怪異友愛録 −金井正則の幽霊事件簿− 作:unknown505
居間に着いた正則達は先程までの出来事を翔太に話す。
翔太「なるほど、やはり地下に祭壇が・・・」
等「ああ、翔太の読み通り地下に祭壇があった。あの婆さんは何も言わなかったが、最近まで手入れされていた可能性が高い。」
翔太「そうか・・・これで、確証を得られた。姫野くん、金井くん、さっき言ったな。神代家の歴史とその真実を教えると。」
正則・美琴「「はい・・・」」
翔太「だが、これは思っている以上に残酷な真実だ。君達はそれを知る覚悟はあるか?」
美琴「・・・ここまで来た以上、何も解らず終わるのは嫌です。」
正則「俺と美琴はもう覚悟は出来ています。教えてください、その残酷な真実を・・・!」
翔太「いいだろう・・・。単刀直入に言う、この地は神代家のものでは無い。君達の祖先、「姫野家」と「金井家」の物だ。」
美琴「えっ・・・!?」
正則「なんだって・・・!?」
等「翔太、どういう事だ・・・!?」
翔太「順に追って説明していく・・・。」
そして、翔太は神代家と姫野家、金井家にまつわる真実を3人に話す。
今から数百年前、かつての神代家は呪詛師の家系としてこの地の村々を統治していた。
長い年月をかけて受け継がれていった神代家の呪詛は強力になっていき村の人々は恐れ慄き、神代の力を扱う権力者も、気付いた時にはその座を神代家に奪われていた。
更に神代家には正則の祖先である「金井家」に家系を守る役割を担わせており、金井家もまた神代家の秘法を用いて村々を抑圧していた。
それほどまでに強大化した神代家だが、神代家内部でも失敗が続きこれ以上の失態を置かせないと考えた当時の当主は、この呪術を調整し緩和する役割を担う呪術が必要だと考える。
そして後に遠い村から「姫野家」が金井家によってこの地へ連れて来られた。
姫野家の呪術は神代家の呪術と相反するものであり「祈願」や「祈祷」と言ったものではあるが神代家の補佐としては適任であった。神代家は権力を用いて、金井家と同じ様に姫野家も配下に入れた事で神代家の呪術はより強大となっていった。
しかし、神代家は思わぬ誤算を起こす。姫野家がその地で神代家の目を盗み祈祷師として活動し始めたのである。
神代家は金井家を利用して数々の村々を抑圧、暗殺等の悪行を繰り返していた。それに負い目を感じた姫野家は本来の役割である「祈祷」「祈願」を主に村々を巡り、奉仕していく。
神代家の配下となっていた金井家でも変化が起き始める。金井家の一部の人間もこれまでの悪行に負い目を感じ姫野家にこの地へ無理矢理連れてきた事を謝罪し、贖罪の意味も込めて護衛や協力を行うようになっていた。
疫病に倒れる人々、枯れた土地・・・その場所に姫野家が介入すれば何かしらの変化が起きると噂になる。
人を貶める事が生業の神代家とは違い姫野家は、僅か数年足らずで多大なる信頼と人望を得た。やがて金井家でも、神代家側に付く者と姫野家側に付く者とで別れ、神代と姫野が決裂、金井が内部分裂するのは時間の問題だった。
再三の忠告を無視し続けた姫野家は遂に神代家の怒りを買ってしまい、この地を追い出されてしまう。金井家でも遂に内部分裂が起き、姫野家側に付いた金井家の人々もこの地を離脱し金井家は「神代金井家」と「姫野金井家」という二つの一族に分かれた。
姫野の秘術を理解した神代だったが、その慢心が一族の破滅へと導く事になった・・・
正則・美琴「「・・・・・・」」
等「・・・・・・それで、その後はどうなったんだ?」
翔太「結局神代家と神代金井家は姫野の力を扱う事が出来ず滅びた。いや、滅ぼされたと言った方がいいか。呪術の暴走を抑えられなかった神代家と神代金井家は権力者達に見捨てられ、そのまま衰退していった。」
等「そこを、姫野家と姫野金井家が追い打ちをかけて滅ぼした・・・。」
正則・美琴「「っ!!」」
翔太「そうだ、姫野家も神代家の呪術を取り込んでいたが為に、神代は姫野に敗れ討ち取られた。姫野金井家も神代金井家の当主を討ち取った事で勝敗が決し、この地に神代家と神代金井家を十数年も幽閉した。」
