怪異友愛録 −金井正則の幽霊事件簿− 作:unknown505
神代家の一家惨殺事件は世間に大きく知れ渡った。平凡な田舎町の屋敷で起きたこの凄惨な事件は多くの人に印象を与え世間は注目していた。
テレビでは連日この事件を取り上げ、ネットでは匿名の人々による犯人の特定作業が行われていた。しかしこの事件の生存者である者からすれば、特定作業なぞ無駄足だと思っている。
現に生存者の一人である荒文雅人はそんな行動を見て呆れ返っていた。
−菊川警察署内−
雅人「・・・はぁ、ニュースでも神代家の事ばっかだな。全く、自称専門家の奴も的外れな事ばっか言うし・・・お笑いみたいだな由佳。」
由佳「・・・・・・」
警察署内のベッドで二人は横になりながらテレビを見ていたが、雅人は不快に感じテレビを消して由佳に話を振る。しかし、彼女は一連の事件で身体と共に心に深い傷を負い、放心状態となっていた。
雅人「・・・・・・」
そんな彼女を見るなり、雅人はそれ以上は何も言わず静かに天井を見つめる。
由佳「・・・・・・雅人・・・。」
雅人「・・・ん?」
由佳「・・・私ってホント・・・バカだよね・・・。ひとりかくれんぼが危険な遊びって分かっていながらやっちゃって・・・皆死んじゃって・・・」
雅人「・・・・・・」
由佳「雅人も、私を「人殺し」って思ってるよね・・・。」
雅人「・・・何言ってんだ由佳、確かにあれをやったのは由佳だけど殺したのはあのクマのぬいぐるみだ。お前じゃない。」
由佳「私がやったも同然よ!!」
雅人「っ!」
由佳「私が・・・私がもっとしっかり調べてたら・・・お父さんも、お母さんも・・・お兄ちゃんも皆死ななかった!!なのに、私のバカな行動で私だけ生き残っちゃった・・・。なんで・・・?なんで・・・?」
雅人「由佳・・・っ!?」
由佳「あぁそうか、これは悪い夢なんだ・・・。悪い夢なのよきっと・・・」
雅人「由佳、お前何する気だ・・・!!」
由佳「なにって・・・目を覚ますのよ。これは悪い夢だから。」
雅人「由佳、止めろ!!」
すると由佳はベッドから起き上がり、窓を開ける。その行動を危険視した雅人はいち早く由佳を制止する。
由佳「離して雅人ぉ!!これは悪い夢なんだからぁ!!」
雅人「ぐぅ・・・!由佳ぁ・・・!!止めろ・・・!止めてくれぇ・・・!!」
喪失感に苛まれ続けた由佳は全てが夢であると信じ込み、自殺を試みる。それにいち早く気付いた雅人は自殺しようと暴れる由佳を必死に掴んで制止する。
雅人「止めろ由佳ぁあああっ!!!」
由佳「っ!!きゃっ!」
雅人「ぐぅっ!!」
雅人は渾身の叫びで由佳の正気を取り戻す。正気になった由佳は力を無くした事で横に吹っ飛ぶ。
雅人「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
由佳「うぁぁ・・・あああ・・・」
雅人「由佳・・・・・・」
雅人はさっきの行動を悔いる様に泣く由佳を優しく抱きしめ、由佳は雅人に肩を預け滝のように泣いた。
−数分後−
雅人「落ち着いたか?」
由佳「ぐず・・・ごめんね雅人・・・。」
雅人「大丈夫だよ。それだけメンタルがやられてたって事だし、あんな風になっちまうのは仕方がないさ。」
由佳「雅人・・・」
雅人「それに、俺はお前が人殺しだと思う理由なんてねぇしあれを止めれなかった俺にも責任はある。」
由佳「そんな・・・雅人は何も悪くない・・・!寧ろ雅人は被害者なんだよ・・・。」
雅人「確かに俺被害者だ・・・。だがあの時、一人かくれんぼが危険である事を知っていて止めれなかった。その結果、あのクマのぬいぐるみに取り憑いた幽霊が親父さん達を殺し回ってしまった・・・。だから由佳、お前だけが罪を背負うのは間違ってる。お前が抱え込んじまった分だけ、俺も一緒に背負わせてくれないか。」
由佳「っ・・・なんで、そこまでしてくれるの・・・私、これだけの事をしでかして・・・嫌われたって思ったのに・・・」
雅人「お前の事嫌ってたらここまで献身的にならねぇよ。それに・・・由佳は俺の大事な「かけがえのない人」だから。」
由佳「っ!・・・雅人、ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・!!」
雅人「あ〜はいはい大丈夫大丈夫。何も気にしてねぇよ。」
雅人のかけがえのない人という言葉で由佳は気づく。両親や兄は死んでしまったがずっと由佳の隣にい続けた雅人は彼女にとって両親や兄と変わらない大事な人、そんな人を残して自殺しようとした彼女は謝罪しながら泣いた。
雅人「(両親やお兄さんがいなくなって、由佳は一人になっちまった・・・。俺も腹を括らなきゃいけない・・・!!)」
雅人は心の中で闘志を燃やし、苦難を乗り越え覚悟を決める。全てを失った由佳を守るべく・・・