♂♀ 1:1世界の平凡高校生 ⇔ ♂♀ 1:100世界のハイスペ美少女   作:緑茶わいん

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美桜と一葉(その4) 2018/11/17(Sat)

「美桜ちゃんの部屋ってこんな感じなんだね」

「そう言われるとなんだか恥ずかしいね」

 

 わたしのパジャマを着た一葉と部屋に入った。

 普通に似合っているのがすごいと同時にちょっと憎らしい。この子のことだからえっちな意味はないんだろうけど。

 

「女の子部屋ってなかなか見られないから参考にしていいかな?」

「いいけど、そんなのいくらでも見られるんじゃない?」

 

 その気になれば毎日違う女をとっかえひっかえできそうだ。

 すると彼はくすりと笑って、

 

「それだと普段の部屋のようすがわからないんだよ」

 

 そっか、そりゃ部屋の掃除くらいするか。

 ということはわたしを月一で招きながら割と適当な対応な湊は前からわたしを大して意識してなかったことに……?

 まあ、普段の整理整頓具合は人によって違うからなあ。

 今回は突然だったので当然、片付けをしている余裕なんてなかった。

 なんだかんだちょっとずつ物が増えていっているので恥ずかしい。都度整理はしてるけどファッション誌に服、アクセサリー、キーボードにノートPCなどなど絶対量が多いのでなかなか難しいところだ。

 あ、でもノートPCはよく美空が使っていて、今も手元にない。

 

「うん、なんか美桜ちゃんの部屋って感じ」

「それ、褒められてないよねたぶん」

「そんなことないよ。褒めてる」

 

 ちなみに、少年マンガなんかは電子書籍で買ってるからこれでもまだカオスはマシなほうだったりする。

 

「美桜ちゃん、すぐに寝る?」

「日課はやっておきたいかな。ストレッチとか。そのあとは一葉が疲れてるならすぐに寝るよ」

「じゃあ、せっかくだから少し話がしたいな」

「それはもちろん」

 

 文化祭の話をしながら二人で身体を動かす、というか伸ばす。

 一葉のやり方はわたしと少し違ったけど柔軟的なことは彼もやっているらしい。なんとなく感心しつつ今後の参考にさせてもらう。

 彼はわたしの関わった出し物をけっこうめぐっていたようで思い話をしてくれて──客観的に言われるとかなり恥ずかしくなってくる。

 

「来年はもうちょっと減らしてもらおうかなあ」

「あはは。来年は忙しくてそれどころじゃないかもね」

「だといいんだけど」

 

 お仕事ってなかなかすぐには増えない。

 特に俳優業は関わった作品が世に出るのに間があるので大変だ。あの映画が公開されたら声掛けも増えるかもだけど、そうやって参加した新しい作品が公開されるのはまた半年とか一年とか先になるわけで。

 テレビドラマとかバラエティにでも出ていない限り「あの役者さんって今なにやってるんだろうね?」みたいなノリになってしまうのも頷ける。

 その点で言うと声優のほうがスケジュール的にはタイトだ。

 人気が出ればオファーも増えるだろうし狙いどころかもしれない。あとはモデルのほうのお仕事が継続していくように頑張っていく。

 

「できることが多いとそういう時は便利だね」

「頭ぐちゃぐちゃになりそうで大変だけどね」

「その割には上手くやってるように見えるけど」

 

 うん、わたしのパジャマを着てるせいもあるけど普通に女友達みたいに話せる。

 話も合うし、ほんと、一葉がほんとに女の子だったらよかったのに。

 

「一葉も普段どうやってスケジュール管理してるのか謎だよね。時間操る魔法とか使えるの?」

「使えないよ。移動時間とか休み時間とか、上手く活用しながらやるしかないよね」

「でも、そういう時間こそ休憩時間にしたくなっちゃうんだよねえ」

「わかる。休むのも隙間時間にやるべきことだもんね」

 

 ストレッチ後もしばらく雑談をしていると部屋のドアがノックされて。

 

「はーい?」

「お姉ちゃんだけずるい。私もお話させて」

「美空」

 

