【とある魔術の禁書目録】雷神伝 ~常戦飢闘のルサンチマン~ 作:白滝
基本的には1話完結の、雷神トールの戦闘シーンのみを書き綴った短編集です。
そのため、ストーリーは存在せず、何話目から読まれても問題ないような構成になります……というか、そうしたいです(汗)
……もはや『小説』なんて呼べませんが、それでもお付き合い頂けると嬉しいです。
豪華客船ノンウェイクドリーム号。
世界一周旅行を行う超大型の豪華客船。絢爛煌びやかな外観は一般旅行者から見れば一生の思い出になるアルバムの一ページだが、こと、本船に限っては事情が違った。
正真正銘の貴族向け。
この豪華客船を、たった一人の少女が貸し切っていたのだ。
乗組員は、船乗りだけで二○名にも満たない。むしろ、彼女の護衛の任についている黒服のボディガード達の方が二倍近い人数を占めている。
彼ら護衛一同も世界一周旅行ができるのだから、喜び勇んで少女の護衛に立候補したのだろう。大ホールに集められて、少女と一緒に豪華な食事にありついていた。
本来ならば。
しかし、今、護衛の黒服達は揃いも揃って全員が床に倒れ伏している。
ある者は首から上がなくなっていたり。
ある者は胸に空いた穴から、風船から空気が抜けるような奇妙な音を響かせていたり。
ある者は自分の両腕の骨が粉々に砕かれ、軟体動物のように垂れる自分の腕で猿ぐつわを噛ませられたり。
少女を除き、全員が無力化させられていた。
たった一人の魔術師の男によって。
一見すると黒服を纏った護衛の男達と同じように見えるが、全く違う。彼は業界でも手練れの魔術師だった。たった一人で豪華客船の護衛を鎮圧してしまう程に。
少女の誘拐。
それが男の目的だった。いや、野望と置き換えてもいい。彼女を人質として交渉のカードに利用し、自分の所属する魔術結社の資金源を潰しかけている財閥を牽制する。
そんな彼の視界の隅で、こっそりと大ホールから逃げ出そうとする豪華なドレスを着飾った女性を見つけた。
ひっ、と怯んで駈け出そうとした彼女の腕を掴んで、強引に引き寄せる。
「や、やめるのだ!!離せ!!」
「ミス・ラバディ、残念ですが貴方は捕虜として連行させて頂く。抵抗せず私の命令に大人しく従う事が賢明な判断だと理解して欲しい」
「こ、この狼藉者がッッ!!お前が強引に引っ張ったせいで、テーブルの料理が跳ねてスカートが汚れたわ」
「むっ……」
見ると、彼女のスカートにナポリタンのソースが跳ねて、赤い染みが広がっていた。
「どうしてくれる!?これはお父様に仕立てて頂いた私の大切なドレスなのだ!!」
「い、いや……それは申し訳ない。しかし、」
「しかしも何もあるか!!もう、こうなったら……」
能天気なお嬢様だな、と魔術師は困惑した。人質に取られているというのに、図々しい。正直調子が狂って扱いに困った。
と、
いきなり、目の前の少女がドレスを脱ぎ始めた。
「な、なっ!?は……す、すみません、ミス・ラバディ!!」
「何よ」
「えっと、なぜ今着替えを……」
「貴方が汚したんでしょ!!今すぐに洗わないと、こういう染みは中々落ちないのだとメイドから聞いた事があります。急いで洗濯します」
「だ、だからと言って私のような男の前で、淑女が下着姿になるのはどうかと……」
「そう思っているのなら、目を瞑りなさい、恥知らず!!」
慌てて目を瞑った。理不尽すぎる。どこまで勝手気ままなお嬢様だった。
そう心中で愚痴を零しつつ、彼女の着替えが終わるのを待った。
「いいですよ、着替えました」
ふぅ、と安堵の息を漏らす。
ゆっくりと目を開く。
広がる視界の中で、真っ先に飛び込んできたのは、少女の拳だった。
「は……?」
眼前に迫る拳。それを放つ、少女の敵意。
