♂♀ 1:1世界の平凡高校生 ⇔ ♂♀ 1:100世界のハイスペ美少女   作:緑茶わいん

96 / 161
※さらにやべーやつ感が出てしまったのでご注意ください


章間・閑話
【番外編】『元』美桜の帰還作戦


「別れようって……どうして? 私にもう飽きちゃったから?」

 

 こっちの女の子ってめんどくさいなあ。

 あらためて高校二年生を始めて約一年。わたしはちょろくて扱いやすいと思っていた女の子たちの意外な一面にうんざりしていた。

 この一年で女性経験はけっこう増えて十人くらい。

 付き合った子もいるし身体だけの関係の子もいる。初めはみんな簡単で、無害だと思わせながら近づいて良さげなタイミングに甘い言葉を囁いてあげるだけ。初めてのえっちが気持ちよかったのもあってわたしもハマってたんだけど。

 こっちの世界では男と女が同じ数だけいる。

 わたしがいくら格好良くなって口説くテクニックを身に着けてもそれだけじゃ女の子を繋ぎ留められない。向こうにも「じゃあ他の男探すから」っていう切り札がある。だから簡単にハーレムとかさせてくれないし、別れる時も食い下がってくる。

 

 一回、ファミレスでナイフを自分の首に突きつけた子もいた。

 

 今回の子もそうだ。

 わたしは「飽きた? そうだよ。お前全然積極的じゃないんだもん」と言いたいのを堪えて「違うよ」と優しく諭す。

 

「佳奈にはもっと相応しい人がいると思うんだ。俺みたいな女好きは佳奈に相応しくない」

「湊くん……」

「どうしても駄目だったら戻ってきてもいい。その時は抱きしめてやるよ。だけど、一回前を向いて広い世界を見て見ないか?」

 

 ああめんどくさい。

 こっちは気持ちよくヤれればそれでいいの。別にあんたじゃなくたって代わりはいくらでもいるんだってば。

 向こうの世界で自殺未遂とか脅迫とかしたらわりと高確率で女のほうが逮捕だからね? 男と対等に扱ってもらえてるだけで感謝しなよ。

 こっちにわたしがいたらほんと人生イージーモードだっただろうなあ。

 才能もあって可愛いんだから男がほっとくはずがない。その辺の女どもが適当な男と適当な恋愛してる中、金持ちのイケメン独り占めにして幸せな生活送れたはず。

 

 なんとか言いくるめて別れたわたしは佳奈の連絡先に「依存女」って注釈をつけた。

 電話番号ごと消したいところだけど後から電話かかってきて「私のこと忘れたの!?」とか言われたらヤバい。そういう時のために登録を残しておかないと。

 はあ。

 

「やっぱ狙うなら大人しくて男っ気ない女かなあ」

 

 上手く言いくるめて調教してわたしの言うことならなんでもきく従順な女に躾けられたら最高なんだけど、なかなかうまくいかない。

 普通にえっちするだけでもムードを作ったり避妊に気をつかったりでいろいろめんどくさい。

 子供作りたくないなら女が勝手にピル飲めばいいのに。使い捨てのコンドームを毎回つけるとか資源の無駄じゃない?

 女なんて彼氏に「やるぞ」って言われたら「はい」って身体を差し出すのが普通なんだよ。

 

「恋と玲奈に会いたいなあ」

 

 恋はあれで一途っていうか恋に恋するところがあるからけっこう簡単に調教させてくれると思う。

 玲奈は実家がお金持ちなうえに将来家を継ぐのが確定してる超優良物件。上手く結婚できたら後は適当に遊んでても一生養ってもらえるはず。

 もちろん友達相手にそういうこと考えるのはよくないけど、今のわたしは「燕条湊」なわけで。

 あの子たちももうすぐ中一でしょ? けっこう身体も育ってきて女の子らしくなってるはず。今のわたしから見たらまだまだ子供でも、このくらいから手をつけておいたほうが逃げ道を塞げて好都合だ。

 

 後一年経ったら恋たちは中学二年生。

 

 中一のうちに手を打たないと高確率でそのへんの男に抱かれちゃう。

 もしかしたら二人まとめて湊くんのセフレ行きかも。こっちの湊が入ったわたしはそういうの嫌がるだろうから無事としても──。

 

「うん。やっぱりそろそろ戻る方法考えよう」

 

