を切り開くのだ。ワシはもう疲れた・・・。」

 

正則「爺さん、短い期間だったが助かった。ありがとう。」

 

美琴「ありがとうございます、お爺さん。」

 

等「正則君!美琴君!」

 

正則・美琴「「氷室さん!!」」

 

等「二人とも無事で何よりだ。今回ばかりは少しヒヤヒヤしたぞ。」

 

正則「俺もっすよ、けどここの爺さんが助けてくれt・・・あれ?あの爺さんは・・・?」

 

美琴「あれ?いつの間に・・・」

 

等「二人ともどうした?ここは数年前から「廃神社」になってるぞ。」

 

正則・美琴「「えっ!?」」

 

数年前から廃墟となってしまった神社である事を知った二人は驚愕する。

 

正則「じゃあ、俺達が見たあの爺さんは・・・」

 

美琴「もしかしたら、私達を守ってくれた守護霊、だったのかな・・・。」

 

等「・・・・・・神社の入り口に車を止めてある。一旦警察署に戻ってそれから詳しく話を聞きたい。」

 

正則・美琴「「分かりました。」」

 

そう言って二人は鳥居の前で頭を下げ、神社の階段を降りていく。こうしてくねくねの脅威は去った。しかし新たなる怪異が目をつけている事を正則はまだ知らなかった・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

       「chapter2 逃避行」

 

           完

 

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