なるほど、と魔術師は悟る。
(着替えで私の目を瞑らせて、その隙に私を攻撃する腹だったのですか)
素人が考えそうな事だ。映画では見せ場として盛り上がりそうな一場面。
機転を利かせた反撃の一手。不意打ちで昏倒を狙う少女の作戦。
しかし。
所詮は少女の細腕から放たれる非力なパンチだ。
全く脅威にならない。
むしろ、不意打ちの拳を見てから両腕を組んで盾のように構える余裕すらあった。
所詮は一般人。
ゆえに、魔術師はさして気にも留めなかった。
だからこそ、少女の拳が魔術師の腕に受け止められ、
――――自分の身体が、まさか一○メートル以上も吹っ飛ばされるとは思わなかった。
大ホールの壁までノーバウンドで吹き飛び、衝突と共に壁に亀裂を走った。
ドサリと床に崩れ落ちる魔術師とは対照的に、少女はニヤリと挑発的に笑う。
「ぐ、ァ、は……ハァ、ハァ……一体、どこにそんな力が……」
魔術師がそう困惑する一方で、少女の顔に亀裂が走る。
いや、身体どころか、服装にまで正体不明の空間の亀裂が走り、
「よりにもよって、お姫様の可愛さに釣られて寄り付いたのが、ナンパが下手な真面目面の気難しいオッサンかよ」
その台詞は、既に少女の声ではなかった。
亀裂と共に崩壊した少女の中から出てきたのは、腰まである長い金髪と相まって、どこか少女的な印象を受ける青年だった。黄色と黒を基調としたぴったりとした上着とズボンを着用し、肩にはストールを纏っている。
その青年の雰囲気を悟り、魔術師は全てを把握した。
囮だ。敵魔術師の変装術式。
一杯食わされた。
「なるほど、そういう事か……では、そういう君は囚われの姫の代わりに立ちはだかって戦う王子様とでも言うつもりか?なるほど、単身で私に挑むその勇猛さはヒーローにはピッタリだ……無謀な蛮勇と言い換えてもいい」
「ハッ、小せぇ野郎にお似合いなつまんねー挑発の仕方だなァ、オイ。美少女との出会いが邪魔されたからってそこまでキレなくたっていいだろ?なんなら、まだお姫様ごっこにまで付き合ってやってもいいんだぜ、おっさん。アンタとの『殴り合う』のも『お姫様ごっこ』も、俺からしたら『遊び』の範疇でしかねぇ」
「『遊び』とは洒落た言い方をしてくれる。たかが敵前での挨拶のつもりだったが、今の時の若い連中はそういう風に受け止めるのかね。だがまぁ、安心してくれ」
そう言って、魔術師の男が一呼吸置く。
「――――君にとっては『遊び』だが、私にとっては『殺し』だよ」
真後ろに。
そう、次の瞬間には、魔術師の男が真後ろでナイフをトールの首筋に突き付けていた。
「(――早ェッッ!?)」
反射的に頭を振る。
首を撥ねようと横薙ぎに振るわれたナイフが、トールの首筋の皮膚に食い込み、抉る。
とっさに左手からアーク溶断ブレードを展開した。電光の刃が空気を爆発的に膨張させ、トールに推進力を与えるブースターとなる。
左から右に振るわれたナイフの動きに合わせて、トールも左から右へ吹っ飛んだ。
ゴロゴロと床を転がりつつ、闇雲に両手指からアーク溶断ブレードを展開して振り回す。
不安定な姿勢で追撃されたらマズイ。だからこそ、階下へ逃げて立て直す。
電光の刃によって大ホールの床が粉々に切り裂かれ、彼が一階下の狭い客室へと転がり落ちた。
「ッ痛っつー……」
首からドクドクと血が溢れる。
頸動脈に食い込む程は深くない。むしろ傷は浅い。それだけでも幸運の方だが、だとしても首を斬られたんだからそう長くは持たない。
出血多量で倒れるまでは時間の問題だ。止血をしたいが、そんな余裕はない。
「これでも手心を加えたつもりだ。私から見たら当然躱せる程度のつまらん攻撃だと思ったが、いやはや、意外にも期待外れで君にとっては脅威だったかな?頑張り給え。君には、ミス・ラバディが何処に隠れているか拷問するために、そんな簡単に死んでもらっては困るんだ」
