怪異友愛録 −金井正則の幽霊事件簿− 作:unknown505
前編
猿夢の事件から2日後、金井正則と姫野美琴に起きる怪異はパタリと現れなくなった。
しかし根本的原因は今だ解決しておらず特務課の氷室等らは引き続き怪異が頻発して起きる現象「怪異症候群」と名付け調査を続行し翔太、剛、真純と共に会議を行っていた。
一方で、正則と美琴は会議をしている4人の話を事務室の入口で聞いていた。
正則「・・・俺達の家系がまさかの「呪詛師」か・・・。通りで怪異が頻発して起きるわけだ・・・。」
美琴「・・・正則君。」
正則「うん?」
美琴「私達って、こうやって出会ったのは運命のいたずらなのかな・・・」
正則「・・・さぁな、ただ・・・俺達はたとえ運命のいたずらがそうしたとしても友達である事に変わりはない。」
美琴「・・・・・・」
正則「俺は、自分の家系が呪詛師の家系だろうがなんだろうが、今回の事件にしっかりと向き合う事を選ぶ。」
美琴「・・・そうだね、私達はただの友達だしそこにご先祖様の因縁を持ち込んでほしくない。」
正則「ああ、なら俺達はどうするか分かってるな。」
美琴「うん・・・姫野家と金井家、そして神代家の因縁を終わらせよう。」
正則「よし、なら入って氷室さん達に覚悟を伝えよう。」
そうして二人は事務室に入り自分達が決めた覚悟を等達に伝え、皆は「旧神代家」へと向かい物語は最終局面へと動き出す。
「Final chapter 終焉」
車を出してから2時間が経過し夕方、皆は山奥にある旧神代家の旅館に到着する。
正則「ここが、旧神代家か・・・。」
等「すっかり日が暮れたな・・・。」
翔太「そうだな、だがここの婆さんとは既に連絡は取ってあるんだろ?」
真純「はい、自分がコンタクトを取りましたんで大丈夫です。」
剛「ま、今日中に帰れそうになかったら止めてもらおうぜ。一応旅館なんだろ?」
真純「一応旅館ではありますが・・・お偉いさん方御用達ですね。」
美琴「お偉いさん方御用達って・・・?」
正則「多分、美琴は知らなくていいと思う。」
そう言って4人は先に進み、正則達も後から付いていく。すると旅館の入口で一人の老婦人が出迎える。彼女は神代由佳の祖母である「神代伊代」等達は一連の内容を伊代に話し中に入る。二人も伊代に挨拶を交わす。
伊代「君達が姫野美琴ちゃんと金井正則君かい?」
正則・美琴「「はい、はじめまして・・・」」
伊代「あなた達には色々迷惑かけたようだね・・・。何も無い所だけど、ゆっくりしていってね。」
正則・美琴「「今日はよろしくお願いします。」」
挨拶を交わし、二人も中に入る。旅館の中は和風溢れる光景が広がる。
美琴「凄く豪華だね・・・」
正則「ああ、一つ一つの置物とかもすげぇ高そうだ・・・。とりあえずご飯まで時間ありそうだから旅館の中探索しようか。」
美琴「うん・・・。」
正則「・・・・・・美琴。」
美琴「正則君?」
正則「・・・大丈夫だ、俺が付いてる。」
美琴「・・・ふふっ、ありがとう。」
美琴が不安気な顔をしたのを見逃さなかった正則は美琴の手を繋いで不安を和らげる。二人は探索を開始し旅館の庭園に入ると、その庭園内で遊んでいる一人の少女がいた。
正則「っ!美琴、あの子!」
美琴「は、春ちゃん!無事だったんだ・・・」
庭園内で遊んでいる一人の少女は神代由佳の妹「神代春子」である。二人は春子が無事だった事に安堵しつつも、何故あの神代家で無事だったのかが気になった。
等「あの子はどうやら神代家内の押し入れに隠れていたみたいでな、気づかない内に眠ってしまったようだ。それをたまたま真純が発見して保護したんだ。」
正則「そうだったんすか・・・。」
美琴「氷室さん、真純さんありがとうございます。」
真純「いやいや、大それた事はしてないよ。とはいえまさかあんな小さな所に隠れてるとは思わなかったよ・・・。」
等「真純もよく発見したな、大したもんだ。・・・正則君美琴君、あの子には事情を全て話した。これから先はあの子の支えになってやってくれ。」
美琴「はい。」
正則「もちろんです。」
そうして二人は春子とも会話をして、晩ごはんの支度をしている伊代から別館への鍵を貰い別館内に入り探索し二人は大量の面が飾られている部屋に入る。
美琴「すごい・・・お面がいっぱい・・・。」
正則「般若の面とかいっぱいあるな。・・・能面はなんかすげぇ不気味だが・・・。」
美琴「ねぇ正則君、これ・・・」
正則「ん?なんだこの箱・・・っ!?」
美琴「えっなに・・・!?」
部屋に入った二人は大量の面が飾られている事に興味が湧くが、部屋の真ん中には謎の箱が置かれており触ろうとした瞬間、飾られている面の1つの「能面」が地に落ちる。