 ノートPCを返しにきたついでに美空が顔を出した。

 この子にも男だってバレちゃったらしいし、そうなると話がしたくなるのも仕方ないか。

 しっかりとドアを閉じた美空に「お姉ちゃんは?」と尋ねると首を振って、

 

「ドラマの一気見始めたみたいだからしばらく大丈夫だよ」

 

 さすが我が妹、お姉ちゃんにつき纏われない対策は心得ている。

 

「じゃ、ちょっと飲み物持ってくるね」

「あ、美桜ちゃん。私、できればシュガーレスのものが──」

「大丈夫。うちも似たような感じだから」

 

 普段よく飲むアイスティーもノンシュガーだ。

 寝る前だからベストはさらにノンカフェインだけど、まあ一杯くらいなら平気だと思う。

 お菓子を見繕いたくなるのを我慢して部屋に戻ると、美空と一葉がなにやらPC画面を覗き込んでいた。

 なにかと思ったらデジタルカードゲームの画面だった。

 

「美空ってば、いきなりゲーム始めちゃって」

「だって一葉さんもこのゲームやってるっていうから」

 

 やや頬を膨らませながら答えた美空は「テレビで見るあの人だなんて信じられない」と私に囁いてくる。どうやら簡単な自己紹介は済んだらしい。

 一葉は苦笑して「私も美桜ちゃんに勧められたんだけどね」と言った。

 

「美空ちゃんはすごいよ。私なんかよりずっと上手い」

「美空はわたしたちよりいろんなことが見えてるからね」

「でも、お姉ちゃんのデッキも好きだよ。面白いから」

 

 それって「アイデアは評価するけど強くはない」っていう意味じゃ……?

 

「一葉さんはどんなデッキ使ってるんですか?」

「私は騎士デッキ。わかりやすいのが好きだから」

「ハマると強いんですよね、騎士デッキ」

「どんどん増えて殴ってくるから相手してるほうとしてはたまらないよ……」

 

 最初は咎めようかと思ったものの、みんなでゲームの話するのもなかなか楽しい。

 

「美桜ちゃんはどんなデッキ使うの?」

「最近使ってるのは歌姫デッキかな。使いづらいんだけどね」

「使いづらいよねえ、あれ」

「二人揃って使いづらいって……」

 

 実際使いづらいんだから仕方ない。

 一種類三枚しかデッキに投入できない『女王』枠に採用した件の『歌姫』がコスト重めなうえに味方全体を条件付きで強化するタイプなのでうまくハマらないとぜんぜん戦えない。

 代わりにハマると強いんだけどこれがなかなか。

 

「何体か強めのカードで守りを固めながら出さないと厳しいよね」

「それで戦えるカード入れていくと『騎士デッキのほうが強くない?』ってなるんだよね……」

「じゃあ除去されないように妨害系を増やしてみたら?」

「それをするならビショップ中心のデッキにしたほうが強いよねっていう」

「ああ……」

 

 だんだん一葉が「なんでそんなカード使ってるの?」という顔になってきた。

 

「いいじゃない。可愛いから好きなの!」

「美桜ちゃん。カードゲームは勝ちを目指すためにやるものだよ?」

 

 別に大会に出るわけじゃないんだし、好きなカードで勝つために試行錯誤するのは許して欲しい。

 今度はわたしが頬を膨らませていると、美空が微笑んで、

 

「お姉ちゃんはそういうところがすごいと思うんです。私は勝てるデッキを優先しちゃうから」

 

 一回言ってみたい。わたしが使ったら美空謹製のデッキでも上手く回らなかったりするしなあ……。

 

「そういえば、一葉ともフレンド登録はしてるけど対戦したことなかったよね。せっかくだからやってみる?」

「いいかも。部屋にいるとなかなかのんびりできないし」

 

 わかる。一葉も台本とか開いちゃうタイプなんだろう。

 

「一葉さん。じゃあ私ともフレンド登録してください」

「もちろんいいよ」

 

 ついでにグループチャットのIDも交換した二人はその後、ゲーム仲間としてたまに連絡を取り合う仲になったそうな。

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