上から魔術師の声が聞こえてくる。
「ハッ……『手心』?『殺し』?この雷神トールを目の前に、随分と余裕な態度をかましてくれるじゃねぇか」
「お前は私には勝てない。無用な殺生は好まんのだ、諦めろ」
「それはこっちの台詞だぜ」
目の前にあった客室のベッドを引っ掴む。
それを、トールは思い切り頭上に佇む魔術師の男に向けて投げつけた。
怪力。
『メギンギョルズの力帯』。
雷神トールの怪力の加護を宿す、腰巻き型の霊装だ。
恐るべき膂力で投擲されたベッドは、しかし、
「――――その程度など、私もできる」
真上にいた魔術師が、グランドピアノを丸々一つ引っ掴んで、叩きつけてきた。
ベッドとグランドピアノ。
猛スピードで激突した両者が、空中で粉々に砕け散りながら無残に鋭利な破片を撒き散らした。
不運にも、破片の雨が階下のトールに降り注ぐ。
「チッ!!」
部屋のドアにタックルして、強引に廊下へ飛び出て回避する。
しかし、
「甘すぎる。やはり、君では私の領域には届かない」
部屋の中から、魔術師の声が聞こえた。
慌てて両手の十指からアーク溶断ブレードを展開し、ドア越しに部屋の中を見ずに切り刻もうとする。
しかし、魔術師はドアを無視して部屋の壁ごと吹き飛ばして突進してきた。まるで発泡スチロールを砕くかのような気軽さで、コンクリートの壁を叩き払う。
瞬きしてる間に、目の前に魔術師の男が迫っていた。
ものの一瞬でトールの眼前に潜り込まれた。
(早すぎるッッ!?……っつーか、それだけじゃくてパワーが滅茶苦茶だ!!こりゃひょっとすると――――)
トールのアーク溶断ブレードは、両手の指から先で展開されている。
だからこそ、まるでダンスを踊るかのような、互いの鼻と鼻が触れ合うような距離まで接近される超近接の間合いでは、全く効果を発揮できない。
魔術師の男がナイフを繰り出した。
狙われたのは心臓。
急所狙いの一撃必殺。
それを、
「そのぐらい読めてるわァぁぁぁぁあああああああああああああああああッッ!!」
強引にジャンプして、ナイフの刃先を腰に巻いたベルト『メギンギョルズの力帯』の金属部分に合わせる。
心臓を狙った一突きを、後方にジャンプして金具で受け止める。
ベルトの金具でナイフを弾く。
一朝一夕で身に着く機転ではない。
刹那で閃く生存術は、数多の場数を踏み越え生き延びねば発想が至らない境地だ。
経験値に裏打ちされた、死と隣合わせの戦場で磨き抜かれた戦法。
彼らの業界は、異能の術を知っているからといって生き残れる程甘くはない。その銃器を手にしたからといって民間人がプロの軍人に勝てないように、いくら異能の術を身に着けていても、それを『殺し合い』の中で応用する才覚が問われる。
ならばこそ、異彩を放つ戦闘センスを有する雷神トールは、魔術師の男にとって脅威だった。
……いや、脅威になりえた可能性もあった。
圧倒的な魔術師の男は、雷神トールの『経験値』さえ否定する。
「さっきのお返しだ」
ゴッパァぁぁああああああああ!!と。
ナイフの刃先でトールを弾き飛ばした。
トールの身体が錐揉み状に回転しながら吹き飛ばされた。
狭い廊下を、何度も床と激突しながらバウンドし、突き当りの螺旋階段に衝突してようやく静止する。
口から血を吐き出しながら、しかしトールは呼吸を忘れそうになる程驚いた顔で呟いた。
激痛に苦しむ事すら忘れ、必死に言葉を紡ぐ。
「まさか、テメェ……もしかして『
「無用な殺生は好まんと言っただろう。これ以上追い打ちすると、拷問する余裕すらなくお前が死にかねん。いいだろう、ネタ晴らししてやる」