正則「・・・・・・」
美琴「正則君・・・」
正則は銃を構え、美琴の盾になる様に美琴を背後に回らせる。
正則「っ!?」
美琴「ひぃっ!?」
正則「おいおい、能面まで襲い掛かってくるのかよ・・・!!」
そうして落ちてきた能面は突然動き出し、宙に浮く様に正面に立ち正則と美琴に襲い掛かる。
正則「この野郎!」
すぐさま正則は銃で能面を撃つ。弾丸は能面を簡単に破るがすぐに合体し元通りの形になる。
正則「再生まですんのか・・・!」
美琴「正則君逃げよう!」
正則「今は逃げるしかねぇな!!」
そう言って二人はダッシュで能面から逃走し別館と本館を繋ぐ渡り廊下に辿り着く。
正則「・・・思ったより遅かったなあの能面。」
美琴「でもすぐに再生するから実質不死身なのが厄介ね・・・。」
正則「あぁ・・・・・・んっこの匂いは・・・」
美琴「あ、晩ごはん出来たんだ・・・」
正則「とりあえず居間に向かうか・・・。」
美琴「そうだね・・・」
二人はその足で旅館の居間へ向かう。居間には既に等達が正則達を待っていた。
正則「すいません、お待たせしました。」
剛「お、来た来た。」
等「夕飯の準備は出来てるぞ。さ、座るんだ。」
そうして全員が揃い皆夕飯の食事を始める。食事の最中剛は旅館の料理を褒める。
剛「こりゃうめぇぜ!旅館の雰囲気といい、田舎に埋もれてるには勿体ねぇぜ?神代の婆ちゃん!」
伊代「はっはっ・・・そりゃ有り難いねぇ・・・。」
等「確かに剛の言う通りです、もっと大々的に宣伝してみては如何ですか?」
伊代「まぁお偉いさん方の意向もあるからねぇ・・・」
真純「きっとそのお偉いさん方は独占欲が強いんでしょうね・・・。」
翔太「そうだな、今日泊まれるだけでも運がいい。」
剛「かーっ!これだから金持ちは嫌いなんだ!おいしいところを全部持っていっちまう!!」
正則・美琴「「・・・・・・」」
等「どうした二人共、食欲がないのか?」
剛「もしかしてダイエット中か?」
真純「加賀さん、そんなデリケートな事聞いちゃダメですよ・・・」
正則「いや、そういうわけじゃないんす。」
美琴「・・・お婆さん、別館の2階にお面が飾られてる部屋がありますよね?」
伊代「あぁ、あるねぇ。」
等「もう別館に行ってきたのか、それで何があった?」
正則「・・・単刀直入に言います。能面がひとりでに動いて俺達を襲ってきました。」
真純「えっ・・・!?」
等「なに・・・!?」
正則「唐突に動いたもんで、反撃を試みたんですがその能面はバラバラになってもすぐに再生しました。それで無理だと判断してここまで逃げてきました。」
等「また、怪異か・・・」
伊代「アンタ、あの能面が動いてるとこ見たことあるかい?」
料理長「いや、私は見たことはないですね・・・お前はどうだ?」
料理人「不気味ではあるんですが、さすがに動いてる所にまでは・・・」
伊代「私も聞いたことがないよ、そんな話・・・」
真純「・・・早くも二人の影響が出てきたって事ですかね・・・。」
剛「どういう事だ?」
真純「二人は何らかの影響を感じてここにやってきた訳ですから、これまでの経緯を察すれば再び怪異が起きても不思議じゃあありません。」
正則・美琴「「・・・・・・」」
翔太「だが、これはある意味チャンスでもある。二人の「感性」が間違ってなかったとすれば、これまでの怪異を解明する「何か」も存在する事に間違いない。」
等「確かにな・・・。」
翔太「どうなんだ姫野くん、金井くん。」
美琴「・・・今は、まだ分かりません。」
正則「俺もです、俺と美琴がここに来たのは何かに呼ばれたからでここで何が起きているのかとか、何があるのかすら見当もついていません。」
伊代「・・・もしかして、緊急事態かい?」
等「はい、恐らくは・・・」
春子「お兄ちゃんお姉ちゃん、おばけなの・・・?」
美琴「分かんない・・」
正則「どうだろうな・・・お兄ちゃんも分からないんだ・・・。」
真純「念の為、旅館の方々は避難した方がいいですね・・・」
等「ああ、そうだな。・・・もう何が起きるか分からない、神代家の事件を繰り返さない為にもご協力をお願いします。」
伊代「そうだねぇ・・・。」
真純「不測の事態が起きた時は俺と加賀さんで皆を安全な場所まで送っていく・・・そういう手筈でしたね。」
等「あぁ、よろしく頼む。」
剛「お前らは正則君と美琴ちゃんをしっかり守れよ?」
等「任せておけ。真純、剛、またこっちに戻って来る時は応援を呼んで戻ってこい。いいな?」
真純「はい!」
剛「おう!」
そう言って真純と剛は旅館の人々を避難させるために車に乗せて市街地へ降りていった。