 できれば後二年くらいのんびりしたかった。

 高校卒業して大学生になれば女の子食べ放題だって噂だからだ。遊べるサークルに入るのもいいしホストになるのも良い。

 でも、留年しちゃったせいで大学進学まではあと一年もある。

 お母さんが「入学金の一部くらいバイトして稼ぎなさい」って言うから遊ぶ時間も減るし、何より受験勉強とかしたくない。

 元に戻って面倒ごとは全部元の湊に押し付けちゃったほうが楽だ。

 

 よし。

 

 わたしは高校二年生の二月からファミレスでバイトを開始。

 バイト先の同僚と仲良くなったりしながらバイト代を稼ぎ、貯金するフリをしておまじないの調査費用に充てた。

 って言っても本を探すのなんてネットを使う以外は図書館や本屋を巡るくらいしかないから大した出費にはならなかったけど。

 どうやら同じ本はこっちの世界にはないらしい。

 わたしの記憶を頼りにするのはぜったい危険だし──しょうがないのでわたしはつぶやいたーのサブアカウントを作ってオカルト関係のアカウントに片っ端からあたってみた。

 

 こっちの世界、毎年集団神隠しが起きてたりなにげに物騒なんだよね。

 

 だから入れ替わりのおまじないくらいどっかに落ちててもいいと思った。

 オカルト関係のアカウントは本当なのか嘘なのかわからない情報だらけで混乱した。おまけに思い切ってオフで会ってみた相手がめちゃくちゃ怪しい見た目してた上に「悪いことは言わないから手を引いたほうがいい」とか説教されたり。

 そういうのいいから元に戻る方法だけ教えてよ! と何度もキレそうになったけど、わたしには「そういうのがあるって知ってる」っていうアドバンテージがある。

 辻褄の合わないことを言っている人なんかを排除して根気強く調べていくとそのうち、魔術師を名乗る怪しげな人物から接触を受けて──。

 

「入れ替わった身体を元に戻したい、と。ええ、可能です」

「ほんと!?」

 

 わたしはとうとう元の世界に戻る手がかりを見つけた。

 

「どうしたらいいの?」

「相応の費用をいただきます。それから準備に時間がかかりますので今すぐというわけには」

 

 そんなこと言ってお金だけ持ち逃げするつもりなんじゃないの?

 わたしは悩んだ末、前にセフレ関係になった大人のお姉さんを通じて探偵を雇い魔術師の身元を調べた。結果、詐欺師などではないことが発覚。

 さらに悩んだ末に入れ替わりの儀式を依頼した。

 準備のために一ヶ月近く待たされ、ようやく迎えた儀式当日。わたしは親に「友達と会ってくる」と嘘をついて家を出た。

 本当に成功したらこの身体の持ち主は途方に暮れるかもだけど、いちおうこの二年間でわたしがしたことのメモくらいは残してあげたのでなんとかなるだろう。

 

「お願いします」

「かしこまりました。……それでは」

 

 儀式が実行されたのは八月の半ば。

 結論から言うと儀式は失敗した。

 

「なんでだよ!? できるって言ったよなあんた!?」

「申し訳ありません。対象が強力な魔術防御を施しているようです」

 

 魔術防御? わたしは魔術がどうとか全く知らない一般人だった。こっちの湊だって同じだ。なのにそんなものどうやって。

 魔術師が嘘を言ってるだけかとも思ったけど疑いだしたらキリがない。

 

「もともと世界を隔てた魔法というのがかなり困難なのです。悪魔か妖狐の力でも借りられれば話は別ですが、こんなモグリの仕事を請け負うのは人間の魔術師くらいですし」

「あんた実は頭がおかしいだけなんじゃないのか?」

「お詫びの印に別の人物への入れ替わりでしたら無償で請負いましょう。ただし、あなたとの入れ替わりを拒絶しない相手に限りますが」

 

 入れ替わりたい相手の希望を出すことはできるという話だったので、わたしは少し考えてからこの話を受けた。

 

「いいぜ。じゃあそれでいい」

「かしこまりました。それでは──」

 

 再び始まった儀式を見守りながらわたしは思った。

 これは逆にチャンスかもしれない。

 向こうの世界の男と入れ替わる。そして目につく女の子をぜんぶわたしの物にするのだ。

 

 意識が落ちて、気づくとわたしは別の世界にいた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。