そう言って、魔術師の男は、スーツを脱いだ。
その上半身の下にあったのは、鎧。
それも、鉄製の鎧ではなく、むしろ耐久性の低い青銅製の――――
「――――まさかッッ!?イギリス精教の『騎士派』の施術鎧!!しかも、青銅製っつー事は、安全を度外視した特別応用試験機じゃねぇか!!そんな骨董品、一体どこで手に入れやがった!!」
「君には知る必要のない事だ。君が知るべき情報はただ一つ、君では私の『殺し』の境地には届かないという事だ」
「……施術鎧の特別応用試験機っつったら、ゲテモノ中のゲテモノ霊装じゃねぇか。通常の『鎧に魔力を通して運動性能を向上させる』コンセプトとは真逆、つまり『生命力を偽造して魔力の限界値を倍増し引き上げる』っていう疑似『聖人』装置!!あの『騎士派』でさえ正式採用を見送ったっつう欠陥品。
「それだけの価値のある益を齎す力だ。リスクは承知の上」
「……生命力を誤魔化すっつー事が、どういう事か分かってはいるんだよな?」
「寿命を削り取るようなものだ。だが、『そんな事』など些細な事だ。野望の対価としては安い」
「そう、かよ……」
言って、トールが黙った。
魔術師男は安堵する。
ようやく戦意を喪失したか、と。この調子なら拷問までする必要はなさそうだし、彼を殺さずに済みそうだ。
そう考えていた。
致命的だ。
致命的に測り間違えている。
雷神トールの本質を、魔術師の男は決定的に、取り返しがつかないレベルで測り違えていた。
「――――そこまで『戦い』に命賭けてる奴と会うのは久々だ。あはは」
「……何がおかしい」
「いや、嬉しくってね。最近はヒヨった連中が多くてな。安全策でリスク回避の量産型の霊装ばっか。テメェの言う通り、それじゃあ確かに『届かない』よな」
「…………」
トールは俯いているため、その表情を魔術師は掴めない。
「いやぁ、そこまで本気にやってくれてんなら、俺だって本気にならなきゃなァ!!ハハッ、楽しもうぜェ、この殺し合いを!!」
「……無用な殺生は好まんと再三忠告したはずだ。そこまでお前を駆り立てるのは何故だ?ミス・ランディはそこまで人を魅入らせる人物か?」
「は?」
その即答に、魔術師の男は確かに硬直した。
顔を上げたトールの顔を見て、戦慄した。恐怖した。
「あんな女なんてどうでもいいだろ?そもそも俺はあの女を助けるために変装してた訳じゃない」
「……は?」
「手練れの刺客が差し向けられるって噂を聞きつけたから変装して身代わりになっただけだ。女は、『ついでに』救っただけだ。俺は刺客と殺し合えれば満足だ」
「……何を言っている?では、お前は何のために私と戦う?」
「『届きたい』からさ。アンタの立っている視点、その境地へ届きたい。手を伸ばし、俺も同じ高さから世界を見てみたい。それだけ。本当にただそれだけさ」
そう言って、トールはゆっくりと立ち上がった。
反射的に魔術師は身構える。
「悪いが俺の『経験値』になってもらうぜ、おっさん。アンタを倒して、俺はさらに一歩前に進む」
「進んだその道が、希望に繋がっているとは限らんぞ」
「それでも構わねぇよ。俺は俺のやりたいようにする」
「……戦闘狂が。そんな次元で戦っているから『遊び』なのだ。組織の野望を一身に受け、業を背負い、全てを覚悟した私の『殺し』とは程遠い。私の『殺し』は、お前の『遊び』とはもはや次元が違うのだよ」
「そういう精神論も嫌いじゃあねぇが……残念だ。アンタの覚悟は『殺し』でも、」
そう呟いて、トールが遂に動いた。
「――――俺にとっては『戦争』だ」
爆発的に伸長するアーク溶断ブレードが、一気に二○メートル近くまで達する。
しかし、音速超過の世界に生きる目の前の魔術師の男が相手では、どんな攻撃も巧みに躱される。