正則「・・・身内相手にも容赦ないっすね、姫野金井家は・・・。」
等「神代の金井家も神代家秘術を継承していたから、そのままにしておくわけにはいかなかったんだろう・・・。」
美琴「・・・・・・その後は、どうなったんですか?」
翔太「・・・長い年月が経過した昭和初期の時代になるが・・・」
そう言って翔太はその後の事も話す。
神代と姫野、そして金井の3つの一族が血で血を洗う戦いを行ってから数百年後の昭和初期、姫野家と姫野金井家の両一族は神代家と神代金井家に過去のいざこざを清算する為に話を持ちかけた。
それはこの地と財産を全て神代家に託し、呪術師としての肩書きも全て捨てて生きていくという内容だった。
姫野金井家の末裔は、上記の内容を話した上で、神代金井家の末裔に今後を問うた。
神代金井家の末裔は過去に起こした数々の悪行を清算する為に金井の名字を姫野金井家に返却し、神代家に統合させてもらう事を望む。
その望みは神代家も理解し、神代金井家は金井家の名を捨て統合され姫野金井家も姫野家、神代家両家の承諾を得て独立し、呪術師の肩書きも捨てた新たな「金井家」として復活を遂げた。
翔太「・・・・・・こうして、神代家と姫野家と金井家は和解したというわけだ。」
美琴「そうだったんですか・・・」
正則「凄まじいレベルのドンパチだな・・・。まぁ何はともあれ、先祖同士の喧嘩はもう終わってるしあの婆さんの雰囲気的で分かるな。」
美琴「そうだね・・・過去は過去、今は今だし憎しみも恨みもないよね・・・。」
翔太「そう、姫野くんと金井くんの言う通りだ。だが、その契約にも、真の意味があったんだ。」
等「真の意味だと・・・?」
翔太「この地に神代家を封印する事だ。いくら衰退したとはいえ神代の血筋には呪術師としての歴史が刻み込まれている。姫野家と姫野金井家はなにがキッカケで周囲に影響が及ぶかもしれないと危惧していたから、この地に神代家と神代金井家を置き、姫野家の秘術で封印する事にしたんだ。」
正則「その封印が、地下にあった地下祭壇って事っすか・・・。」
翔太「そうだ、姫野家と神代家、金井家の歴史の真相・・・そして今回の怪異の発端が全てここにあったというわけだ。」
等「そうか・・・事実、現代の神代家がこの地を離れてしまい範囲外となってしまっていた事で、怪異が頻発してしまったというわけか・・・。」
翔太「そうなるな・・・。」
美琴「・・・・・待ってください・・・じゃあ、私と由佳と正則君が出会ったのって・・・一体何なんですか・・・?過去の因縁のせいで再び巡り合ったって事なんですか・・?」
正則「・・・・・・」
翔太「偶然か・・・必然か・・・それは君自身が決めるといい。だが、俺が出した答えは「神代が姫野と金井の地を求め、探した。」これに尽きる。」
美琴「そんな・・・!!」
等「落ち着け美琴くん、もう全て終わったんだ。」
正則「・・・・・・いや、まだ終わってない。」
等「っ?・・・っ!二人共どこへ行くんだ!?」
すると二人は徐ろに立ち上がり、部屋を後にしようとする。それを等が止める。
正則「もう、過去に振り回されんのはごめんなんすよ。だから俺達の手で、終わらせてきます。」
等「何を言ってるんだ・・・?」
正則「俺と美琴、由佳に雅人はただの・・・いや、俺にとってかけがえのない大事なダチなんだ。そこに過去の因縁なんざ持ち込んでほしくねぇんだ。」
等「君達の言いたいことは分かった。だが、これ以上どうするんだ?」
美琴「まだ、私達を追ってくる気配を感じるんです・・・。きっと封印だけじゃあ足りない。」
正則「それに、聞こえるんだ。俺達の役目はまだ終わってないってな。それが何なのかは分からない・・・だが、このままにしておくわけにもいかない。だから、俺達の手で、終止符を打ってきます。行こう、美琴!」
美琴「うん!!」
そう言って二人は導かれるように居間を出ていく。等は止めに入るが翔太に制止され取り乱すが、再び冷静になり腹を括る。
こうして長きにわたる神代家と姫野家、そして金井家との因縁に終止符を打つ時がきた・・・。