だからこそ、トールはそもそも敵なんて見据えてなかった。
船体そのものを切り裂く。
最上階から最下層まで。電光の刃を上下に振り回して、船体を縦一直線に切り裂いた。
天井が開けた。
波風が二人の肌を撫でる。
トールの行動を不審に思いながらも、魔術師の男が油断なくトールの懐に飛び込もうと駆ける。
しかし、彼がトールに辿り着く事はなかった。
船体が真っ二つにへし折れ、魔術師の男が乗っている側の船体が押し飛ばされたのだ。
「――――――――――――――――は?」
螺旋階段。
船体の中央をネジのように貫くこの階段を、トールはレバーを引くような感覚で引き倒したのだ。
まるでテコの原理。
船体の中央を天井から船底まで一本に貫いた構造の螺旋階段は、船体を真っ二つに引きちぎるように分断させる。
トールが船体を切り裂いたのは、螺旋階段と各フロアの接合部を切り裂くためだったのだ。
船体の中央で縦真っ二つに割れた二つの船体が、大海原に漂流する。
片方の船体に取り残された魔術師の男が、状況が把握できすに茫然としていた。
トールの怪力によって押し飛ばされたせいで、既に五○メートル以上もトール側の船体と離れていた。
今から空中をジャンプして向こう岸のトール側の船体に飛び移ったとしても、空中で身動きが出来なければアーク溶断ブレードによる迎撃を躱せない。
スケール違い。
発想の規模の差異。
非常識な思考回路。
茫然と立ち尽くす魔術師の男だったが、次の瞬間、目の前に飛び込んできた光景を受けて、ガクリと膝を付いた。
「う、嘘だろう…………?」
なんと、雷神トールが螺旋階段を丸々一本引き抜いて、こちらの船体へ向けてジャンプしてきたのだ。
螺旋階段だけで二○メートルは優に超える。重量なんて考えたくもなかった。
空中でその背を思い切り後方に逸らし、身体のバネを溜めながらその巨大な棍棒を思い切り振りかぶる。
「か、勝てない……勝てる訳がない……」
魔術師の男は、思わずそう呟いた。
音速挙動とか。
怪力とか。
魔力の限界値を偽造した疑似『聖人』とか。
そういったステータスの使い方が、そもそも違う。
スケールが違う。
その発想が狂っている!!
「豪華客船を丸々一つぶっ壊す必要があるか!?そこまでするか!?たった一人の敵を倒すために!?私を倒すためだけに!?そこまでするのかお前はァぁぁぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
対するトールは、空中でその叫び声を聞いていた。
魔術師の男には届かないであろう大きさで、小さく呟く。
「あるさ。それが『遊び』でも『殺し』でもない、俺の『戦争』って境地だよ」
次の瞬間。
重量一○トンを超える巨大な棍棒が、真っ二つに砕けたもう片方の船体目がけて振り下ろされ、船体が丸ごと海中に叩き込まれた。
巨大な螺旋階段が重石となり、また、粉々に砕けて船体の破片に埋もれた魔術師の男が、海面に浮上する事はなかった。
こんな感じの、1話完結の短編集となります。
次話があったとしても、全く別の事件の、同じような戦闘シーンのみを綴ったお話となります。
戦闘描写のみにしたかったので詳細は省きましたが、今回の事件の真相。
少女の親が大きな財閥の経営者であり、街で新しい工場を設立しました。すると、その街でコソコソと経営していた小さな町工場が立ちゆかなり、その小さな町工場を収入源としていた魔術結社が崩壊の危機に見舞われます。
ですので、少女を拉致し、街の工場の移転の交渉を行うとしていました。そういった事情を事前に知ったトールが、楽しみ半分で少女を助けに入った、という感じです。
不定期更新の予定ですので、期待せずに気長にお待ち下さい。